浦達也の発言 (環境委員会)
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○浦参考人 おはようございます。日本野鳥の会の浦と申します。この度は、このような機会をいただきましてありがとうございます。
それでは、環境影響評価法の一部を改正する法律案について、参考人意見陳述をさせていただきます。基本的には配付した資料に基づいて発言させていただきます。
まず初めに、現在のアセス案件に係る事業の八割から九割程度は風力発電ですとか太陽光発電といった再生可能エネルギー事業となっていますので、私のこれからの発言は、基本的には風力発電ですとか太陽光発電に向けたものと考えていただいてよろしいかと思います。
まず、今回の改正法の課題についてですが、まず、建て替え事業を対象としたアセス手続の見直しについてです。建て替え事業に係る配慮書については、位置が大きく変わらないことから、事業実施想定区域に係る周囲の概況などの調査を不要とするとありますが、それについてですね。
まず、風力発電の耐用年数というのが基本的に二十年程度です。今回の改正法施行後しばらくは、二〇一二年以前に設置された設備の建て替え事業が中心となると考えます。アセス法に基づく環境影響評価の手続が行われていない事業が多いということになりますが、事前に適切に立地検討や環境影響調査及び事後調査の実施がされていないものがほとんどということになると思います。
今回の改正案では、建て替え事業の要件を満たす場合、事業実施区域の概況調査を省略できるとされているんですが、それでは適切な環境配慮がなされない可能性があるわけです。概況調査などを省略できる建て替え事業は、適切に事後調査を実施した上で、設備の建設後又は稼働中に環境に及ぼす影響が軽微であると認められた風力発電機や附帯設備の建て替え事業のみとするといった方針が必要なのではないかと考えます。
次に、アセス図書の継続公開についてですが、環境大臣が継続公開を可能にするとあるわけですが、可能にするではなく、基本的には事業者が原則として、環境影響評価図書を少なくとも設備の稼働期間中は継続的に公開することが必要ではないかと考えます。それによって、アセス図書の内容の二次利用が促進され、累積的な環境影響を把握するのに有効活用できますし、対象事業に対する地域やステークホルダーの理解醸成が図られると考えております。
次に、めくっていただいて、二つ目は、現行のアセス制度の課題、つまり、今回改正されない部分について、課題について述べさせていただきます。
まず、環境配慮が確保された風力、太陽光発電施設の最大限の導入促進のために必要な施策として、環境影響を回避、低減し、適切な環境配慮が確保された地域共生型の風力、太陽光発電事業を最大限導入し、環境影響の懸念が小さいことが想定される適地へ事業を誘導していく仕組みを構築することが重要だと考えております。
それには、立地誘導による導入促進を図るということが一つあると思いますが、適正な環境配慮、地域共生を両立させるゾーニングの在り方について、例えば種の保存法や文化財保護法などの既存制度と、促進区域制度を始めとしたゾーニングに係る各制度、環境影響評価法に基づく環境影響評価制度の連携を強化すべきと考えます。
また、市町村による促進区域の設定が余り進んでいないという現状があるわけですが、それについては、環境情報の整備や地域事情等を踏まえた配慮事項の考え方を整理し、市町村が促進区域を設定することにメリットを見出せるような制度の設計が必要ではないかと考えます。
次に、法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保についてですが、事業規模が小さい場合には、環境影響の程度も小さくなるというのは一般的ではあるのですが、風力発電事業については、事業そのものの特殊性として、風車そのものが環境影響の要因となっております。バードストライクとかが発生するということですが、事業規模の大小ではなく、風車を設置する場所の環境によって、環境影響の程度というのは大きく変わってくるわけです。ですので、小規模事業であっても、立地によっては影響の程度が著しいものがあるというのが課題となっています。
小規模とされる事業を第二種事業として扱うのではなく、規模要件の引下げを行うか、若しくは、小規模事業であっても立地選定の在り方によっては第一種事業として取り扱えるようにするといった、めり張りのある環境アセス制度が必要と考えております。
