石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 藤巻健史議員の御質問にお答え申し上げます。
物価情勢と物価高対策についてでございます。
政府といたしましては、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現を目指しております。
足下の物価動向を見ますと、消費者物価が上昇するなど日本経済や物価が持続的に下落するデフレの状況ではございませんが、再びデフレに戻る見込みがないと言える状況にはなく、デフレ脱却には至っていないと考えております。
今、約三十年ぶりの高い水準の賃上げなどの明るい兆しも現れており、我が国経済は、コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にございます。
こうした局面におきましては、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要であります。こうした考えの下、今般の経済対策では物価高対策として必要な施策を盛り込んだところであり、国民への単なる人気取り政策との御指摘は当たりません。
電気、ガス、ガソリン補助についてでございますが、今回の経済対策は、全ての世代の現在や将来の賃金、所得を増やすことを最重要課題として策定をいたしております。そうした取組に当たりましては、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要であります。こうした考えから、エネルギーコストを含めた物価高への対応として総合的な支援を行うことといたしました。
具体的に、まず、低所得者世帯の方々に対する給付金、地域の実情に応じた対応が可能な重点支援地方交付金による支援を実施してまいります。
その上で、低所得世帯の方々に加え、物価高により厳しい状況にある方々を念頭に、家庭の電力使用量が最も大きい一月から三月までの冬の期間、電気・ガス料金を一律に値引きする形で効率的かつ速やかな支援をお届けすることといたしました。
ガソリンなどの燃料油につきましては、流通の現場に与える影響を踏まえ、出口に向けて段階的に補助を見直していくということといたしております。
日本と各国との過去四十年間における名目GDPの伸びに関する比較と補正予算の緊要性についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
世界銀行のデータを用いまして一九八三年と二〇二三年の自国通貨建ての名目GDPを比較いたしますと、日本は二・〇倍、アメリカは七・五倍、ドイツは四・一倍、イギリスは八・三倍、フランスは四・三倍、イタリアは六・〇倍、カナダは六・九倍、中国は二百九倍となっております。
また、G20諸国の中での比較についてもお尋ねをいただきましたが、名目GDPは物価上昇率の影響を受けることに留意が必要ではございますが、この四十年間における我が国の名目GDP成長率は、比較可能な十八か国中十八番目となっております。
現在、我が国経済は、コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にございます。今回の経済対策、補正予算は、この移行を確実なものとすることを目指すものでございます。
この中では、御指摘の日本経済、地方経済の成長に向けた施策として、家計を温めるため、物価を上回る賃上げを実現する観点から、最低賃金の引上げの支援や、中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、現下の賃上げができるよう、経営基盤の強化、成長のための支援として、価格転嫁の後押し、省力化・デジタル化投資の促進などを盛り込んでおります。
また、地方の皆様に希望、幸せを感じていただくことも重要であり、地方の皆様が自ら考え、動き出せるよう、新しい地方創生交付金を倍増しつつ、前倒しで措置をいたしております。
将来の所得増の手だても必要であり、二〇三〇年度までにAI、半導体分野に十兆円以上の公的支援を行い、これにより十年間で五十兆円超の官民投資を引き出すことを目指しております。
これらは全ての世代の現在、将来の賃金、所得を増やすため、速やかに実行すべき施策を積み上げたものであり、それぞれの予算事業について緊要性が認められるものと考えております。
経済財政運営の在り方についてでございますが、岸田内閣が進めてまいりました新しい資本主義の取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現することを目指しております。
具体的には、今後成長が期待される分野におきまして、企業の予見可能性を高めつつ、戦略的かつ重点的な官民連携投資を進め、地方への投資を含め、内外からの投資を引き出すなど、民間の力を成長につなげてまいります。あわせて、規制、制度を時代や技術進歩に応じて不断に見直し、イノベーションを生み出す環境を整える改革を行うことなどを通じまして経済の活力を高めてまいります。こうした取組により、民需主導の持続的な経済成長を実現をいたしてまいります。
我が国の財政状況及び今般の補正予算の緊要性についてのお尋ねでございますが、御指摘の二五七・二%は一般政府の債務残高対GDP比でございますが、終戦前後と比較可能な国の債務残高につきまして、二〇二三年度の債務残高対GDP比二一七%を昭和二十一年度のGNP比五六%や終戦直前の二〇〇%程度と比べますと、経済構造や人口動態の変化、金融市場の整備、グローバル化を始め社会経済状況が異なる点には留意が必要でございますが、当時よりも高い水準にはございます。厳しい状況にあることはよく認識をいたしております。
こうした中で、政府の経済財政運営につきましては、経済あっての財政との考え方に立ち、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくっていくことが重要であると考えております。
