小池晃の発言 (本会議)

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、石破茂総理に質問します。
 総理は施政方針演説で、能登半島地震の復旧復興への着実な取組により農林水産業や輪島塗の再開も進みつつあると述べましたが、実態はどうか。
 私は、十六日、現地を訪れました。震災後四回目ですが、水田は九月の豪雨で更に大きな被害を受け、多くの漁港は海底の大規模な隆起で船を出せず、輪島漆器商工業協同組合の理事長は、ようやく仮設工房ができたが、地震前の売上げには戻っていないと語りました。道路や水道の整備も遅れています。それでも復旧復興は順調だと言うのでしょうか。
 とりわけ、住宅再建にはめどすら立っていません。支援金に義援金を合わせても、とても家など建てられないという悲鳴をあちこちで聞きました。被災者生活再建支援金制度は三十年前の阪神大震災の被災者の運動で創設されましたが、いまだに住宅の全壊でも三百万円です。これが十分な水準だとお考えですか。大幅な引上げと対象拡大が必要ではないか。答弁を求めます。
 来年度予算案について社会保障費が伸びたといいますが、伸び率一・五%で、三年連続して物価上昇率を下回っています。介護報酬引下げで介護事業所の倒産は過去最高になり、病院の倒産、廃業も過去最高、年金も物価を下回る実質マイナスです。
 高額療養費の上限引上げは、がんや心臓病など深刻な病に苦しむ人々への余りに冷たい仕打ちです。多くの若年がん患者は、抗がん剤治療などを受けながら就労して、ぎりぎりの生活を送っています。全国がん患者団体連合会のアンケートには、二十代のスキルス胃がん患者から、子供のために少しでも長く生きたいが、毎月更に多くの医療費を支払うことはできません、死ぬことを受け入れ、子供の将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められていますという悲痛な声が寄せられています。
 長期にわたって継続した治療が必要な患者、家族は、負担引上げで生活が成り立たなくなり、あるいは治療継続の断念を迫られます。方針の撤回を強く求めます。お答えください。
 一方で、物価をはるかに上回って伸びているのが軍事費です。来年度は過去最大の八・七兆円、安保三文書以降の三年間で三・三兆円も増えました。その結果、防衛予算は文教予算の二・一倍となっています。
 政府は五年間で軍事費をGDP比二%へと倍増させ、そのために歳出削減、税外収入、決算剰余金の活用など、国のあらゆる財源を優先的に軍拡に充てる仕組みを構築しています。これでは、社会保障や教育の予算を拡充しようとしても、ほかの予算を削るか、新たな財政負担を国民に強いる以外にありません。大軍拡を中止しなければ国民生活拡充の予算を確保できなくなっているということを認めますか。
 ところが、総理は、更なる軍拡の可能性も否定しておりません。米トランプ政権にGDP比三%への引上げを求められた場合の対応を問われ、必要であれば防衛費を増額し、結果としてそういう数字になることを全否定はしないと述べました。とんでもありません。このような要求は決して受け入れないと表明すべきではありませんか。
 来年度予算のもう一つの大問題が大企業への大盤振る舞いです。
 半導体大企業には、補正予算と合わせて一・九兆円もの支援。振る舞うべきは七割の人が働く中小企業なのに、中小企業予算は軍事費の五十分の一にすぎません。
 賃上げの鍵を握るのは、中小企業への抜本的な支援です。岩手県や徳島県などで中小企業の賃上げへの直接支援が始まっています。国としても、中小業者の賃上げのための直接支援を実施すべきではありませんか。
 最も効果的な支援策は社会保険料の軽減です。二〇一四年、小規模企業振興基本法が全会一致で採択されたときの附帯決議には、社会保険料の負担軽減への効率的な支援策の実現を図ると明記されました。国会の意思に応えるべきです。答弁を求めます。
 総理は、最低賃金を二〇二〇年代に全国平均で千五百円に引き上げると言いますが、二〇二九年にようやく千五百円では余りに遅過ぎます。これではいつまでたっても実質賃金はプラスになりません。
 こうした中、各地で最賃の引上げ努力が始まっていますが、積極的に取り組む県知事は、異口同音に現在の最賃の決定方法に疑問符を投げかけています。徳島県の後藤田知事は、最賃法第一条には支払能力だとか原資を考えなければならないと書いてあるが、一丁目一番地は憲法二十五条の生存権に基づいた最低限の暮らしを守るためにある、岩手県の達増知事は、論理的には全国一律の最賃による引上げが理屈に合っている、秋田県の佐竹知事は、最低賃金を決めるシステムは競争でイタチごっこ、完全に制度疲労していると述べています。こうした知事たちの声にどう総理は答えますか。
