阿部聖哉の発言 (環境委員会)

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○参考人(阿部聖哉君) 電力中央研究所の阿部と申します。本日はお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 環境影響評価法の一部を改正する改正案について、私の方から意見陳述をさせていただきたいと思います。
 お配りいたしました資料を見ていただいて、表紙を一枚めくっていただきたいと思います。二枚目に、先ほど大臣の方からも少し御説明あったかと思いますけれども、法律案について、こちら概要ということで、今回、法律案の概要を取りまとめた環境省の方、政府の方で出しているような概要のところからそのまま取ってきた文章となっております。
 これ、一ポツ目見ていただきますと、まず建て替え事業に係る配慮書ということで、その改正ということになっておりますけれども、まず、この建て替え事業とは何か、あるいは配慮書について、少し運用状況も含めて説明させていただきたいと思います。それから、周囲の概況などの調査ということに書いてありまして、ここが今回不要とするということになっておりますので、この運用状況、それから、新しく建て替え事業に係る配慮書というのを作る際に環境配慮の内容を明らかにする、この意義について少し述べさせていただきたいと思います。
 それから、二ポツ目は、環境大臣の意見、現行の配慮書でも同じように出ておりますので、ここは大きく変更がないということで少し省略させていただいて、最後に、少しアセス図書の公開について意見を述べさせていただければと思っております。
 一枚めくっていただいて、まず少し配慮書について説明させていただきます。
 配慮書、計画段階環境配慮書というのが正式な名称になりますけれども、こちらにつきましては、事業の早期段階における環境影響を図るため、第一種事業を実施しようとする者が事業の位置、規模等の計画の立案段階においてこういった検討を行うということで、重要なのは、まず計画段階の事業の位置とか規模を検討するというのが第一義的な意義。位置、規模が難しいという場合には構造とか配置というのもありますけれども、そもそもは位置、規模の計画段階で見ていくということがまず第一義的な意義となっております。
 それから、配慮書自体は、最初の環境影響評価法には入っておりませんで、二〇一一年に環境影響評価法の改正があった際に導入されたと。これ、当時、十年ぐらいSEAの議論ずっと続けていたと思うんですけれども、その際に、政策段階及びより上位の計画段階の制度導入、こちらは導入には至らなかったんですけれども、まず、日本の環境影響評価は事業アセスということで、事業アセスの中でできる範囲でということで、個別事業の位置、規模又は施設の配置、構造の検討段階ということで、これまでのアセス手続に加えて計画段階での手続というのが導入されたという経緯になってございます。
 この調査の内容なんですけれども、原則として、こちら基本的事項の方に記述がありますけれども、国、地方公共団体等が有する既存の資料により収集しということになっておりまして、必要に応じて専門家からの意見を聴取すると。それから、本当に細かいところまで見なければいけないときに、現地調査とかそういったことが行われるということになっておりまして、細かい環境影響というよりは、全体的な重大な環境影響を避けていただくという観点から設定されている制度となっております。
 次のページめくっていただくと、環境影響評価法の一般的な流れになっております。
 配慮書というのは一番最初の手続ですけれども、この手続の中で、概略的な位置、規模等、場合によっては配置とか構造ですけれども、こういったところを検討するということになっております。調査手法も非常に概略的なものということです。一方で、方法書から準備書、評価書に関しては、きちっと現地調査を行って、詳細な検討を行って環境保全措置を検討するという内容になっておりまして、位置、規模が確定している段階では、それほど配慮書の意義は大きくないのではないかということが考えられます。
 では、この実際の配慮書ですね、次の五ページ目、見ていただきます。
 こちらは、今ちょうど、アセス支援ネットワークという環境省が運営している、運用しているホームページがございまして、そちらの方にアセス図書が公開されております。その中の一番最近のものを取ってきた一例となっておりますけれども、配慮書における調査例。
