露口健司の発言 (文教科学委員会)
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○参考人(露口健司君) 失礼いたします。
愛媛大学の露口でございます。
私の方は、教育学部、教職大学院の方で二十年ほど教員養成の現場に携わってきております。今回は、この教員養成の現場で培ったノウハウと、あとは、途中、資料で出てまいりますが、A県教育委員会様と、これまで二〇二〇年度から五年間、毎年全ての小中高、特別支援学校の職員を対象とする働き方関係の調査を進めてきております。その成果の一端を踏まえながらお話をさせていただけたらと思います。
なお、今般の法改正に関わります給特法を始め、学校教育法、さらには教育公務員特例法、地教行法等々を職業心理学であるとか組織心理学という観点から評価を進めるということで私の意見表明とさせていただけたらと思います。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、資料の見開き、ちょっとめくっていただけたらと思います。先ほど鍵本参考人の方からもございましたが、働きやすさと働きがいの両立、こちらを中教審の方で一つの大きなテーマとして掲げております。この両立によって、教員のウエルビーイング、そしてその先にある子供たちのウエルビーイング、これをどう実現していくかということが大きなテーマに掲げられております。
そして、働きやすさ、働きがいに関する文面のところを赤で表現させていただいておりますが、一番上のところはちょっと大きく表現しております。働きやすい職場環境の構築、教師の働きがいを高めていくことなどが大事であって、組織運営の観点から校長等の管理職の役割の重要性、ここに今回の私の報告ではクローズアップをさせていただきまして報告をさせていただきたいと思います。
理由はこの後出てまいります。この学校の長時間勤務の状況であるとか先生方の働きがいの状況というのは、学校ごとによって相当違う、さらには教育委員会ごとによって相当違うということが分かってきております。教育委員会単位の分散とかばらつきは教員勤務実態調査の方でも報告されておりますが、済みません、文科省さんの調査の方でも報告されておりますが、学校ごとのというのはなかなか公にはなっておりませんで、こちらの方の資料をこの場で皆様方に提示させていただけたらと思っております。そのほかにも、働きやすさ、働きがいのフレーズがたくさん出てきております。
次のページをお願いします。働きやすさと働きがいという資料でございます。
働きやすさ、働きがいの定義が具体的に答申の方で掲げられておりませんので、ちょっと私の方でいろいろ調べながら整理をさせていただいております。働きやすさの方は、教員の健康、安全、福利厚生をテーマとし、心にゆとりを持って安心して働ける組織、職場づくりを目指すと、それが実現できているかどうかという観点になります。働きがいの方が、教員が仕事に熱意と誇りを持ち、仕事から活力が得られる組織、職場づくりを目指し、これが実現できているかどうかと。これを縦横で組み合わせますと大きく四つのグループができます。これらの四つのグループのどこかに、学校さん、いろんなですね、小中高、特別支援学校等が入っていくかと思います。
理想といいますか、目指すはもちろん①の働きがいと働きやすさが両立している職場でございます。しかしながら、働きやすさのみが重視されている職場というのもありまして、さらに両方とも実現できていないであるとか、働きがいのみが優先されている職場であるとか、こういった形で学校ごとのポジションを理解することができます。
そして、この資料を用いまして、実際に調査をかけてみますと、次のページのような結果になってまいります。済みません、結構色、配色がごちゃついておりますが、縦軸の方に八十時間非超過者率、これA県の方では、まずは、まずはですね、八十時間超過する先生をゼロにしていこうというビジョンの下動いておりますので、八十という数字で集計をいたしております。上の方に行きますと、八十時間非超過者の方がもういない、いないというですね、おりません。下の方に行きますと、八十時間超過者の方が多い学校になります。一つ一つのドットは小学校を示しております。横軸がワークエンゲージメント、この後七ページ目に尺度が掲載されておりますが、心理尺度の方で測りまして、学校単位の平均をプロットいたしております。右の方に行きますと働きがいが高い学校、小学校、左の方に行きますと働きがいが低い小学校ということになります。もうぱっと見られて分かると思いますが、学校ごとに働きやすさ、働きがいの実現状況というのは相当違ってきているということがお分かりになると思います。
