石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 浜口誠議員の御質問にお答えを申し上げます。
政治の役割は国民の皆様の懐を豊かにすることではないかとお尋ねを頂戴をいたしました。
議員御指摘のように、国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じていただくため、現在や将来の賃金、所得が増えていくことを最重要課題として、今般、経済対策を策定いたしたところでございます。
最低賃金引上げの支援や生産性向上のための投資促進など、物価上昇を上回る賃上げを実現し、家計を温めるための施策に加え、人への投資など、将来も継続的に所得が増加する手だてを講じてまいります。こうした一つ一つの施策を国民の皆様にお届けし、その効果を実感していただけるよう、各施策を迅速かつ適切に執行をいたしてまいります。
いわゆる年収百三万円の壁、そしてまた幹事長合意についてのお尋ねをいただきました。
本日、自民党、公明党の税制調査会におきまして、所得税の基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応するため、物価動向を踏まえ、基礎控除の額を二〇%、十万円引き上げるとともに、給与所得控除の最低保障額についても十万円引き上げるという方針が了承されたものと承知をいたしております。
これから与党としての正式な決定に向けた手続が進められるところであり、コメントすることは差し控えたいと存じますが、幹事長合意を踏まえ、自由民主党、公明党といたしましては、引き続き真摯に協議を行っていく方針と承知をいたしており、誠実に協議が進められることを期待をいたしておるところでございます。
日本の競争力低下についてお尋ねをいただきました。
一九九〇年代のバブル崩壊以降、我が国は金融システム問題やリーマン・ショックなど様々な困難に見舞われました。この間、企業は短期的な収益確保のため、賃金や成長の源泉である投資を抑制し、我が国経済はいわゆるコストカット型経済に陥りました。その結果、消費の停滞や物価の低迷、さらには成長の抑制がもたらされました。雇用は安定していたものの給料は上がらず、安い商品はあるが、革新的な商品、サービスは生まれてこないという状況の中で競争力を失っていったのではないかと考えております。
しかし、ようやく約三十年ぶりの高い水準の賃上げや過去最大規模の設備投資などの明るい兆しが現れております。コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営、経済への転換を進め、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出されるような競争力ある国といたしてまいります。
そのため、DXを切り口として、半導体、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GXなど、今後成長が期待される分野を中心に、企業の予見可能性を高めつつ、戦略的かつ重点的な官民連携投資を進めてまいります。
持続的な賃上げに向けた支援策などについてでございます。
家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。当然のことであります。そのためには、中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、生産性向上のための省力化・デジタル化投資などを促進することが極めて重要であると考えております。
新たな商慣習として、サプライチェーン全体で価格転嫁、適正取引を定着させるよう、下請法の改正につきましても具体化をいたしてまいります。
定額減税の経済効果についてでありますが、定額減税については、デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えするために実施をいたしておるものでありまして、その実績と効果の分析をしていくことは極めて重要であると考えております。
実際、定額減税の実施以降、家計の可処分所得は増加をいたしておりますが、家計の可処分所得増加は、三十三年ぶりの高水準となった春闘賃上げの効果や堅調であった夏のボーナスにも下支えされており、定額減税もまだ実施中でありますため、現段階で定額減税の効果のみを取り出して確定的なことを申し上げることは困難であります。データがそろい次第、その分析を開始し、その結果を公表したいと考えておるところでございます。
医療保険制度についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
本格的な人口減少の中にあって、医療保険制度を今の時代に合った持続可能なものにしていくことは重要な課題であり、現役世代の負担を軽減し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う全世代型の社会保障を構築する必要がございます。
政府といたしましては、昨年末に閣議決定いたしました改革工程に掲げられている事項を具体化していくことが必要であり、御指摘をいただきました医療における現役並み所得の判断基準や、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直しなどを含めまして、患者に対する必要な保障が欠けることのないよう、見直しによって生じる影響を考慮しながら、丁寧な検討を進めてまいります。
食料自給率の現状と農業の担い手についてでございますが、我が国の食料自給率はカロリーベースで三八%と低迷しております。農地などを健全に維持し、農業従事者を確保し、また、農業の基本的技術を維持向上させていくことにより、食料自給力を向上させていく必要があると考えております。
特に農業従事者につきましては、その人数の確保のためのみならず、人口構成を持続可能、サステナブルなものとするため、農業の生産性と付加価値を高める取組を後押しし、就農後の早い時点で所得が確保でき、努力に応じて経営発展につなげていけるなど、農業の魅力を高めてまいりたいと考えております。
