比嘉奈津美の発言 (本会議)
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○比嘉奈津美君 自由民主党の比嘉奈津美です。
私は、会派を代表して、石破総理大臣の施政方針演説を含む政府四演説について質問いたします。
本年は、戦後八十年の節目の年となります。筆舌に尽くし難い労苦を体験された戦前、戦中生まれの方々は約一割となりました。沖縄生まれの私は、実際、地上戦を体験した方々からよく話を聞かされておりました。
今日、沖縄は旧正月をされている御家庭がたくさんあると思います。そして、もう桜祭りが始まるという非常に魅力的なふるさとではございますが、私は、この米軍統治下の中ですね、日本復帰をする中学の頃までドルが通貨という特殊な時代を過ごして、平和を子供の頃から意識する環境にありましたが、現在、世界的な分断が深まり、安全保障環境が厳しさを増す中であるからこそ、石破総理の言葉のとおり、改めて、平和について、そして平和国家日本の在り方についてしっかりと考える年でありたいと願っております。
同時に、三年を超えようとしている国連常任理事国であるロシアによるウクライナの侵略など、力による一方的な現状変更が顕在化する現実を前にして、平和を愛する諸国民の公正と信義への信頼だけに頼るという理想のみで厳しい状況に向き合うわけにはいきません。
我が国の平和と安全、国民の命と生活を守り抜くための現実的な対応は絶対に必要です。とりわけ、台湾から約百十キロにある日本の最西端の与那国島など、我が国領土保全の最前線に位置する有人国境離島は極めて重要であります。
歯科医師として私は離島の久米島で診療をしていた経験があります。離島での定住条件の整備には、学校、物流等々、医療、多くあります。
沖縄では台風が多く、農作物の種類も限られて、サトウキビで生計を立てている島の人々も多くおります。サトウキビがなければ島の人口が減ることから、サトウキビは国境も守ると言われています。この言葉のとおり、安全保障の観点から、有人国境離島が無人化すれば、海洋調査、領海警備、低潮線保全区域の管理等の領海保全活動の拠点として重要な機能が失われることになります。
今から八年前、十年間の時限立法として有人国境離島法が施行され、特定有人国境離島交付金が創設されました。与那国島や宮古島などには、自衛隊駐屯地が開設され、沿岸監視部隊等が配置されました。
また、地元からの要望を受け、万が一の有事に備えて島外避難体制を確立するため、社会インフラや住民保護のための避難施設の整備を進めています。
有人国境離島、さらには離島の発展なしには我が国の領土保全はなし得ません。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、領土保全の重要性が高まる中、有人国境離島の振興と住民の保護に更に力を入れるべきだと考えますが、総理の御所見をお伺いします。
我が国は、食料とエネルギーの海外への依存度が高く、その自給率の改善が我が国の安全保障にとってますます重要となっています。
本年、団塊の世代に当たる全ての人たちが後期高齢者となり、あらゆる分野で働き手不足に直面することが見込まれますが、我が国の食を支える農業者も、今から五年後には、農家や農業法人などの総数は二〇年の半分に減ると予想されています。耕作面積も三五%減、九十二万ヘクタール、東北地方の農地面積を上回る広さの農地が減るというおそれがあります。
我が国の食料自給率は、二〇二二年三八%です。これを二〇三〇年に四五%に引き上げる目標がありますが、人口構造の変化等を受けた農業者の減少を見ると、相当思い切った対策を講じていく必要があります。
エネルギーは、食料以上に海外への依存度が高くなっています。石油、石炭、天然ガスといった化石燃料や太陽光、風力、原子力などの一次エネルギー自給率は、二〇二三年度で一五・二%。原子力と再生可能エネルギーが増加したことで東日本大震災以降でも最も高い数字となりましたが、二〇一〇年度二〇・二%には届いていません。
我が国全体の食料及びエネルギーの自給率の引上げ、さらに令和の地方創生を進めるためにも、安全保障的な要素も加味しながら、地域状況に応じた地域ごとの食料やエネルギー戦略とそれに合わせた産業政策を推し進めていくことが求められると考えますが、総理の御意見をお聞かせください。
昨年一年間で我が国を訪れた外人観光客は三千七百万人弱と、コロナ前の二〇一九年に記録した三千百八十八万人を上回る過去最高となりました。消費額も八兆円と大きく超え、国内のアパレル業界の市場規模にも匹敵し、あるいは電子部品や半導体等製造装置の輸出額を超える規模となっています。人口減少社会に伴う経済への影響を打ち消しても余るだけの需要を生み出しているものと考えます。
