岡田安史の発言 (厚生労働委員会)
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○岡田参考人 おはようございます。日本製薬団体連合会会長の岡田でございます。
本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまして陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まずは冒頭に、私は本改正案に賛成であるということをまずもって申し上げたいというふうに思います。
当連合会は、昨年三月に、医薬品医療機器等法の制度改正に係る要望書を当時の武見敬三厚生労働大臣に提出をさせていただきました。
昨今、製薬産業を取り巻く環境の急激な変化を受けまして、様々な課題が顕在化いたしております。海外で承認されている医薬品が日本で使用できないといういわゆるドラッグラグ、ドラッグロスという問題、あるいは製薬企業の品質不正に端を発した後発品を始めとする医薬品の供給不安の問題、また医薬品の原料や原材料の調達から製品化までのサプライチェーンのグローバル化に対応した各国間の規制の整合性、こういった課題が挙げられます。
こういった現状を踏まえ、私どもは、その解決に向けて、医薬品のアクセス向上、品質確保と安定供給の実現、安全対策の充実及び効率化を柱として、迅速な薬事承認、変更管理、製造所のガバナンス強化など、様々な要望をさせていただきました。
その後、厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会にて各領域の専門家の先生方による御議論をいただきまして、私どものほぼ全ての提案をこの度の薬機法改正案に反映いただきましたということを、まずもって感謝申し上げたいというふうに思います。
本日、私からは、この度の改正案の柱になっております三つの点について意見を述べさせていただきたいと思います。一つ目は医薬品等の品質及び安全性の確保の強化という問題、二点目は医療用医薬品の安定供給体制の強化という観点、三点目はより活発な創薬が行われる環境の整備、以上三点でございます。
まず初めに、一点目、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化について、私どもの認識をお話しさせていただきます。
まずは、近年、後発品を中心とした多くの品質不正事案が発生し、医薬品の安定供給に支障を来しておりますことを、この場をおかりいたしまして心よりおわび申し上げます。こういった背景から、この度の法改正では、責任役員、品質保証責任者、安全管理責任者の変更命令など、当局による監督権限の強化を始めとするガバナンスの徹底が求められるということになっておりますけれども、このことに異論はございません。
安全性の確保の観点からは、市販後安全対策の強化が色濃く打ち出されたと理解をいたしております。医薬品業界としましても、いかに効率的に市販後の安全性情報収集を行うかは重要な課題と考えておりまして、この度の法改正を受けて、医薬品リスク管理計画の届出と実施、そして安全性の懸念発生時には迅速かつ医薬品のリスクの特性に応じた対応をしっかりと行っていくというふうに進めてまいりたいというふうに思います。
次に、二点目は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化という点でお話をさせていただきます。
この度の改正案には、リスクに応じて製造方法等の迅速な変更を可能とする中等度変更制度の導入、供給体制管理責任者の設置や手順書作成といった、高品質の医薬品を迅速かつ安定的に供給することを企図した多くの施策が盛り込まれておるというふうに認識をいたしております。
供給不安解消策としては、供給問題が発生した時点での届出が義務となることにつきましても、現在も、各企業に適切に報告するよう傘下団体を通じて周知するとともに、供給情報を取りまとめ、公開をしてまいりました。この度、そのことが法に位置づけられるということを受けまして、遵法の重きを持って引き続きしっかり対応してまいりたいというふうに思います。
また、増産に係る安定確保措置の指示は、対象薬を販売する企業の責任が非常に重いものになりますけれども、当局とも連携し、一刻も早く供給問題が解消されるよう取り組んでまいりたいというふうに思います。
産業構造の観点からは、現在の供給不安の課題の一つとして、後発医薬品産業における少量多品種生産における生産効率の低下等々の問題が指摘をされています。こうした状況を受け、この度の法改正にて後発医薬品製造基盤整備基金を設置の上、品目統合に伴う生産性向上のための設備投資や事業再編を支援いただけることには、深く感謝申し上げたいというふうに思います。この基金を積極的に活用し、高品質の医薬品を安定供給する産業構造をしっかりと構築してまいりたいというふうに思います。
安定供給確保に向けた業界の取組について少し紹介させていただきますと、当連合会傘下の日本ジェネリック製薬協会では、安定供給責任者会議というものを設置をいたしております。この会議では、当該企業の安定供給体制の中心的な役割を担っている安定供給責任者のネットワーク構築を図るとともに、各社の安定供給に資する取組や好事例などを共有し、各社の供給体制の強化につなげていくということを目指しております。
そして、最後、三点目でございます。より活発な創薬が行われる環境の整備についてでございます。
患者様が少ない希少疾患や生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患の治療のための、医療上必要性が高い医薬品へのアクセスを諸外国に遅れることなく確保するための条件付承認制度、小児適応の可能性のある医薬品の開発計画の策定、希少疾病用医薬品について欧米と歩調を合わせた指定の早期化について御議論の上、法整備を進めていただきました。一方で、こういった開発の迅速化に対して、承認後のリスクマネジメント計画策定も法定化をいただき、産業界としましては、極めてバランスの取れた法改正と認識をいたしております。
また、創薬基盤の強化として、革新的医薬品等実用化支援基金の創設は、我が国の科学技術水準の強化に資する施策と考えております。一方で、いまだ、具体的な計画や基金の運営など、詳細は決まっていないと認識をいたしております。製薬業界といたしましては、この基金を活用して有望なシーズが見出され、迅速に実用化につながるよう、今後しっかりと議論に参加してまいりたいというふうに思います。
最後に、この度の薬機法改正趣旨に関連して、追加の意見を一つ申し上げさせていただきたいというふうに思います。
本年四月に、八年連続となる薬価引下げが実施をされました。毎年の薬価引下げは、企業の投資原資となる収益悪化を招くとともに、投資対象としての日本医薬品市場の魅力の低下を招いております。インフレ局面へと転換し、物価高騰や賃上げへの対応が求められる中で、財源確保を目的とした予見性のない薬価引下げが継続されることは、製薬企業にとって、医薬品の安定供給や日本での早期の新薬開発をちゅうちょさせることになります。ひいては、そのことは結果として国民に大きな不利益をもたらすということを、この場をおかりして申し述べさせていただきたいというふうに思います。
こういった現状を踏まえた薬価制度の在り方、特に中間年改定の廃止につきましては、是非とも御検討を賜りたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。
以上、今回の薬機法改正案に関する私どもの認識でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)