福岡資麿の発言 (厚生労働委員会)
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○国務大臣(福岡資麿君) 所信の前に一言申し上げます。
本日は、東日本大震災の発災から十四年になります。お亡くなりになられた方々に改めてお悔やみ申し上げますとともに、厚生労働省としても復興に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
厚生労働大臣に就任してから約半年、国民の生活を生涯にわたって支える厚生労働行政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。引き続き、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すことにより、社会経済活動の安定に資するよう、職務に邁進してまいります。
賃上げと人手不足の緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性や付加価値を向上させ、物価上昇を上回る賃金の引上げを実現していくことが重要です。
持続的、構造的な賃上げを実現するため、引き続き、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革を推進してまいります。求職者の状況に応じてきめ細かい就労支援を行います。
最低賃金について、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かって、たゆまぬ努力を続けます。また、政労使の意見交換における今後の中期的引上げ方針の議論に参画するとともに、全都道府県での地方版政労使会議の開催などにより、最低賃金を含め、地方で賃金が上がっていく環境をつくり出していきます。中小企業などが賃上げしやすい環境整備に向け、引き続き、賃上げ支援助成金パッケージによる生産性向上等の支援や、関係省庁と連携した価格転嫁対策の徹底などに取り組んでまいります。
令和六年度報酬改定において講じた医療、介護、障害福祉分野の職員の処遇を改善するための措置が最大限活用されるよう、書類の簡素化や幅広い周知に引き続き取り組むとともに、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化などに取り組んでまいります。加えて、足下の人材確保の課題に対応する観点から、先般の補正予算に盛り込んだ更なる賃上げに向けた支援が現場に働く方々に行き届くよう取り組んでまいります。
また、介護分野については、ICTなどを活用した生産性向上の取組を強力に推進し、サービスの質の向上や職場環境改善を図るとともに、訪問介護の提供体制の確保や、介護人材の確保、育成及び定着に向けた取組を支援してまいります。
また、物価高騰などによる医療機関などの厳しい状況を踏まえ、報酬改定や補正予算の効果も含め、実態をよく把握し、適切に対応してまいります。
昨年十二月の社会保障審議会年金部会などの取りまとめに基づき、年金制度をより働き方に中立的なものとし、年金の所得保障機能や再分配機能の強化を図るための関係法案を今国会に提出すべく、調整を進めます。
具体的には、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、基礎年金水準の確保などの公的年金制度の見直しや、個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限の引上げなど、私的年金制度の見直しにも取り組んでまいります。
そして、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しするため、年収の壁・支援強化パッケージによる支援に引き続き取り組んでまいります。また、年収百三十万円の壁への対応として、キャリアアップ助成金を拡充し、労働時間の延長や賃上げを通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を令和七年度中に実施すべく検討を進めます。
本格的な少子高齢化、人口減少が進む中で、負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障を構築していくことが重要です。高額療養費制度については、高齢化や高額薬剤の普及などにより、その総額が医療費全体の倍のペースで伸びている状況において、制度の持続可能性を確保するとともに、現役世代を中心に保険料負担の軽減を図る必要があります。令和五年末に閣議決定された改革工程に掲げられた他の項目も含め、必要な保障が欠けることがないよう留意しつつ、セーフティーネット機能を次の世代にも維持しながら将来世代も含めた全世代の安心を保障する観点から検討を進めてまいります。
将来にわたって地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するため、新たな地域医療構想の推進、医師偏在是正に向けた総合的な対策、医療DXの推進などに関する法案を今国会に提出しました。
