井上隆の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○井上参考人 経団連の専務理事の井上でございます。
 本日は、年金制度改正法案の審議に際しまして、意見を申し述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本法案は、政府の社会保障審議会年金部会における検討を踏まえつつ、これを修正して提出をされた法案と理解をしております。審議会での検討の段階でも私どもから種々御意見を申し上げたところでありますが、本法案が目指す改正の方向性に賛同する立場から、総論、各論、そして残された課題などにつきまして、意見を申し述べさせていただきます。
 まず、総論を申し述べます。
 ここ数年、成長と分配の好循環の実現、継続を目指しまして、官民が連携をして、投資の拡大、賃金の引上げに取り組んでおります。私ども経団連といたしましても、賃金引上げのモメンタムの継続は企業の社会的な責務と位置づけまして、会員企業に強く呼びかけを続けた結果、一昨年を起点といたしまして、昨年加速をさせ、そして本年と、大手企業では二年連続で五%を上回る賃金引上げが実現をしております。
 この賃金の引上げが手取りの増大に結びつき、そして、安心して消費に回り、更なる成長へ循環していくことが不可欠と考えております。そのためには、年金制度を始めとする持続可能な全世代型な社会保障制度の構築が不可欠であり、繰り返し訴えてきたところでございます。
 私どもは、企業として従業員の社会保険料の半分を支払う立場であると同時に、社会保障制度を成長と分配の好循環の基盤としていくという立場で意見発信に努めております。老後の生活と若年層の将来に対する不安を払拭するために、今回の改正を着実に前に進めると同時に、更なる改正も検討を継続すべきと考えております。このような観点から、今回の制度改正に当たり、私どもは、年齢にかかわらず、働き方に中立で労働参加促進型の制度、そして、公正公平で予見可能性のある仕組みの実現を訴えてまいりました。
 次に、各論といたしまして、改正法案に盛り込まれている主要項目について申し述べます。
 第一に、被用者保険の適用拡大でございます。働き方が多様化する中で、中立な制度を構築するという観点、また、被用者保険に加入することで老後の生活基盤をより充実させる観点から、企業要件や賃金要件の撤廃については妥当であるというふうに考えております。また、適用拡大の進め方につきましては、中小零細企業等の負担に配慮された結果と認識をしております。
 第二に、在職老齢年金の見直しでございます。年齢に関わりなく高齢者が就労できる環境の整備という観点から、支給停止となる収入基準額を引き上げ、対象者を縮小することは妥当であるというふうに考えております。
 第三が、標準報酬月額の上限の段階的な引上げでございます。改正案では、負担能力に応じた負担を求めることを基本としながら、今後の引上げに関しても、予見可能性を高めるルールを創設するものであります。また、これによる個人及び我々事業主に対する保険料負担増についても、段階的に引き上げることで激変緩和が図られており、合理的な内容と受け止めております。
 第四といたしまして、法案には含まれておりませんが、将来の基礎年金の給付水準の確保につきまして申し上げます。現役世代の老後への不安を低減する観点から、基礎年金の給付水準の確保は極めて重要であると考えております。
 これにつきましては、政府審議会の検討段階では改正項目として盛り込まれていた。その段階で、私どもとしては、その必要性を主張しつつ、一方で、厚生年金と基礎年金の関係が一般的には極めて理解が困難であり、丁寧な説明が必要であると申し上げてまいりました。
 年金は、長期間にわたり国民や企業が巨額の保険料を納め、老後に長期間にわたり受給を受けるものでございます。現在、政党間で法案の修正の議論が行われていると認識をしておりますが、是非、国民一般に分かりやすい説明、納得が得られる協議をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、今回の制度改正を着実に成立をさせていただいた後、更に次の改正で実現をお願いしたい事項を申し添えます。
 第一に、適用拡大につきましては、引き続き、働き方の多様化や今回の適用拡大の影響を検証しつつ、労働時間要件についても見直しを進めるべきと考えます。
 第二に、在職老齢年金につきましては、廃止すべきと考えております。
 第三に、高齢者の就業の状況、年金の充実を考えますと、基礎年金の拠出期間の四十五年化をできるだけ早く実現すべきと考えております。
 第四に、第三号被保険者につきまして、既に専業主婦世帯が三割を切るという状況の下、私どもとしては、まずは適用拡大を進めつつ、残された第三号被保険者の個々の状況を速やかに精査の上、制度の見直しを図るべきと考えております。
 最後となりますが、経団連では、フューチャーデザイン二〇四〇という提言の中で、成長と分配の好循環を回し続けるためには、年金のみならず、医療や介護などを含む全世代型社会保障制度改革が不可欠と指摘をしております。現役世代に負担が偏っている社会保険料のバランスを是正して、持続可能な社会保障制度を確立するためには、税制も含めた見直しが欠かせません。
 税、財政、社会保障制度の一体改革を推進するための会議を設置をし、また、複雑な社会保障制度について国民全体に分かりやすい説明を行い、納得性のある、公正公平で持続可能な全世代型社会保障制度改革を実現するよう切にお願いを申し上げまして、私からの意見を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121704260X02120250527_010

発言者: 井上隆

speaker_id: 14389

日付: 2025-05-27

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会