沖縄を例に挙げますと、出発した空港で預けた荷物を到着地で受け取る場面で一番最初に流れてくるものはベビーカーが多くて、先日、沖縄の那覇空港で台北からの到着便では二十台近くのベビーカーが流れてきました。これだけ家族連れのインバウンドの方々、また沖縄へ向かう機内ではフランス語を始めとする多言語が聞こえてくることもあります。
一方、東京や京都などの代表的な大都市や、地方でも国際的なリゾート地として知られる自治体に外国人観光客が集中していることで地域の公共交通機関等が混雑し、住民が利用できないなどの問題も発生しています。
インバウンドがもたらす効果を前向きに捉えながら、外国人旅行客の地方への分散を図るとともに、観光客が集中し、生活に影響が出ている地域での問題解決に充てるべく、国際観光旅客税の見直し等を含めた形で令和の日本列島改造に組み込んだ政策として打ち出してみてはどうかと。総理の御所見をお伺いします。
伊勢神宮参拝後の記者会見で、石破総理は、官が一歩前に出る、まずは隗より始めよとして、政府機関の地方移転と政府職員の二拠点活動を挙げました。地方創生をこれまでとは異なる次元で進めていくという総理の決意であったと思います。
デジタル化が進み、コロナ禍ではリモート勤務も行われていた国の行政機関が、なぜ東京に位置していなければならないのか。どうしても東京に置かなければならない機能以外は、まず地方への移転を前提として検討を進めるべきだと考えます。二拠点活動も、生活の拠点を地方に置き、どうしても東京でなければできないものについては東京に出向くというくらいの気持ちでなければ、腰掛け的な地方勤務になってしまうのではないかと心配もしています。
一極集中を見直し、多様性を未来の力にしていくために、大都市だけでなく、地方にも生活拠点を持つことを可能とする令和の列島改造を実現していってほしいと望みますが、これまでの国家機能移転が必ずしも順調にいったと言えないことへの反省をも踏まえ、デジタル化や交通網といったハードの面はもちろん、組織、権限、人事給与制度など、ソフト面について大胆な取組の展開が必要ではないかと考えます。総理の御所見をお聞かせください。
全国各地で様々な方々からお話をお伺いしますと、多いのは、少しくらい賃金が上がったとしても手取りはなかなか増えないし、物価も上がっているので生活が苦しいという声です。
政府による統計調査でも、昨年十一月分の実質賃金の確報値は、規模三十人以上の企業では一%増と三か月連続プラスですが、規模五人以上となると〇・五%増と、三十人以上よりは低い増加率となっていますし、この前の三か月ではマイナスが続いており、力強さには欠けます。
物価高騰に負けない賃上げを実現するには、中小企業・小規模事業者で働く方々の賃金を上げなければなりません。そのためには、中小企業・小規模事業者の生産性の向上と現場で働く人のスキル高度化はもちろんのこと、適切な価格転嫁がしっかりとできる環境になることが必要です。
どのような職業であれ、制度であれ、適正な価格転嫁がなされること、このような当たり前のことが徹底されるよう、価格変動を無視した価格設定や契約変更を認めない対応、さらに、おかしな商慣習は一掃されなければならないと考えますが、石破総理のお考えをお聞かせください。
また、診療報酬の支払が政府によって決められる、いわゆる公定価格となる医療界では、物価の高騰が適切に反映されているとは言い難く、深刻な状況に目をつぶるわけにはいきません。
医療、介護、とりわけ価格変動が大きい材料の利用が不可欠な歯科においては厳しい状況が続いております。物価高騰や賃金上昇に迅速かつ十分な対応ができる制度にすべきだと考えますが、どのような仕事であれ、制度であれ、適切な価格転嫁がなされることとの考えの下、どのように対応していくのか、総理に御所見をお伺いします。
体の中で一番硬いのは歯であります。歯は一度欠けたり割れたりすると自然治癒することがなく、放置すると重症化していくだけです。早期発見、早期治療が望まれます。
また、自然治癒しないというところから、親が面倒を見ていない子供の虐待を発見することであったり、災害、犯罪の身元確認を行うのも歯科医師の仕事であります。そして、人生百年時代を迎え、生涯を通じ健康で質の高い生活を営むことができるよう、口腔の健康を維持管理する重要性は高まり、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の役割は必須であります。
口腔内の乱れは全身に影響を与えることが分かっており、高齢者の方々に多く見られる誤嚥性肺炎も口腔環境の悪化が原因となります。歯周病や歯の欠損が認知症を誘発することも明確であり、つまり、口腔内の健康を守ることは、健康寿命の延伸と生活の質、クオリティー・オブ・ライフの向上、さらには生涯医療費の抑制につながります。
