小原成朗の発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小原参考人 ただいま御指名をいただきました連合の小原でございます。
 本日は、このような場で、連合の意見を表明する機会をいただき、感謝申し上げます。
 連合は、働くことを軸とする安心社会を目指し、働く者、生活者の立場からの政策、制度提言集である、要求と提言や、その中から重点項目である重点政策を策定し、毎年、政党、省庁に対して要請を行っています。
 選択的夫婦別氏制度の早期実現は、働く仲間からの、結婚後も自分の名前を名のり続けたいという声や、氏を変更することに伴うキャリアの分断などの不便、不利益を訴える声を受け、長年重点的に取り組む要求項目として、この要求と提言と、重点政策に掲げ、取り組んできた経緯があります。また、直近では、芳野会長自らが各党に対し緊急要請を行いました。
 ようやく国会での法案審議が行われることになりました。法案を提出された立憲民主党、日本維新の会、そして国民民主党の議員の皆さんに敬意を表した上で、連合の意見を述べさせていただきます。
 資料一ページから、連合が実施した夫婦別姓に関する調査二〇二五の報告書をお示ししています。
 三ページの、夫婦の氏の在り方に対する考えは、「夫婦は同氏でも別氏でも構わない。選択できる方がよい」が「夫婦は同氏がよい」を大きく上回り、夫婦の氏の在り方について国民の皆さんの考え方が多様化していることを確認できました。
 六ページを御覧ください。二十代の男性の五人に一人が、婚姻の際いずれか一方が氏を改めなければならないことが婚姻の妨げになると回答しています。
 先日、合計特殊出生率が一・一五と過去最低を更新したことを受け、石破総理大臣が、少子化に歯止めがかかっていない状況を重く受け止めなければならないと発言されました。連合は、婚姻しなければ子を持てないとは考えておりませんけれども、若い世代の未婚率と出生率には相関があるとの指摘があると承知してございます。政府が少子化の現状を重く受け止めているのであれば、婚姻の妨げとなる可能性があるものを取り除くべきだと思います。
 連合とNPO法人mネット・民法改正情報ネットワークが実施した制度実現を求める請願署名は、連合に届いた分が、昨日までの速報値で、衆議院議長宛て三十一万三千四百九十一筆、参議院議長宛て三十一万六千三百筆となりました。これだけ多くの方が選択的夫婦別氏制度の実現に期待しているということです。
 連合ホームページ上の特設サイトを通じ、一般の方々にも協力をお願いしたところ、たくさんの署名とともに、実現を待ち望む方々の声や連合への応援メッセージが同封され、送られてきています。
 中には、プロポーズされたがお互い一人っ子で、結婚するとどちらかの姓を継ぐ人がいなくなってしまう、墓守がいなくなってしまう、本家を潰すなどあり得ないと、双方の両親から反対され、結婚するなら絶縁するとまで言われている、選択的夫婦別氏制度実現を待っているという切実な声もありました。
 また、地方連合会が実施した街頭での請願署名活動では、準備段階から自ら署名をするなど、若い方を中心に関心があることがうかがえると報告を受けています。
 希望する人が自分の氏を名のり続けられるかどうかは、個人の尊厳や人権に関わる重要な問題です。政府が進める旧姓の通称使用では、国際社会に通用しないだけでなく、人権尊重という要請に応えられません。
 一九九六年に法制審議会が選択的夫婦別氏制度導入の提言を含む民法の一部を改正する法律案要綱を答申してから、三十年がたとうとしています。制度を待ち望む方々は三十年もの間待たされています。
 資料十五ページ目以降が、四月十七日の第十九回中央執行委員会で確認された、選択的夫婦別氏制度の早期実現に向けた連合の考え方です。
 昨年十月に国連女性差別撤廃委員会から選択的夫婦別氏制度導入を求める四度目の勧告が行われたことや、自民党の総裁選、衆議院議員選挙の論戦などから、選択的夫婦別氏制度導入に向けた機運が高まり、各政党のプロジェクトチームなどにおいて選択的夫婦別氏制度に関するヒアリングや検討が行われたと承知してございます。
