齋藤健の発言 (予算委員会)
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○齋藤(健)委員 おはようございます。自由民主党の齋藤健です。
まず、理事始め御関係の皆さんに、質問の機会を与えていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
早速、いわゆるトランプ関税について御質問をさせていただきたいと思います。
御案内のように、九十日間の交渉期間ということでありますけれども、もう既に自動車、そして鉄鋼、アルミニウムには、二五%プラスで関税がかかっています。また、あらゆる製品について、一〇%の関税が既にかかっている状況であります。交渉に全力を尽くしていただき、国内対策にまず万全を期していただくことをお願い申し上げたいと思っています。
私が申し上げたいのは、そもそも、本件は本当に日米の深刻な経済問題なんだろうかということであります。
私が日米交渉を担当していた一九九〇年代前半、例えば一九九一年を取ってみますと、日本の赤字というのは、アメリカの赤字全体の六割以上を占めていました、一国で。したがって、当時の日米交渉というのは大変深刻なものがありました。今、日本は、アメリカの全世界の赤字の中で約六%しか占めていません。中国が二六%、EUが二〇%を占めております。そういう意味では、日米の貿易問題というのは劇的に関係がまず変わってきています。
そして、日本がアメリカとの関係で黒字になっているその金額は、年間八・六兆円ぐらいであります。物の貿易において八・六兆円ぐらいの日本は黒字になっているわけでありますが、御案内のように、サービスの分野、デジタルの分野では、日本は六・六兆円の赤字になっています。物で八・六兆円の黒字を稼いではいますが、一方で、デジタル分野では六・六兆円の赤字になっているんです。日米間の経済のインバランスという意味では、劇的に当時とは変わっております。
更に申し上げると、日本からアメリカに進出している日本企業がアメリカの製造業の活性化に大いに貢献をしています。五年連続、日本からアメリカへの投資が世界一であるということはもう御案内のとおりかもしれません。そして、百万人のアメリカ人を日系の企業が雇用しているという現実もございます。
私がここで申し上げたいのは、現地で生産をしている日本企業は輸出をしています。その輸出額は十兆円を超えています。日本は物の貿易で確かに八・六兆円の黒字ですが、日本からアメリカに進出した日本の企業が、十兆円以上アメリカの黒字に貢献をしているんです。私は、もう支払いは終わっているんじゃないかなというふうに思っています。
一方で、懸案になっている自動車であります。二五%、関税がプラスでかかっております。アメリカで自動車は年間一千七十万台生産をされていますが、現地に進出をした日系企業がそのうち三百三十万台を造っています。千七十万台のうち三百三十万台は日系の企業が造っているんです。そして、これは企業秘密だというので数字は言えないみたいですが、アメリカ国内で自動車を生産するに当たりまして、アメリカの部品を相当高い比率で購入をしています。
また、記事によりますと、アメリカのビッグスリーの一つでありますGMは、韓国に工場を持っておりまして、韓国で生産した車をアメリカに四十万台以上輸出をしております。
一体、日本の自動車メーカーとアメリカのメーカーと、どちらがアメリカの製造業、雇用、インバランスに貢献をしているのかということを私は強く訴えたい思いであります。
また、農産物を見てみましても、日本は、アメリカから年間二兆円、農産物を輸入しています。残念ながら、輸出は、二千五百億円ぐらいアメリカに輸出できているにとどまっていますけれども、二兆円ぐらい輸入をしているわけであります。そして、牛肉、豚肉、小麦、トウモロコシ、大豆、この五品目は、日本がアメリカから輸入しているのがトップになっています。
私は、そういうふうに考えてみますと、これは日米間の純粋な経済問題なんだろうかという気が、どうしても拭えないものがあります。むしろ、これは政治問題なのではないか。
例えば、一〇%関税を黒字の国にまで全部、全世界にかけるというふうにトランプ大統領は表明しましたが、実は、ロシアにはかかっていません。ベラルーシにもかかっていません。ウクライナには一〇%かかっています。
そういうことを考えますと、この問題は、経済問題であるのと同時に、より深刻な政治問題なのではないかと思えてならないわけでありますし、もっと突き詰めれば、トランプ大統領問題だというふうに申し上げても過言ではないんだろうと思っています。
昔はともかく、今は、この問題は最も大事な大事な隣人とのおつき合いの問題なのではないかというふうに私は感じざるを得ないわけであります。このおつき合いに、経済面でどのようにおつき合いをするかというのが現在における日米の関税問題の私は本質なのではないかなというふうに思っています。
したがいまして、トランプ大統領とこれから厳しい交渉になると思いますけれども、そこで大事になるのは、ロジックの組立てではないかなと思っています。
もちろん、日本は自由貿易の下で発展をしてきた国でありますし、今後も自由貿易の重要性はどの国よりも日本は真剣に考えていかなくてはいけないわけでありますが、しかしながら、この話をトランプ大統領に強調をしても、私は余り効果がないんだろうと思っています。問題の本質が、大切な大切な隣人とのおつき合いの問題であるということであるならば、トランプ大統領の頭に入るロジック、話の組立てで交渉していくということが極めて重要になるんだろうというふうに思っています。
今まで私は、どちらかといえば、トランプ大統領は、インバランスを解消するために、あるいはディールのために関税をツールとして使っているんだな、欲しいものを取るためにディールとして関税をツールとして使っていたのかなと思っていましたが、最近は、むしろ本気でアメリカの製造業を復権するためのツールとして関税を使い始めてきているのではないかなという気がしています、そのウェートが大きくなってきているように思いますので。だとすると、そのトランプ大統領の頭に入るようなロジック、話の組立てで交渉に臨むことが極めて重要だろうと思っています。
つまり、いろいろなアイデアはあるでしょうけれども、アメリカの製造業を復権させるための日米協力をしようじゃないかというようなロジックというのは恐らく入りやすいのではないかと思いますし、さらには、中国に対するいろいろな問題がありますので、経済安全保障上、日米協力は重要ではないかというロジック、そういった今の重要な隣人の頭に入る、そういう話の組立てを前提にして私は議論に入っていくべきなんだろうというふうに思っています。
ですから、まず、これからいろいろ交渉に入る入口におきましては、アメリカの製造業の復権のために一体何をしてほしいんだというふうにこちらから持ちかけるというのも一つの手でしょうし、経済安全保障上、いかに日米の協力が重要かというお話をしっかりと刷り込むということも重要なんだろうと思っています。
そういう意味では、日本が四十年にわたって様々努力した結果が先ほど私が申し上げた数字でありますので、トランプ大統領に私が申し上げたいのは、中国やヨーロッパやその他の国と日本を一緒にしないでくれというのを申し上げたいと思っています。
今私が申し上げたように、これからはロジックの組立てが大事だと思います。この辺につきまして、総理のお考えをお聞かせいただけたらと思います。