浅田均の発言 (憲法審査会)

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○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 国民投票法等に関し、意見を表明します。
 第五世代コンピューターの開発競争が繰り広げられていた一九八〇年代中頃の話です。開発リーダーに、コンピューターの将来はどのようなものになるのか聞いたことがあります。そのとき彼は、コンピューター同士が話をする、図書館の中でレファレンスグループを自律的に作成し、コンピューター間で問うことも答えることも可能になると話してくれました。まさしく、昨今のLLM、いわゆる大規模言語モデルや生成AIのことを語っていたのでしょう。
 他方、主として米国企業が開発したヒューマノイドと呼ばれる人型ロボットや四足歩行ロボットも、生成AIを搭載すれば、LAWS、自律型致死兵器システムへと容易に変貌します。戦争における人間の殺傷すら人間の判断を介在せずに行われる世界は目の前にまで迫っています。いわゆるシンギュラリティーには達していませんが、これが技術的な現実です。生成AIが直接社会に介入するという、このようなパラダイムシフトとも言える現実に対し、我が国の政治、行政は恐ろしく鈍感です。
 私が問題にしたいのは、生成AIが生成AIを自らつくり出すとき、その製造物責任者は誰かということです。具体的に申し上げますと、AIで動くヒューマノイドが候補者に成り済まして選挙活動をしていることが分かったとき、取り締まるためのルールはあるのか。また、ヒューマノイドがフェイクニュースをインターネット上に拡散しているとき、やめさせるためのルールはあるのか。憲法審での発言の機会にこれらの問題を提起しておきたいと思います。
 さて、国民投票制度の充実を図るために、今やインターネットやSNSの活用は避けては通れないテーマです。これらは、情報を迅速かつ広範囲に伝達し、多様な意見を共有する場を提供することで、多くの人々の国民投票に対する理解を深める助けとなるでしょう。
 一方で、インターネットやSNS上では、偽情報や誤情報、偏った情報も容易に拡散します。また、二〇一五年と二〇二〇年のいわゆる大阪都構想の住民投票の体験から申し上げると、人を選ぶ選挙と物事を選ぶ選挙で一番違うのはデマ、フェイクニュース等の数でしょう。国民投票は物事を選ぶ選挙と言えますが、これとインターネットやSNSが掛け合わされば、情報空間はもはや人間には手が付けられない混乱を呈するおそれもあります。
 そのような観点から考えると、国民投票においては、プライバシーとセキュリティーの確保、アクセスの平等性の担保、そのための法的整備といったいわゆる形式的な課題に対処するのみならず、情報の公平性と信頼性という実質的な部分に踏み込んで議論を進める必要があります。特に、国民投票の論点に関する虚偽事項の公表を規律する条項は絶対に必要です。
 とはいえ、規制にきゅうきゅうとするばかりでは対症療法にしかなり得ません。二〇一〇年代のSNSの爆発的な普及はマスメディア中心の情報空間を一変させましたが、その本質は、少数の発信者が一方的に情報を発信する形式から、多数の発信者が双方向的に発信する形式へ変化したことにあります。言わば、情報空間の構造自体の変化であり、一種のパラダイムシフトと言うこともできましょう。
 このような過渡期にある中で、フェイクニュースの拡散を防ぎ、公平で信頼性のある情報を提供するためには、個人、マスメディア、プラットフォーマー、政府、コミュニティーが協力して多角的なアプローチを取る必要があります。
 個人のレベルで求められることは、メディアリテラシーの向上です。個人が情報を批判的に分析し、フェイクニュースを見分けることが第一です。
 マスメディアのレベルでは、ジャーナリズムの質の向上が求められます。情報の正確性を確保するために厳格な事実確認プロセスを採用し、透明性を維持するとともに、クロスチェックや多様な情報源の利用を促進し、誤りは迅速に訂正することが必要です。信頼できるジャーナリズムは、フェイクニュースに対する最良の防波堤であり、情報空間の羅針盤でもあるでしょう。
 プラットフォームのレベルでは、更なる責任の明確化が必要です。ユーザーが誤情報を報告できるフィードバックシステムの整備や、フェイクニュースを拡散したアカウントに対する制裁措置の実施などを促すべきです。AIを利用したフェイクニュースの検出など、最新のテクノロジーの活用も不可欠です。
 政府は、デジタルメディアの規制強化やフェイクニュースを流布する者に対する法的措置を含め、偽・誤情報に対抗するための政策を策定し、実施する責任があります。フェイクニュースは国境を越えて広がるため、情報共有や技術の共同開発など国際的な協力も不可欠です。国際機関がフェイクニュースの影響を調査し、対策を提言することも必要でしょう。
 最後に、市民が正確な情報を広める活動に参加することは重要です。ボランティア活動などを通じて誤情報を訂正し、信頼できる情報を広めることや、コミュニティー内での情報共有を促進し、地域社会が団結してフェイクニュースに立ち向かう環境をつくり上げることは、偽・誤情報対策として極めて効果的です。
 これらの点を踏まえつつ、インターネットやSNSを国民投票の広報活動に利用することは、国民の意識と参加を促進し、民主主義の深化に貢献するものと確信しています。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 浅田均

speaker_id: 29554

日付: 2025-06-18

院: 参議院

会議名: 憲法審査会