新たな地域医療構想については、二〇四〇年頃を見据え、医療、介護の複合ニーズを抱える高齢者の増大や人口減少などに対応できるよう、入院の病床の在り方に限らず、外来や在宅医療、介護との連携までをカバーし、人材確保などの状況も踏まえた医療機関の役割分担や連携を更に推進します。
医師偏在対策については、昨年末に策定した総合的な対策パッケージに基づき、地域の実情に応じた実効性のある取組を推進します。
また、周産期・救急・災害医療体制の充実など、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に努めてまいります。
さらに、電子カルテ情報の医療機関での共有や医療等情報の二次利用の推進、医療DXの運営の母体としての社会保険診療報酬支払基金の改組などについて取組を進めるとともに、国民の皆様が安心してオンライン診療を受けられるよう、その適切な実施と推進のための方策について検討を進めてまいります。
マイナ保険証は、医療DXの基盤として、国民の皆様が健康医療情報に基づいたより良い医療を受けることを可能にするものです。このため、引き続き、マイナ保険証の利用促進に向けた周知を行うことに加え、マイナ保険証のスマートフォンでの利用について、本年春以降、順次対応を進めてまいります。あわせて、マイナ保険証をお持ちでない方に対して申請によらず保険者から資格確認書を交付するなど、全ての方が安心して保険診療を受けられる環境を維持してまいります。
医薬品の供給不足などに対応し、品質の確保された医薬品等を国民の方々に迅速かつ確実に提供するため、医薬品等の品質及び安全性確保、医療用医薬品等の安定供給体制の強化など、より活発な創薬が行われる環境を整備し、国民の方々へ医薬品を適正に提供するための薬局機能の強化などに関する法案を今国会に提出いたしました。
医薬品産業を成長基幹産業と位置付け、日本を創薬の地とするため、優れた創薬シーズを基にしたスタートアップの創出を促進すべく民間投資を呼び込む体制を強化するほか、創薬クラスターの整備やその支援のための新たな基金を造成するなど、官民連携の下、企業や大学などが安定的、継続的に創薬に取り組み、実用化につなげることができる環境整備を進めます。加えて、国際水準の臨床試験体制整備について検討を進めるとともに、ドラッグロスの解消に向けて、未承認薬のうち我が国に必要性の高い医薬品を優先して対応し、企業における開発が進むよう戦略的に対応するための取組を進めてまいります。
また、後発医薬品の安定供給については、少量多品目生産という非効率な生産体制の解消に向け、計画的に生産性向上に取り組む企業を支援するため、新たな基金を造成します。企業間の連携、協力、再編を強力に後押しするために、企業の取組を認定する枠組みを設けます。
さらに、薬害の再発防止や、大麻や危険ドラッグなどの薬物乱用防止対策にも取り組んでまいります。
多様性の尊重は社会の持続的な発展の基盤であり、女性や高齢者を含む国民お一人お一人がその能力を十分に発揮し活躍することが、我が国の活力維持向上には不可欠です。働く方々の個々のニーズに応じて、多様で柔軟な働き方を選択することができる社会の実現を目指します。
職場における女性活躍を推進するため、男女間の賃金差異に関する情報公表の義務を従業員百一人以上の企業に拡大して賃金差異の是正を促進するほか、いわゆるカスタマーハラスメントや就職活動中の学生の方々に対するセクシュアルハラスメントといった職場におけるハラスメント対策を強化する関係法案を今国会に提出いたします。
非正規雇用労働者の方々への正社員への転換や、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底などによる処遇改善に取り組みます。新卒者などに対しては、大学などと連携しながらきめ細かな就職支援を行うとともに、いわゆる就職氷河期世代を含む中高年層の方々に対し、就労や社会参加を支援してまいります。
また、多様な人材が安心して働き続けられる環境を整備するため、七十歳までの就業機会の確保に取り組むとともに、外国人労働者に対する就職支援の強化、働きやすい環境整備などに取り組んでまいります。育成就労制度の円滑な施行に向け、出入国在留管理庁などと連携してまいります。
さらに、個人事業者や高年齢労働者の安全衛生対策の推進、ストレスチェック制度の実施義務の対象事業場拡大によるメンタルヘルス対策の強化などに関する法案を今国会に提出すべく、調整を進めます。
このほか、過労死などの防止に取り組むとともに、働く人の意識や働き方の多様化を踏まえつつ、今後の労働基準関係法制の見直しなどに向け、検討を進めてまいります。
本年四月に拡充される育児休業給付制度の着実な実施などにより共働き、共育てを推進するとともに、仕事と育児、介護の両立支援や、安心して副業、兼業に取り組むことができる環境整備、テレワークの普及、フリーランスの方々が安心して働くことができる環境の整備を更に進めてまいります。