 総理は、昨年の自民党総裁選挙で、全国一律最低賃金制度の実現を掲げました。公約を守るべきではありませんか。答弁を求めます。
 税負担が重過ぎるという願いは切実であり、三十年間据え置かれてきた課税最低限は引き上げるべきです。しかし、今の政府案では、例えば年収二百万から三百万円の方の減税額は年間五千円程度にすぎません。しかも、年収百三万円に届かない三千万人以上は取り残されてしまいます。そうした人にも情け容赦なく掛かってくる最悪の不公平税制が消費税です。廃止を目指し、そして緊急に五%に減税し、インボイスを撤廃する。そして、直接の物価高対策になり、中小企業支援にもなります。最も効果的な減税ではないでしょうか。
 恒久減税には恒久的な財源が必要です。大企業や富裕層への行き過ぎた減税を元に戻すとともに、所得一億円を超えると証券優遇税制で所得税の負担が逆に下がる一億円の壁こそ取り払うべきです。税制全体のゆがみを正す抜本改革でこそ、財源も確保できます。答弁を求めます。
 食は命の源です。しかし、米の店頭価格は五キロで四千円前後、昨年から一・七倍で、暮らしに深刻な打撃となっています。
 なぜ米価が高騰するのか。この十年間で、生産者が減り、米の生産量が百三十九万トンも減ったからです。供給量が減れば、僅かな需給変動で流通は混乱し、米価は乱高下してしまいます。
 農水大臣は、国が買い戻すという条件付で政府備蓄米を放出する方針を出しました、示しました。しかし、市場任せの方針を維持するなら、びほう策にしかなりません。今こそ価格保障と所得補償に踏み切るべきではありませんか。答弁を求めます。
 米だけではありません。キャベツも白菜も高騰しています。生産者も消費者も支援が必要なのに、来年度の農林水産予算は僅か二十億円しか増えておりません。八〇年代から一兆円も減っております。
 安心できる食料は日本の大地から。食料自給率を高め、国内生産を増大させるため、農業予算を抜本的に増やすように求めます。お答えください。
 世界気象機関が、昨年の世界の平均気温が産業革命前を一・五五度上回ったとする推計を発表いたしました。深刻な事態になる下で、米国トランプ政権がパリ協定から脱退したことに、気候危機に取り組む若者や専門家から厳しい批判の声が上がっています。総理は、昨日もこの問題で何のコメントもしませんでした。黙って見過ごすつもりなんですか。お答えいただきたい。
 日本政府の姿勢も問われています。我が国は、いまだに石炭火力発電の廃止期限を決めておりません。そして、二〇三五年までの温室効果ガスの削減目標は、一三年度比で六〇%削減にとどまっています。目標の引上げは国際社会と未来の世代への責任です。エネルギー消費を六割減らし、電力の再エネ比率を八割にして、一三年度比で七五から八〇%の野心的な目標に引き上げるべきではないか。答弁を求めます。
 再エネ比率の引上げを抑えているのが政府の原発推進政策です。経済産業省が発表した新たなエネルギー基本計画の原案は、原発の最大限活用を明記し、廃炉した原発を敷地内で建て替える方針を盛り込みましたが、これらは、日本経団連が二〇一七年に今後のエネルギー政策に関する提言を発表して以降、政府に再三要請してきたものであります。今も続く福島の苦しみには背を向けて経団連の要求どおりに政策を進めてきた、それが事実ではありませんか。
 総理は、献金で政策がゆがめられたとの記憶はないと述べました。しかし、記憶を呼び起こしていただきたい。経団連は毎年各党の政策を評価し、自民党の政権復帰後は、消費税増税と法人税減税を始めとした政策を十一年連続で高く評価し、会員企業に自民党への献金を呼びかけ、企業献金総額の九五%、年間二十四億円が注ぎ込まれてきたのです。こうした経過を見れば、金で政策がゆがめられたと言われても仕方がないのではないでしょうか。
 総理は、企業・団体献金を禁止より公開だと言いますが、そんなことで国民の政治への信頼を回復することができるとお考えなのか。総理には、営利目的の企業による献金が必然的に賄賂性を帯びていることの自覚も反省もないんでしょうか。こうした疑念を払拭するためにも、企業・団体献金の全面禁止が必要だと思いませんか。お答えください。
 政治倫理審査会には、駆け込み寺であるかのように自民党議員が列を成しましたが、自ら真相を解明しようとする方は一人もおらず、言い訳のオンパレードです。総理は、党総裁として、これまでの政倫審で自民党への国民の疑念が解消したとお考えでしょうか。
 自民党東京都議会議員二十六名のパーティー収入の不記載も明らかになりました。これも一昨年、共産党の機関紙、しんぶん赤旗がスクープしていたものです。
 裏金づくりを、誰が、いつから、何のために行い、何に使われたのか、自民党には国政と地方政治の全体について明らかにする責任があるのではありませんか。お答えください。真相の徹底解明のため、安倍派幹部の証人喚問と、会計責任者の国会招致を強く求めるものであります。
