小川克巳の発言 (東日本大震災復興特別委員会)

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○小川克巳君 去る二月十七日、十八日の二日間、岩手県及び福島県において、東日本大震災の被災地における復旧・復興状況等の実情を調査してまいりました。
 参加者は、小沢雅仁委員長、藤木眞也理事、白坂亜紀理事、横沢高徳理事、山口和之理事、若松謙維委員、芳賀道也委員、岩渕友委員、天畠大輔委員、齊藤健一郎委員及び私、小川の十一名であります。
 以下、調査の概要について御報告いたします。
 初日は、まず、岩手県に赴き、宮古市において、震災及びALPS処理水海洋放出による漁業への影響について、同市及び宮古漁業協同組合の山根組合長、重茂漁業協同組合の山崎組合長、田老町漁業協同組合の畠山組合長から説明を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 同市からは、海洋環境の変化によりサケなどの主要魚種の水揚げ量減少が続いていることから、養殖などつくり育てる漁業を推進している、処理水の海洋放出の影響として、アワビ及びナマコの単価が大きく下落しているとの説明を受けました。また、各漁協からは、養殖漁業への手厚い支援策の必要性、魚種転換のための船や網などの設備投資の負担、アワビの単価下落に対する東京電力からの賠償金の早期支払の必要性等について説明を伺いました。
 派遣委員との間では、東京電力からの賠償金額の妥当性、海洋環境の変化も踏まえた水産業の将来像等について意見が交わされました。
 次に、被災者の心のケアについて、沿岸部における相談室の開設や被災住民を対象とした普及啓発、地域の人材育成など、きめ細やかで複合的な心のケアに取り組む岩手県こころのケアセンターの酒井センター長及び大塚副センター長から説明を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 被災者の心の健康に関しては、中長期的に様々な問題が出てきており、地域との結び付きの希薄さや孤独などの問題はインフラが整備された後でも継続していくことが想定されることから、心のケアはこれからが大切であるとの説明を受けました。
 派遣委員との間では、東日本大震災における被災者の心のケアに係る取組を今後の災害で生かすための課題、災害公営住宅における孤立・孤独対策、自身も被災者であるボランティアに対する心のケアの実情等について意見が交わされました。
 次いで、宮古駅から三陸鉄道リアス線に乗車し、大槌町へ移動しました。
 車中では、石川社長から、三陸鉄道の概要等について説明を聴取するとともに、震災の記憶と教訓を語り継ぎ、被災地の現状や防災について列車で移動しながら学ぶ震災学習列車のプログラムを体験しました。同プログラムでは、金野運行本部長から、震災当時の様子についてパネルなどを用いた説明を受けるとともに、車窓からは被災地の現状を確認することができました。同社では、震災での経験を踏まえ、避難場所がすぐに分かる地図と情報収集用のラジオを各列車に備えてあるとのことでした。
 次に、大槌町役場に移動し、平野町長から、同町における復興の状況と今後の取組について説明を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 同町では、復興事業により造成された土地の利活用が課題となっており、今後も国の支援の継続が必要であるとの説明を受けました。また、地域コミュニティーの再生はなお時間を要する状況であることから、コミュニティーの形成に欠かせない被災者の心のケアに継続して取り組むとのことでした。さらに、災害援護資金に係る未回収金発生時の立替えが町の財政に支障を来すことへの懸念が示されました。
 派遣委員との間では、災害援護資金の借受人が置かれている現状、町職員の心のケアに関する取組、震災の経験を踏まえた防災集団移転促進事業の課題、海業振興のための新たな取組等について意見が交わされました。
 次に、岩手県立大槌高等学校を訪れ、同校の空き教室を活用して、認定NPO法人カタリバにより運営されている放課後学校、コラボ・スクール大槌臨学舎を視察しました。臨学舎は、震災で甚大な被害を受けた大槌町において、不自由な生活を余儀なくされた子供たちが集う居場所として開設され、行政や学校などとも連携して活動を行っております。
 まず、臨学舎で過ごしている生徒たちの様子を視察後、大槌町教育委員会の吉田学務課長から、同町における学習支援の取組について、また、カタリバから同町教育委員会に出向している菅野統括教育専門官から、臨学舎の取組について説明を聴取しました。その後、臨学舎を利用している高校生お二人から、臨学舎は、自分が安心して自分らしくいられる場所であり、なくてはならない居場所であるとのお話を伺った後、意見交換を行いました。
