石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 柴愼一議員の御質問にお答え申し上げます。
経済政策の基本方針についてでございます。
アベノミクスの成果を基に岸田内閣が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくことを目指しておりまして、この方針に変わりはございません。
新しい資本主義では、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環を実現することを目指し、官民連携による賃上げ、設備投資、スタートアップ育成、イノベーションの推進を拡大するための施策を進めてまいりました。
こうした取組を更に加速、発展させますため、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めますとともに、生産性向上のための省力化・デジタル化投資の促進や経営基盤の強化、成長のための支援を充実をいたします。
また、将来も継続的に所得が増加する手だてといたしまして、資産運用立国及び投資立国を実現をいたします。
今後、二〇三〇年度までにAI、半導体分野に十兆円以上の公的支援を行い、十年間で五十兆円を超える官民投資を引き出してまいります。
GX経済移行債を活用し、十年間で百五十兆円を超えますGX投資を官民協調で実現をしてまいります。
政府と日銀の共同声明についてでございます。
我が国経済は、消費者物価が上昇するなど、デフレではない状況にあり、高水準の賃上げや史上最高水準の設備投資など、経済の前向きな動きが見られますものの、現時点では再びデフレに戻る見込みがないと言える状況にはなく、デフレ脱却には至っていないと考えております。
引き続き、政府と日銀が共同声明の下、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向け連携を続けていくことが重要と、このように考えております。
共同声明の見直しについてでございますが、これまで、政府と日銀が共同声明の下、政策目標や方向性を共有し、それぞれの役割の下で必要な政策を遂行してまいりました結果、デフレではない状況をつくり出した一方で、現時点では再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っておりません。
このような経済情勢も踏まえ、先般、植田日銀総裁と、政府と日銀が共同声明に沿って引き続き連携を続けていくことを確認したところであり、現時点において共同声明を見直すことは考えてはおりません。
社会保険料減免などの直接支援と賃上げ促進税制についてのお尋ねをいただきました。
中小企業に対して社会保険料の事業主負担を助成すべきとの御提案につきましては、社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業主の責任であり、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じまして事業主の利益にも資するものであることから、慎重な検討が必要であると考えております。
また、賃上げ促進税制の効果でございますが、賃上げは企業収益の動向や雇用情勢等の税制以外の要因による影響を受けますため、税制のみの効果だけを取り出して定量的に申し上げることは困難でございます。今年の春季労使交渉における賃上げ率は三十三年ぶりの高水準となっておりまして、本税制が一定程度寄与したものと考えておるところでございます。
価格転嫁対策についてでございますが、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に基づく取組を徹底するため、本年末までに、関係省庁が業界団体と連携し、指針の遵守状況についての実態調査を実施しておるところでございます。この結果を踏まえまして、より適切に労務費が価格転嫁されますよう、各業所管省庁から指針に沿った改善策の周知徹底を行います。
さらに、事業者の生産性向上を図るため、今般の補正予算案に省力化・デジタル化投資の促進や経営基盤の強化、成長のための支援を計上しており、効果的な環境整備を進めてまいります。
補正予算の規模、そしてまた根拠についてでございますが、私が経済対策、補正予算について昨年を上回る規模と申し上げましたのは、三年間の岸田内閣の取組によりデフレ脱却に向けた歩みが着実に進み、高付加価値創出型経済への移行のチャンスを迎えます中で、これを確実なものとするためには、岸田内閣が講じてまいりました昨年を上回る規模が必要ではないかというめどとして申し上げたものでございます。
あわせて、必要な施策を積み上げると申し上げてまいりましたように、今回の経済対策は、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実にするため、速やかに実行すべき施策を積み上げた結果でございまして、規模ありきとの御批判は当たらないものでございます。
緊要性についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
我が国経済は、コロナ禍など幾多の難局を乗り越え、三十三年ぶりの高い賃上げ率が実現をし、名目GDPは六百兆円、設備投資は百兆円をそれぞれ超えるなど、成長と分配の好循環が動き出しており、コストカット型経済から脱却して、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあると考えております。