 教員の長時間労働の問題について聞きます。
 公立小中学校の教員は、平均で約十一時間半働き、休憩は僅か数分。まさに異常な長時間労働です。多くの教員が体を壊し、精神性疾患による病休者も急増し、授業準備や子供と関わる時間がないと訴えています。
 私たちは、二つのことを政府に求めます。
 一つは、公立学校の教員残業代ゼロ制度の廃止です。残業には割増し賃金を払う、そのことで長時間労働にブレーキを掛ける、これが世界のルールです。しかし、自民党政府は一九七一年、公立学校教員給与特別措置法、給特法により、公立学校の教員を残業代制度から除外しました。当時、全ての野党が、そんなことをしたら教員の労働時間が青天井になると反対いたしました。
 総理、その後の展開は、野党の主張どおりになったと思いませんか。このことを反省して、教員残業代ゼロ制度を廃止すべきではないでしょうか。
 いま一つは、教員定数の抜本的な引上げです。一九五八年に定数が定められたときは、授業に見合った教員数が配置され、授業負担は一日四こまでしたが、今は一日五こま、六こまが当たり前になり、授業以外の仕事を勤務時間後にやらざるを得なくなっています。解決するには緊急に一日四こまに戻すことが必要であり、そのためには基礎定数を一・二倍にすべきであります。答弁を求めます。
 政府が提出を予定して、検討している日本学術会議法案について質問します。
 政府は、二〇二〇年に菅義偉首相が学術会議会員候補六名を任命拒否したその暴挙を、いまだに何の反省もしていません。任命拒否の撤回が全ての前提ではありませんか。
 昨年十二月に内閣府の有識者懇が発表した報告書は、主務大臣任命の評価委員会や監事を定め、学術会議の活動をチェックすること、外部者が学術会議に意見を述べる選考助言委員会や運営助言委員会を設置することなどを求めました。これらは、学術会議の活動や会員選考を政府や外部勢力によって方向付け、独立して職務を行うという現行制度の根幹を掘り崩すものであります。
 日本学術会議は、これらの問題に対して繰り返し懸念を表明してこられました。学術会議の合意を得ていない法案を国会に提出することなどは許されないのではありませんか。答弁を求めます。
 今年は戦争終結から八十年の節目を迎えます。戦後の日本の出発点は、二度と戦争しないことを世界に誓った日本国憲法でした。
 ところが、今、政府は、歴代政府自身が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認に踏み切り、外国領土を直接攻撃する長射程ミサイルの導入や、日米の指揮統制の一体化などを推し進めています。
 日米同盟絶対、この名の下にこのような態勢づくりに加わることが、日本国憲法に照らしてどうして許されるのですか。政府がやるべきことは、いかなる国によるものであれ、地域の緊張を高める言動を厳しく退け、当事者間の平和的な話合いを促進する外交努力なのではありませんか。唯一の被爆国として核兵器禁止条約に参加することではありませんか。
 沖縄は、国体護持を至上命令とした大本営の方針により、本土決戦を遅らせるための捨て石とされ、住民を巻き込んだ凄惨な地上戦の場となりました。その後二十七年間にわたり米軍の直接統治下に置かれ、憲法が適用されない無権利状態の下で広大な米軍基地が建設をされ、今に続く軍事優先社会がつくられました。そして、米兵による相次ぐ性暴力事件が女性の尊厳と人権をじゅうりんし続けています。
 ところが、政府はこうした歴史を無視をして辺野古新基地の建設を強行し、将来にわたって沖縄を基地に縛り付けようとしています。さらに、自衛隊のミサイル部隊を次々と配備し、沖縄の戦場化を前提とした日米共同作戦計画の策定と合同軍事演習を推し進めています。
 沖縄を再び捨て石にすることなど断じて許されません。沖縄の苦難の歴史に向き合い、基地のない平和な島の実現に努力することこそ政府の責務です。辺野古新基地建設、沖縄のミサイル基地化、軍事要塞化は直ちに中止、撤回すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 政府がやるべきことは、国連憲章に基づく平和の国際秩序を守ることです。日米軍事同盟の強化ではなく、ASEANと協力し、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくための憲法九条を生かした平和外交です。日本共産党はそのことを強く強く求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 小池晃

speaker_id: 35013

日付: 2025-01-29

院: 参議院

会議名: 本会議