水岡俊一の発言 (本会議)

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○水岡俊一君 立憲民主・社民・無所属の水岡俊一です。
 会派を代表して、石破総理に質問いたします。
 石破総理は、施政方針演説でも石橋湛山元首相の言葉を引いて、国会運営の正常化、政界及び官界の綱紀粛正、雇用の拡大と生産の増加、福祉国家の建設、世界平和の確立という五つの誓いを紹介されました。さらに、責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要ですと述べられたこと、ゆめゆめお忘れにならぬよう、強く申しておきます。
 まずは、そのあかしとして、我ら野党の質問に納得と共感が得られるような御答弁をお聞かせください。
 まず、石破内閣の政治姿勢からお伺いします。
 石破総理はかつて、私なんかが首相になるときというのは自民党がどうにもならないときとおっしゃっていたと聞きました。まさに自民党がどうにもならないときに総理となられたことは宿命だったのでしょうか。
 NHKによる毎月の内閣支持率調査では、就任された直後の四四%から徐々に落ちていきながらも、今年になって一%戻りました。各種の調査を見ると、石破政権を支持する理由として、三人から五人に一人は人柄が信頼できるからと回答しているようです。昨年十月の衆議院選挙で敗北したことにより、少数与党での政権運営を余儀なくされていて、これ以上信頼感を失うと政権が立ち行かなくなる、つまり総理の信頼感が命綱と言えます。同時に、その信頼感は、自民党の政治と金問題を解決できるかに懸かっていると私は考えます。
 しかし、石破総理の施政方針を聞く限り、全くその意気込みが見えてきません。総理は特に政治と金を取り上げることもなく、政治改革の段落で、政治資金にしても、選挙活動にしてもと並べて軽く扱うだけで、政治に対する信頼を取り戻そうという決意が私には感じられません。
 そこで、第一の質問です。昨年の衆院選で示された国民の政治と金の問題に対する不信と怒りに率直に向き合い、本気の政治改革として法改正に臨む気持ちはありますか。あるならば、具体的に何をどう取り組まれるのか、お示しください。
 続いて、質問二。選挙後に再開された政倫審においては、説明責任が十分に果たされているとお考えですか。真相究明にはどのように取り組むつもりですか。
 阪神・淡路大震災から三十年が経過しました。この間も、東日本大震災や昨年の能登半島地震など大きな災害が幾度も起きました。今年の一・一七ひょうご安全の日宣言では、震災の教訓は全ての災害につながる知恵との言葉がありました。
 防災庁の設置を表明している石破総理ですから、これまでになく積極的に防災対応を考える姿勢に期待をしています。しかし、三十年の節目に行われた現地の追悼式に出席されなかった総理にがっかりしたのも正直なところです。災害対応や被災者支援の基本は、被災者の気持ちに寄り添うことです。これまでの災害対策や復興事業推進における政府の姿勢については、単なる言葉だけにすぎないのではないかと疑ってしまいます。
 さて、能登半島地震から一年を前に政府は、自治体向けの指針とガイドラインを改定し、避難所には二十人に一基のトイレ、一人三・五平方メートルの居住スペースなどのスフィア基準を踏まえた環境が必要であることを示しました。
 そこで、質問三です。スフィア基準を満たす環境を提供するため、政府は具体的にどのような対応を行うのか、そのメニューと実施時期について説明してください。
 質問四。また、その対応として、避難所に指定されている学校設備において、具体的にどのような環境整備を計画しているのかについても併せてお示しください。
 文科省の発表によると、不登校児童生徒数は十一年連続増加し、二〇二三年度は過去最多の三十四万六千四百八十二人となりました。もはやどの学級にも一人か二人は不登校児童生徒がいるのが現状です。子供の学びをどう保障するか、学びの選択肢を増やす取組が始まっています。学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置が全国で徐々に進み、多様な学びを国や自治体が強く支援することが求められているところです。
 大分県玖珠町に学びの多様化学校として昨年開校した、くす若草小中学校を先日見学させていただきました。そこで私が見たのは、とてもリラックスした自然な笑顔の子供たちであり、ゆったりとした時間が流れる教室でした。学びの多様化学校は柔軟な教育課程を編成することができることから、朝の苦手な子供たちに合わせて登校時間を九時半にしたり、教科として対話、野遊び、探究の三つを新設したりするなど、夢と工夫にあふれた学校となっていました。みんなが主役の学校をコンセプトとし、懸命に開校にこぎ着けた玖珠町の皆さんと教職員の熱意に感動するひとときでした。
