石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 小池晃議員の御質問にお答えを申し上げます。
能登の復旧復興についてお尋ねをいただきました。
これまで、地元の方々を始め多くの方々の御尽力により、復旧復興は一歩一歩前に進んでまいりました。
農林水産分野では、営農や製材工場、ズワイガニ漁などの漁業が順次再開をいたしております。地盤隆起などの甚大な被害がありました十六漁港のうち七漁港で仮復旧工事を完了いたしました。九月の豪雨災害に対しましても地震被害と同様の支援を措置し、被災農地約四百ヘクタールのうち約百七十ヘクタールについて、この春、今春の作付けに間に合うよう復旧を進めております。
輪島塗につきましては、仮設工房八十三室を設置いたしました上で、九月豪雨により床上浸水した仮設工房の被害にも対応し、あわせて、製造再開に必要な道具、原材料などの確保や需要拡大への取組の支援も行ってまいりました。
道路の復旧につきましては、昨年末までに、九月豪雨での被災箇所を含め、国道二百四十九号線の通行とともに、全ての集落などへのアクセスを再度確保をいたしております。
水道につきましては、建物倒壊地域なぞを除く全ての地区で昨年末に断水を解消しており、今後は被災市町の意向を踏まえつつ、水道施設の本復旧を支援してまいります。
引き続き取り組まねばならない課題はまだ数多く残されております。今日の昼にも石川県の馳知事が御来訪になりまして、多くの課題についてのいろんな御要請を賜ったところでございます。生活となりわいの再建、被災地の創造的復興に政府一丸となって今後とも取り組んでまいります。
被災者生活再生、失礼、被災者生活再建支援金についてでございます。
能登半島地震の被災者の皆様の生活再建につきましては、引き続き、被災者生活再建支援金と地域福祉推進支援臨時特例交付金、さらには復興基金を活用した事業という総合的な枠組みにより支援をいたしてまいります。
被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして被災者を側面的に支援するものと、このように位置付けられております。この拡充などにつきましては、これが都道府県の基金を活用しており、その財源の半分を全国の都道府県が負担をしていること、東日本大震災などの過去の震災や、現在も支給が継続されているほかの災害における被災者との公平の確保といった点につきまして、よくよく考えなければならないと考えておるところでございます。
高額療養費制度の見直しについてでございますが、高額療養費制度は医療費の自己負担に上限額を設ける重要なセーフティーネットでございます。高齢化や高額薬剤の急速な普及などによりその総額が年々増加する中で、現役世代を中心に保険料負担が大きな課題となっております。
このような状況を踏まえまして、制度のセーフティーネットとしての役割を将来にわたって維持しつつ、保険料負担の抑制にもつなげますため、見直しを行うということにいたしたところでございます。
その際、負担能力に応じて引上げ率を緩和するなど、低所得の方、長期にわたって医療を受けておられる方の経済的負担に十分に配慮をいたしており、引き続き、見直しの趣旨、内容について説明を尽くしてまいります。
防衛費についてでございます。
国家安全保障戦略では、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせ、そのための予算水準がGDPの二%に達するよう所要の措置を講ずることといたしております。
これらの取組を通じて強化された防衛力を維持していくために必要な安定財源を確保する一方、社会保障や教育を含め、各種の施策に必要な予算を措置いたしており、防衛力の強化によってほかの分野の予算が確保できないという御指摘は全く当たらないものでございます。
また、我が国の安全保障に係る予算水準につきましては、これは我が国自身の判断として必要な防衛力の内容を積み上げた上で決定をいたした結果でございます。今後につきましても、我が国自身の判断で決定していくことは言うまでもございません。
私が申し上げましたのは、必要であれば防衛費を増額し、結果としてそういう数字になることを全否定はしないということを申し上げたのでございますが、これはあくまで我が国の判断において行うものでございます。そうならないことも十分にあるということは当然のことでございます。
中小企業の社会保険料についてのお尋ねでございます。
中小企業に対しての社会保険料の事業主負担を軽減すべきとの御提案につきましては、社会保険料が医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であると、このようなことから慎重な検討が必要でございます。
また、中小企業に対しましては、非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主に対するキャリアアップ助成金による支援など、政策目的に応じて助成金などによる支援を行っておるところでございます。
賃上げが実現できるよう、中小企業に利益を上げていただくための適切な価格転嫁や生産性向上を支援しながら、社会保険につきましては、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す改革を着実に行うこと、これが重要であるというふうに認識をいたしております。これらを着実に進めてまいります。
