文教科学委員会

2025-06-03 参議院 全87発言

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会議録情報#0
令和七年六月三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     若林 洋平君     橋本 聖子君
     勝部 賢志君     水岡 俊一君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     松下 新平君     末松 信介君
     古賀 千景君     斎藤 嘉隆君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     水岡 俊一君     三上 えり君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         堂故  茂君
    理 事
                石井 正弘君
                清水 真人君
                本田 顕子君
                水野 素子君
                伊藤 孝恵君
    委 員
                赤池 誠章君
                赤松  健君
                上野 通子君
                臼井 正一君
                末松 信介君
                橋本 聖子君
                斎藤 嘉隆君
                三上 えり君
                下野 六太君
                平木 大作君
                金子 道仁君
                中条きよし君
                吉良よし子君
                宮口 治子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        北脇 達也君
   参考人
       東北大学大学院
       教育学研究科教
       授        青木 栄一君
       岡山大学学術研
       究院教育学域教
       授        鍵本 芳明君
       愛媛大学大学院
       教育学研究科教
       授        露口 健司君
       東京大学大学院
       教育学研究科教
       授        本田 由紀君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(閣法第九号)(衆議院送付)
    ─────────────
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堂故茂#1
○委員長(堂故茂君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、勝部賢志さん、若林洋平さん、古賀千景さん及び松下新平さんが委員を辞任され、その補欠として橋本聖子さん、斎藤嘉隆さん、末松信介さん及び三上えりさんが選任されました。
    ─────────────
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堂故茂#2
○委員長(堂故茂君) 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、東北大学大学院教育学研究科教授青木栄一さん、岡山大学学術研究院教育学域教授鍵本芳明さん、愛媛大学大学院教育学研究科教授露口健司さん及び東京大学大学院教育学研究科教授本田由紀さんでございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、青木参考人、鍵本参考人、露口参考人、本田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただきたいと存じます。その後、委員の質疑にお答えいただきたいと思います。
 御発言の際は、挙手をいただきまして、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず青木参考人からお願いいたします。青木参考人。
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青木栄一#3
○参考人(青木栄一君) おはようございます。ただいま御紹介いただきました青木栄一と申します。大学で教育行政学担当教授をしております。
 本日は、意見を陳述する機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、教育に関する仕事をする上で、自分を育ててくれた日本の公教育システムの下、全ての先生方が働きやすさと働きがいを持てるようにしたい、そういう思いを持って研究と教育に携わってまいりました。この点で文教科学委員会の先生方と思いを同じくしていると信じております。
 それでは、意見に入ります。
 まず冒頭に、この法案、今回の法案について、私の基本的な評価をお示しします。
 本法案が対象とする制度は、長年にわたり様々な批判と再検討の声にさらされており、このテーマは大変重く、慎重な議論と着実な制度設計が求められます。私は全体として前向きに評価いたしますが、あくまで過去の問題を直視しつつ一歩を踏み出そうという意思を見てのことです。
 といいますのも、この法案には、給特法を中心として政策の総動員と言える姿勢がはっきり見えており、教員の多忙、学校の働き方改革という課題に対して、動員可能な政策手段をしっかり整備し対応しようという意思が感じられるからです。
 さらに、法律案の附則について一部修正が行われたことについては、実効性の観点から評価されるべきものと考えます。
 私は、三回にわたる教員勤務実態調査及び平成、令和、二つの中教審特別部会の委員の一人として一連の議論に参画いたしました。その経験から見て、直近の特別部会での議論は妥当な方向性だったと認識しています。なぜならば、現実の制度の機能を直視し、どう改善を図っていくのかという現実論、手段論がしっかりしていたからです。
 また、国としての制度設計の議論の場として、どこまでが国の責任で、どこからが地方や学校、校長の責任かという線引きもかなり明確に意識されていました。この仕分によって、それぞれのレベルでの責任の所在がぼやけることなく、適切に政策を実施できるような提言に結び付いたと思います。
 ここから、私なりに三つの観点から法案を評価していきます。
 第一に、私の専門であります政府間関係論という観点からです。
 政府間関係、言い換えれば国と地方の関係の観点から見ますと、今回の法案は極めて異例ではありますが、教員のためには前向きに捉えられます。
 といいますのも、ある意味で教育行政の地方自治の原則を踏まえつつも、例外的な規定を打ち出しているからです。通常であれば、公立学校の設置者である自治体に相当程度任せるべきところを、地方や学校に丸投げすることなく、あえて国がリーダーシップを取ろうとしています。
 今回の法案は、地方自治の尊重と中央の責任、そのぎりぎりの接点を巧みについた、覚悟を持った制度設計だと評価します。
 例えば、改正案では、教育委員会に対して、文部科学大臣が定める指針に則して、教員の業務量の適切な管理と健康、福祉を確保するための実施計画の策定、公表を義務付け、さらに計画の実施状況の公表も市町村単位で義務付けます。そして、この一連の対応を教育行政に閉じることなく、総合教育会議への報告を義務付けることによって、首長を始めとする多様なステークホルダーとの連携、協働も教育委員会に求めています。
 加えて、給特法と関連する法律の改正を通じて、学校単位の動きにまで義務付けを含む強い規制を二つ掛けます。一つ目は、公立学校が学校評価の結果に基づき講ずる学校運営の改善措置が、先ほどの実施計画に適合することを義務付けます。二つ目は、公立学校の校長が、学校運営協議会の承認を得る学校運営の基本的な方針に業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めることとします。
 これらの改正案は、いずれも教育委員会の行動を強く枠付けるものであると言えます。しかし、教育行政の地方自治原則のぎりぎりの範囲内で、緊急事態とも言える現在の教員の働き方を改善するという強い意思の表れと肯定的に評価しています。
 この国の強い方針に対して、教育委員会や学校が適切に制度を運用することが鍵になります。教育ガバナンスの観点から見ますと、例えば、さきに述べた総合教育会議や学校運営協議会の活用は、首長、保護者、地域住民を巻き込むものです。教育委員会が単独で抱え込む時代から、教育行政の外部主体と連携して進める開かれた教育行政への転換点に立つものと言えましょう。
 こうした既存の制度を給特法と組み合わせ、教育委員会や学校が教員の業務量の適切な管理と健康・福祉確保措置の実効性を主体的に高める狙いを持つこの法案を積極的に評価します。
 ただし、学校運営協議会を設置していない学校については、教員の業務量管理・健康確保措置をより実効性あるものとするという観点からも、設置を促していくことが必要と考えます。