 派遣委員との間では、大槌町の教育に関する取組を他地域に普及させる必要性、臨学舎などへ委託して実施している教育施策の予算確保等について意見が交わされました。
 次いで、釜石市に移動し、小野市長から、同市の復興の現状等について説明を聴取し、懇談を行いました。また、懇談では、漁師の方から、地元漁業の現状等についてお話を伺いました。なお、同市からは、災害援護資金制度の見直しなどを求める要望書を受け取っております。
 二日目は、まず、福島県浪江町に移動し、吉田町長及び副町長から、同町の復興の現状と課題について説明を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 町の復興は着実に進んでいるものの、帰還困難区域の約九割を占める森林の再生は復興を進める上で最重要課題である、持続可能な町づくりの実現に向け、なみえ水素タウン構想、交流人口、関係人口の拡大などの取組を推進していくとの説明を受けました。
 派遣委員との間では、伝統行事開催が町にもたらす経済効果、帰還意向がある住民を含めた営農継続に向けた課題、浪江町の子育て支援策等について意見が交わされました。
 次に、ふれあいセンターなみえ内にある福島国際研究教育機構、F―REIの本部に移動しました。まず、本施設整備予定地を視察した後、江村理事から、F―REIの取組について説明を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 F―REIの研究開発の成果を地元に還元して産業化につなげることが重要であり、そのために、福島、東北の復興に資するテーマに集中した研究分野を設定し、最終的に成果の広域的な波及を目指していくとの説明を受けました。
 派遣委員との間では、七年間で一千億円程度の国費投入に見合った研究成果創出の可否、生活環境の整備を含めた若手研究者の雇用体制、事前復興計画策定の指針ともなる研究の必要性等について意見が交わされました。
 次いで、大熊町に移動し、福島県内で発生した除去土壌等の中間貯蔵施設を視察しました。環境省からは、同施設には約千四百万立方メートルもの除去土壌等が貯蔵されているが、二〇四五年までの県外最終処分に向け、その処分量を可能な限り減らすことが重要であるとの説明があり、同施設で実施されている、除去土壌の再生利用に向けた道路盛土実証事業の現場を視察しました。
 次に、富岡町に移動し、同町に設定された特定復興再生拠点区域及び特定帰還居住区域を視察するとともに、山本町長及び副町長から両区域の現状等について説明を聴取しました。
 町としては、一日でも早く住民が帰還できるようにしたいが、特に宅地周辺の屋敷林の除染ができず、全体的に作業は進んでいないとの説明がありました。また、国が前面に立って取り組むべき原子力災害被災地域に対する支援施策について、一部で被災地負担の議論がなされていることへの懸念が示されました。
 次いで、東京電力廃炉資料館に移動し、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の状況等について、東電から説明を聴取するとともに、資料映像を視聴しました。
 事故の原因として、津波対策の不備や過酷事故に備えた訓練などの準備不足があり、安全意識、技術力、対話力の不足が互いに影響し強化される負の連鎖に陥っていたとの説明がありました。その後、廃炉作業の進捗のほか、ALPS処理水の海洋放出の状況や廃炉作業に従事する作業員の労働環境の改善等について説明を受けました。
 派遣委員との間では、廃炉作業に従事する人材の確保、処理水等の貯蔵タンク解体の進捗及び解体時に発生した部材の処理方法等について意見が交わされました。
 以上が調査の概要であります。
 震災から十四年が経過し、地震・津波被災地域では、インフラ整備がおおむね完了したものの、主力産業である水産業はいまだに厳しい状況にあるほか、被災者の心のケアや被災児童生徒への学習支援等については、中長期的な課題として対応していく必要があると感じました。
 また、原子力災害被災地域では、住民帰還に向けた取組が行われておりますが、地域によって復興の進捗は大きく異なっており、実情に応じた支援が必要であると改めて認識した次第です。
 最後に、私どもの調査に御協力いただいた皆様に対し厚く御礼を申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興創生が果たされますようお祈り申し上げまして、報告を終わります。
 以上です。

発言情報

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発言者: 小川克巳

speaker_id: 28243

日付: 2025-03-12

院: 参議院

会議名: 東日本大震災復興特別委員会