次に、適正なアセス図書の判断基準、第三者による内容の検討、データ分析についてです。
アセス図書の内容を確認する主体というのは、環境大臣ですとか主務大臣、都道府県知事等なんですが、そもそもアセス図書に求められる基準や提出すべき資料、データの質や量について定められた基準というのがありません。そのため、環境配慮の基準に適合しているか、透明性があるか等は、審査、判断しづらいという状況になっております。そのため、アセス図書に求められる基準や提出すべき資料、データの質や量について、基準を早急に定めるべきではないかと考えております。
事業者が環境影響評価を行うため、影響は軽微という結論を導きやすいという問題点も指摘されております。それについては、第三者機関によるアセス図書のレビューを経るなどして、公正な立場で判定する必要があると考えます。
また、アセス図書には、環境影響や生物等に関する貴重なデータが多数含まれておりますので、アセス図書の、含まれているデータを収集するだけではなく、分析を行い、今後のアセスの技術開発ですとかガイドラインの整備等に生かしていくべきだと考えております。
次、めくっていただいて、配慮書手続におけるゼロオプションについてです。
これは、配慮書手続の中に、手続段階において設定すべき適切な複数案というものがありまして、みなし複数案などと言われるようなものですが、これについて、一度計画されると影響軽減の措置などが取られることはあっても、事業中止によって環境影響を回避される事例というのはほぼないという状況です。このことが地域紛争を引き起こす火種の一つとなっており、導入の妨げの一因となっているところです。事業計画の中止を含めた検討が行えるよう、ゼロオプションを含めた複数案を設定できるようにすべきと考えます。
次に、累積的環境影響への対応についてですが、これはこれまで参考人の皆さんも述べられたことですが、これについても、これから風力発電、太陽光発電がどんどん増えていくときに、累積的な影響評価をどうするのかというのが課題になってきます。
それには、諸外国の事例を参考にしながら、ガイドラインを速やかに策定する必要があると考えます。また、地域特性や事業特性も踏まえ、特定の区域内で実施される事業数を適切に設定するなど、ゾーニング制度を効果的に活用していく必要、また、ほかの事業に係る環境影響を事業者自身が把握するためには、アセス図書の継続公開の実施が効果的であると考えます。
また、戦略的環境影響評価の制度の導入についてですが、これも各参考人の皆様がおっしゃっていたことと同様ですが、諸外国において導入が進められているこの戦略アセスですが、二〇一一年の第百七十七回国会における附帯決議で、その制度化に向けた検討が政府に求められておりますが、今どのように検討されているかはちょっと分からないという状況ですが。
事業段階での環境アセスメントだけでは、計画の全体的な影響というのは把握できませんので、より効果的な環境配慮を実現し、影響を最小限に抑えるために、政府は戦略アセスの導入を再度検討すべきと考えます。
そして最後に、アセス法の見直しの頻度についてですが、二〇一一年に改正されたアセス法の附則において、施行後十年を経過した場合において改正後の環境影響評価法の施行状況について検討すべきというふうにあるわけです。
今回述べてきたアセス法の課題については、中央環境審議会が出した答申案に書かれているものばかりで、これは我々国民が日頃から感じているアセス法の課題となっています。また、専門家により、ほかの課題も多数指摘されているわけです。めくっていただいたところに書いてありますように、これだけ課題があるということですが、それにもかかわらず、今回のアセス法の改正では二項目、建て替え事業のこととアセス図書の継続公開、この二つのみでした。次の見直しは恐らく十年後、二〇三五年頃になると思いますが、それまでの間に、またアセス法の課題は、今ある課題はどんどん大きくなっていくでしょうし、また、新たな課題も噴出してくるのではないか。
これまでの十年でもアセス法の課題はたくさん指摘されてきたわけです。にもかかわらず、改正がされないという状況ですので、このアセス法の見直しの頻度を、今十年というのをやはり三年ですとか短くして、どんどんどんどん随時見直すような体制、制度が必要ではないかと思います。
以上です。ありがとうございます。(拍手)