 第二に、個々の学校に目を向けたとき、特に注目されるべきなのが学校マネジメントです。その中でも、いわゆるミドルマネジャーあるいはプレーイングマネジャーの重要性が今日増しています。
 例えば、学年主任や教科主任といった立場の人たちが、自らの授業に加えて、チームメンバーの相談を受け、成長を促すことが求められています。これまでの学校には、いわゆる鍋蓋型組織と呼ばれる構造が根強く、マネジメントが機能しにくい状況でした。
 マネジメントが機能することで、業務の割り振りや適切な分担も期待できます。さらに、休憩時間の確保、勤務間インターバルの確保といった課題にも取り組める可能性を高めます。
 教員の自発性に委ねるべきものは教育活動であり、働き方に関してはマネジメントをしっかり機能させる必要があります。働き過ぎの教員に対しては管理職がちゅうちょなく介入し、働き過ぎの状態から速やかに脱出させるべきです。
 今回の改正案では、主務教諭を置くことができるという任意規定ではありますが、学校組織の中にマネジメント体制を制度的に整備していくものです。まずは、これまでの鍋蓋型組織の課題を克服し、教員の働きやすさと働きがいを実現する突破口になると期待します。
 既に、主務教諭の創設が他の級の教員給与の引下げを招かないようにするべきとの議論がありますが、これに加え、マネジメントを機能させる前提条件としての教職員の定数改善を御検討ください。
 第三に、教員の処遇改善です。
 教職調整額が、教員の業務が本来教員自身の自発性、創造性に委ねられるべきことから、勤務時間の内外を包括的に評価し、本給相当として支給されるものという整理は、さきの中教審答申で改めてなされましたが、私もその考えに賛同しました。
 その理由は、給特法に表現された教員像が、教育内容に詳しい専門職、あらゆる子供のために寝食を忘れて尽くす聖職、そして労働する者としての三つの教員像を三位一体的に包括するものであり、いずれも欠かすことのできないものだからです。
 私なりに教員業務を整理しますと、まず最も基本的な層である第一層は、この専門職モデルに対応し、授業、そして授業準備や教材研究が該当します。他方、聖職モデルに対応するのが第二層業務であり、典型例は夜間の見回り、補導時の対応、不当な要求等を行う保護者等への対応などです。現状を直視し、この第二層を早急に削減するべきです。
 今後は、教員の長時間勤務を速やかに是正していくことが不可欠です。働き方改革が実現された後の姿を見据えれば、教職調整額の制度も、ようやくその制定当初に期待されていたとおりに、教員が真に自発性を発揮し、子供と向き合えるようになると期待できます。
 改正案では、教職調整額の率を四%から一〇%に引き上げることとされています。法案の目的である教員に優れた人材を確保するために、そして一般行政職に対する優遇措置の回復、また民間セクターに負けない人材確保策の観点からも、今回の引上げは妥当と評価いたします。
 最後に、給特法そのものに対する評価を述べます。
 給特法の成立後に初めて教員の多忙が引き起こされたという見方に私はやや疑問を持っています。給特法は多忙化の原因と批判されますが、既に多忙が認識されていた昭和二十年代以降の経緯を見れば、立法時点ではむしろ教員業務の無定量化を防ぐために、かつ教員の職務と勤務態様の特殊性が織り込まれ、生まれたものです。
 さて、当時の文部省の担当局長は、給特法の成立の後、校長が勤務時間管理をしっかり行うように指導すると述べました。しかしながら、実際は、教員の勤務実態の把握やそれに基づいた措置について、文部省や教育委員会の対応には問題が全くなかったとは言えません。
 こうした状態に法律面で突破口を開いたのは、教員業務の時間管理を明記した二〇一九年改正です。今回の改正は、更に踏み込んだ時間管理を国、地方通じて目指すものです。現実に対応する法改正が行われるようになったわけでして、ようやく給特法に血が通い始めたと言えます。
 給特法は、教員の給与体系や勤務時間の扱いなどに深く関わる法律ですが、単体で十全に機能するものではありません。
 今回の法案は、まずこの給特法自体の実効性をどう担保するのかという点を意識した内容となっています。中教審で抜本的な議論を行い、制度の根幹は維持しつつも、長年指摘されてきた課題を克服するために国と地方の関係では踏み込んだ制度改革を盛り込みました。
 さらに、関連制度との組合せで制度の実効性を更に担保するための改正案、そして修正案と捉えています。つまり、給特法単体では期待できない学校の働き方改革の推進を、関連する制度を活用しながら実現していくことが期待できます。
 給特法成立時点では欠けたピースが数多くありました。今回の法案には、まさにこの欠けたピースを埋める内容が盛り込まれています。これは非常に重要な進展でして、制度全体の整合性を取る上でも、教員の働き方改革を本気で進めていくという意味でも必要不可欠と思います。
 まずは、一歩前に踏み出し、今回の改正案を実行することが重要です。そして、改革案の進展度合いによっては、文部科学省がより学校や教育委員会に関与する権限強化も検討されるべきです。
 なお、文部科学省の組織と政策を対象とする研究者として申し上げます。
 今回の改正を着実に実行していく上で、霞が関最小規模の本省組織であり、地方支分部局を持たない文部科学省の機能強化が必要不可欠です。少なくとも、教育委員会に対する指導、教員の勤務実態の把握のためには、すぐにでも担当部局の増員、純増が必要であり、司令塔機能の強化が求められます。
 この度の改革は、日本の学校文化を問い直す挑戦でもあります。今この瞬間も教室で奮闘する先生方の姿、そして未来を切り開く子供たちの笑顔を思えば、この法案が持つ意味は極めて大きなものと言えましょう。文教科学委員会の皆様におかれましては、是非この挑戦の意義をお受け止めいただき、日本の先生方を支える力強い応援として御検討いただければと存じます。
 私の意見は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
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堂故茂#4
○委員長(堂故茂君) ありがとうございました。
 次に、鍵本参考人からお願いいたします。鍵本参考人。
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鍵本芳明#5
○参考人(鍵本芳明君) 皆様、おはようございます。岡山大学の鍵本と申します。
 本日は、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 私は、現在、教職大学院に勤務しておりますが、これまで、教諭として学校現場に勤務した後、昨年の三月まで岡山県教育委員会事務局に二十年余り在職し、最後の六年間は県教育委員会の教育長として勤務いたしました。また、中央教育審議会の質の高い教師の確保特別部会にも臨時委員として参加させていただきました。
 こうしたことを踏まえ、私からは、県教育委員会の教育長として学校現場の先生方とともに働き方改革を進めてきた立場から、本日は意見を述べさせていただきたいと存じます。
 それでは、資料に沿って説明させていただきます。
 申し上げるまでもありませんが、我が国の教員は、児童生徒の状況を総合的に把握し指導することで、知徳体を一体で育む全人的な教育を実現しており、このことは諸外国からも高い評価を得ているところであります。そして、教員自身も、我が国の未来を担う子供たちを育てるという崇高な仕事にやりがいと誇りを持ち、子供たちのためにという思いで献身的に取り組んでおります。
 しかし、学校が対応する課題が複雑化、困難化する中、学校や教員の担う業務の範囲が拡大し、その負担が増えてきたのも事実であります。
 この度の改正案に示された内容は、中教審答申に示されております働き方改革の更なる加速化、指導、運営体制の充実、教師の処遇改善といった三つの柱を一体的、総合的に推進していく上で是非とも必要な改正であり、その着実な実施によって、教員が自らの崇高な仕事に誇りを持ち、子供たちと向き合っていけるよう、また、教職が魅力ある仕事として学生から認知され、引き続き優秀な人材が確保していけるよう、その成立を強くお願いするものであります。
 さて、私からは、中教審答申に示された一体的、総合的に推進すべき三つの柱に基づいて、本改正案の評価について述べたいと存じます。
 まず、働き方改革の更なる加速化についてであります。
 この度の改正案では、働き方改革を一層着実に推進していくため、各教育委員会に対して業務量管理・健康確保措置実施計画の策定、公表、そしてその実施状況の公表、さらには総合教育会議への報告が義務付けられております。
 私が勤務しておりました岡山県教委では、服務監督権者である市町村教委と連携しながら学校の働き方改革を進めてまいりました。県教委と県内の市町村教委が方向性を共有して取り組んでいけるよう、協議に基づき働き方改革緊急宣言を連名で県内の教職員に対して示すとともに、市町村教委からの意見に基づき、保護者や地域の方々に学校の働き方改革について理解と協力が得られるようリーフレットを作成、配付したり、PTA総会や学校運営協議会等で見ていただける動画を作成し、活用できるようにいたしました。