こうした前向きな動きを確実なものとし、国民お一人お一人が実際の賃金、所得の増加という形で豊かさを感じられるようにするために、総合経済対策を講じることといたしたものでございます。具体的には、本年十月に、二〇二〇年代に最低賃金を全国平均千五百円に引き上げる目標を打ち出し、最低賃金が平均五十一円引き上げられたことを踏まえ、人手不足に悩む中小企業が速やかに省力化・IT投資を進められるよう支援を拡充いたします。
家庭の電気使用量の最も大きい時期となります一月に間に合いますよう、冬期、冬の時期の電気・ガス代の支援を行います。特に、物価高の影響を受ける低所得者の世帯について速やかに給付金を支給できますよう、補正予算成立後、できるだけ早期に簡素な仕組みにより開始をいたします。
地方の実情に応じた支援を後押しする重点支援地方交付金について、これから厳冬期を迎えることを念頭に灯油支援メニューなどを新たに追加し、地方自治体の早期の予算化を支援してまいります。
今回の補正予算は、こうした総合経済対策に掲げられた速やかに実行すべき施策を積み上げたものであり、それぞれの予算事業について緊要性が認められるものと、このように考えておるところでございます。
令和六年度補正予算における基金についてでございますが、今般の補正予算では、我が国の成長力の強化に資する事業などについて基金を活用することといたしており、これらは、各年度の所要額が見込み難いといった基金の要件を満たしました上で、経済対策に掲げられた柱に基づく施策を迅速かつ効率的に実施する上で必要であると判断したものに限って措置をいたしております。いずれも、財政法の定めます緊要性の要件を満たすものであると考えております。
また、予算書と併せて国会に提出いたします書類に国から基金への予算措置額等を記載いたしました上で国会での御審議をお願いするなど、財政民主主義の観点を踏まえた対応となっているものと、このように考えております。
さらに、昨年末に決定された基金の点検・見直しの横断的な方針に基づき、新たな予算措置は三年程度として、成果目標の達成状況を見て次の措置を検討するというルールを定め、基金事業のPDCAサイクルを構築していくことといたしており、財政規律の観点からも適切に対応しているものと考えております。
御指摘の宇宙戦略基金につきましては、宇宙分野は、諸外国の積極的な投資の下、技術も急速に発展し、低コストかつ高頻度な打ち上げや、社会経済に変革をもたらす衛星の開発など、熾烈な競争が繰り広げられている分野であり、国際市場の獲得、国際競争力の強化などの観点から、今般の補正予算で措置することといたしております。
能登地域の復旧復興についてお尋ねをいただきました。
能登地域の皆様方が受けた地震、豪雨の度重なる被害に対して一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速するための支援を講じますことは、最優先の課題でございます。
同時に、我が国経済は、コストカット型経済から脱却して、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にございます。この移行を確実なものとすることが国民生活のために必要であると考えております。
我が国が抱えるこうした課題に総合的に対応してまいりますため、経済対策を策定することといたしました。通例は、経済対策策定の指示から補正予算の成立まで少なくとも二か月は必要であることに踏まえまして、必要であることを踏まえ、十月四日の対策指示と同時に、残額が十分あった予備費を活用して、能登地域への切れ目のない支援を行うことを指示をいたしました。
十月十一日には五百九億円の予備費の使用決定を行い、豪雨後の被災地の状況を踏まえて、被災地で必要としているキッチンカーの派遣などの避難所環境の整備や、豪雨により通行止めが発生した国道の復旧などの取組を進めております。
さらに、今回の補正予算では、能登の復旧復興のために二千六百八十四億円の施策を盛り込むことといたしましたが、これは、これまで予備費を活用し、状況に応じて必要となる施策に機動的、弾力的に対応してきたことに加えまして、足下の復旧復興の進捗を踏まえ、より長い目で見て必要となる事業にも一括して対応したものでございます。
こうした今回の対応は、経済対策と能登地域の復旧復興とを同時かつ迅速に進める最善の方法であると、このように考えております。
被災者生活再建支援金についてお尋ねを頂戴をいたしました。
能登半島地震の被災者の生活再建支援といたしましては、御指摘の最大三百万円が受け取れる被災者生活再建支援金に加え、石川県とも調整の上、能登地域六市町を対象とした、最大で被災者生活再建支援金と同額が受け取れる地域福祉推進支援臨時特例交付金を創設いたしました。この特例交付金は、六市町が極めて甚大な被害を受け、高齢化が著しく進み、半島という地理的制約から地域コミュニティーの再生が大きな課題であったことを踏まえたものでありまして、このようにして能登地域の実情、特徴を踏まえました支援を行っておるところでございます。
御指摘のありました被災者生活再建支援金の倍増は困難でありますが、このほか、特例交付金の支給対象外の世帯につきましても被災者の状況に応じて復興基金を活用した事業の活用が可能であり、引き続き、生活再建が図られますよう、これら総合的な枠組みにより支援をいたしてまいります。
物価高対策の給付金についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
今般の経済対策におきましては、特に物価高の影響を受ける低所得者の方々、低所得者の方々を支援する趣旨で、住民税非課税世帯を対象に給付を行うことといたしております。これは、迅速に支援を届けますとともに、給付事務を担う地方公共団体の負担を軽減する観点から、住民税非課税世帯を対象としたものでございます。
