新山陽子の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(新山陽子君) それでは、話しさせていただきます。
 ちょっと資料見ていただくと、かなり枚数が多いので十五分で終えられるかどうか分からないんですけれども、よろしくお願いします。
 お話ししたいことは、基本法が改正されて、それに基づいて今度の流通の合理化、取引の適正化に関する法律が作られました。作られましたが、この法律の内容が読んでも非常に分かりにくいんですね、何がどうなるのか。
 それで、その法律だけではなくて、私たち、二二年の九月に農水省の当時総括審議官だった杉中さんと一緒にフランスにエガリムⅡ法のヒアリングに行ってきましたので、それと対比させる形で今日ちょっとお話しさせていただきたいと思います。そして、最後に日本の課題をまとめたいと思います。
 では、よろしくお願いします。
 まず最初に、令和五年の五月に基本法の検証部会で中間取りまとめが出されました。これはまだ分かりやすかったと思うんですね。国民一人一人の食料安全保障を確立するということが書かれて、そのために、全ての国民が健康的な食生活を送るための食品アクセスを改善するということですね。ただし、ここの説明文が、最初の議論はそうじゃなかったんですけれども、でき上がったものを見ると、ここに書いてあるように、買物困難者とか経済的理由による入手困難者のみの記載になっています。それからさらに、④として、適正な価格形成に向けた仕組みの構築が書かれています。これに基づいて基本法が改正されたんですが、この基本法改正はもっと分かりにくくなっています。
 次のページお願いしたいんですが、まず、第一章総則、食料安全保障の確保ですが、この第二条五に合理的な価格形成が書かれているんですけれども、これ、当初は適正な価格形成だったのが、ここで合理的な価格形成に表現が変わっています。じゃ、合理的なとは何かということ、これも説明がないので、ここでも分からなくなってしまいます。持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにという説明しかありません。
 それから、第二章の第二節で食料安全保障の確保に関する施策が書かれていますが、それの第十九条が食料の円滑な入手の確保になっています。ここで、国は、地方公共団体、それから食品産業の事業者などと連携して、食料の円滑な入手が可能になるようにするになっているんですけれども、何をするかというところを見ると、食料の輸送手段の確保、食料の寄附が円滑に行われるための環境整備というふうに、非常に狭い取組になってしまっています。
 さらに、二十三条に持続的な供給に要する費用の考慮がありますが、ここで、食料の価格形成に当たり、食料システムの関係者による食料の持続的な供給の必要に対する理解の増進、合理的な費用の明確化の促進となっていまして、ここも合理的な費用となっていて、合理的な費用って何なのかということが非常に分かりにくい表現になっています。
 それに基づいて、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律、卸売市場法の改正がされたところですが、これは、その次の八ページ御覧いただくと書いていますように、これも本当に不透明なところが多い状態です。衆議院では可決されて、今参議院で審議入りをしていますけれども、不透明なところが多いです。
 まず、法律の名称が変更されていますけれども、「流通の合理化」から「持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進」になっていますが、ここで食品等事業者が誰を指すかが非常に分かりにくい、後でも改めて言いますが。
 改正の柱が、売手と買手に価格交渉に誠実に臨む努力義務を課す、それから、生産コストの価格の反映のために、農家が価格交渉の参考にするコスト指標の作成を盛り込んでいますが、いずれもが不透明です。
 コスト指標の作成については、これ五月三十一日付けの日本農業新聞の報道ですが、米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆と書かれています。まあ、できるのかですね。
 続いて、第二章。これ、第五条から第三十二条ですが、持続的な供給を実現するための事業活動促進のための措置になっていますが、ここで、流通の合理化から持続的な供給の実現のための措置、そして流通合理化計画から安定取引関係確立事業活動計画に修正されているのはいいんですけれども、計画は共同で作成するとなって、農林漁業者も含まれる。内容の改訂については、かなりの条文が新設されていますけど、何をもって安定取引か、流通合理化か、消費者の選択支援かが法文では全く不明です。
 続いて、第三章ですけれども、ここで取引の適正化のための措置が新設されています、三十三条から五十三条までですが、ここの基本方針、第一節第二項ですが、これも具体的に分かりにくく、第三項で飲食料品等事業者が書かれていまして、ここに農林漁業者が入っています。
 それから、第二節で取引の実態調査になっていますが、ここで取引の状況とか協議の状況などの調査を行うとなっていて、中央卸売市場、地方卸売市場の開設者もそれに協力するとなっていますけれども、これもどうその調査をするのかということがこの法律の段階では明確でありません。
 そして、続いて第三節、適正化に関する措置ですけれども、これ、飲食料品等事業者が講ずべき措置になっていますけれども、後でフランスの説明しますけれども、農業者がどういう措置を講ずるかについて明確な規定がありません。書かれているのは、相手方から供給に要する費用などについて協議の申入れがされた場合、また取組の提案がされた場合に、必要な検討、協力を行うように努めなければならないとしか書かれていません。
 そして、続いて第二款ですが、ここで指定飲食品等に係る措置が設けられていますけれども、これは、品質が低下しやすいもの、生活必需品のもの、これについては十分な協議が行われずに取引条件が決定されやすく、持続的な供給のための費用が認識しにくいものだと、それについては政令で指定することができると書かれていますが、具体的なことがこれだけでは分かりません。