 そこで、総理に質問五です。日本の学校制度や、学力とは何かという教育論そのものが根本的に問われる時代に入ったと思われませんか。学びの多様化学校に見られるような、子供が安心して自分らしく学べる学校の必要性を感じませんか。
 二〇二三年の国連による教職に関するハイレベルパネル勧告では、公教育への資金はGDPの少なくとも六%、政府支出総額の二〇%が保障されるべきとされています。過去十年の文教関係の政府当初予算を見ると、二〇一五年度の四兆七百五十六億円から二〇二四年度は四兆六百二十四億円と横ばいです。一般会計歳出に占める割合は四・二三%から三・六一%と低下しています。物価高騰もある中、教育予算が低く抑えられていることは、将来の社会を担う子供の教育を軽視していると考えざるを得ません。
 少子化が進む一方、子供の自死やいじめ認知件数、児童虐待は増加傾向を示していること、また、教職員不足等によって子供の学びが脅かされている危機的状況を踏まえれば、教育予算を増額し、全ての子供がゆとりある公教育を受けられる環境が必要だと考えますが、いかがですか。
 文科省の調査によると、二〇二三年度における教員の月平均残業時間は、四十五時間超えが四二・五%、過労死ラインの八十時間超えは八・一%となっています。地方公務員災害補償基金の発表によると、同年度、教員の過労死は十六名でした。この過労死の人数は氷山の一角ではないかと言われており、相当数の過労死や過労自殺が陰に隠れています。この勤務実態が世に伝わり、教員志望者は減る一方となっていて、学校現場に教員が足りない状況となっています。
 過労死や過労死ライン超えが依然として少なくないのは、定額働かせ放題を招く給特法が根本的な原因となっています。給特法は、教員の時間外勤務に対して手当を支給しないと定めてはいますが、そもそも災害時など特別の場合を除いて時間外勤務を命ずることはできないとしている法律です。つまり、教員に対して時間外勤務を命令できない制度にもかかわらず、過労死ラインをも超えるような超過勤務をさせる、ゆゆしき状態が半世紀にわたって続いているのです。
 質問七。二〇一九年当時の文部科学大臣は、給特法が労基法ともずれがあるとして根本的に見直す旨の答弁をしています。石破内閣として給特法改正案を提出する際には、大臣の約束どおり、法制度的に根本から見直すべきだと考えますが、いかがですか。
 質問八。昨年も、四月の新学期当初に担任不在の学級があるなど、全国的に教職員が不足をしていることが報道などで明らかになりました。岸田前総理は欠員状況について文科省として実数による把握は行っていないとの驚きの答弁でしたが、この厳しい状況を改善しようとするのであれば、決して学校現場に負担を掛けない方法で全国的に調査を行うべきではありませんか。
 一九一八年の第一次世界大戦終結後、日本政府は、国際連盟設立に向け、人種差別撤廃条項を連盟規約に挿入することを企図していました。国際連盟委員会に、人種や国籍を問わず、法律上あるいは事実上何ら差別を設けず、全ての面で均等公平の待遇を与えることを規約に明記すべきだと提案しています。五大国のうち有色人種の代表による提案として反響は小さくなかったようですが、最終会合の表決では全会一致が必要として、日本の提案は否決されました。
 時がたち、第二次世界大戦終結後の一九四八年、国連総会は世界人権宣言を採択しました。その第一条には人間の尊厳と平等、第二条には差別の禁止などとあり、日本がかつて提起したことが形を変えて国際社会に登場したのです。国連はその後、宣言内容の具体化を目指して各種の人権条約を採択してきましたが、その第一号が人種差別撤廃条約で、一九六五年の国連総会で採択され、日本は一九九五年に加入しました。
 そのような経過をたどっている我が国ですが、残念なことに、二〇一四年の人種差別撤廃委員会の総括所見では、朝鮮学校が就学支援制度の恩恵を受けることができることを始め、朝鮮学校が差別されないことを締約国が確保せよと再度表明しています。
 質問九。日本政府が、かつて米国内の日本移民を守るため国際舞台で人種差別撤廃を訴えておきながら、日本国内において都合が悪くなると完全に無視するという行動を取ることを石破内閣は肯定するのですか。
 質問十。朝鮮学校に学ぶ子供が今叫んでいます。朝鮮人って日本にいちゃいけないの、朝鮮学校って行っちゃいけないの。これに対し、石破総理はどう答えますか。