住民税非課税世帯以外の方々に対しましては、重点支援地方交付金を活用して、地方公共団体が行う物価高対策や賃上げを支援する施策など様々な物価高対策を講じることにより、必要な支援を行うことといたしております。
幅広い世帯への支援についてのお尋ねでございます。
今回の経済対策は、全ての世代の現在や将来の賃金、所得を増やすことを最重要課題として策定をいたしました。そうした取組に当たりましては、賃上げ環境の整備や成長力の強化に取り組みますとともに、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要でございます。
具体的には、地方公共団体が地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに厳冬期の灯油支援も行えるようにいたします。また、家庭の電力使用量の最も大きい一月から三月の冬期の電気・ガス代を支援し、二人以上世帯の平均で電気、ガス合計で月千三百円程度の負担軽減を行います。さらに、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯の方々に対する給付金の支援などの施策を盛り込んでおります。
為替水準についてのお尋ねをいただきましたが、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要と考えております。現下の日本の実体経済に照らして、ファンダメンタルズを反映した為替相場がどのような水準であるかについて言及することは、市場に不測の影響を及ぼしかねないことから、コメントは控えさせていただきます。
為替相場への対応についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
経済財政運営や経済政策は為替の誘導を目的としたものではございませんが、これらの政策により、日本経済のファンダメンタルズ、すなわち基礎的条件を強化をいたしますことは、為替の過度な変動を含む金融、経済のショックに対して強靱な経済を築くことにもつながると考えております。
今般作成した経済対策におきましても、DXの推進や中小企業の稼ぐ力の強化などを通じた生産性の向上、省エネ、再エネの推進によりますエネルギーコストの上昇に強い経済社会の実現など、様々なファンダメンタルズの強化に取り組んでおります。
なお、日銀の金融政策は、物価安定目標の持続的、安定的な実現のために行われているものでございまして、為替誘導を目的としたものではないと承知しており、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についてのお尋ねを頂戴をいたしております。
激変する安全保障環境において日本を守り抜くため、国家安全保障戦略などに基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化をすることは論をまちません。
そのための財源確保に当たりましては、行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでも足りません約四分の一につきまして、今を生きる我々の将来世代への責任として税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
そうした枠組みの下、これまでも五年度、六年度税制改正におきまして与党の税制調査会などの場で議論が行われてまいりましたが、現在、まさに税制調査会などの場で議論が行われているものと、このように承知をいたしております。
その上で、防衛財源確保のための税制措置は、所得税の付加税につきましては、復興特別所得税の税率を引き下げ、合計の税率が現在と変わらない水準、二・一%とすることで、現下の家計の負担増にならないように配慮をいたしております。
防衛力整備計画で定められました四十三兆円程度という規模は、防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものでございまして、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底しつつ、防衛力整備計画に基づいて防衛力の抜本的強化を達成すべく努めてまいります。
財政状況の改善に向けた取組についてのお尋ねでございます。
経済財政運営に当たりましては、不測の事態に十分耐えられる財政基盤を平時より備えることが不可欠であると、このように考えております。こうした観点から、政府といたしましては、引き続き、経済あっての財政との考え方に立ち、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、予算の重点化や財政支出の効率化といった改革努力により財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくってまいります。
補正予算の組替えについてのお尋ねを頂戴をいたしました。
今回の経済対策、補正予算は、党派を超えて優れた方策を取り入れるべく工夫を行いました上で、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとすることを目指して、真に必要な施策を積み上げたものでございます。この補正予算に盛り込まれました各施策を速やかに国民の皆様方のお手元にお届けいたしますとともに、切れ目なく七年度予算につなげ、賃金、所得を増やしていくことが何より重要であると、このように考えております。
そのためには、国会での御審議を賜りますに当たって、この補正予算に多くの御賛同が得られますように誠心誠意説明を尽くしていくことが大事だと、このように考えておるところでございます。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