 また、働き方改革として取り組んでいる効果的な取組の例、例えば、欠席連絡や学校からの文書のデジタル化、デジタル採点システムの導入、給食費の公会計化などを市町村教委に示し、助言を行いながらその進捗状況を確認してまいりました。
 しかし、働き方改革の取組の状況は市町村教委によって差があるのが残念ながら実態であります。服務監督権を持つ市町村教委の各学校への関わりが働き方改革の進捗にも大きく影響することは言うまでもありません。その意味からも、この度の改正案の中で、各教育委員会に対し、計画の策定、公表や、その実施状況の公表を義務付けた点は、働き方改革の取組内容とその進捗状況を見える化し、PDCAサイクルを回して更なる改善を図っていく上で是非とも必要な改正であり、大いに評価しているところであります。さらに、総合教育会議への報告を義務付けたことは、学校の働き方改革について重要な関係機関である首長部局も巻き込んで議論を進めていく上で重要な改正だと考えます。
 その上で、都道府県教委は、見える化された市町村教委の進捗状況を踏まえ、計画の確実な実施が図れるよう、必要な指導、助言、援助を当事者意識を持って行っていかなくてはならないと考えます。
 また、校長が学校運営協議会の承認を得ることとなっている学校運営の基本的な方針に業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めるよう改正することは、学校の働き方改革の内容やその進捗状況を保護者や地域の方々にも知ってもらい、これからの学校をどうしていくのかを共に考える上で重要な改正であると考えます。
 本県におきましても、学校が働き方改革を進める中、学校運営協議会でその実態を知り、地域の方から、先生方がそんなに大変なんだったらできることは自分たちもやるよという声が上がり、それまでの学校行事を地域主体の行事に変更したり、学校支援ボランティアに多くの地域の皆さんが参加してくださるようになった学校も見られます。
 学校の抱える様々な課題を教員だけで何とかするのではなく、この改正により、学校運営協議会などを活用して、多くの関係者の皆さんと一緒に学校の在り方を考えていけるよう、今後の取組が進んでまいりますことを大いに期待いたしております。
 このように、学校の働き方改革は、国、都道府県、市町村、各学校など教育に関わるそれぞれの主体がその権限と責任に基づき主体的に取り組むことが何より重要であり、そのためには、計画を明らかにし、その進捗状況を見える化した上でPDCAサイクルを回していくことが必要であり、その基盤をつくる今回の法改正は是非とも実現すべきものと考えております。
 次に、学校運営体制の充実についてであります。
 現在、本年度予算において、教員の担当授業時数の多い小学校で教科担任制を拡充し教員数を計画的に改善していただいていること、また、不登校等生徒指導上の課題の大きい中学校に生徒指導担当の教員の配置拡充を進めていただいていることは、学校の指導、運営体制の充実を図っていく上で誠に有り難く、感謝いたしております。また、学校現場に学校支援スタッフの更なる配置拡充のための予算措置を講じていただいていることにも感謝申し上げます。多様な支援スタッフが学校に入り、学校がチームとして機能することは、教員が教員にしかできない業務に集中できるとともに、多様な専門性を有する質の高い教職員集団となっていくために必要であると考えます。
 こうした中、この度の改正案では、主務教諭の創設が示されております。申し上げるまでもなく、近年、大量退職、大量採用によって若手教員が増加しております。
 教員という仕事は、経験年数の少ない若手教員のときからベテラン教員と同様に子供たちと向き合っていかなくてはならない責任ある仕事です。教職を目指す学生の中にも、十分な指導、支援が得られるか、この点に不安を抱く者も少なからずおります。こういった不安を解消しつつ、若手教員が学校現場での学び合いを通して資質、能力を向上させ、学びに関する高度専門職として成長できるよう、これを組織として支援することの重要性が中教審の部会でも多く指摘されました。
 主務教諭の創設は、学校がこういった若手教員へのサポート機能を強化するとともに、子供たちが抱える課題や学校横断的な取組への対応について、学校内外の連絡調整機能を充実させることを目的として行われるものであると理解しております。主務教諭が職として設置されることは、学校がいわゆる鍋蓋型と言われる組織体制から脱し、組織的、機動的なマネジメント体制を構築していく上でその意義は大きいと考えており、是非実現をお願いするものであります。
 最後に、教師の処遇改善についてであります。
 これまで申し上げてきたように、学校の働き方改革を着実に進めると同時に教員の処遇の改善を図っていくことは、未来を担う子供たちを育成するという極めて複雑で困難な職務を日々献身的に行っている教員に対して敬意を払い、その職責に報いることであり、教員に尊敬と憧れを持ち、教職を志す優秀な人材を引き続き確保していくためにも是非とも行うべきと考えます。
 こうした意味からも、この度の教職調整額を四%から一〇%まで引き上げるという改正は、現状の中で高度専門職としてふさわしい処遇の実現を図ろうとするものであり、その実現を強く願うものであります。
 この点については、時間外勤務手当にすべきという御意見があることも承知しております。仮に時間外勤務手当とした場合、教員が行う個別具体の職務について管理職が時間外勤務命令を発することができるかといえば、実務上難しいと考えます。
 申し上げるまでもなく、教員の職務はその自発性、創造性によるところが大きく、多様な子供たちがいる状況の中で、個々の子供に応じた指導や支援を各教員がその場その場で判断しながら進めているのであり、管理職がその内容を把握し、時間外勤務命令の判断をすることは極めて難しいと考えます。それをあえて行えば、管理職と教員の間にあつれきを生じさせ、学校現場に混乱を起こすことを危惧するものであります。
 また、県教委の教育長をしていた立場から申し上げます。時間外勤務手当化することによって、民間企業のように時間外勤務手当を削減しようとするインセンティブが働き、結果として時間外勤務を減少させる方向に機能するのではないかという御指摘もございます。しかしながら、この点については、御承知のように、小中学校の大半は市町村立の学校であり、その服務監督権は市町村の教育委員会にありますが、給与は県費負担教職員制度により都道府県の教育委員会が負担をしております。こうした構造の中では、仮に時間外勤務手当となった場合においても、民間企業のようなインセンティブは服務監督権者である市町村教委に対して直接働かないと考えます。
 また、本来、地域による給与面の格差をなくし、県内の人事交流の円滑化を図るための県費負担教職員制度でありますが、服務監督権者である市町村教委の時間外勤務の考え方や働き方改革の取組の差によって地域による給与面の差が生ずることも懸念いたしております。
 こうしたことから、学校現場の混乱を避け、自発性、創造性に期待する面の大きい教員の職務の特殊性を考慮すれば、勤務時間の内外を問わず、その職務を包括的に評価した現在の教職調整額の在り方自体は維持しつつ、その水準を見直すことが適当であると考え、この度の改正案の実現を求めるものであります。
 また、この度の改正案で、義務教育等教員特別手当について、学級担任の手当額を加算できるようにしていることは、学校現場の実態に即した御判断であると考えます。
 学級担任は、日々、子供たちの学習や学級に関する業務、保護者への連絡、子供たちのトラブルの解決や個々の子供たちへの相談対応などに取り組んでおり、学級担任の負担が担任以外の教員より重いことは学校関係者の間では共通の認識であります。それでも、学校現場の教員は、子供たちのためにと学級担任を引き受け、日々子供たちと向き合っております。
 こうした職務の重要性やその負担の大きさを踏まえ、学級担任の教員の苦労に報いるためにも、現在一律に支給されている義務教育等教員特別手当をその職務の負担に応じた支給に見直し、学級担任の手当額を加算する今回の改正は是非実現していただきたいと考えます。
 以上申し上げましたように、教員が働きやすさと働きがいを感じつつその仕事に取り組むためには、働き方改革の更なる加速化、指導、運営体制の充実、教師の処遇改善といった三つの柱を一体的、総合的に推進していくことが重要であり、教育に関わる各主体がそれぞれの取組の進捗状況を見える化しつつ、自分事としてその権限と責任を果たしていくことが必要であると考えます。
 そのためにも、この度の法改正の実現は是非とも必要であり、本法律案の成立を強くお願いいたしまして、私からの意見陳述とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
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堂故茂#6
○委員長(堂故茂君) ありがとうございました。
 次に、露口参考人からお願いいたします。露口参考人。
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露口健司#7
○参考人(露口健司君) 失礼いたします。
 愛媛大学の露口でございます。
 私の方は、教育学部、教職大学院の方で二十年ほど教員養成の現場に携わってきております。今回は、この教員養成の現場で培ったノウハウと、あとは、途中、資料で出てまいりますが、A県教育委員会様と、これまで二〇二〇年度から五年間、毎年全ての小中高、特別支援学校の職員を対象とする働き方関係の調査を進めてきております。その成果の一端を踏まえながらお話をさせていただけたらと思います。
