打越さく良の発言 (憲法審査会)

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○打越さく良君 立憲民主・社民・無所属の打越さく良です。
 参議院の緊急集会制度は、総司令部が想定していなかった制度であり、日本側、とりわけ、入江俊郎、佐藤達夫ら法制官僚による憲法の日本化の象徴的なものでありましょう。
 緊急集会について、加藤一彦先生は、日本側の意図は、帝国憲法八条と七十条が予定する議会活動不能の非常時のみを描き、これに対応する規定を憲法に導入すること一点のみにあったと述べられておられます。
 しかし、その導入までには幾多の紆余曲折がありました。日本側は元々、常置委員会構想をもって非常事態に対応しようとしていました。一九四五年十一月二日の第二回憲法問題調査委員会では、第八条の改正について、緊急勅令の発布は可能なる限り帝国議会の常置委員会に付議するものとすべしとされていました。しかし、日本側の一九四六年三月二日案では、第七十六条に、内閣は法律又は予算に代わる閣令を制定することができる旨の規定が提案されました。これは、国会中心主義から内閣を過信する危険な方向に逆行しており、総司令部側に拒否されました。
 憲法改正草案要綱が三月六日に発表された後の四月二日の第一回交渉で、日本側から、衆議院解散の場合には、参議院が国会としての権限を行うとする案、国会に置かれる常置委員会が国会の権限を行うとする案が提示されました。その後も紆余曲折を経て現在の五十四条が形成されました。
 緊急集会については、佐藤功先生が、両院制の国会に対する極めて特殊の場合の例外的措置であるとしながらも、もしも著しい国家緊急事態が発生し、その措置のためには、立法、予算その他各般にわたる措置が必要であり、個別的にその議案を指定することができないというような場合を考えるならば、恐らくは、内閣の請求も、その国家緊急事態の解決のためという大きな枠を定めるのみであって、その具体的、個別的な措置を包括的に求めるということになるであろうから、そのような場合には、参議院の権限は、その大きな枠の範囲においてにせよ、相当に広範囲に行使されることとなるであろうと述べられておられます。
 二〇二三年五月三十一日の本審査会において、長谷部恭男先生は、緊急集会による対応は、これは条文にもありますとおり、限られた期間しか通用しない臨時の、しかも措置ですと述べつつ、国家の存立に関わるような事態には、あらゆる考慮要素がくまなく総合的に勘案されるべきであり、特定の論点、特に日数を限った規定の文言にこだわって、それを動かし得ないような切り札であるかのように捉えて議論を進めるべきではないと発言されています。また、土井真一先生は、緊急事態に対応するために、五十四条一項が許容する範囲内で二項により緊急集会の開催を認めることは不合理ではないと述べられておられます。
 両氏とも、憲法改正を伴う国会議員の任期延長論と比較考量して、現憲法の参議院の緊急集会が優れた仕組みであり、新たな制度を追加する必要は見出しにくいという文脈からこれらの議論を披瀝されています。
 その上で、土井先生は、緊急事態において、参議院の緊急集会は合理的な設計に基づく制度の一つであるとされながらも、重要な政治的アクターがこぞって緊急事態の継続に利益を有することになる仕組みは危険であり、例外的に認められた権限の行使には重い責任が伴わなければならないと戒められておられます。これは、佐藤先生、長谷部先生、土井先生に通底するもの、すなわち例外規定の原則化を厳に戒めたものであり、私たちは常に規律されなければならないと考えます。

発言情報

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発言者: 打越さく良

speaker_id: 26780

日付: 2025-04-16

院: 参議院

会議名: 憲法審査会