打越さく良の発言 (本会議)
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○打越さく良君 立憲民主・社民・無所属の打越さく良です。
会派を代表して、石破総理に質問いたします。
まず、総理、昨晩、韓国の尹大統領が非常戒厳令を発令しました。しかし、国会では与野党による戒厳令解除決議が百九十対ゼロで可決され、僅か六時間で尹大統領も戒厳令を解除し、軍の撤退を発表しました。
軍を動員した戒厳令発動という深刻な事態に対する政府の受け止めと、邦人の安全確保など今後の対応及び日韓関係の在り方について総理に伺います。
それでは、私がなぜここに立っているかについて申し述べます。
私は、選択的夫婦別姓の実現に弁護士として取り組んできました。この国は、世界で唯一、夫婦同姓を強制する不寛容な法制度を持っています。婚姻改姓をして自分が自分でなくなったように悩み、苦しむ方々、多くは女性たちに私は出会ってきました。私は、国会が民法を改正し、女性たちの苦しみを解消してくれると期待して待っていました。
しかし、いつまでたっても実現しない国会にしびれを切らした女性たちの思いを受け、二〇一一年、弁護団事務局長として第一次夫婦別姓訴訟を提起しました。ところが、二〇一五年最高裁大法廷で敗訴しました。この判決は、選択的夫婦別氏制度に合理性がないと断ずるものではないとした上で、議論を立法府に委ねたのです。いつまでたっても女性たちの苦しみに耳を傾けない国会だから司法判断を求めたのに、ボールを立法府にはね返す判断に、多くの女性たちが落胆し、涙しました。
最高裁で敗訴したという挫折の中、私は、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの判決文を胸に刻みました。それならば国会で選択的夫婦別姓を実現しようと再び立ち上がり、この壇上に立っていることをまず申し上げます。
私が選択的夫婦別姓を求めて国会議員に働きかけていた際、ある議員から言われた言葉が忘れられません。そんなわがままは駄目だという言葉です。
わがままではありません。私が私でいたい、自分の名前でいたいという願いは切実です。私たちが負けた最高裁判決でも、人の氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であり、人格権の一内容を構成するものと認められているのに、わがままと退けることこそ、日本国憲法の下、家族に関する法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚していなければならないことをまるで認めず、明治民法の家制度か何かが続いていると勘違いした態度です。
総理も選択的夫婦別姓をわがままと感じるお一人なのでしょうか。そんなことはないはずです。率直にお答えください。
政府は以前、国民意識の動向、すなわち世論を、選択的夫婦別姓を先送りにする口実にしていました。しかし、世論が賛成に傾くや、不思議なことに、国民各層の意見も口実に加えました。「虎に翼」の主人公風に言えば、はて。世論に加えて付加された国民各層の意見とは一体何ですか。自民党を支持する一部の反対派を国民各層の意見として殊更に重視するということですか。家制度はとうに廃止されているのに、それを認めない見解を重視するということですか。それは、総理が引用された石橋湛山内閣の施政方針演説の、国民の一部の思惑に偏することなく論議を尽くすとの立場とは相入れないのではないですか。
重ねてお聞きします。総理、総裁選のときには、姓が選べず、つらい思い、不利益を受けることは解消しないといけない、実現は早いにこしたことはないとおっしゃっていた。全くもって正しい。この考えにお変わりはありませんか。
〔副議長退席、議長着席〕
自分がアイデンティティーを築いてきた自分の名前でいたい。愛する人と結婚したい。その切実な願いを両方かなえることを、夫婦同姓を強制する民法第七百五十条は許さない。こんな不寛容な制度は改めるべきではないですか。
選択的夫婦別姓については、約三十年前の法制審議会から要綱が答申されたのに、極めて異例なことに閣法として提出されないままです。立憲民主党として議員立法案を再提出する準備をしていますが、公明党の斉藤代表も自民党を説得するとのことでしたので、閣法として提出してはいかがでしょうか。
衆議院において与野党は逆転し、法務委員長は立憲民主党の西村智奈美議員です。世界でたった一国だけになった夫婦同姓の強制を改めるときが来たのです。自らの信念に従って、選択的夫婦別姓を導入すると明言してください。
次に、婚姻平等、同性婚の実現について伺います。
同性婚訴訟の原告であった佐藤郁夫さんは、法廷でこう語りました。死ぬまでの間にパートナーと法律的にきちんと結婚し、本当の意味での夫夫になれれば、これに過ぎる喜びはありません。しかし、佐藤さんは二〇二一年一月に亡くなり、この願いはかないませんでした。