そこで、総理にお伺いしますが、健康寿命の延伸とクオリティー・オブ・ライフの向上に果たす歯科、口腔保健の役割をどのように認識されておられるのでしょうか。その上で、その基盤となる生涯にわたる定期的な歯科健診を受けること、いわゆる国民皆歯科健診を推進することにより口腔疾患の早期発見、早期治療を促進することが非常に重要でないかと考えておりますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
生涯を通じた歯科健診を推進する上で、妊婦の方々の歯科健診受診率の改善も課題であります。ある報告では、歯科健診及び歯科保健指導を受けた妊婦の割合は全国で三五・二%にすぎません。
妊娠中には、ホルモンの変化が口腔内の細菌叢などにも影響し、また、つわりでなかなか歯ブラシが十分に行えず、歯肉炎の発症や歯周炎の悪化などの炎症が起こりやすくなり、さらに加えて、それに伴う炎症性物質により子宮の収縮などが引き起こされ、早産や胎児の成長へのリスクもあります。
少子化の中、母子共に元気な子供を出産してもらうために、妊婦健診同様、妊婦歯科健診の受診が進むよう国として後押しをすべきと考えますが、三原特命担当大臣のお考えをお伺いします。
令和四年の国民生活基礎調査によれば、子供の相対的貧困率は一一・五%となっており、前回の大規模調査から二・五ポイント改善しております。毎日の衣食住に欠く絶対的貧困とは異なりますが、相対的貧困といっても、こうした世帯で育つ子供たちは、経済的困窮を背景に、教育や体験の機会に乏しく、医療や食事、学習、進学などの面でも極めて不利な状況に置かれています。子供時代の経済格差が教育格差を生み、将来の所得格差につながることから、一人一人の人生を左右する問題となります。この問題を放置すると、社会的な損失がより大きくなるという推計結果もあります。
沖縄県は全国でも最も出生率が高い都道府県ですが、ある調査では、貧困状態にある子供の割合が二一%と全国で二番目に高くなっています。子供の貧困は沖縄の弱みではありますが、これを克服できれば、我が国全体が人口減少の局面にある今、年少人口の割合が一番高い沖縄県の強みとなります。
政府は、平成二十八年に沖縄の子供の貧困対策として沖縄関係予算の中に十億円の予算を確保しましたが、それ以降も、この予算を活用し、子供に寄り添い必要な支援につなげる支援員の配置や、子供食堂といった居場所づくりを行っています。さらに、乳幼児健診での歯科保健指導の標準化等を進めてきましたが、そのおかげで三歳児の虫歯有病者率は確実に低下しております。
格差ループの拡大を止めるためにも、子供の貧困対策として、教育の無償化、そして子供を虐待から救い、子供の健康を守る歯科健診や保健指導に向けた取組に力を入れることが大切だと考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
今年、阪神・淡路大震災から三十年を迎えました。当時の被災者の皆様は大変厳しい避難生活を強いられました。復興再開発事業の中には、長い時間を要し、昨年十月までにようやく完了したものもありました。経済活動も、震災後、生産拠点を県外や県内他地域に移転する動きが広がったため、域内生産額は全国の半分未満の伸びにとどまっております。
二〇一一年の三月に発生した東日本大震災では、被災県三県の製造品出荷額等は震災前の水準までほぼ回復し、避難指示解除区域の全体の居住者の数も徐々に増加していますが、原子力被災十二市町村での営農再開面積は震災前の半分程度、福島県の沿岸漁業等での水揚げ量は震災前の四分の一程度です。
昨年元日に発生した能登半島地震から一年を経過しました。人口減少と高齢化、そして半島という地理的な条件は厳しいものがありますが、何としてもこれらの課題を乗り越えて、被災地の方々が一日も早く元の生活に戻れるように国を挙げて復旧復興に更に力を入れていかなければなりません。
そこで、阪神・淡路、そして東日本大震災の被災地での創造的復興を着実に進めていくとともに、その経験、知見、人的資源を能登半島地震の被災地においても展開していってはどうかと考えますが、防災庁、さらにはその先の防災省の構想の中でどのように取り組んでいく御所見をお持ちでしょうか。総理にお伺いします。
自然災害に見舞われた際の避難所の状況改善においても、大規模災害時の口腔健康管理も忘れてはなりません。生きることは食べることです。災害で義歯を失ってしまった方や、環境が変わってストレスで口腔内の異常を訴える方もおります。お口の、口腔環境を守ることができなければ、口腔内の細菌が増殖し、誤嚥性肺炎を引き起こし、災害関連死にもつながります。