さらに、追加情報を三つほど掲示いたしております。左の方に凡例として挙げておりますが、一つが抑うつの状況でございます。青、黄緑、三角、赤、そしてマーカーの種類もちょっと変えておりますが、丸とか緑のところは先生方の抑うつの程度が低めという、心理的健康が比較的確保されている。ペケのところが、先生方の抑うつ傾向が高い、心理的な状況というのが余り良くないという学校さんになります。マーカーの大きさが主観的幸福感、先生方が幸せを実感できているかどうか、これゼロから十で自己評価をいただいております。さらに、同僚との信頼関係、こちらも低から高まで一、二、三、四、二五%区分で表示をさせていただいております。
理想的なのは丸、青の丸でマーカー大きくて近くに四が配置されている学校というのは、先生方が抑うつ低く幸せを実感しながら仲間との信頼関係の中で仕事ができている、そういった教員ウエルビーイングがまさに達成できているような学校かなと。ペケの一の学校さんでマーカーが小さいケースといいますのが、先生方にとりましたら抑うつ度がちょっと高くて、幸福感が低めで信頼関係がちょっと築けていない、そういう学校群になります。
このペケの一の学校群がどこにあるかといいますと、結構意外であるんですが、働きやすさのみを重視している。つまり、勤務時間は比較的長時間の方が少ない、ほとんどいないんですが、ただ、働きがいがむしばまれている学校群でこのペケの一という状況というのが起きやすいという、こういう状況が出てきております。先生方の心理的な健康のためには、やはり働きがいの向上、維持向上というところが重要であるということがお分かりになると思われます。
こちらの資料の次のページが、これ中学校版でございまして、同じく、読み方は同じになります。傾向も小学校と似た感じでございます。やはり、学校教育法関係の各学校評価の中で、学校評価の中でPDCAを回していく、働き方改革を更に推進していく、業務量の管理と健康確保の措置をしっかり計画し実施していくことが必要であり、そのための学校管理職のリーダーシップというところが重要かなということが分かるかと思われます。
続きまして、今度は教育委員会単位の資料も付けております。
教育委員会の分は、二〇二〇年、二〇二二年、二〇二四年の三か年分、済みません、ちょっと見方難しいかも分かりませんが、三か年分を二十の教育委員会、市町村教育委員会のブロックで表現をさせていただいております。
十一月の調査でございます。二〇二〇年の十一月ですので、ちょっとコロナがスタートしての年度からの開始ということになります。二〇二四が直近でございまして、ちょっと気になるところが、②の働きやすい、長時間勤務は大分是正されてはきたんですけど、働きがいが欠けている市町村教育委員会というのが増えてきたかなという、こういった見方ができるかなと思います。赤でマーカーをしているグループに多くの自治体が飛び込んできてしまっているという状況が見て取れるかと思われます。この辺りも、やはり教育委員会におけます業務量の管理、健康確保の実施計画、マネジメントですね、こちらの更なる推進が、そして、やはり学校ごと、教育委員会ごとにしっかり裁量と権限とを持たせて、現場現場で考えていただくという、そういった方向性が重要かなということを考えております。
続きまして、先ほど紹介いたしました、この働きがいなるものをワークエンゲージメントという尺度で測っております。ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度、世界中で使われております。これ、島津明人先生という慶応大学の先生が国内では一番有名でございまして、十六か国のこの働きがい、ワークエンゲージメントの調査をされましたところ、日本の民間企業が世界で最低だったという、圧倒的に低いスコアであったということが報告されております。
