石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 熊谷裕人議員の御質問にお答えを申し上げます。
防災庁構想についてでございます。
令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁は、専任の大臣を置き、十分な数のエキスパートをそろえた、平時、発災時の災害対応の司令塔とすることを想定をいたしております。これにより、災害対応を通じて得られる経験や教訓を着実に蓄積をしながら、事前防災の徹底により被害の最小化を図りますとともに、発災直後から被災者の方々が避難所において尊厳ある生活を営んでいただける環境を整備をいたしてまいります。
防災庁の機能等について更に具体的な検討を進めますため、防災分野の専門家から成る有識者会議を明日にも開催することといたしております。様々な御意見、御提案を賜りながら、設置に向けた準備を加速をいたしてまいります。
人命、人権最優先の防災立国を構築し、我が国を世界一の防災大国とすべく取り組んでまいりたいと思います。
災害ボランティア団体の活用等についてでございますが、近年の災害では、NPOや災害ボランティア団体が発災直後から被災地入りをし、避難所の運営支援、炊き出しや重機による作業を行うなど、被災者支援において重要な役割を担っていただいております。これらの活動を円滑に行うためには、災害ボランティア団体などの活動支援や調整を行う災害中間支援組織の育成が重要であり、全ての都道府県での設置を目指して現在取り組んでおるところでございます。
また、災害時に、より円滑かつ効果的な官民連携が行われますよう、災害ボランティア団体の登録制度の創設に向け取り組んでおります。そのほか、被災者支援活動の活性化を図るため、災害ボランティア団体などの交通費を補助する、そのような仕組みを本年一月から構築をいたしておるところでございます。
御指摘のように、退職自衛官が自衛隊で培いました知識、技能、経験を生かすことができる環境を整えることは極めて重要だと認識をいたしております。防災分野も含めて、退職自衛官の活用などについての働きかけを行い、再就職先の拡充等も併せて図っていきたいと思っております。この際にはきめ細かい対応が必要でございますので、例えば埼玉県におきましては、入間基地であり、あるいは朝霞駐屯地であり、熊谷基地であり、大宮駐屯地であり、それぞれのきめ細かい対応というものをやっていくことが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
行政のみならず、NPOや災害ボランティア団体を含めた多様な主体によって被災者支援活動が円滑に行われますよう、平時からの環境整備に努めてまいります。
避難所環境の整備についてでございますが、被災者の方々が避難所において発災直後から尊厳ある生活を営める、そのような環境整備をすることは国家の重要な責務でございます。昨年十二月には、内閣府におきまして避難生活に関する自治体向けのガイドラインなどを改定し、スフィア基準、これに沿いました避難所運営を促したところでございます。スフィア基準の周知に向けましても、これは努力が必要だと認識をいたしております。
また、先般成立いたしました補正予算におきましては、簡易ベッドやパーテーションなど、避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組を新地方創生交付金により支援をいたしますとともに、全国のトイレカー、キッチンカーを登録するデータベースの整備も進めることと、このようにいたしております。
引き続き、国として積極的に関与し、良好な避難所環境の整備に向けた取組を一層加速をいたしてまいります。
防災道の駅について御指摘をいただきました。
防災道の駅は、建物の耐震化、無停電化、通信や水の確保などの防災機能を有し、災害時の広域防災拠点として機能する道の駅でございます。都道府県の御意見を踏まえ、国が全国で三十九か所を選定し、ハード、ソフトの両面から重点的な支援を行っておるところであります。広域支援へのニーズの高まりも踏まえ、現在、追加選定の検討を進めております。
防災道の駅以外の道の駅につきましても、地域防災拠点として機能するよう、備蓄などの充実強化や整備を進めてまいります。
災害時の要配慮者に対する取組についてのお尋ねをいただきました。
災害時に、要配慮者の方々の置かれたお立場を十分に踏まえた支援を講じることは大変重要なことでございます。妊産婦などの方々に関しましても、災害支援ナースや災害派遣福祉チーム、DWATと申しますが、災害派遣福祉チームの避難所への派遣、授乳スペースの確保などの環境整備、避難所の運営者などに対する妊産婦の皆様方などへのケアのポイントの周知、保健師や助産師などによります避難所、仮設住宅などの訪問支援などを行っておるところでございます。
避難所におきます性犯罪などを防止するため、女性警察官を中心とした被災者支援部隊を派遣をし、被災者からの御相談に対応したり、性被害防止に関するチラシやポスターを配布、掲示をして防犯指導を行ったりしておるところであります。さらに、トイレ、更衣室、入浴設備を適切な場所に設置をし、照明や防犯ブザーで安全を確保するなどの取組も行っております。