 質問十一。日本国憲法は条約を誠実に遵守することを定めており、日本が批准した八つの国際人権文書は国内でも法的拘束力を持つとされていますが、政府は度々勧告に対し法的拘束力を持たないと無視するのはなぜですか。
 冤罪の防止と取調べの抜本的改革について伺います。
 袴田巖さんが死刑確定後に再審無罪となった冤罪事件が昨年大きな節目を迎えました。事件の発生から五十八年後、死刑囚の汚名を着せられていた袴田さんに、ついに無罪が言い渡されたのです。判決で、最大の証拠とされた五点の衣類などが捜査当局の捏造とされ、それが冤罪を生む重大な要因だったことが明らかになりました。
 冤罪を生む別の大きな原因の一つとなっている虚偽の自白を防ぐためには、捜査官による違法、不当な取調べをなくさなければなりません。袴田巖さんはその人生のほとんどの時間を奪われ、家族も同様、国に苦しめられました。
 そして、六十一年も無罪を訴え続けている狭山事件の石川一雄さんも同じく冤罪の可能性が極めて高く、いまだ再審を待っています。
 違法、不当な取調べによる冤罪事件の反省を踏まえ、二〇一六年の刑事訴訟法改正で一部の事件には取調べ全過程の録画が義務付けられましたが、対象は全事件の三%未満であり、逮捕されていない被疑者や参考人の取調べも録画義務付けの対象外です。
 また、取調べの弁護人立会いを禁止する条文はないにもかかわらず、ほぼ全ての取調べで弁護人の立会いは認められていません。さらに、自白しないと長期間拘束するという人質司法は、虚偽の自白を生み出す危険があり、国際社会からの非難がますます強くなっています。
 質問十二。国家による最大の人権侵害の一つである冤罪を防ぐためにも、取調べの録音・録画対象の全事件、全過程への拡大、取調べに弁護人を立ち会わせる権利の規定の創設、人質司法の是正を始めとした取調べの抜本的改革に取り組むべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 婚姻の平等について伺います。
 同性婚を認めていない民法及び戸籍法の規定は違憲であるという訴訟に関し、五つの地裁判決と三つの高裁判決が違憲又は違憲状態という判断を相次いで下しました。各裁判所は、憲法十四条一項の法の下の平等や二十四条二項の個人の尊厳と両性の本質的平等に反するとしたほか、札幌高裁では、二十四条一項の婚姻の自由は同性カップルにも保障されると判断し、福岡高裁では、幸福追求の願望や婚姻について法的な保護を受ける権利は男女、同性のカップルのいずれも等しく有するとして、十三条の幸福追求権にも反すると判断しました。
 現在、同性婚が認められているのは三十八の国又は地域で、タイでは今月から同性婚が認められるようになりました。G7では同性カップルに法的保障がない国は既に日本だけです。国連は、日本に対して同性婚を認めるよう複数回勧告を出しています。
 二〇二三年に日本経済新聞社が行った世論調査では、同性婚を法的に認めることへの賛否について、賛成が六五%に上りました。自民党支持層の回答でも、賛成が五八%と過半数を占めています。
 地方自治体ではパートナーシップ制度の導入が進んでいますが、その法的拘束力は不十分です。婚姻という選択肢がないことによって、医療福祉、相続、親権などの様々な面において法的な効果を受けられないのです。
 質問十三。立憲民主党は、同性婚を法制化するための婚姻平等法案を二〇二三年三月に国会へ提出していますが、いまだに審議されていません。石破総理は、昨年十二月の参議院予算委員会で、同性婚を認めることが日本全体の幸福度にとって肯定的なプラスの影響を与えるものだと考えているとおっしゃいました。プラスの影響を考えるのであれば、実現を急ぐべきではありませんか。総理の見解を伺います。
 二〇二一年にスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管の収容所施設内で亡くなった事件では、検察審査会の不起訴不当を受け、名古屋地検が再捜査しましたが、二三年九月に再び不起訴処分としました。徹底した真相究明が求められていましたが、極めて残念な結果となっています。同時に、国際的な水準に沿った難民認定制度を創設して、今こそ多文化共生の取組を進める必要があります。
 立憲民主党は、過去三回、政府から独立した第三者機関である難民等保護委員会の創設等を柱とする難民等保護法案を野党共同で国会に提出しました。国際的な水準からは程遠い改正入管法については再考を求めます。