 なお、今般の法改正に関わります給特法を始め、学校教育法、さらには教育公務員特例法、地教行法等々を職業心理学であるとか組織心理学という観点から評価を進めるということで私の意見表明とさせていただけたらと思います。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、早速でございますが、資料の見開き、ちょっとめくっていただけたらと思います。先ほど鍵本参考人の方からもございましたが、働きやすさと働きがいの両立、こちらを中教審の方で一つの大きなテーマとして掲げております。この両立によって、教員のウエルビーイング、そしてその先にある子供たちのウエルビーイング、これをどう実現していくかということが大きなテーマに掲げられております。
 そして、働きやすさ、働きがいに関する文面のところを赤で表現させていただいておりますが、一番上のところはちょっと大きく表現しております。働きやすい職場環境の構築、教師の働きがいを高めていくことなどが大事であって、組織運営の観点から校長等の管理職の役割の重要性、ここに今回の私の報告ではクローズアップをさせていただきまして報告をさせていただきたいと思います。
 理由はこの後出てまいります。この学校の長時間勤務の状況であるとか先生方の働きがいの状況というのは、学校ごとによって相当違う、さらには教育委員会ごとによって相当違うということが分かってきております。教育委員会単位の分散とかばらつきは教員勤務実態調査の方でも報告されておりますが、済みません、文科省さんの調査の方でも報告されておりますが、学校ごとのというのはなかなか公にはなっておりませんで、こちらの方の資料をこの場で皆様方に提示させていただけたらと思っております。そのほかにも、働きやすさ、働きがいのフレーズがたくさん出てきております。
 次のページをお願いします。働きやすさと働きがいという資料でございます。
 働きやすさ、働きがいの定義が具体的に答申の方で掲げられておりませんので、ちょっと私の方でいろいろ調べながら整理をさせていただいております。働きやすさの方は、教員の健康、安全、福利厚生をテーマとし、心にゆとりを持って安心して働ける組織、職場づくりを目指すと、それが実現できているかどうかという観点になります。働きがいの方が、教員が仕事に熱意と誇りを持ち、仕事から活力が得られる組織、職場づくりを目指し、これが実現できているかどうかと。これを縦横で組み合わせますと大きく四つのグループができます。これらの四つのグループのどこかに、学校さん、いろんなですね、小中高、特別支援学校等が入っていくかと思います。
 理想といいますか、目指すはもちろん①の働きがいと働きやすさが両立している職場でございます。しかしながら、働きやすさのみが重視されている職場というのもありまして、さらに両方とも実現できていないであるとか、働きがいのみが優先されている職場であるとか、こういった形で学校ごとのポジションを理解することができます。
 そして、この資料を用いまして、実際に調査をかけてみますと、次のページのような結果になってまいります。済みません、結構色、配色がごちゃついておりますが、縦軸の方に八十時間非超過者率、これA県の方では、まずは、まずはですね、八十時間超過する先生をゼロにしていこうというビジョンの下動いておりますので、八十という数字で集計をいたしております。上の方に行きますと、八十時間非超過者の方がもういない、いないというですね、おりません。下の方に行きますと、八十時間超過者の方が多い学校になります。一つ一つのドットは小学校を示しております。横軸がワークエンゲージメント、この後七ページ目に尺度が掲載されておりますが、心理尺度の方で測りまして、学校単位の平均をプロットいたしております。右の方に行きますと働きがいが高い学校、小学校、左の方に行きますと働きがいが低い小学校ということになります。もうぱっと見られて分かると思いますが、学校ごとに働きやすさ、働きがいの実現状況というのは相当違ってきているということがお分かりになると思います。
 さらに、追加情報を三つほど掲示いたしております。左の方に凡例として挙げておりますが、一つが抑うつの状況でございます。青、黄緑、三角、赤、そしてマーカーの種類もちょっと変えておりますが、丸とか緑のところは先生方の抑うつの程度が低めという、心理的健康が比較的確保されている。ペケのところが、先生方の抑うつ傾向が高い、心理的な状況というのが余り良くないという学校さんになります。マーカーの大きさが主観的幸福感、先生方が幸せを実感できているかどうか、これゼロから十で自己評価をいただいております。さらに、同僚との信頼関係、こちらも低から高まで一、二、三、四、二五%区分で表示をさせていただいております。
 理想的なのは丸、青の丸でマーカー大きくて近くに四が配置されている学校というのは、先生方が抑うつ低く幸せを実感しながら仲間との信頼関係の中で仕事ができている、そういった教員ウエルビーイングがまさに達成できているような学校かなと。ペケの一の学校さんでマーカーが小さいケースといいますのが、先生方にとりましたら抑うつ度がちょっと高くて、幸福感が低めで信頼関係がちょっと築けていない、そういう学校群になります。
 このペケの一の学校群がどこにあるかといいますと、結構意外であるんですが、働きやすさのみを重視している。つまり、勤務時間は比較的長時間の方が少ない、ほとんどいないんですが、ただ、働きがいがむしばまれている学校群でこのペケの一という状況というのが起きやすいという、こういう状況が出てきております。先生方の心理的な健康のためには、やはり働きがいの向上、維持向上というところが重要であるということがお分かりになると思われます。
 こちらの資料の次のページが、これ中学校版でございまして、同じく、読み方は同じになります。傾向も小学校と似た感じでございます。やはり、学校教育法関係の各学校評価の中で、学校評価の中でPDCAを回していく、働き方改革を更に推進していく、業務量の管理と健康確保の措置をしっかり計画し実施していくことが必要であり、そのための学校管理職のリーダーシップというところが重要かなということが分かるかと思われます。
 続きまして、今度は教育委員会単位の資料も付けております。
 教育委員会の分は、二〇二〇年、二〇二二年、二〇二四年の三か年分、済みません、ちょっと見方難しいかも分かりませんが、三か年分を二十の教育委員会、市町村教育委員会のブロックで表現をさせていただいております。
 十一月の調査でございます。二〇二〇年の十一月ですので、ちょっとコロナがスタートしての年度からの開始ということになります。二〇二四が直近でございまして、ちょっと気になるところが、②の働きやすい、長時間勤務は大分是正されてはきたんですけど、働きがいが欠けている市町村教育委員会というのが増えてきたかなという、こういった見方ができるかなと思います。赤でマーカーをしているグループに多くの自治体が飛び込んできてしまっているという状況が見て取れるかと思われます。この辺りも、やはり教育委員会におけます業務量の管理、健康確保の実施計画、マネジメントですね、こちらの更なる推進が、そして、やはり学校ごと、教育委員会ごとにしっかり裁量と権限とを持たせて、現場現場で考えていただくという、そういった方向性が重要かなということを考えております。
 続きまして、先ほど紹介いたしました、この働きがいなるものをワークエンゲージメントという尺度で測っております。ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度、世界中で使われております。これ、島津明人先生という慶応大学の先生が国内では一番有名でございまして、十六か国のこの働きがい、ワークエンゲージメントの調査をされましたところ、日本の民間企業が世界で最低だったという、圧倒的に低いスコアであったということが報告されております。
 なお、この教員のワークエンゲージメントでいいますと、今世界中で一番力を入れて研究をしている国が中国でございます。圧倒的な論文の数です。教員の働きがい、ワークエンゲージメントは世界中で調査をされておりまして、日本ではちょっとまだ不十分であります。これからどんどん積み上げていく必要があるかと思われます。また御覧いただけたらと思います。
 次のページを御覧いただけますでしょうか。
 こちら、教員版のJD―Rモデルと言いまして、働きがいを真ん中に位置付けた職業心理学のモデルでございます。働きがい、活力、使命、そして熱意ですね、これらを中心にしまして、先生方がやはり働きがいを持って仕事をしていると成果上がりますし、ウエルビーイングの実現が容易であると。
 重要なのはその前段階でございます。職務リソースとありますが、こちらの方は、先生方が働きがいを実感できるような職場というのはやはり公正な職場であると。これ、我々の世界でいいますと、やっぱり人事評価が公正である等ですね、ということが言えると思いますし、裁量がある、自分でやはり判断して決定できるというところが働きがいの根底にありますし、そして何よりも信頼関係でございます。生徒、保護者、同僚、管理職との信頼関係というところがポイントになってくるかなというところでございます。