今回の経済対策、補正予算は、こうした考え方の下で、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするために、いずれの事業も緊要かつ必要なものであると考えております。
財政についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
故石弘光先生は、一橋大学学長として国立大学改革に尽力されますとともに、政府税制調査会長として税制改革の理論的な支柱であられました。優れた学者であられただけではなく、常に現実を見据え、国を憂える、気骨のある言わば国士であったと私自身思っております。
御著書あるいは論文も幾つか拝読をいたしてまいりました。不勉強でよく理解をしておらないかと存じますが、議員がお触れになりました石先生のインタビュー記事は、私自身も自らへの戒めとしてよく心に刻まねばならないと改めて御指摘を受けて思ったところでございます。
経済財政運営につきましては、経済あっての財政との考え方に立ち、デフレを脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくってまいります。
いわゆる百三万円の壁についてでございますが、今般の経済対策におきましては、自由民主党、公明党、国民民主党の三党間での合意を踏まえ、いわゆる百三万円の壁につきましては、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げる、これらに伴う諸課題に関しましては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得るとの記述を盛り込んだのは御承知のとおりでございます。
仮に基礎控除の額を国、地方におきましてそれぞれ七十五万円に引き上げました場合について、一定の仮説を置いて機械的に計算をいたしますと、所得税の減収額は四兆円弱程度、個人住民税の減収額は四兆円程度と試算をいたしております。
その上で、御指摘の経済や税収への影響などについて、専門的な観点も含めて様々考えなければならない論点があるものと認識をいたしております。そのようなことも含めまして、各党の税制調査会長間で更に議論を深めていただきたいと考えております。
長期金利と為替の動向についてでございますが、長期金利や為替相場の動向は、金融政策の動向のほか、その時々の経済・物価情勢や地政学的リスク、市場参加者の状況や投機的な動きなどの様々な要因によって決まるものであり、一概に申し上げることは困難なのは御案内のとおりでございます。しかしながら、長期金利の急上昇や為替相場の過度な変動は決して好ましいものではございません。
政府といたしましては、市場の動向等を注視しつつ、市場参加者との丁寧な対話に努めますとともに、日本経済の成長力の向上や財政の持続可能性を維持するための取組を通じて通貨や国債の信認を確保し続けることが重要であると考えております。
財政再建につきましてでありますが、まずGDPについて、名目GDPは、二〇〇六年度から二〇二三年度にかけ、約六十兆円増加をいたしました。国、地方を合わせました財政収支の対GDP比は、二〇〇六年度がマイナス三%程度、直近の実績値であります二〇二二年度がマイナス四・五%程度となっておりますが、二〇二二年度の財政状況の評価につきましては、新型コロナなどに機動的に対応した結果であることも踏まえる必要があると考えております。
経済状況を見れば、我が国経済は、長きにわたったデフレマインドを払拭し、成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にございます。今回の経済対策、補正予算は、成長型経済への移行を確実なものといたしますため、真に必要な施策を精査し積み上げたものでございます。経済あっての財政との考えの下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくってまいります。
財政等に係るリスクについてのお尋ねを頂戴をいたしました。
我が国の財政は厳しい状況にあり、仮にその持続可能性に対する信認が失われました場合、金利の急上昇や過度なインフレが生じ、日本経済、社会に多大な影響を与える可能性は否定できません。引き続き、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないよう、経済あっての財政との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくってまいります。
我が国経済、財政の状況と今般の補正予算についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国経済は、バブル崩壊以降、長引くデフレなどを背景に国内投資と賃金が伸び悩む中、他国と比べて低い経済成長が続いてまいりましたのは事実でございます。また、我が国の債務残高対GDP比が世界最悪の水準にあるなど、財政が厳しい状況にあることもまた事実でございます。
他方、足下の経済状況を見ますれば、約三十年ぶりの高い水準の賃上げと過去最大規模の投資が実現するなど明るい兆しも見られており、我が国経済は長きにわたったデフレマインドを払拭し、成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあるものと考えております。
今回の経済対策、補正予算は、こうした我が国の経済、財政状況を踏まえ、成長型経済への移行を確実なものにするため、真に必要な施策を精査して積み上げたものでございます。
以上でございます。(拍手)
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