本年は戦後八十年の節目の年です。改めて弔慰の意を表すため、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の継続支給に関する法案を今国会に提出いたしました。加えて、戦没者遺児による洋上慰霊の実施、次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業の拡充などに取り組みます。また、国の責務として可能な限り多くの戦没者の御遺骨を収容し、御遺族に早期にお渡しできるよう、集中的な取組に全力を挙げてまいります。さらに、中国残留邦人等に対する支援策もきめ細かく実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症について、引き続き確実な医療提供に取り組むとともに、罹患後症状、いわゆる後遺症に悩む方々が適切な医療を受けられる環境づくりを進めてまいります。ワクチンについては、有効性や安全性に関する科学的知見に基づき、引き続き必要な対応を講じてまいります。また、帯状疱疹ワクチンを本年四月から定期接種に位置付けるとともに、キャッチアップ接種期間中にHPVワクチンの接種を希望した全ての対象者に接種機会を提供できるよう、期間内に一回以上接種した方を対象として、一年間の経過措置を設けます。
さらに、本年四月の国立健康危機管理研究機構、JIHSの創設を始めとして、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を踏まえた、次なる感染症危機への備えを着実に進めてまいります。
UHCナレッジハブを我が国に本年設置できるよう調整するとともに、厚生労働省国際保健ビジョンを踏まえ、国際保健に関連する国内外の課題の解決に取り組んでまいります。
国民の健康寿命の延伸を図るため、第三次の健康日本21などを推進し、予防、重症化予防、健康づくりに取り組んでまいります。また、事業主健診、産業保健体制の充実を図るとともに、昨年十月に国立研究開発法人国立成育医療研究センターに設置された女性の健康総合センターの取組を含め、女性の健康支援を推進してまいります。
また、がん対策や循環器病対策に関する基本計画に基づいて総合的な対策を進めるとともに、花粉症を含むアレルギー疾患対策や受動喫煙対策も引き続き推進してまいります。
ハンセン病元患者家族の方々への補償制度を引き続き着実に実施するとともに、ハンセン病に対する偏見差別の解消にも全力で取り組みます。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染された方々に対する給付金等も確実に支給してまいります。
臓器提供者数の増加に対応していくために、臓器移植体制の見直しなどの取組を進めてまいります。
原子爆弾の被爆の実相を後世に伝えるための取組を進めるとともに、被爆者の方々に寄り添いながら、保健、医療及び福祉にわたる総合的な支援を行ってまいります。
機能性表示食品を含むいわゆる健康食品による健康被害事案への対応など、食の安全の確保に取り組んでまいります。
地域共生社会の実現に向け、包括的な支援体制の整備や、成年後見制度の利用促進、身寄りのない高齢者などが抱える生活上の課題への対応などに取り組むとともに、生活保護の生活扶助基準については社会経済情勢などを踏まえた対応を行います。
障害者や難病患者の方々が、地域や職場において、本人の希望に応じて、その方らしく暮らし、働くことができるよう、昨年施行された障害者総合支援法等改正法の取組を着実に進めます。また、障害者の方々の雇用機会の拡大とその能力を発揮していただくための雇用の質の向上を図ります。
第四次自殺総合対策大綱の下で、どなたも自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携し、SNSを活用した相談体制の拡充など、自殺対策を強化します。
さらに、昨年末閣議決定された認知症施策推進基本計画にのっとって、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができるという新しい認知症観に立ち、認知症施策に関する取組を推進し、共生社会の実現を目指します。
昨年一月の能登半島地震やその後の大雨など、近年、累次の甚大な災害が全国各地で発生しています。改めまして、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様が一日も早く安全、安心な生活を取り戻すことができるよう、雇用対策や必要な医療・福祉サービスの提供、被災者の見守り及び心のケアなどに引き続き全力で取り組んでまいります。また、自然災害から国民生活を守ることができるよう、保健、医療、福祉の連携強化を含む体制や支援の整備に取り組みます。
厚生労働行政は幅広く、様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいりますので、委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。