 連合も二月中旬から三月初旬に幾つかの政党からヒアリングをお受けし、その際の質疑やマスコミ報道、国会質疑などを踏まえると、子供への影響、それから戸籍制度への影響が論点として絞られてきたと考えました。そこで、検討、議論を重ね、この考え方が確認されました。
 議論の中では、例えば、航空関連産業からは、国際線の客室乗務員は、入国審査でパスポートと社員証を提示して本人確認しており、戸籍名であるパスポート名と社員証名とが異なる旧姓の通称使用では業務に支障が出るとの意見がありました。また、学校現場からは、外国にルーツを持つ家族や事実婚など、家族の形は既に多様化しており、親の氏と子の氏が異なることに対する違和感はなくなっている。また、幸せに暮らしている夫婦、家族、子供に対し、一体感が損なわれている、子供がかわいそうなどと、当事者でない外部がレッテルを貼るような言動は慎むべきと声が上がりました。
 十五ページの三、選択的夫婦別氏制度の早期実現に向けた連合の考え方を御覧ください。第三項では、子の氏を定める時期について、子の出生の際と、法制審議会の夫婦が婚姻の際には、それぞれ一長一短あるため、子が自らの意思による届出により父又は母の氏に変更することを担保できれば、子の氏を定める時期については国会審議に委ね、選択的夫婦別氏制度の導入を優先するとしました。
 また、十六ページの第四項では、参議院法務委員会における法務省竹内民事局長の御答弁を引用し、選択的夫婦別氏制度は戸籍の機能に影響を与えるものではないということも示し、確認されました。
 反対する声が非常に大きくなっていますが、現実に困っている人がいます。
 これまで、選択的夫婦別氏制度が実現するきっかけは何度かありました。その一つが、二〇二〇年十二月二十五日に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画です。
 二十五ページ目を御覧ください。
 計画の策定に向けて、パブリックコメントで寄せられた意見などを踏まえ、さらに議論が進められ、十一月の十一日に計画実行・監視専門調査会から男女共同参画会議に、第五次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方が答申されました。答申には、働く意欲を阻害しない制度等の検討というタイトルの下、選択的夫婦別氏の導入に関し、検討を進めると明記されていました。
 しかし、十二月に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画では、タイトルが、家族に関する法制度の整備に変更された上で、夫婦の氏の具体的な制度の在り方に関し、夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も考慮し、更なる検討を進めると、大きく後退した内容となっていました。
 この大きな変更に対し、選択的夫婦別氏制度実現を願う人々の落胆が当時のマスコミで報道されました。
 それ以降、この五年間、男女共同参画会議や女性版骨太方針の議論を行う計画実行・監視専門調査会において、連合を始め多くの委員が女性活躍を進めるには選択的夫婦別氏制度実現は必須と何度も発言していますが、女性版骨太の方針二〇二五も第五次計画の記載からほとんど変更されない見込みとなっています。
 希望する人が自分の氏を使い続けられるようにする制度が、選択的夫婦別氏制度です。あくまで選択制であり、夫婦別氏を強制するものではなく、夫婦同氏を排除するものでもありません。
 制度に反対する人は、第五次計画の記載のように、家族の一体感、子供への影響を主張されますが、それは夫婦別氏を選ばない人にとっては関係のないことです。夫婦別氏を選んだ家族の一体感や子供のことはその家族に任せ、その他の論点とは分けて議論すべきです。
 立憲民主党が提出した民法の一部を改正する法律案と国民民主党が提出した法律案は、いずれも連合の考え方に沿っていると考えます。国会審議などを通じ、一本化していただき、速やかな成立を求めます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121705206X02120250610_006

発言者: 小原成朗

speaker_id: 3028

日付: 2025-06-10

院: 衆議院

会議名: 法務委員会