 また、同じくこの条項において認定指標作成団体を設けることとなっていますけれども、これについても一体それはどういう団体なのかということがこれ以上明確に書かれていないということがあります。
 さらに、五十三条で、国民の理解を深め、実施に協力を求めるよう努めるとされましたけれども、これもこれ以上詳しくは書かれていないので、何をするかが分からない状態です。
 そして、その次、卸売市場法の一部改正ですが、ここも全く同じで、開設者は農林水産省令で定めるところにより、次の事項を公表することとなっていて、これについても具体的に何をどうするかが分からない書き方になっています。
 法律については、以上、分からないことだらけということです。
 じゃ、これ、実はフランスの調査に行っているので、それを参考にしてこういうふうに一歩踏み出されたんですが、じゃ、フランスはどうしているのかというと、フランスの場合はもっと具体的で分かりやすいんですね。それを、ちょっと簡潔ですが、次、説明します。
 十六ページを見ていただきたいんですが、まずフランスでは、二〇一七年に食料全体会議がされて、それに基づいて二〇一八年十月にエガリム法が制定されました。ところが、ここでは、競争法に抵触するということで書面契約が義務とされなかったので、これ効果が出なかったんですね。それで、これ多分、フランスからEUに働きかけたんだと思いますけれども、欧州農産物市場共通組織規則、CMO規則が改正されることになったので、ここに指標は生産コストに基づいてもよいと書き入れられましたから、それで二一年十月にエガリムⅡ法が制定されて、ここに書面契約の義務化、生産費指標の考慮の義務化が書き込まれたということがあります。
 その内容を少し見てみたいと思います。
 次の十七ページに全体の仕組みを図示しています。これ、後で御覧ください。
 まず一番最初に、農業者とその次の小売業者や加工業者との取引がされますが、そこで書面契約が義務化されました。で、何を書き込むかなんですが、それが十八ページに書かれていますが、まず、生産コスト指標を含む価格の自動改定条項を契約書に記載するということが書き入れられ、契約期間を三年以上とするというふうにされています。
 ここでフォーミュラという言葉が出てきているんですが、これ、法律の文章だけではフォーミュラというのが何で、どういうことを書き入れたら自動改定ができるのかが分からなかったんですね。
 それで、フォーミュラというのがどういうものかということをフランスに調査に行って聞きました。その結果、どこでも同じ答えが返ってきましたが、生産コスト指標掛ける係数、公表市場価格指標掛ける係数のような、これ足した値決めの式です。それに公的ラベルなどの特別な品目の場合は、これに更に割増しを加えることができるというようなものですね。例えばというのでそこオレンジ色で網掛けしていますが、価格=平均生産費×〇・七+市場価格×〇・三+ラベル製品加算のような、こういう式になります。
 ただ、生産コスト指標の使用については、競争法への抵触を避けるために非常に慎重な対処がなされていて、あくまで考慮することを義務化するというふうにしか書かれていません。じゃ、どの程度考慮するかということは、これ当事者同士の交渉で決まるので、当事者以外は知ることができない、なので、係数は実際には〇・七になる場合もあれば、〇・三、〇・二にしかならない場合もあるというふうに説明されました。
 さらに、交渉の際に、農業者は認定生産者組織、ここに委託して契約枠になる枠組み協定を結ぶことができるとされています。なぜこういうことがされたのかというと、欧州では、農業協同組合には農業者から販売されることが多くて、委託販売の組織として認定生産者組織を設けることが必要になって、そこがまず枠組み協定を結ぶということがされるようになりました。よろしいでしょうか。
 それで、次のページですけれども、その生産コスト指標の作成と公表なんですが、これをフランスの場合には、専門職業間組織、オーガニゼーションズインタープロフェッショナルズという組織が行うんですが、それでも慎重を期して、インターベブ、インターフェルでは、競争法を考慮して、より慎重を期して傘下の技術研究機関が作成し公表するようになっています。
 それから、次のページに行っていただいてよろしいでしょうか。
 専門職業間組織ですが、これ説明省略しますけれども、専門職業間組織という、専門職業組織がこの生産段階、加工段階、それぞれつくられているんですが、それを横につないだ組織になります。それが品目ごとに一つが認定されるというものです。詳しくは後でここをお読みください。
 それから、続いて食品加工業者とその購入者との取引になりますが、ここでは加工業者が交渉の出発点となる一般販売条件書、CGVというものを提示して、それを交わすことになっています。さらに、それに基づいて契約書に自動改定条項を含むことになっています。この一般販売条件書の中に、食品に占める農産物原料の比率とか、農産物を五〇%以上使用した原材料の比率を示すことになっていて、その部分は交渉できないということになっています。
 じゃ、効果はどうだったかということですが、生乳や牛肉については政令による迅速実施がかなり早くにされました。ただ、政令で適用除外された品目も多く、生鮮果実、野菜、それから穀物などでは、価格変動が激しいとかシカゴ相場など国際相場を利用するということがされるので、これ適用除外になっています。またさらに、卸売市場も、フランスの場合はその場での相対取引になるので適用除外になっています。
 以上がフランスの例になります。

発言情報

speech_id: 121715007X01320250605_007

発言者: 新山陽子

speaker_id: 3027

日付: 2025-06-05

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会