2025-04-15
衆議院
大野健志
東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
大野健志の発言 (東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会)
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○大野参考人 私は、日本障害フォーラム、略称JDF、能登半島地震支援センターのスタッフマネージャーをしています大野健志といいます。
本日は、東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会に参考人として招致していただき、ありがとうございます。
この後、資料集の二十五ページから二十七ページに沿って、五点述べていきたいと思います。
一つ目は、JDFの紹介です。
JDFは、二〇〇四年に、全国十三の障害当事者団体を中心に、障害者施策、障害のある人の権利を推進することを目的に設立されました。現在、障害者権利条約の実施などの事業に取り組んでいます。JDFは、災害支援においても障害者権利条約をベースに、特に第十一条の「危険な状況及び人道上の緊急事態」の立場を踏まえ、活動を行っています。
JDFは災害総合支援本部を常設しており、被災地支援活動は、東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震、奥能登豪雨で三回目となります。
能登半島地震については、二〇二四年五月から支援センターを立ち上げ、毎週、全国のJDF加盟団体から六人程度の支援スタッフが七尾市和倉町の支援センターに集まり、奥能登地域や七尾市周辺などで活動を行っています。
二つ目は、障害のある人の声についてです。
今年の二月下旬に、珠洲市にある障害福祉事業所であるすず椿の知的障害のある利用者七人に、地震や豪雨で困ったこと、支援でうれしかったこと、これから不安なことについてアンケートを行いました。
困ったことで多かったのは、水が出なくてトイレやお風呂が使えなかったことでした。うれしかったことでは、炊き出しやお弁当の支援や、ボランティアが来て励ましをしてくれたという声がありました。不安なことでは、能登に人がいなくならないか心配ですという声や、仮設住宅にずっと住んでいたけど、いつまでおれるか分からないことが不安ですという声が出ていました。
そして、すず椿がなくなるのが不安ですや、椿で皆とまた会いたいですという声もありました。地震、豪雨の後、多くの利用者や職員が珠洲市から離れていきました。そういったことが背景にあるわけですが、すず椿の理事長は、力強く、すず椿は大丈夫ですとみんなの不安を打ち消し、大きな拍手が沸き上がりました。でも、後で理事長は、大野さん、あの言葉にどきっとしたよと話されていました。多くの障害福祉事業所で職員が減っており、新たな職員確保の見通しが立っていません。
三つ目は、JDF能登半島地震支援センターの活動についてです。
二つの柱で活動を行っています。事業所支援と個別支援です。
事業所支援については、輪島市、能登町、七尾市にある四か所の就労継続支援B型事業所などで、利用者の仕事の手伝いや見守りなどに取り組んでいます。また、通所送迎の支援として、三十キロ離れた仮設団地から四十分ほどかけて行っています。四か所全て、地震、豪雨の影響で職員が退職して、人手不足になっています。この間、支援日を増やしてほしいという声や、他の事業所からも人手不足という声が出ていますが、現在の支援スタッフの体制では、支援を行うことが難しい状況です。
続いて、個別支援についてです。現在、支援件数が八十二件、継続支援の件数が二十二件となっています。障害の状況は、身体、知的、精神障害と様々な方がいます。支援内容の特徴は、自宅の片づけや、車での移動支援となります。自宅の片づけは減ってきていますけれども、公費解体前に必要なものを運び出したいという依頼が入っています。
車での移動支援の状況について紹介します。奥能登は元々公共交通機関が脆弱な地域でしたが、震災で更に不便になっています。そのため、事業所への送迎が二件、通院の送迎が十四件、計十六件となっています。特に、車での移動支援については、JDFが二〇二五年九月に支援を終了した後に地元の事業所に引き継ぐ見通しが立っていません。
個別支援に関わって、輪島市門前町の夢かぼちゃという日中一時支援事業所を利用されている障害当事者の女性がJDFの報告会で話されたことを紹介します。
私は能登地震で家に住めなくなったので、広島の弟のところへ避難しました。六月に輪島に戻ってきましたが、家のトイレは簡易トイレで大変でした。テレビも見れないし、WiFiも使えませんでした。八月から仮設住宅へ移りました。テレビも見れて、WiFiも使えるようになってよかったです。だけど、九月の大雨で仮設は浸水してしまい、避難所へ行きました。その後、仮設に戻りましたが、家の泥掃除で和倉温泉に避難しました。お父さんが、避難したところから夢かぼちゃまで送ってくれました。送るのが大変になってきたので、JDFの皆さんに約一か月送迎をしてもらいました。皆さん優しくて、たくさん話ができてうれしかったです。買物に連れていってくれました。ありがとうございます。皆さん、今度、夢かぼちゃへコーヒー飲みに来てくださいね。