 もちろん働きやすさというところもございまして、長時間勤務がこの中に入ってきております。長時間勤務は教員勤務実態調査の方でも、やはり若手であるとか担任の先生、そして主任の先生が長めになってきているということが分かっておりますが、我々がやっております調査の方では、やはり長時間勤務の先生の特徴としまして、ICTの活用状況がちょっといま一つ、苦手であるとかですね、そういう回答を得られておりますし、長時間勤務の方の特徴としまして、そのほか、同僚との信頼関係が若干脆弱である、管理職との信頼関係が若干脆弱である。こちらも職場問題になってくるとは思うんですが、そういった職場の信頼関係が影響を与えているというところも確認されております。
 そして、関係法令との対応を次の資料で御覧になっていただけたらと思うんですが、ワークエンゲージメントの高い職場の特性といたしまして、①の方から、同僚や管理職等の周囲の関係者から日常的な支援があると。ここはやはり主務教諭の出番かなと思います。やはり、日常的な調整と若手の育成を担う主務教諭が同僚との信頼関係づくりにしっかり機能していただくことで先生方の働きがいの向上に。さらに、個々の先生方の職責の範囲が明確であること。これはチーム学校の議論の中で進められているかなと思います。外部人材の方々との役割分担等。そして、ルーティンが少ないこと。四番目が、自分で仕事の内容、分量、ペースをコントロールできると。やはり、管理管理で細かいマイクロマネジメントをしていくよりも、やはり自分のペースで、自分の判断で仕事を進めていけることが働きがいを高めていく上でのポイントであるということと。五番目が、人事評価等がやはり公正に行われていると、業務分担量もそうですね。先ほど学担、学級担任への加算等の話もございましたが、こちらもやはり非常に重要な視点、観点かなと思われます。そして、フィードバックがある。最後に、職能成長に必要な学習機会。こちらもまた、別途、研修の重要性、そして教職員支援機構の方でも研修の改善というのが進んでいるかなと思われます。
 そして、最後でございますが、こちらが、①の両立されている教育委員会、そして学校の方々に聞きましたところのまとめでございます。
 やはり、両立職場、働きやすさ、働きがい、両立されている職場の先生方というのは働き方改革の目標を共有されておると。子供たちのためにより良い教育を行うことが働き方改革の目標であるということが確認されております。さらには、勤勉に学び続けることであるとか、信頼関係の力で業務を効率化していく、同僚、管理職との信頼が業務の効率化に結び付いていくであるとか、仕事を更に面白くしていくにはどうしたらいいか、未来展望ですね、今は大変かもしれませんが、未来への希望が共有されているといったところが共通点として上がってきております。
 働きやすさ、働きがいから、教員ウエルビーイング、そして子供たち、さらに保護者、地域へのウエルビーイング循環へ回していけるような今回の施策のパッケージかなと私の方でも評価をさせていただいております。
 済みません、時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
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堂故茂#8
○委員長(堂故茂君) ありがとうございました。
 次に、本田参考人からお願いいたします。本田参考人。
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本田由紀#9
○参考人(本田由紀君) 東京大学大学院教育学研究科で教授をしております本田由紀と申します。
 本日は、意見陳述の機会を与えてくださり、ありがとうございます。
 全国の公立学校で必死に勤務を続ける多数の教員の思いを背負う状態で今意見を述べたいと思います。
 タイトルとして、今回の改正案では是正されない給特法の問題点というふうに書いてあります。一ページから二ページにかけて要点を六点にわたってまとめております。要点は六つあるんですけれども、大きく分ければ三つのことを申し上げたいと思います。
 その三つといいますのは、この要点と書いてあるところの一、二、三、これがまず第一点目になりますけれども、これは、根本的なその法律の立て付けに関する問題について指摘しております。二つ目の論点が、要点の四に当たるところですけれども、これは調整額の問題です。三つ目の論点が五、要点の五に当たりますけれども、主務教諭の問題になります。六は全体のまとめです。そういった流れでお話ししていきたいと思います。
 まず要点の一のところですけれども、黄色で塗ってありますけれども、時間外在校等時間という言葉が、今回の法案の附則の第三条にも、法律で初めて記載されたことになりますけれども、この時間外在校等時間というものの性質に関して述べておりますが、これは明らかに労働時間であるというふうに言えます。
 なぜかというと、そもそもこの時間外在校等時間という言葉が、教員が自発的に取り組んであるあたかも時間であるかというような、そういう印象操作のために使われている言葉になっているわけですけれども、実態としましては明らかに労働時間であると。
 その根拠は、一つは過労死等における裁判において労働時間というふうにみなされているということが一つ。もう一つは、勤務実態調査の結果におきましても、時間外在校等時間の内実というものが自発的どころか完全に本来業務として仕事がされている時間であるということが明らかになっており、やはりこの点からも労働時間に該当するということが言えます。
 これにつきましては本資料の四ページから五ページにかけて示しておりますけれども、使わせていただいているのは、まずは勤務実態調査のデータですけれども、これを見ますと、小学校、中学校とも在校等時間は一日当たり十一時間ぐらいになっているわけです。
 これに対して東京大学名誉教授の小川正人先生がその四ページの下から五ページにかけてこのような分析を示されているんですけれども、こちらは、連合が二〇二三年に開催された学校の働き方改革の実現に向けたシンポジウムというところでの資料ですけれども、要点を申しますと、小川正人先生の分析は、もうこの十一時間というものの内部、中身の構成を見ますと、全部が教員としての職務に必要な時間であると。授業に関する事柄であったり、あるいは生徒指導に関する事柄であったり、経営若しくは校内研修などを足し合わせても、前半の授業や生徒指導に関わる不可欠な業務だけでもう勤務時間が超過してしまうというですね。
 ですから、勝手にやっているといったようなニュアンスがある、その自発的といったような言葉は当てはまらないものであるということが既に教員勤務実態調査からも明らかになっています。まずこの点を押さえておく必要がある。これが要点と書いてあるところの一点目です。
 次に、要点と書いてあるところの二点目ですけれども、このような時間外在校等時間の労働時間としての性質に照らしたときに、文部科学省の見解というのは非常に大きな矛盾というか、破綻、そごというものが見られる状況になっております。
 資料の一ページ目のその要点のところに基づいて申し上げますと、文部科学省のガイドラインには、既に上記の時間外在校時間というのは実質的には労働時間であるという内実というものを認めております。それにもかかわらず、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務は教師が自らの判断で自発的に行っているものとする立場に固執しています。
 このような立場の論拠となっているのは、時間外勤務命令は超勤四項目以外に出せない、そして時間外勤務命令が出ていない在校時間に関しては労働時間ではないという、そこにずっとこだわり続けているわけですけれども、既に、こうした論理、つまり時間外勤務命令が出ているか否かということによって労働時間かどうかということを判断するというような理屈というものは、既に労働の分野においては覆されているということが重要です。
 本資料の六ページ辺りに詳しく書いておりますけれども、最高裁判決及び厚生労働省のガイドラインにより、明示的な時間外勤務命令が出ていなくとも黙示的な指示があれば労働時間と既にみなされるようになっております。
 黙示的な指示といいますのは、実質的に義務付けられていたり、あるいはそれをすることを余儀なくされていた場合に黙示的な指示があったというふうに判断されるようになっているわけですけれども、先ほど要点の一のところで見たように、教員の勤務実態においては、全ての時間が、余儀なくされる、もう校務を遂行していくために必要な業務として行われているわけですから、黙示的な指示があるものというふうにはっきりとみなされます。
 この点に関しましては、本資料の六ページにおいて、一つの例としまして文部科学省のガイドラインの本文を示しているんですけれども、ガイドラインにおいては、既に厚生労働省のそういった判断というものが実際にガイドラインにおいても書かれています。使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとされていますと書いてあるその直後に、ガイドラインにおいては、このことからと書いてあるんですけれども、この、このことからという接続詞は一切成り立ちません。教師に関しては、校務であったとしても、使用者からの指示に基づかず、勤務時間外に超勤四項目以外の業務を自発的な判断により云々と書いてあるんですけれども、明示的な指示に基づいていなくとも、黙示的な指示に基づいていると判断される場合には、それは労働時間です。ですので、自発的であり勝手にやっているので労働時間ではないという理屈はもう成り立たないわけです。このような点で、これまでの文部科学省のこの見解というのはもう破綻しております。