最低賃金法におきましては、通常の事業の賃金支払能力のみならず、地域における労働者の生計費などを考慮しなければならない、このように定められております。公労使三者構成の最低賃金審議会で、地域の実情も踏まえて引上げ額について御議論をいただくと、このようにいたしておるところでございます。
今年度は、過去最大額となる五十一円の引上げを実現するとともに、地域間格差も十年連続で縮小する改定が行われました。政府といたしましては、引き続き、最低賃金法に基づき、二〇二〇年代に全国平均千五百円、この高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けてまいります。その際、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるなど、地域間格差の是正を図ってまいります。
消費税率引下げ、インボイス制度の廃止及び今後の税制の在り方についてでございます。
消費税は、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源に位置付けられております。そのため、政府といたしまして、その引下げを行うことは適当ではないと考えております。
インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要なものでございまして、廃止は考えておりません。事業者の御不安等に対しましては、事業者からの御相談を受けるなど、引き続き丁寧に対応をいたしてまいります。
所得税につきましては、公平性の確保が重要である一方、投資家が投資しやすい環境も損なわないようにすることが重要でございます。これらを総合的に考えてまいります。
法人税につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制改正大綱で示された考え方を踏まえながら対応をいたしてまいります。
米価への対応、農業者支援、農業予算についてでございます。
消費者の皆様に米を安定的に供給し、価格を落ち着かせるため、一定期間後に買い戻すことを条件といたしますが、政府備蓄米を集荷業者に売り渡すことができる仕組みを導入することといたしました。
農業者への支援の在り方につきましては、今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めてまいります。
我が国の食料安全保障を確保しつつ、農業をもうかる産業とするとの観点から、令和七年度農林水産関係予算を有効活用し、実効性を伴う施策を展開をいたしてまいります。
アメリカのパリ協定離脱についてでございますが、気候変動は人類共通の待ったなしの課題でございます。主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることに変わりはございません。世界の気候変動対策へのアメリカの関与は引き続き重要であります。
今後につきましては、アメリカの動向を引き続き注視する必要がありますが、我が国といたしましては、アメリカと協力していく方法を探求しつつ、気候変動問題に積極的に取り組みます。
電力の再エネ比率引上げについてでございます。
AI時代の電力需要増加が見込まれる中、安全性を大前提として、安定供給、経済成長、脱炭素のバランスを取っていかなければなりません。
政府の審議会におきまして、こうした考え方を踏まえ、二〇四〇年度におけるエネルギーミックスとして、再エネ四から五割程度、原子力二割程度、火力三から四割程度という見通しを示したところでございます。
次期温室効果ガス削減目標につきましては、二〇五〇年ネットゼロに向けまして、パリ協定の一・五度目標と整合的であり、かつ野心的な、二〇三五年度六〇%、二〇四〇年七三%削減を目指す案を取りまとめておるところでございます。
第七次エネルギー基本計画案における原子力の方針についてお尋ねをいただきました。
東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ、政策を進めていくことがエネルギー政策の原点であり、福島の復興再生は政府の最重要課題であります。原子力を利用する上では安全性の確保を最優先とし、安全神話に陥って悲惨な事態を防ぐことができなかったという痛切な反省をいっときたりとも忘れてはなりません。このことは第七次エネルギー基本計画案においても明記をしておるのは御案内のとおりでございます。
その上で、第七次エネルギー基本計画案につきましては、昨年五月に議論を開始して以来、百回以上にわたって関係審議会などにおいて様々な専門家から御意見を伺いながら丁寧に議論を進めており、特定の団体の意向のみを踏まえて政策を進めてきたとの指摘は全く当たりません。
企業・団体献金についてでございますが、政府の政策は、国民各界各層からいただく様々な御意見を踏まえ、必要性や優先度なども十分に検討した上で、国会での御議論なども経て決定しているものであり、企業・団体献金を受けていることを理由として決定しているものではございません。ましてや、自民党が受領いたしております献金は賄賂というものでは全くなく、民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財を不当におとしめることは適当ではございません。
我が党といたしましては、政治資金規正法の趣旨からも、禁止より公開という考え方により、企業・団体献金も含めた政治資金の透明性を一層確保する取組を進めておるところでございます。このような考え方につきまして、国民の皆様方のより深い御理解をいただきたいと、このように思い、努力をいたしてまいります。