災害時に妊産婦の方を始めとする要配慮者の方々への支援が着実に行われますよう、政府一丸として取組を進めてまいります。
防災士の資格をお持ちであります熊谷議員の御指摘、ありがとうございました。更に御指摘を賜りますよう、お願いを申し上げます。
日米首脳会談についてでございます。
日米同盟は、我が国の外交・安全保障政策の基軸であります。当然のことでございますが、アメリカにはアメリカの国益があり、我が国には我が国の国益がございます。であるからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができるものと考えております。
首脳会談の内容について今この時点で予断はいたしませんが、できるだけ早い時期にできるだけふさわしい形で首脳会談を実現し、率直な意見交換を通じ個人的な関係を構築し、安全保障や経済などの諸課題につき認識の共有を図り、一層の協力を確認し、日米同盟を更なる高みに引き上げる、そのような会談にいたしたいと思っております。
要は、ウィン・ウィンというのはどういうことなのかということを、我が国の国民の皆様方にも、あるいは合衆国の国民の皆様方にも、世界の皆様方に具体的にどういうことなのかということを御理解いただくことは極めて重要だということでございまして、抽象的な会談に終わるつもりは全くございません。
米中、日米、日中関係についてでございます。
米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要でございます。先日、トランプ大統領の就任に先立ち、習近平国家主席との間で電話会談が行われたと、このように承知をいたしておりますが、日本といたしましては、引き続き、同盟国でありますアメリカとの強固な信頼関係の下、様々な協力を進めつつ、中国に対しまして、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
日米同盟は、我が国の外交・安全保障政策の基軸でございまして、トランプ新政権との間でこれから先、高みに引き上げる、日米同盟の重要性につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
価値を共有する同盟国、同志国との連携を前提としつつ、中国との間では、国家主席とも確認をいたしました戦略的互恵関係、これを包括的に推進いたしますとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくということが日本政府の方針でございます。この具体的な内容につきましては、よく国民の皆様方にも政府として説明をいたしてまいります。
日韓関係についてでございますが、御指摘のように、日本と韓国は互いに国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国であります。韓国には内政上の動きがございまして、また、日韓両国には隣国であるがゆえに難しい課題もございます。しかしながら、現下の戦略環境の下、日韓の関係の重要性には変わりはございません。日韓の間におきましては、様々な情勢が複雑化する中にありましても、北朝鮮への対応を含め、日韓、日米韓で緊密な連携を確保し続けることの重要性を確認しておるところでございます。
このような認識の下、日韓関係改善の基調を維持発展させていくべく、今年は日韓国交正常化六十周年でございますが、これへの対応も含めまして、韓国政府と引き続き緊密に意思疎通をいたしてまいります。共に正常化六十周年を祝うことができる、そういう関係を構築してまいりたいと思いますので、議員各位のお力を賜りますようお願いを申し上げます。
拉致問題についてでございますが、拉致被害者の方々、その御家族も御高齢となられる中におきまして、時間的制約のあります拉致問題はゆるがせにできない、ひとときもゆるがせにできない人道問題でございます。
この本質は国家主権の侵害でございます。領土、国民、統治機構が国家主権の三要素でございますが、その国民が主権国家に拉致をされて帰ってこないということは、我が国の国家主権に対する侵害以外の何物でもございません。その本質は、先ほど申し述べましたように国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であることは論をまちません。
拉致問題の解決のためには、我が国の取組に加え、御指摘のように、アメリカ、中国を含む国際社会との緊密な連携が極めて重要でございます。
アメリカとの間では、私と大統領との間を始めとして、トランプ政権との間で強固な信頼・協力関係を構築し、北朝鮮への対応に当たりましても緊密に意思疎通を図ってまいるのは当然のことでございます。
また、北朝鮮と緊密な関係にあります中国の協力も重要でございます。昨年十一月の日中首脳会談におきまして、習近平主席との間で拉致問題を含む北朝鮮情勢につきましても意見交換を行ったところでございます。