なお、この教員のワークエンゲージメントでいいますと、今世界中で一番力を入れて研究をしている国が中国でございます。圧倒的な論文の数です。教員の働きがい、ワークエンゲージメントは世界中で調査をされておりまして、日本ではちょっとまだ不十分であります。これからどんどん積み上げていく必要があるかと思われます。また御覧いただけたらと思います。
次のページを御覧いただけますでしょうか。
こちら、教員版のJD―Rモデルと言いまして、働きがいを真ん中に位置付けた職業心理学のモデルでございます。働きがい、活力、使命、そして熱意ですね、これらを中心にしまして、先生方がやはり働きがいを持って仕事をしていると成果上がりますし、ウエルビーイングの実現が容易であると。
重要なのはその前段階でございます。職務リソースとありますが、こちらの方は、先生方が働きがいを実感できるような職場というのはやはり公正な職場であると。これ、我々の世界でいいますと、やっぱり人事評価が公正である等ですね、ということが言えると思いますし、裁量がある、自分でやはり判断して決定できるというところが働きがいの根底にありますし、そして何よりも信頼関係でございます。生徒、保護者、同僚、管理職との信頼関係というところがポイントになってくるかなというところでございます。
もちろん働きやすさというところもございまして、長時間勤務がこの中に入ってきております。長時間勤務は教員勤務実態調査の方でも、やはり若手であるとか担任の先生、そして主任の先生が長めになってきているということが分かっておりますが、我々がやっております調査の方では、やはり長時間勤務の先生の特徴としまして、ICTの活用状況がちょっといま一つ、苦手であるとかですね、そういう回答を得られておりますし、長時間勤務の方の特徴としまして、そのほか、同僚との信頼関係が若干脆弱である、管理職との信頼関係が若干脆弱である。こちらも職場問題になってくるとは思うんですが、そういった職場の信頼関係が影響を与えているというところも確認されております。
そして、関係法令との対応を次の資料で御覧になっていただけたらと思うんですが、ワークエンゲージメントの高い職場の特性といたしまして、①の方から、同僚や管理職等の周囲の関係者から日常的な支援があると。ここはやはり主務教諭の出番かなと思います。やはり、日常的な調整と若手の育成を担う主務教諭が同僚との信頼関係づくりにしっかり機能していただくことで先生方の働きがいの向上に。さらに、個々の先生方の職責の範囲が明確であること。これはチーム学校の議論の中で進められているかなと思います。外部人材の方々との役割分担等。そして、ルーティンが少ないこと。四番目が、自分で仕事の内容、分量、ペースをコントロールできると。やはり、管理管理で細かいマイクロマネジメントをしていくよりも、やはり自分のペースで、自分の判断で仕事を進めていけることが働きがいを高めていく上でのポイントであるということと。五番目が、人事評価等がやはり公正に行われていると、業務分担量もそうですね。先ほど学担、学級担任への加算等の話もございましたが、こちらもやはり非常に重要な視点、観点かなと思われます。そして、フィードバックがある。最後に、職能成長に必要な学習機会。こちらもまた、別途、研修の重要性、そして教職員支援機構の方でも研修の改善というのが進んでいるかなと思われます。
そして、最後でございますが、こちらが、①の両立されている教育委員会、そして学校の方々に聞きましたところのまとめでございます。
やはり、両立職場、働きやすさ、働きがい、両立されている職場の先生方というのは働き方改革の目標を共有されておると。子供たちのためにより良い教育を行うことが働き方改革の目標であるということが確認されております。さらには、勤勉に学び続けることであるとか、信頼関係の力で業務を効率化していく、同僚、管理職との信頼が業務の効率化に結び付いていくであるとか、仕事を更に面白くしていくにはどうしたらいいか、未来展望ですね、今は大変かもしれませんが、未来への希望が共有されているといったところが共通点として上がってきております。
働きやすさ、働きがいから、教員ウエルビーイング、そして子供たち、さらに保護者、地域へのウエルビーイング循環へ回していけるような今回の施策のパッケージかなと私の方でも評価をさせていただいております。
済みません、時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。