 騒音に関しましては、例えば、周囲で住宅とか学校とか病院とか社会福祉施設、こういった重要な施設、こういったものの分布状況と、あるいは類型指定などによる法令の指定状況、こういうものが調査されるということになります。風車の影、こちらも風力発電では非常に重要になっておりますけれども、こういったものが、同じようなものが調査されると。それから、動物、植物に関しましても、こちら現地調査伴っておりませんので、あくまでも文献で、周辺に重要な動物、植物がいるかどうか、あるいは生息地、植物群落があるかどうかというものを調べたり、あるいは景観であれば、周囲の景観資源とか主要な眺望点、こういったものを調べていくという、あくまでも既存資料、既存文献に基づいた方法ということになっておりまして、シミュレーションとか、あるいは現地調査、あるいはフォトモンタージュ、一般的な特に風力のアセスでは、この段階ではほとんど行われていないというのが実情でございます。
 ただし、こういった概略的な調査ででも、十分その環境影響を早い段階で回避すると、回避、検討するということができるようになります。特に、環境大臣意見、最近出ている環境大臣意見、幾つかピックアップして挙げてきたんですけれども、一番目は特に自然環境に関することです。
 昨今、風力発電、あるいは場合によっては太陽光発電とかもあるかもしれないですけれども、特に風力発電で、山の尾根の方で非常に自然度の高い自然林等に開発が進んで、そこの改変が問題になって、地元からも関係団体からも非常に反対意見が出るというような案件がございます。そういう場合は、事業者の配慮書の早い段階で大臣意見あるいは知事意見等で、自然度の高い植生のところを避けてくださいと、こういった意見がよく出されております。
 それから、生活環境につきましては、二点目ですね、基本的には先ほどのような概略的な調査ではあるんですけれども、住居からの離隔を確保するということで、余り、一キロとか五百メートルとか、近接している場合にはできるだけ離してください、五百メートル以内にあるような場合は離すか、離せない場合は詳細な調査を行ってくださいというような意見が出ることがございます。
 それから、余りにも巨大な風力発電、何基も建って発電出力も多いような場合には土地の改変を最小化してくださいと、こういう意見が出されて、実際、配慮書から方法書、準備書に至る運用の中でそういった影響を少しずつ低減していって、それで最終的にはできる限り環境の影響の少ないものにしていくという流れの中では、今少なくとも風力発電については、配慮書での検討というのが非常に意義を持っているということになっております。
 七ページですね。
 少し繰り返しになりますけれども、役割と意義ということで、特に騒音とか風車の影、これ風力発電に、特に風車の影、特有なものですけれども、騒音のレベルとかシャドーフリッカーとかでは具体的な予測値は出ていないんですけれども、重要な施設からまずは離隔を確保するということを配慮書段階でやっていただいていると。
 それから、動物とか植物とか生態系については、既知の重要な生息地、例えばラムサール条約の登録湿地ですとか、あるいは自然林のような重要な植物群落、こういったところの改変を回避していただくということを念頭に、今、位置、規模を変更を検討すると。
 それから、景観については、特に国立公園等で問題になりますけれども、主要な眺望点から景観資源を見るときにそれを阻害しないかどうかですね。そういったところを早い段階から検討できるということで、配慮書については、特に風力発電の新設事業については、地元とかステークホルダーとのコミュニケーション、こういったところでも重要な意義を持っておりますし、大臣意見、知事意見等でもそういった変更の意見が出されているという運用がなされているというのが現状でございます。
 続いて、めくっていただきまして八ページ目。
 こちら、実際の建て替え事業の例なんですけれども、火力発電については、実際にはこれは工業専用地域内で自社の発電所内に建てられるということで、埋立地等の工業専用地域ですので、実際にそこに工場立地法に基づいて植栽されている緑地がほとんどですので、そういったところは大きく変化していないということで、余り検討する内容がないということです。
 どういう運用がなされているかというと、複数案が必要だということで、煙突の高さで見ているということが多いんですけれども、実際には方法書以降でも同じような検討ができますので、どちらかというと同じことを二度繰り返している、同じ敷地ですので、そういった運用がなされているというのが実情でございます。