引き続きまして、アメリカ、中国を含みます国際社会とともに緊密に連携をいたしながら、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、私自身、強い決意の下、最も有効な手だてを講じるべく総力を挙げてまいりたいと存じます。
為替政策についてでございますが、円安が実体経済に与える影響といたしましては、あくまで一般論でありますが、輸出や海外展開をしている企業の収益は改善する一方、輸入物価の上昇を通じまして企業や家計には負担増の面がございます。プラス面、マイナス面、双方の影響があるということは一般論として当然のことでございます。
為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要でございます。いずれかの方向で具体的に言及をいたしますことは市場に不測の影響を及ぼし得ることから、これを差し控えるものといたします。
デフレ脱却の条件についてでございますが、政府といたしまして、デフレ脱却とは、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと、これを定義といたしております。
再びデフレに戻る見込みがないと言えるかどうかは総合的に判断をする必要がございまして、消費者物価、GDPデフレーターといった物価の基調に加えまして、物価の背景として、GDPギャップ、単位労働コスト、賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がり、予想物価上昇率などなど様々な指標の動きを総合的に考慮し、適切かつ慎重に判断をすると、こういうことでございます。
政府と日銀の経済認識についてでございますが、昨年三月以降、日本銀行が金融政策の変更を行っております背景には、日本経済に賃金と物価の好循環が回り始めるなど前向きな動きが広がっていることがあると、このように政府としては考えております。
政府といたしましても、コストカット型経済の中、四半世紀にわたり続きました賃金も物価も据置きで動かないという凍り付いた状況が変化をし、賃金と物価の好循環が回り始め、デフレ脱却に向けた歩みは着実に進んでいると認識をいたしております。こうした認識に日銀と相違があるとは考えておりません。
デフレ脱却の判断に当たりましては、先ほど申し上げました様々な指標の動きを総合的に考慮をし、慎重、適切に判断をするものでございます。
被用者保険の適用拡大に伴う事業所への支援策でございますが、短時間労働者への被用者保険の適用要件であります賃金要件と企業規模要件の撤廃に向けましては、施行に関し一定の準備期間を設けることといたしております。このうち、企業規模要件の撤廃につきましては、更に丁寧な施行時期の検討を進め、今国会に年金改正法案を提出をいたします。
経済的な支援といたしましては、これまで社会保険を適用するとともに労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対しキャリアアップ助成金の支給などを行っておりますが、今回の制度改正を踏まえ、どのような支援策を講ずべきかにつきましては引き続き検討するべき課題であると、このような認識を持っておるところでございます。
百六万円の壁への対応についてでありますが、被用者保険の適用を受ける労働者の保険料負担割合を下げることを可能といたしますこの特例につきましては、提案当初の案に対し中小企業の負担を懸念する慎重な意見があったと、このように承知をいたしております。
このため、特例の対象範囲や内容を見直すとともに、被用者保険の適用拡大に関連した事業主への支援措置の検討を行っておるところでございます。
引き続きまして、関係者の御意見を承りながら、今国会に提出予定の年金改正法案の取りまとめに向け、丁寧に対応いたしてまいります。
再審制度の見直しについての御指摘を頂戴をいたしております。
再審制度の在り方につきましては、確定判決による法的安定性の要請、個々の事件における是正の必要性、この双方を考慮しつつ、様々な角度から丁寧、慎重に検討する必要があると、このように考えておりますが、その上で、再審制度の在り方につきましては、政党や超党派の議員連盟での御議論も含めまして、様々な御議論がありますことを承知しております。
法務省におきまして、現在開催中の改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会での御議論も踏まえ、適切に対応するものと、このように考えておるところであります。
農業者の支援策についてでありますが、熊谷議員御指摘の食料の価格形成の仕組みにつきましては、消費者の視点や生産性向上の視点に配慮をしつつ、生産から消費までの各段階の関係者の合意の下、資材費、人件費などのコストを考慮した仕組みを検討して法制化をいたします。
直接支払を含む農業者への支援の在り方につきましては、今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めることといたしておるところであります。
以上でございます。(拍手)
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