仁比聡平の発言 (憲法審査会)
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○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私は、前回六月四日に行われた、生成AIによるディープフェイクを含むインターネット上の偽情報やフェイクニュースへの対応に関する参考人質疑を踏まえ、三点意見を述べます。
第一に、この問題に取り組んでこられた参考人の方々が、いずれも、インターネット上の偽情報等の根絶や影響力の無効化はほぼ不可能、この十年、ファクトチェックにしろメディアリテラシーにしろ生成AIの開発にしろ、対策は広がっているが、状況悪化のスピードの方が圧倒的に速く、状況は悪くなり続けていると述べられた深刻さを私たちは深く受け止めるべきです。
さきの韓国大統領選挙でも、膨大な偽情報が拡散され、ファクトチェックや削除要請は全く追い付きませんでした。現場の実情として、韓国最大のソウル大学ファクトチェックセンターが、資金提供が止まり活動停止に追い込まれていたことも紹介されました。
米国では、トランプ大統領が自らの発言に対するファクトチェックやテレビメディアの検証報道を敵視する下で、今年一月、フェイスブックやインスタグラムを運営するメタが投稿の信頼性を第三者が評価するファクトチェックを取りやめるなど、巨大プラットフォーム事業者が取組を後退させ、憂慮すべき事態の深刻化が指摘されています。
インターネット上の言論空間に巨大な影響力を握る事業者が、政治権力の意向に対して極めて脆弱であることを銘記すべきです。
第二に、政府がデジタルデータの利活用を成長戦略と位置付け、官民が保有する個人情報を企業が利用しやすいよう制度化し、自治体が保有する個人情報まで企業が利用できるよう強制する一方で、個人情報の保護や自己情報コントロール権の確立を置き去りにしてきたことへの反省がこの問題を考える上で重要だということです。
ネットやSNSで虚偽情報や誹謗中傷が拡散されやすい要因の一つに、ターゲティングやプロファイリングなど、利用者の関心に合った動画や広告を表示させる仕組みの問題があります。プラットフォーマーなど事業者が、視聴履歴や行動履歴などの膨大な情報を基に、利用者の趣味、嗜好や性格などを分析し、それに合わせた情報を表示するこの仕組みが、利用者が自覚することなく偏った情報に陥りやすい環境を生んでいます。
二〇二二年十二月八日、衆院憲法審査会で山本龍彦参考人は、今、国会議員でも、自分のパーソナルデータがどの範囲で誰に共有されているのかを明確に知っている方は少ないのではないか、データに関する個人の主体性が失われつつあると警鐘を鳴らしています。
自己情報コントロール権の保障を明確に位置付けることを始め、個人情報保護法制を国民の人権を拡充する方向で強化することこそ求められています。
第三に、デジタル技術、インターネット上の言論空間の巨大な発展の下、プライバシーや個人の意思決定の尊重など、憲法的価値の実現について、世界各国の議論や取組に学ぶことが重要です。
個人情報の収集やプロファイリングは、プライバシー権や内心の自由、人格権など、国民の基本的人権を侵しかねない重大な憲法問題です。だからこそ、EUは、自己情報へのアクセス権や忘れられる権利、プロファイリングなどによる意思決定を拒否する権利を個人の基本的権利として保障し、その下でシステムを規制しています。
参考人が、欧州の政府関係者や学術関係者と話していると、憲法的価値や理念を大いに語った上で、AIやデータをどう利活用しつつ、人間の尊厳や憲法的価値、民主主義的価値をどうやって守っていくのかをよく考えて議論している、日本においてそうした議論が活発でないことが現状の対策の少なさや議論の薄さに反映されている可能性があるという指摘を私たち国会は真剣に受け止める必要があると考えます。
日本共産党は、SNSが、フェイクを拡散し人々を分断するツールではなく、社会進歩の連帯を広げるツールとなるよう力を尽くしてまいります。
以上です。