 一方、風力発電につきましては、数件の建て替え事業、今もう既に起こっておりますけれども、やはり新設と比べれば土地改変面積が縮小できる、特に草原、牧場とか海岸部では土地改変がほとんどないという状況になっております。
 例えば、別の事業者が周辺の尾根に範囲を拡張して計画する、こういうものは建て替えには位置付けられておりません。ですので、こういった導入拡大のため、こういった既設のような、できるだけ既開発の土地を使用することによって、新しく風車を建てるような山林の開発をできるだけ全体的には少なくすることができるんではないかというところと、四点目が非常に重要です。建て替えの際にバードストライクのモニタリング結果を活用すると書いてありますけれども、実際、特にバードストライク、鳥の衝突については、風車を建ててみないと分からない、不確実性が非常に高いということで、実際にモニタリングでかなり当たっていましたという風車が出てきた場合には、そこは建て替えていただいて別の場所に移していただくということが重要になってきます。
 ということで、次めくっていただきますと、建て替え事業では、位置、規模の変更が最小限であるということで、そういったものを検討する意義は余りないというところと、それから概略的な把握で簡易なプロセスですので、詳細なプロセスは方法書以降にやりますので、そういった段階では余り検討の意義は少ないかなというところです。
 それから、もう一つ重要なのは、二種事業では今、配慮書というのが課せられておりません。場合によっては、二種事業、規模は小さいんですけれども、新たに全く何もなかったところに建てるということで建て替え事業よりもより大きいインパクトがあるケースもあるんですけれども配慮書がない、一方のほとんど影響のない建て替え事業で配慮書が課されていると、こういうアンバランスも生じております。
 今回、建て替えの配慮書というのが提案されているわけですけれども、ここでは逆に、モニタリング結果を活用する、もうそこに建ててどういった影響があるかというのが分かっておりますので、そういうもし影響があった場合には、それをきちんと配慮していただいて、それを提言するようなことをやっていただく。それを方法書以降でまた詳細に検討するということができるということで、時機を得た改正ではないかということで考えております。
 最後に少し、時間がなくなりましたけれども、アセス図書について少しだけ述べさせていただきたいと思います。
 十一ページ、アセス図書についてですけれども、アセス図書については、過去に公開されていたりということもありましたけれども、これ、今でも一部公開されています。先ほどもちょっと述べさせていただいたように、こういうものがあると実態どうなのかとかいろんな解析にも使えますし、今後法改正とか行うときに、そういう資料をいろいろ検討することができるようになります。
 例えば、規模要件の改正のときは政府がいろいろ資料作ったんですけれども、それも出典とかそういうのが明示されないのでなかなか科学論文等とは違って客観性が担保されないということで、アセス図書が公開されていろんな用途に使えるようになると、そういったメリットもあると。それから、当然、審査も、審査委員とか入れ替わりますので、そういったところで新しい人にアセス図書とはこういうものだよということを知っていただくということでも非常に重要な役割かなと思っております。
 ただ、最後に、少しアセス図書の公開について配慮すべき事項があります。
 希少種について、特に動植物についていろいろ期待されるわけですけれども、希少種については原則として公告縦覧の際も現状公開されておりませんで、モニタリング結果を後続事業に生かすためには、単にアセス図書自体が公開されるということだけではなくて、こういう公開されないようなものについても国によってまとめて結果の提示を行うことが有効ではないかということで、現在、洋上風力のモニタリングの検討会等ではこういった議論がなされております。
 それから、配慮すべき事項ということでは、インターネットで配信して簡単にアクセスできるということは非常に利便性高いんですけれども、どこの国からでもアクセスできますので、安全保障とかセキュリティーの面での懸念点、こちらに十分配慮していただく必要があるかなと思っておりまして、今後十分な議論をしていただければと思っております。
 私からの意見陳述は以上となります。ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 阿部聖哉

speaker_id: 27735

日付: 2025-06-10

院: 参議院

会議名: 環境委員会