 小泉法務大臣は、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子供について、全体の八割を超える二百十二人に滞在を認める在留特別許可を与えました。齋藤法務大臣に続き、小泉大臣も今回限りとしています。
 質問十四。鈴木法務大臣にこの方針は引き継がせるのでしょうか。石破総理に伺います。
 質問十五。また、在留特別許可の対象は日本で生まれた子供と狭く、日本で一定期間生活をしていても、海外で生まれたり学校を卒業したりした子供は対象になりません。対象者を広げ、日本でしか生活したことがない人全体を対象とすべきではないでしょうか。
 昨年十月に日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。ノルウェーのオスロで行われた授賞式には、被爆者だけでなく、若い世代の立場から核兵器の廃絶を世界に訴える活動を行う高校生平和大使も一緒に出席していました。
 唯一の戦争被爆国である日本には、核兵器の非人道性や恐ろしさを語り継いでいくことが求められています。高校生平和大使たちは、被爆者の話が聞ける最後の世代であることを自覚し、責任を感じながら活動していると言います。長崎の高校生、大原悠佳さんは、今回のオスロ派遣で、世の中の核に対する意識の高まり、若い世代の核廃絶への活動に対する期待の高まりを感じたそうです。
 被団協の田中熙巳代表委員は、原爆で亡くなった死者に対する償いは日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいと、被爆者への国家賠償の必要性を訴えました。
 質問十六。若い世代の平和への切なる思いに石破総理はどう向き合いますか。
 質問十七。戦後八十年の節目に、被爆者への国家賠償など停滞している戦後補償を進める覚悟はありませんか。
 現在、国会議員は私も含めて中高年男性が圧倒的多数を占めています。私たち立憲民主・社民・無所属会派は四十二名中女性が十九名で女性比率は四五%ですが、国会全体でいえば僅か一九%にすぎません。このように国会では性別や年齢の偏りが大きく、女性や若者がまだまだ少ない状況です。立法府で属性の偏りが大きいことは、一般社会との隔たりを生み、国民が求める政策が実現しにくくなる可能性があります。
 立憲民主党は男女半々のパリテ議会を目指して女性候補の発掘、擁立を進めていますが、同様の取組を各党にも期待します。二〇一八年に候補者男女均等法が成立し、政党に対して数値目標の設定などの自主的な取組を求めていますが、政権与党である自民党の女性議員比率はいまだ著しく低いままです。
 質問十八。国会議員の属性に著しく偏りがあることについて、石破総理自身はどうお考えですか。
 候補者や議席の一定数を女性に割り当てるクオータ制の導入は検討されませんか。
 アメリカのロサンゼルス近郊で今月、大きな山火事が起きました。火事の発生から二週間以上がたちますが、いまだ鎮火していません。現地では、昨年の大雨で草木が成長し、逆にこの冬は雨がほとんど降らないなどの異常気象が重なったことが被害拡大の要因の一つと考えられています。
 世界気象機関は、二〇二四年の世界の平均気温が観測史上最高となり、産業革命前より一・五五度上昇したと公表しました。その結果、世界各地で大規模な山火事や水害などの極端な気象現象が頻発しています。国連のグテーレス事務総長は声明で、人類は地球に火を付け、その代償を支払っていると述べ、気候変動対策の遅れに危機感を示しました。
 質問二十です。アメリカのパリ協定離脱で、日本の果たすべき役割は増えると考えます。未来を生きる子供たちのためにも、温室効果ガス削減目標の更なる引上げと排出削減策を最大限講じることが必要だとは思いませんか。総理のお考えをお聞かせください。
 質問二十一。環境政策において将来世代の若者が意思決定に参加することが重要と考えますが、総理は将来世代の声を実際にお聞きになりましたか。
 最後に一言申し上げます。
 石破総理誕生の直前に出版された著書で、保守政治家石破茂氏は次のようにお書きになっています。要は、どんなに努力しても総理にはなれないということがあり得る、ただ、天命が下ったときには能力が足りないという言い訳は許されない。そのとおりであります。誰かが用意した原稿をただ読むだけで、その場しのぎをするようなことは決して許されません。総理、国民の皆様の納得と共感が得られる御答弁を切に切に求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121715254X00220250128_002

発言者: 水岡俊一

speaker_id: 27705

日付: 2025-01-28

院: 参議院

会議名: 本会議