 また、付け加えて言いますと、この時間外在校等時間というものが自発的な取組だというふうな解釈に文科省は固執しておりますが、それを勤務時間管理の対象とするとしています。すなわち、実質的な労働時間に当たる勤務時間と言い換えたり、あるいは在校等時間と言い換えたりしていますけれども、労働時間に対して、それを管理はするが、その時間に応じた報酬を支払わないという、完全に労働分野の規範から逸脱したような判断を取り続けているという点でも、今回の給特法というのは非常に大きな問題を含んでおります。
 三のところに、この要点の一、二をまとめた見解というか、私の意見が示されておりますけれども、このように、ちょっと繰り返しになりますけれども、法案の附則第三条において時間外在校等時間というものを示し、かつ、それを労働時間とはみなさない立場を続けている現法案というのは、法体系としても公立学校教員の現状から見ても非常に破綻しているというふうに言わざるを得ません。既に、地方議会では、現状の公立学校教員の勤務実態が労働基準法に違反しているという認識が多数示されるようになっております。
 このような破綻した法体系下での働かせ放題の固定化、在校等時間の短縮のための時短ハラスメントや持ち帰り時間の拡大などがこれから発生するおそれが強いわけですけれども、そういったことは、教員の士気の低下を招き、ただでさえ限界に達している学校現場が一層これから混乱、崩壊していくおそれというものが強いものです。
 また、既に資料で示しておりますように、数々の訴訟が持ち上がっておりますが、今後、国、自治体、校長を被告とする訴訟が相次ぎ、国、自治体、校長は訴訟対応や賠償金の支払に追われ、学校現場の混乱が拡大していくおそれがあります。そのような法律を通してしまうということに関して国会の責任は極めて大きいものと考えております。
 次の要点の四といいますのが、こちらは、これまで申し上げてきましたように、時間外在校等時間というものを労働時間として捉えたときに、今回、教職調整額を段階的に一〇%まで上げていくということがもう法案として組み込まれているわけなんですけれども、これが仮に一〇%まで上がったとしても、そしてまた、仮に、今回の法案の附則で示されている、時間外在校等時間を三十時間まで減らすということが目標として示されているわけなんですけれども、そもそも三十時間まで減らすことが可能かということについて、今回幾つも挙げられている対策では非常にその可能性は薄いと考えられますし、仮にですが、三十時間まで減らすことができたとしても、そしてまた、最終的に達した教職調整額一〇%というものは、三十時間に対する報酬として時間外の労働時間に対する適正な報酬額に達しておりません。
 つまり、この点からして、現在の法案というのは、無報酬の労働を公立学校教員に要請というか強制するという点で労働関連法規にも規範にも違反しているというふうに言えます。
 なぜこのように言い得るかということに関しましては、本資料の八ページに計算の仕方が書いてあります。八ページを御覧いただきますようお願いします。
 元々、教職調整額四%というのは、一九六六年の教員勤務実態調査の結果を踏まえて制定されたものです。当時の一九六六年における残業というのは約八時間でした。八時間に対して教職調整額は基本給の四%を定めているわけです。つまり、一時間の残業につき四%割る八時間ということで、〇・五%の補填が正しいということで、四%の教職調整額ということが定められたというのがこの法のそもそもの作られたときの理屈です。
 だとすれば、これを適用しますと、二〇二二年度の教員勤務実態調査では、一月当たりの時間外在校等時間の推計は、小学校では約四十一時間、中学校では約五十八時間とされており、この調査結果に基づくものであれば、適正な教職調整額割合というのは、小学校であれば四十一時間に〇・五%掛けて二〇・五%、中学校、五十八時間に〇・五%掛けて二九%でなくてはならないという、そういう計算の結果になります。
 これが実態ですけれども、今後この時間外在校等時間を仮に三十時間に抑えていくとします。そうしますと、三十時間に当たる、三十時間に対する調整額の割合は三十掛ける〇・五で一五%でなくてはならないということになります。それを一〇%というふうに現在掲げているということは、仮にそれが段階的に上がっていって一〇%になった時点においても既に五%分の搾取を組み込んだことを法律として定めるものであり、到底容認できるものではありません。
 これは、国が、全国の多数の教員に対してただ働き、搾取というものを法律で定めるという、全くやってはならないことが今、目の前で進行しようとしているということについて是非認識を持っていただきたいと思います。
 続けて、要点の五点目になりますけれども、こちらは主務教諭についての事柄です。
 主務教諭ということが新たに設けられて、それに関して役職給を設定するというふうにされていますけれども、本資料の九ページの表、これは教員勤務実態調査ですけれども、を見ていただければお分かりのように、非常に長時間勤務の度合いが高いのは二十代の若手教員が多くなっております。
 主務教諭というものの定義を見ますと、これも九ページに書いてありますけれども、中堅教員を対象とするというふうに書いてあります。児童の教育をつかさどる、及び命を受けて当該小学校の教育活動に関し教諭その他の職員間における総合的な調整を行うという、まあ管理職に当たるものであって、かつ、文部科学省の資料では中堅教員というふうに定義されておりまして、これが、二十代のいわゆる若手教員に対する、の長時間に対する対処策として主務教諭というものを幾ら設けても使えないという、対象がずれているということになります。
 また、この主務教諭というものを設けたことによって、この主務教諭に仕事上の負荷が集中し、主務教諭において長時間労働が悪化するおそれというものがあります。
 さらに、この主務教諭という新たな階層を設けることによって教員間に責任や賃金の階層構造を増大させるような施策は、互いの専門性や教育への思いに敬意を払いつつ、対等に意見を述べ合って運営に参加している、参加していくという学校の在り方を現在以上に阻害していくおそれがあるという点でも大きな問題があるというふうに考えます。
 以上、五点にわたって要点を述べてまいりましたけれども、結論を申し上げますと、端的に言いまして、今回の、既にこれまであった給特法案もそうなんですけれども、それを改正する今回の法案も非常にその場しのぎといいますか、おためごかしというか、ものにすぎません。それがいかに国会の中だけで、いろんな省庁間の手打ちであるとか、そういうものによって決まっていたとしても、それがその場しのぎ、おためごかしであり、策術的なものであるということは全国の教員の目にはありありと見えております。労働に関する、これも別途はっきりと定められている法や規範を逸脱するような法律を全国の大量の教員に対して国が法として定めるということは恥であり罪であるという事柄にほかなりません。そのような事態を是非認識していただきたいと思います。
 国立学校や私立学校の教員については既に残業代の支払による対応がなされていることを鑑みても、給特法であり、給特法や調整額という枠組みは法的に多数の矛盾や破綻を含んでおり、教員の長時間労働を延命させているような悪法です。このような法律が仮に今国会で成立したとしても、早期の、つまり調整額が一〇%に達するまでは何もしないといったような、そういう扱いは許されません。一〇%に達する以前に、早期の抜本的再改正と、勤務実態調査を繰り返し実施し、長時間労働がこれからも恐らくは改善されていかないということが次々に明らかになると思いますけれども、そういった実態を把握し、それに対する対策として教員の基礎定数、これは加配では全く対処になりません、基礎定数の大幅な増加というものが不可欠であるということについて申し上げたいと思います。
 以上です。
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堂故茂#10
○委員長(堂故茂君) 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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臼井正一#11
○臼井正一君 自由民主党、千葉県選出の臼井正一です。
 参考人の皆様方には、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
 私は平成十五年、千葉県議会議員に当選して、四月です、で、その八か月後に長女が誕生しました。ですから、教育を政治という面から見てきた年数と父親として教育に携わってきた年数がほぼ一緒ということになります。