現在、被災地では、JDAT、日本災害歯科支援チームを始め歯科専門職の皆様方が災害関連死を防ぐためにも被災者の口腔管理に尽力されておりますが、大規模災害時の歯科医療の提供体制の整備について、人道的な水準を満たした避難所の設置に力を入れておられる石破総理はどのような御認識をお持ちでしょうか。お伺いします。
東日本大震災では、多くの御遺体で身元確認作業が必要となりましたが、その際、歯科の所見を採取させていただき、それをデータ化し、御生前の歯科資料と照合していくこととなりました。
東日本大震災では、被災三県の歯科医延べ千五百名、全国からは歯科医師延べ千百名が身元確認作業に従事しました。安置所で御遺体一体一体の歯を調べ、生前のカルテと照合しましたが、津波でカルテが消失したため、身元が確認できないケースもありました。
歯は人体で最後まで残ることから、御家族に遺体をお戻しするための貴重な身元証明となります。災害時の身元確認作業に当たられる歯科医の方々への思いと、口腔内の生前情報収集、データベース化に向けた御所見を石破総理にお伺いしたいと思います。
石破総理は、本年最初の海外訪問先として、南シナ海の沿岸国で海上安全保障分野に力を入れているASEANのマレーシアとインドネシアの二か国を選ばれました。
それぞれの国と、外務、防衛に関する戦略的な対話や、救助艇を含む警戒監視用機材の供与が行われることになりましたし、経済や防災、人材育成の分野でも協力や連携等について一致したところであります。
中国は、ASEAN各国への接近をますます強めております。そのような中、我が国としては、政府間の取組で協力や支援だけではなく、地域や民間、アカデミアといった多層的な連携を進めて息の長い関係構築を図ることが重要であります。
その際、有効に活用すべきなのは、規模を考慮した世界の研究機関、質の高い論文数の割合ランキング、世界で九位、日本ではトップに位置する理系・科学大学院大学であるOIST、沖縄科学技術大学院大学です。
一つの例を挙げると、地球温暖化による台風の進路に変化が起き、台風が沖縄の近海の水をかき混ぜることができず、海水温の上昇によりサンゴが白化して死んでしまっています。
今から八年ほど前、環境大臣政務官として、サンゴの大規模白化を食い止め、生態系を維持するために、モニタリングの推進や優先的に保全すべき地域の特定などを訴えるサンゴ大規模白化現象に関する緊急宣言を取りまとめたところですが、その一環として、ASEANにおいてサンゴの再生を試みている国とOISTのようなアカデミアを活用して結び付きを強めていくことなどは、地球環境保全の上でも有意義だと考えます。
さらに、OISTが地球環境保護に加え、日本の先端技術と産業の懸け橋を担うことで、ASEAN各国の経済を牽引するイノベーション創出が加速できれば、双方の経済発展とともにASEANとの多層、多重な外交関係の強化につながるものと考えますが、このようなOISTなどの活用についても石破総理はどのような御所見をお持ちでしょうか。お尋ねいたします。
本年四月から大阪・関西万博が開催されます。
我が国にとって最初の万国博となった一九七〇年の大阪万博に、小学生であった私は、パスポートを持ち、ドルを円にチェンジして、そこまで訪れ、そこで未来の社会の可能性を感じ取りました。そして、本土復帰後、一九七五年に沖縄で開催された海洋博では、紺碧の海の魅力を改めて学びました。
万博を経験した立場から申し上げれば、国際博覧会は単なる集客のための一大イベントではないと受け止めております。
総理が度々引用される堺屋太一先生は、沖縄海洋博が残した成果について、沖縄からの人口大流出は生じなかったばかりか、復帰後の人口は急増しており、沖縄が住みたい地域になることができた、そして、海洋博が終わった後も沖縄の観光客はそれ以前よりも高水準にとどまり、やがて猛烈に増加したと、こう語っております。
通商産業省職員であった堺屋先生は、海洋博を控えた一九七二年から二年間、沖縄総合事務局通産部企画調整課長でした。赴任前に佐藤栄作総理から言われた沖縄の人口を減らすなという言葉を胸に現地に勤務し、肌で実情を感じながら、復帰後の沖縄の振興と海洋博の準備に邁進された方の言葉は説得力があると思います。
短期的な成果に目が行きがちな国際博覧会でありますが、最も大切なことは、私たちの国に、そして未来に何を残すかということであります。
大阪・関西万博は、我が国の六度目の国際博覧会として未来に何を残していくのか。石破総理のお考えを国民の皆様に分かりやすくお伝えいただくことをお願いして、私の質問を終えたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