同性カップルは、婚姻できないことによって、医療、福祉、相続、親権など、様々な法的効果を受けられません。かけがえのないパートナーを真に人生の伴侶としたいという切実な思いがかなわないのです。石破総理は、同性婚が認められないことで不利益を受けているとすれば、救済する道を考えるべきだと発言されています。総理、このお考えについても変わりはないですよね。
各地の裁判所から、同性婚を認めていない現行制度は日本国憲法に違反するとの判決が次々に出されています。今年三月には札幌高裁、十月には東京高裁と、二つの高等裁判所が違憲判決を出しました。
また、多くの世論調査において、国民の過半数が同性婚に賛成しています。二〇二三年二月に産経新聞とFNNが行った調査では、自民党支持層でも六〇・三%は賛成と回答しています。総理、各種世論調査に示された民意について、無視できるとお考えなのですか。お答えください。
同性婚の実現は、基本的人権の問題、命の問題です。立憲民主党は、同性婚を法制化するための婚姻平等法案も再提出するべく準備を進めます。
総理、御自身の著書において、基本的人権の保障という観点から、権利を阻害されている国民が存在する以上は、最高裁判決を待つまでもなく早急な法制化が必要と述べていらっしゃいます。そのお考えに変わりがないのなら、同性婚の法制化を行うべきと考えますが、総理の見解を求めます。
ジェンダー平等についてお尋ねします。
先月、女子差別撤廃委員会は、選択的夫婦別姓や同性婚を認める法改正をするよう勧告を行いました。選択的夫婦別姓は実に四回目であり、それ以外にも過去の審査から繰り返し勧告されている事項があります。勧告に法的拘束力がないので従う義務がないという態度は、締約国としていかがなものでしょうか。総理の御所見をお聞かせください。
言うまでもなく、条約は法的拘束力のある国際文書です。条約実現の実効性を高めるため、人権救済等の権限を有する国内人権機関を設置すべきと考えますが、いかがですか。総理の見解を伺います。
女子差別撤廃委員会から、選択議定書の批准の検討に時間を掛け過ぎていると勧告を受けました。条約の締約国百八十九か国のうち百十五か国が批准しているにもかかわらず、日本が何度勧告を受けてもいまだ批准しないのは余りに不合理です。国際的に確立した解釈に背を向けたガラパゴスの司法判断が改善されることは、個人にとっても国益にとっても望ましいはずです。個人通報制度を定めた条約に附帯する選択議定書の批准についての御決断を総理に求めます。
訪問介護の基本報酬引下げについて伺います。
政府が行った訪問介護の基本報酬の引下げ等により、事業者の倒産が相次いでいます。今後、訪問介護を受けられなくなる要介護者や介護離職が増えることが懸念されます。
九月の厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で示された試算によると、これまで最も高い加算を取得していた事業所のうち、新たな加算に移行して基本報酬の減少を補い、増収が見込まれるのは僅か三%にすぎませんでした。今回新たに取得した事業者でも、増収は僅か一七%にとどまります。事業者は、人件費だけではなく物価や燃料費高騰による減収にも直面していますが、人件費に限定された加算ではその分の減収には充てられません。
立憲民主党は、訪問介護の基本報酬引下げによる影響について調査し、それに基づき、事業者に支援金を支給すること、その上で訪問介護の基本報酬の引下げの見直しを含めた介護報酬の期中改定を行うことを厚生労働省に強く求めてきました。また、これを実現する議員立法、訪問介護緊急支援法案を再提出する準備を進めています。
厚生労働省による介護報酬改定の影響によるサービス提供の実態調査は来年三月頃の公表予定だと聞いておりますが、その間にも事業所の倒産が増えていきかねないと私たちは危惧しております。事業所の倒産による、事業所の倒産により、ビジネスケアラーが仕事を諦めたり、ヤングケアラーが学業を諦めたり、お年寄りが必要な介護を受けられないという事態になりかねません。こうした事態が起きないよう、私たち立憲民主党の提案に速やかに応じてください。総理の答弁を求めます。
次に、冤罪防止とそのための再審法改正、取調べの抜本的改革についてお聞きします。
二〇二四年九月二十六日、静岡地裁は、一九六六年に逮捕され、一九八〇年に最高裁で死刑判決が確定した袴田巖さんに再審無罪判決を言い渡し、十月九日、同判決が確定しました。
袴田さんの事件では、検察がないとしていた証拠写真や取調べ録音テープなどが開示され、再審開始につながりましたが、もっと早く証拠が開示されていれば、袴田さんが再審無罪となる日は今より早かったはずです。