 県議になった直後は、教育問題の大きなテーマというのは体罰で、我々の頃は、ベビーブームの、第二次ベビーブームの切れ端で、廊下で背負い投げされている同級生もいましたし、優しい先生でもでこぴん、しっぺ、正座、こういうのが当たり前だったんです。ですから、我々もぐれずに、まあ多少問題はあったにしても、育ってきた者としては愛のむちというのはあるのかなという思いを抱きながら平成十年代は過ごして、それでもやっぱり体罰というのは重大な人権侵害というのが我々自民党の県会議員、田舎の県会議員でも共通認識とされるようになってきて、そうこうしているうちにいじめ問題が大きなテーマになって、今まではもう分かりやすいいじめから陰湿ないじめに、それこそ自殺に及ぶようないじめが大きな社会問題、教育問題としてなってきました。
 この今回、働き方改革というのも、大体十年前ぐらいから教育、文教委員会に所属する議員の間では言われ始めて、私は保護者として、千葉市の学校に子供を通わせていましたので、千葉市は学校が二学期制になって、通信簿を今まで先生が三回付けていたのが二回になったり、私も社会教育団体、青少年相談員や育成委員会というところでボランティアやって、子供が卒業した後も地元の小学生や中学生、キャンプに連れていったりした中で、今まで学校の先生が一人、二人大体泊まりで来てくれていたのが、日帰りになって、そのうち教頭先生が初日、校長先生翌日みたいな感じになって、なかなか先生来てくれなくなったななんという保護者の思いを受け止めながら今に至っています。
 どうも学校の先生が、それこそベビーブームのときは一クラス四十五、六人いて、問題行動というのであれば、今とは質が違うんでしょうけれども、なかったわけでもありませんし、今学校の先生が忙しいって、これだけ数字で出ているので間違いないことだとは思いますが、一体何が昔と違ってそんなに学校の先生の多忙化、大きな要因になっているのかなというのが、率直に言って、話聞いていてもぴんとこない部分もあるんです。
 そこでちょっとお伺いしたいんですが、それぞれ四人の先生方に、端的にここが一番昔と違うんだというのがあれば、例えば保護者がモンスター化していますよとか、授業時数が増えていますよとか、いろいろあると思うんですが、端的にですね、昔と違って忙しくなった部分、ちょっと教えていただければと思います。
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堂故茂#12
○委員長(堂故茂君) では、青木参考人からお願いいたします。
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青木栄一#13
○参考人(青木栄一君) お答えいたします。
 まず、学校の中でやる仕事が増えたと思います。これは私の整理でいうと第二層の部分の業務が増えたということで、明示的、黙示的指示につながっていくような認識の業務でありますので、これが他の労働法制とのざらつきや、若しくは、ずれの原因になっていると思います。他方で、先生方の第一層の業務、自発性、創造性に基づく業務とされている仕事につきましては、かつては持ち帰りがしやすかった、あるいは持ち帰りで処理されていたものが持ち帰りが認められなくなったということで、やや先生方にとってのゆとりが減っているのではないかと認識しております。
 プラス、やはり学校五日制の再評価が必要かと思います。学校、土曜半ドンで行われていた授業分が、あれが月曜日から金曜日までの平日に吸収されているわけですけれども、これによって先生方の持ちこま数が増えているという可能性がありますので、今回のその持ちこま数に注目した措置というのは非常にすばらしいと思っております。
 以上です。
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堂故茂#14
○委員長(堂故茂君) では、鍵本参考人、お願いします。
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鍵本芳明#15
○参考人(鍵本芳明君) 学校の多忙化の原因ということでありますけれども、いろんな要素があろうかというふうに思います。
 学校で教えるべき内容が様々に新しいものが入ってくる、そうすると先生方はその準備というものをしっかりやっていかなきゃいけないという部分もございますけれども、先ほど青木参考人もおっしゃったように、ただ、学校に入ってくる子供たちの様子というのは非常に多様化してきた、その課題も非常に複雑化してきた、それにやはり相変わらず同じように教員がしっかり対応していかなきゃいけない。子供たちのためにという思いで対応しているわけでありますけれども、そこに関わっていく部分が非常に膨らんできたということが大きな要因であろうかなというふうに思っています。
 学校にも、いろんな支援員も含めて、当然、定数改善もそうですけれども、いろんな多様な支援の方も入っていただいてチーム学校として取り組んでいるんですけれども、やはりそこのところがなかなかそれに追い付いていかないという状況があるということは言えるかと思っております。
 以上でございます。
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堂故茂#16
○委員長(堂故茂君) 次、露口参考人、お願いします。
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露口健司#17
○参考人(露口健司君) 失礼いたします。
 青木参考人、鍵本参考人の御意見と似ているところはあるんですが、やはり子供たちの多様化と様々な要素の複雑化、困難化というところが背景にあると思います。さらには、やはり一人一人丁寧に見ていくという要望というのが、議員おっしゃった時代よりも今はるかに進んでおるということと、あとは、これまでに出てきてはいないんですけど、個人情報の保護辺りも、先生方にとったら一つ二つ手間が増加しているような業務の類いになっているかなと思っております。
 以上でございます。
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堂故茂#18
○委員長(堂故茂君) 続いて、本田参考人、お願いします。
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本田由紀#19
○参考人(本田由紀君) 既にお三人の参考人の回答と重なるところもありますけれども、学校の中でやる仕事が確かに増えているということは明らかだと思います。
 特に現行の学習指導要領などにおいては、アクティブラーニングであるとか、あるいは新しいプログラミングや英語などの科目も増える、道徳も増えるといったような形で、教員が取り組まなければならない事柄、非常に増えております。しかも、評価ということがやはり現行の学習指導要領では非常に重視するようになっておりまして、その点の情報の収集であったり、丁寧に評価を付けるといったようなことが非常に時間的に多く取られるようになっているということはあります。
 また、これも重なりますけれども、子供たちの状況も変わってきていると。いろいろな個別の対応が必要であるような子供たちというものが学校の中で増えてきているということについては様々なデータがあります。そういうことで説明できるかなと思います。
 以上です。
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臼井正一#20
○臼井正一君 ありがとうございました。
 子供も多様化しているということですが、子供自体は意識していないと思うので、恐らく社会が大分変容してきているということもあるんだと思います。
 本会議でも、理想の教師像を問われた方がいます。理想の教師像って非常に難しいなと改めて質疑を聞きながら思ったわけです。青木参考人が、第二階層、いわゆる聖職性ですよね、教師の。我々保護者としては、やっぱり道徳で先生を尊敬せよと教える以上、先生は聖職性を持っていてほしいなと強く保護者としては思うわけですが、他方、一人間として労働者の側面というのもまあ持っても仕方ないのかなという思いがあります。
 公務員全体、今応募が減ってきている中で、これは教員だけの問題ではなくて、そうした公に奉仕するという高い使命性というものよりもやっぱり処遇とかということの方が重要になってきている社会になってきたのかなというふうに改めて思いました。私、世襲議員で、言うのもなんですけど、別に恵まれているからなったわけではないんですが、恐らく子供が議員やりたいと言ったら反対すると思います、今、これだけ尊敬もされない、いいことも少ない。
 是非、学校の先生というのは、子供も学校の先生になる家が多いじゃないですか。それはやっぱり、尊敬される親を見て、親が、いっぱい自分たちの同級生から、おまえの先生怖いけど、親は怖いけど、そういう聖職性というのを是非持っていてほしいなという思いがあるんです。
 今、米騒動になっていますけれども、米百俵というような言葉があって、改めて考えてみると、当時、士族が決めたことですけれども、米を今食べなくても将来にわたって教育というのが大事なんだというようなことを言われたわけですが、まさに今ほどその米百俵という言葉の重みを我々政治家が感じる時代はないと思っています。
 教育国債なんという言葉もあって、じゃ、形を変えた借金の付け替えで子供たちに今教育をすることが本当に是なのかということも考えなければならないし、本当この教育の転換期をしっかり、働く人も、また家庭も社会も、三方よしのこの教育改革、これをしっかりやっていかなければならないと思っています。
 今日、四人の参考人の皆様方の御意見というものをしっかり胸に刻みながら、これからも取り組んでいきたいと思います。
 終わります。