教育国債についてでございますが、人的資源への最大限の投資を行い、あらゆる人が最適な教育を受けられる社会を実現いたしますとともに、科学技術、イノベーションを推進し、日本経済の活性化と成長を加速させるため、必要な教育、科学技術予算を措置してまいります。
その際、例えば、こども未来戦略の加速化プランでは、前例のない規模で子ども・子育て支援を強化いたしており、それを支える安定財源につきましても、徹底した歳出改革などを通じて確保することといたしております。
一方で、教育国債につきましては、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があるものと考えております。
教育、子育ての経済的負担の軽減及び扶養控除についてお尋ねをいただきました。
教育費につきましては、例えば、高校段階の支援について、所得制限を設けることで捻出した財源により低所得世帯への支援を拡充いたしてきたところであり、このような基盤となる国の制度と、地域の実情を踏まえて地方自治体が上乗せして実施する支援が一体となって行われることが適切であると、このように考えております。
教育の機会均等という要請の中でどこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、引き続き考えるべき課題と考えております。
十六歳未満を対象としたいわゆる年少扶養控除につきましては、所得控除から手当へという考えの下、子ども手当の創設に伴い廃止されたものでございます。
十六歳から十八歳の扶養控除の見直しは、令和六年度政府税制改正大綱におきまして、高校生年代に支給される児童手当と併せ、全ての子育て世代に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図ることとされております。これらも踏まえる必要があると考えておるところでございます。
奨学金の債務負担軽減についてでございます。
奨学金の返還につきましては、政府といたしまして、これまでも返済の猶予や毎月の返還額を減額する制度などにより負担軽減を図ってきたところでございます。さらに、こども未来戦略に基づき、奨学金の返還が負担となって、結婚、出産、子育てをためらうことのないよう、令和六年度から減額返還制度の収入要件を緩和し拡充したところでございます。
なお、奨学金の返還免除につきましては、教職の高度化等を図る観点から、教師について令和七年度より教職大学院修了者などに限り免除することとしておりますが、そのほかの分野の免除や返還者全員を対象とした債務の免除につきましては、返還を完了された方との公平性や職業間の公平性等の観点から慎重な検討が必要であると、このように考えておるところでございます。
就職氷河期世代への支援についてでございます。
就職氷河期世代に対しては、支援ニーズを把握した上で、ハローワークの専門窓口における就職支援、非正規雇用労働者を正社員化した企業に対する助成、引きこもり状態の方々への相談対応など、きめ細かい支援を実施しております。その実施に当たりましては、取組の進捗、実績を毎年点検の上、随時運用の改善を図っており、着実に成果が得られてきておると、このように考えております。
就職氷河期世代の実態につきましては、これまでも関係団体からのヒアリングに基づき把握に努めてまいりましたが、さらに、昨年度より実施しておりました就職氷河期世代の支援施策に関するニーズなどの調査結果を近日中に公表する予定でございます。
来年度以降は、就職氷河期世代を含め、幅広い中高年層を対象に更に効果的な支援が行われるよう施策を講じることといたしており、引き続き、相談、リスキリングから就職、定着までの切れ目のない支援に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
サイバー攻撃への対処についてでございます。
近年、機微情報の窃取、重要インフラの機能停止などを目的とする高度なサイバー攻撃に対する懸念が急速に高まっております。国家を背景とした形での重大なサイバー攻撃も日常的に行われるなど、安全保障上の大きな懸念にもなっておるのは御指摘のとおりでございます。こうした厳しい情勢の下、我が国のサイバー対応能力の向上はますます急を要する課題であると、これも御指摘のとおりでございます。
能動的サイバー防御の実現に向けた法制度の整備につきましては、十一月二十九日に有識者会議から提言をいただいたところでありまして、これを踏まえまして、可能な限り早期に法案を提出できますよう、引き続き準備を加速いたしてまいります。
サイバーセキュリティー人材の育成につきましては、有識者会議からも、魅力的なキャリアパスの提示、若年層からの教育、産学官の人材交流の推進などの提言をいただいておるところであり、これを踏まえて、サイバー攻撃への対処に当たる優れたデジタル人材の育成、確保に一層努めてまいりたいと考えております。
自動車関係諸税についてお尋ねを頂戴いたしました。
御党から、自動車関係諸税の負担軽減などの御要望をいただいておりますことはよく承知をいたしておるところでございます。
これまでの与党税制改正大綱におきましても、日本の自動車戦略、インフラ整備の長期展望、カーボンニュートラル目標の実現への貢献などを踏まえつつ、公平、中立、簡素な課税の在り方につきまして、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、中長期的な視点に立って検討を行うこととされておるところでございます。
御指摘の環境性能割を含みます自動車関係諸税につきましては、今年の与党税制調査会におきましても議論が行われ、大綱の取りまとめに向けて詰めの調整が行われているものと承知をいたしておるところでございます。
御指摘のいわゆる走行距離課税や出力課税につきましては、政府として具体的に検討を行っているわけではございません。
以上でございます。(拍手)
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