こんな報告をしていただきました。
このように、片道約四十五キロ、約一時間十五分かけて、二次避難をしていた場所から日中活動の場への車での送迎支援を行いました。このことで当事者の女性は、二次避難所に閉じこもらない環境ができ、高齢の父親の負担を減らすことにつながりました。
四つ目は、災害対策基本法、救助法の改正案に対する意見についてです。
まず、障害を理由とする欠格条項は削除してください。
災害対策基本法改正案の三十三条の二の三のホに、「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」とあり、これは障害を理由とした欠格条項なので、削除してほしいと思います。この規定に沿えば、JDFも団体登録できません。能登半島地震や過去の災害支援において、障害当事者が支援スタッフとして救援活動の担い手になり、障害当事者目線で大きな成果を上げてきました。私たち抜きに私たちのことを決めないで、これは障害者権利条約のスローガンです。欠格条項を削除することは不可欠、当たり前のことです。
続いて、JDFは今年二月二十七日に、改正案についての「災害時の障害者等の支援に関する要望」を担当大臣に提出しました。三点のことについて述べられていますので、紹介します。
一つ目は、スタッフの応援派遣や必要物資、機材の調達など、福祉事業所や福祉サービスの機能回復に関わる経費を災害救助法の対象にという要望の背景について説明します。
JDF支援スタッフが活動する人件費は、所属する団体や法人負担となっています。中には、有給休暇を使って参加する支援スタッフもいます。所属法人などの所在地から七尾市和倉町の支援センターまで行くための交通費は、支援スタッフを派遣する加盟団体ごとに対応することになっているため、大きな負担になっており、支援に行きたくても交通費がかかるので行くことができないという声も聞いています。
また、支援活動で使う四台の車は、社会福祉法人などから無償で貸し出してもらっています。ガソリン代などの活動にかかる費用や宿泊費などの費用はJDFが負担しており、その財源は全て寄附で賄っている状況です。
二つ目の要望は、災害時における専門的な技能を持つ民間支援団体の登録制度に障害者団体、支援団体も積極的に登録することの要望についてです。
災害対策基本法の改正案に、被災者援護協力団体の登録が示されています。登録することでの課題が何なのか、見ていくことが必要です。国や地方公共団体の下請としての活動にとどまらずに、スフィア基準に基づき、障害のある人の災害時の支援活動が行えるようにしていくことが必要です。
三つ目の要望です。障害者等の訪問調査にも専門的な技能を持つ障害者団体などが参加できるようにという要望についてです。
熊本地震から、安否確認やニーズ把握を行う被災高齢者等把握事業が本格化しました。能登半島地震でも、厚生労働省が民間団体などに委託し、安否確認とニーズ把握を行いました。しかし、ここで得られた情報が障害のある人の生活支援にどう結びついたのか、見えていません。
JDFの活動は震災後に出てくる様々なニーズに寄り添いながら対応しており、このような活動を被災高齢者等把握事業そして被災者見守り・相談支援等事業と連携して、連続的に支援活動を行う仕組みが必要です。
そして、災害救助法改正案に福祉サービスの提供を位置づけることになっていますが、その際に、JDFのような支援活動を含め、幅広い活動を対象にしていただきたいと思います。
一方、能登半島地震のJDF支援スタッフのワンクールの派遣人数は六人です。これは、六人で足りているのではなくて、全国各地からの支援スタッフ派遣が六人で精いっぱいという状況が背景にあります。東日本大震災の宮城支援では最大五十人、熊本地震では十五人が支援スタッフとして活動しました。障害福祉分野における人手不足が、災害時に支援に行きたくても行くことができないという形で表れています。
福祉サービスの提供は、避難所を中心とする災害福祉派遣チームによる支援などにとどまらず、JDFなどの支援活動を含め、長期にわたり広く福祉サービスや事業所を支えることによって、被災地の多くの障害者等に届くものでなければなりません。
最後に一言述べて、発言を終わります。
すず椿の障害のある人が、南海トラフ地震が起きないことを祈りますとアンケートに書いてくれました。つらいことですが、必ず桁外れの被害を及ぼす災害は起きます。そのときに、あの東日本大震災で明らかになった、障害者の死亡率が全住民の死亡率の二倍、これを繰り返してはなりません。これまでの災害で置き去りにされてきた障害のある人や家族、事業所、支援者の教訓を踏まえ、人権をベースとした支援、人権に基づいた制度、政策を今回の改正において実現していただくことをお願いして、発言を終わります。
ありがとうございました。(拍手)