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斎藤嘉隆#21
○斎藤嘉隆君 立憲民主党の斎藤嘉隆です。ありがとうございます。
 四人の参考人の皆様、今日はありがとうございました。
 私も長く教育現場で仕事をしておりまして、教育委員会にもおりまして、今回の法案、いろいろ課題はあるものの、比較的ポジティブに捉えているんですね。ただ、今日お話を聞いて、少し自分の中でまだまだちょっと確認しなきゃいけないなという点が正直幾つかあったので、そういった点も含めてお聞きをしたいと思います。
 一つは、この法案が国による地方への関与を強化する、そういう法案なのかという点なんですね。私は、そうは思っていない、いないんですけど、そういう法案であると、そこのところはきちんと、本来ある、教育行政のあるべき姿というのを考えていかなきゃいけないし、そのことはきちんと議論をする必要があるなと正直思いました。
 それから、鍋蓋の組織をピラミッド型の組織にするために主務教諭があるのかという点なんですね。私、そうは思っていないんです、そうは思っていないんですが、先生方のお話を聞いて、ややもすると、そういうような考え方が割とあるのかなというのをちょっと思いまして、大変だな、主務教諭というのを正直思いました。僕、賃金がちょっと上がるならいいかななんてこともちょっと思っておったんですが、ちょっと心配なんで、ここも今後の委員会の質疑の中でもいろいろ議論をしていきたいというふうに思います。
 そこで、まず一つ目は、青木先生と本田先生に同じ質問をさせていただきたいと思います。今の国と地方との関係についてです。
 国の責任の明確化ということでお話が、青木先生のお話からありました。指針に則して計画公表を義務付けるというところも含めてだというふうに思いますが、一方で、規制は強化するけれども、これは、でも、内実的には国による地方への丸投げではないかと、こういう指摘もあると思うんです。本来国が行うべきは、こういうことではなくて、例えば教育条件整備をすることとか、肥大化した例えば教育内容を精選することではないかと、そういう考え方も私自身持っておるんですが、こういうことに関してどのような御見識をお持ちか、青木先生と本田先生にまずはお伺いをしたいと思います。
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堂故茂#22
○委員長(堂故茂君) 青木参考人、お願いします。
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青木栄一#23
○参考人(青木栄一君) お答え申し上げます。
 教育行政は、元々、地方分権原則がありまして、かつ二〇〇〇年代以降は、まあ正確には九〇年代後半以降の地方分権の流れの中で、地方自治体に計画を義務付けるということはかなりレアな状態になっています。その点におきまして、地方自治原則を生かしながらも、国のリーダーシップを取るという意味においては、かなりぎりぎりのところで文部科学省の権限を、その業務を地方との関係において踏み込んだと評価しておりますので、肯定的に評価しております。つまり、地方丸投げではなくて、一定の文部科学省の役割を意識した法案になっていると思っております。
 以上でございます。
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堂故茂#24
○委員長(堂故茂君) 本田参考人、お願いします。
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本田由紀#25
○参考人(本田由紀君) そもそも、例えば労働基準法とかは、国が、日本という国の中での最低限の労働の在り方について定めているものです。今回の給特法というのは、これは公立学校教員のみに関して定めている法律ですけれども、その法律が労働基準法に違反するということは許されません。法的な上下関係においても、労働基準法の方が上位に置かれるべきものです。
 それ、そのような法律を、国が地方の公立学校教員をもその対象に包摂するものとして給特法を定め、三十時間云々と、一〇%云々というふうに定めているわけですけれども、そもそも国として規制や関与を強化するか否か以前に、その内実そのものが質的に中身として問題があるということを先ほど申し上げました。
 求められるべきは、国による地方の公立学校教員全体に対する規制や関与といったようなものを労働関連法規と整合するような正しい、適正なものにしていくとともに、もちろんそれを実現していくための様々な資源というものを、地方に丸投げすることなく、これは行き渡らせるための施策というものを当然国が担わなければならないと思います。
 以上です。
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斎藤嘉隆#26
○斎藤嘉隆君 ありがとうございました。
 鍵本先生にお伺いをします。
 先生が、質の高い教師の確保特別部会で議事録など読ませていただいたんですけど、時間外在校等時間の把握に関して、各市町村で異なったシステムを使っているので正確に把握ができないんだということをおっしゃっていらっしゃって、やっぱりそこはきちんと統一をすべきではないかという御発言をなされていると思います。
 じゃ、その上で、私は自分の持論として、今回の法案では明記されていませんけれども、教員の勤務実態調査というのをしっかりやるべきだと、一定の期間を経た上で。そして次の新たな改正に向けて進めていくべきだという思いを持っておりますが、この勤務実態調査の実施について、今の法案にある勤務実態ではなくて、勤務状況調査というふうになっているわけですけれども、勤務実態調査の重要性、必要性について御見解があればお聞かせをいただきたいと思います。
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鍵本芳明#27
○参考人(鍵本芳明君) ありがとうございました。
 御質問ありがとうございます。
 先ほど、その異なったシステムを使っているという、まあこれはシステム自体も当然、業者が違ってということもございますし、私がその部会の中で申し上げたのは、いわゆるその調査の物差しの部分が、どういったことを調査するのかというところもなかなか統一されていない。まず、ここをしっかりそろえた上で把握をしていくことが大事であるということを申し上げたように記憶をしております。
 その上で、御質問の勤務実態調査についてでございますけれども、働き方改革の状況を定期的にフォローアップしていくことで、それを基に改善を図っていくこと自体は重要でございますけれども、もう一方で、これまで行ってまいりましたその勤務実態調査というのは学校にとって大変大きな負担になっているというところは大きな課題かなというふうに思っております。
 実際、これまでの調査におきましても、当時、私、教育長しておりましたけれども、これは大変な大きな負担なんだという校長の声もございましたし、そういう中で、現在、ICTを活用した教育委員会による教員の勤務実態の客観的な把握というのが、これがかなり進んでまいりました。県教委としてもその辺りの、先ほど申し上げた物差しの部分もそろえることによって把握ができるようになってきたということでございます。
 今後、学校現場に追加の調査負担を生じさせないということに十分御配慮をいただきたいということが私の立場から申し上げたいことでございますけれども、その上で、教員の勤務の状況をフォローアップできる仕組みを是非適切に御検討いただきたいというところでございます。
 以上でございます。
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斎藤嘉隆#28
○斎藤嘉隆君 抽出で行う勤務実態調査、確かに負担だというふうに思いますけれど、国主導でもっと負担な調査はもっとあると思います。ですから、済みません、僕が意見言っていちゃいけませんけれど、その点も含めてちょっといろいろ議論もしていきたいなというふうに思います。
 最後に、済みません、本田さんにもう一問だけ。
 随分厳しいことを言われていました、給特法について。我々、さはさりながら、今回の給特法について修正をして一定程度法的拘束力を持たせる中で、完全であるとは当然思っていませんけれども、そういったものにしてきたつもりであります。
 この修正についてどのようにお考えか、多分一分ぐらいしかないと思いますので、よろしくお願いします。
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本田由紀#29
○参考人(本田由紀君) 何とか、より少しでも良くしたいということで修正案を衆院で付けられたんだと思いますが、それは重々分かっておりますが、全然駄目だと思っております。附則であれ附帯決議であれ、極めてぬるい。あるいは、附則に在校等時間という策術的な言葉を書き込んだ辺りも全然駄目なんですね。これで何とか、よくやったみたいなことを自己評価していただいて、しばらくこれでいきますみたいなことを言われてはたまったものではない。だから、一〇%に達する前に、すぐに、もし今回通してもすぐに見直していただきたいというふうに申し上げたところです。
 以上です。
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