現在、透明性を更に向上させますための法案について自民党内での議論を進めておるところでございまして、引き続き、この問題につきまして率先して議論を進めてまいります。
企業・団体献金についてでございます。
政治倫理審査会の審査に関する所感等につきましてお尋ねがございました。
政治倫理審査会における審査は現在もまだ継続中である、このように認識をいたしておるところでございますが、審査会の場における各議員の弁明に対する評価は、同審査会、審査結果の報告を受ける各議院、ハウスの方でございますが、各議院、さらには国民の皆様方が行うべきものであります。
私の立場で所感を申し述べることは差し控えますが、その上で、自民党における旧派閥や政治団体、都議会自由民主党の収支報告書の不記載をめぐりましては、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたものと認識をいたしております。
また、党本部や都議会自由民主党におきましても、可能な限りの調査を行い、その結果を国民の皆様に報告書や会見の場で説明をいたしてまいりました。このようなことを繰り返さないため、改正されました政治資金規正法を遵守いたしますとともに、引き続き、自民党として政治改革の議論を率先して行うものでございます。
給特法についてでございます。
給特法につきまして様々な御議論があることはよく承知をいたしております。教職調整額の率を引き上げるための給特法改正案を今国会に提出いたしますとともに、時間外在校等時間が月二十時間程度に達するまでに幅広い観点から諸課題の整理を行うと、このようにいたしております。
教員についてでございます。
教師の負担軽減を図る観点からは、業務の仕分を行った学校・教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時間の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減をいたします。
日本学術会議法案についてでございます。
二〇二〇年の日本学術会議の会員任命につきましては、日本学術会議法に沿いまして、任命権者である当時の内閣総理大臣が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行ったものでございまして、一連の手続は終了しておるものと、このように承知をいたしております。
お尋ねの日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の最終報告書は、日本学術会議の会長などにも毎回御参加をいただき、日本学術会議の御意見も聞きながら、丁寧に議論を積み重ねて取りまとめられたものでございます。
政府といたしましては、有識者懇談会の報告書の内容を踏まえ、日本学術会議の機能の強化に向けてその自律性を高めるため、独立した法人格を有する組織とする法案を今国会に提出すべく、現在、学術会議ともコミュニケーションを取りながら作業を進めておるところでございます。
日本国憲法と我が国の外交、また核兵器禁止条約に関する対応についてのお尋ねでございます。
我が国は、憲法第九条及び前文に示されておる平和主義の理念の下、平和国家として戦後一貫して国際社会の平和や繁栄に努めてまいりました。
現在の厳しく複雑な国際環境におきましても、こうした姿勢を貫き、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げますとともに、各国との対話を重ね、地域及び国際社会の平和と安定に貢献すべく外交努力を重ねておるところでございます。
御指摘の核兵器禁止条約の対応につきましては、様々な要素を考慮し、検証を続けております。
その上で、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、スタンドオフ防衛能力の強化を含む防衛力の抜本的強化は、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守るために不可欠なものでございます。
これらの取組は、我が国の主体的なものとして、憲法、国際法及び国内法の範囲内で、専守防衛の考え方を堅持して進めていくものであり、平和国家としての我が国の歩みをいささかも変えるものではございません。
普天間飛行場の返還、南西地域の防衛強化についてのお尋ねをいただいております。
普天間飛行場につきましては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていくことが、その一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながると考えております。引き続き、基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。
南西地域の防衛強化を含む防衛力の抜本的強化、日米同盟の対処力の強化は、抑止力を向上させ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることにつながります。
日本国の独立と平和、国民の命に、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための取組は着実に全力で進めてまいるものでございます。
以上であります。(拍手)
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