椎谷哲夫の発言 (法務委員会)
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○椎谷参考人 トップバッターですので、ちょっと御挨拶を。
西村委員長始め皆様、おはようございます。ちょっと声がかれておりまして、ちょっと事情がございまして、お聞き苦しいと思いますが、よろしくお願いします。
まず、今回の、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の各党各位が法案を提出されまして非常に熱心な議論がなされていることに対して、大変これは評価したいと思います。
そして、このような参考人の陳述の機会が与えられましたことを大変うれしく思っております。ありがとうございます。
ただ、いきなりちょっと冷や水をかけるようですけれども、五月にJNNが行った世論調査によりますと、来る参議院選挙で最も重視する政策を挙げていただいたところ、減税や物価高対策が二八%、トップでしたけれども、選択的夫婦別姓は僅か一%でした。そして、今の国会で結論を出す必要はないという人が半数を超えました。これは、国民がこの問題を非常に冷静に考えているんだということのあかしかもしれませんし、ある意味では、国民はさめているのではないかという気もいたします。
この問題でいろいろ、三党から法案が出ていまして、それぞれ微妙に、あるいは根本的に内容は違います。でも、私はそれでいいと思っています。一緒になるはずがない。一緒になるんだったら最初から一緒に出せばいいわけですから。だから、当然、三党の法案の中身が違うのは当たり前であって、私はそう思います。
かつて、ある会合で、経済界のトップの方が、この問題で大同団結してやるとおっしゃいましたけれども、私は、大同団結なんかする必要はない、それぞれ、根掘り葉掘り、お互いに出し合って議論をしていけば、おのずと、時間をかけてやっていけば、一つの方向に収まっていくというふうに思っております。それが私の一つのスタンスでございます。
この問題で、私は非常に残念なことがあります。特に、夫婦別姓を推進する立場の方々から、三十年間議論ばかりしていて結論が出せなかった、それから、周回遅れの議論をしている、マスコミも含めて、そういう意見があります。まるで、もう言い訳は聞き飽きた、いいから早く結論を出せと言われているような気がしますけれども、少し違うんではないかと。
今回、立憲民主党さんも、法案の提出の直前の四月になって、子供の姓を決める時期を変えられました。国民民主党さんも、三年前の共同で出したときの法案とは、子供の姓をめぐって、随分変えた法案を出されました。そのことを批判するつもりはありません。
しかし、人によっては、そんなことは分かっていたことではないか、子供の姓がどれだけこの問題の核心であるか、あるいは要諦であるかということは分かっていたはずだろうという意見もございます。その意見については謙虚に耳を傾けていただきたいと思います。
言い方を変えれば、非常にきつい言い方ですが、三十年間議論ばかりしていたんじゃなくて、三十年間子供の姓の問題を何にも議論してこなかったんではないか。ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、私はそんな印象も持っております。
それから、ここで申し上げたいのは、経団連が昨年六月に、「選択肢のある社会の実現を目指して」という提言を出されました。
その中に、通称使用によるトラブル事例というのがございまして、例えば、その筆頭にあるのが、「多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない。」という表記があるんです。実際には、七割の銀行で通称での口座利用が可能ですし、信用金庫も五八%が対応しております。ところが、あえてそのことに触れないで、多くの金融機関では、そういう文言で書かれました。
それに対してはいろいろな指摘がございましたが、ずっとそのままになっておりまして、実は、五月の七日に経団連さんは、「選択肢のある社会の実現を目指して」というその提言を改訂されました。余り御存じない、先生方も御存じないかもしれませんけれども、五月七日付です。さらりと書いてあるだけです。記者会見もしていなければ何の説明もしておりませんので、ほとんどの国民は知らないと思います。
どういう改訂かといいますと、このトラブル事例なんですが、トラブル事例に、いろいろな意見があったものですから、いろいろつけ足して、実はこうだ、実はこうだと、修正とはお認めにならないと思いますけれども、つけ足して、今私が申し上げたようなことを書いてある。
ただ、この問題がずっとこういう表現で一年間来たということは、それが独り歩きしているんですね。それが、いろいろ又聞きあるいは複製されて飛んでいって、何にもしていない、国も政府も役所も何もしていないではないか、そういう印象を持っている国民が多いと思うんです。実態は違う。これは本当に、この問題は、ここで別に追及するつもりもありませんが、非常に責任の重いことだなと思っております。
それから、実は、世論調査のことなんですが、世論調査では御存じのように二択と三択がございます、一般的にですね。
昨日、夕方の七時のニュースで、NHKさんが世論調査の発表をしました。私、これは物すごく驚いたんです。
中身も驚きましたけれども、中身は、選択的夫婦別姓を導入すべきは二五%、夫婦同姓を維持し旧姓の通称使用を認める法制度を拡充すべきが三一%、何と、今の夫婦同姓の法律のままでよいが三七%でした。私は大変驚きました。
実は、私が知っている範囲では、NHKがこの三択の調査をするのは初めてなんです。今まではずっと二択でした。直近ですと、去年の七月に賛成か反対かを聞きました。賛成が五九%、反対が二四%、分からない、無回答が一七%。約十一か月ぶりに世論調査をされたわけですね。
この中身もそうですけれども、私は何が一番驚いたかというと、NHKが三択の調査をしたということなんです。
実は、まだ二択の調査にこだわっている、三択をやっていないところはいっぱいあります。賛成か反対か、随分結果は違います。それぞれを否定するつもりは全くありません。
ただし、私、個人的考えを言えば、三択の方が広く裾野を広げて拾い上げているんではないかという気がします。そういう意味で、私は、いろいろな文章で、NHKは三択にすべきじゃないか、三択も考慮すべきじゃないかと書きました。ようやく、私が言ったからではありませんけれども、初めて三択を出された。この影響は大変なものがあると思います。
そして、いろいろな、政党の議論でもそうですが、団体もそうですが、賛成か反対かの結論しかいろいろな文章で使わないところが多いです。でも、実際はそうじゃないんですね。その辺は、マスコミも含めて、やはり反省が必要ではないかと私は個人的に思います。
そこで、またNHKの、持ち上げるわけじゃありませんけれども、今年の一月に「クローズアップ現代」で、「令和のいま“名字”を考える どうなる?選択的夫婦別姓」というタイトルで番組がございました。
そこに、北海道医療大学薬学部の助教の女性の方が登場されまして、こうおっしゃいました。仕事とプライベートの気持ちの切替えが、名前を使い分けることでしやすい、家族全員が同じ名字で一体感を持てますし、自分も結婚して家庭を持っているという実感も持てる、私にはベストな状態だと思っている。その前に、司会者に対して、仮に選択的夫婦別姓が認められたとしても旧姓の通称使用という形を選ぶとおっしゃっています。
実は、私の友人で、男性ですけれども、自分の姓を奥さんの方の実家の姓に変えた人がいます。彼はこの番組を見て物すごくうれしかったと。彼は、姓を変えたことによって、自分が何となく後ろめたい気持ちもあったし、非常に人前で言いにくい気持ちもあった。だけれども、その友人は、実家の姓も大事にしたい、改姓した新しい姓も大事にしたい、どちらも大事にしたいんだという意見をこういう場で聞いたのは初めてだと言って、本当に泣きそうな顔で、本当に自分はうれしかったと言っておりました。
恐らくこういう意見は、非常に冷静な発言でしたけれども、こういう意見はなかなか出てこない、テレビでも新聞でも。そういう意味では、恐らく多くの人がこの番組には感じ入るものがあったのではないかと推測いたしております。
まだよろしいですか、あと一、二分。済みません、時間の配分が難しくて。