再審制度の目的である冤罪被害者の救済のため、全面的な証拠開示制度を創設すべきです。総理の御所見を求めます。
また、袴田さんは二〇一四年に再審請求が認められましたが、検察官の不服申立てにより、再審公判開始は二〇二三年まで引き延ばされました。審理を長期化させ、冤罪被害者の救済を遅らせる検察官の不服申立ては禁止すべきです。総理、いかがでしょう。
冤罪の原因の一つとして、違法、不当な取調べによる虚偽の自白が挙げられます。虚偽の自白をなくすためには、取調べの録音、録画による可視化や取調べの弁護人立会いの法制化が必要です。総理、いかがですか。
無罪を主張し、あるいは自白しないと長期間身柄拘束をする人質司法も見直しが必要です。大川原化工機事件で容疑を否認する社長ら三人を一年近く勾留、長期の身体拘束をしたことは、人質司法の典型です。
冤罪を防ぐため、取調べの抜本的改革に取り組むとともに、人質司法を解消する方策を検討すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
農業者の所得向上、米政策について伺います。
生産資材の高騰が続く中、価格転嫁による米価の上昇は、極端な円安の影響で国産米の需要を減少させるおそれがあります。価格転嫁を必要とする生産者の適正価格と、家計の厳しい中で安価な食料品を求める消費者のニーズを市場原理だけで解決することは困難です。だからこそ、価格は市場で、所得は政策でと、切り分けて考えるべきです。総理、いかがですか。
そのため、持続可能な農業経営の確立に向け、価格形成の新たな仕組みのほかに、食料安全保障の確保と多面的機能の発揮に貢献する農業者の所得向上等に資する農地に着目した直接支払を実施するなど、抜本的な農業者支援策を併せて講ずるべきです。総理の見解を求めます。
原子力発電所と防災問題についてお聞きします。
自治体は、地域防災計画を策定するに当たり、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力規制委員会が定める指針に従って、地域防災計画と避難計画を策定することになっています。
内閣府は柏崎刈羽地域など十三の立地地域ごとに地域原子力防災協議会を設置し、そこで原子力災害に関わる緊急時対応が具体的で合理的であるかを確認、チェックするという建前です。しかし、避難計画の実効性は確認、チェックされません。
能登半島地震の際はたまたま停止中であった志賀原子力発電所ですが、変圧器の油漏れなど大きな損害が出ています。多くの道路が寸断され、交通が麻痺しました。例えば、志賀町が定める原子力災害避難計画では、「避難にあたっては、災害の状況に応じ、自家用車をはじめ、自衛隊車両や国、県、町の保有する車両、民間車両、海上交通手段などあらゆる手段を活用する。」とされています。ほかの自治体もほぼ同様の規定となっています。能登半島地震で万が一、志賀原子力発電所で事故が発生した場合、自治体の避難計画では避難が可能ではなかったと危惧されています。
各自治体が策定する地域防災計画の実効性を検証する必要があるのではないでしょうか。
避難計画の実効性を確認、チェックする主体はどこですか。国ですか、自治体ですか、原子力規制委員会でしょうか。実のところ、どこも実効性を確認、チェックしないのではないですか。避難計画の策定を国は支援するだけで、実効性が伴わなくても知ったことではない、形式的に策定さえされていれば再稼働に支障はないのですか。それでは余りに国として無責任ではないでしょうか。避難計画の実効性を原子力規制委員会の審査対象に含めるべきと考えます。総理、いかがでしょうか。
私の地元柏崎では、大雪の際に大渋滞が発生します。原発事故と津波、道路の寸断など複合災害となった場合、総合的に対処する計画がなければなりません。地元の同意、そして実効性が担保された避難計画がないのであれば、原子力発電所は再稼働できないはずです。総理の見解を求めます。
総理は、地方創生は多様性の時代の国民の多様な幸せを実現するための社会政策であると所信表明演説で述べられました。また、地方の皆様方が希望と幸せを感じていただくことも重要ですと表明されました。そのためには、まず国が多様性を阻害する古い制度の壁を取り払っていくことから始めなければなりません。
私は、本日、我が国の古い制度、現状に即していない法制度等について質問しました。総理は、全ての国民の幸せを実現するため課題への対応を進めると明言されました。その言葉に偽りがないのであれば、多様な幸せの形をかたくなに妨げるのではなく、尊重すべきです。もしその決意がないのであれば、衆議院で示された民意に従い、直ちに下野すべきであることを強く申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