山添拓の発言 (本会議)
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○山添拓君 日本共産党を代表し、石破総理の訪米報告について総理に質問します。
米国トランプ大統領との初めての首脳会談で総理に求められたのは、世界が直面する課題について認識し、解決に向けて話し合うとともに、批判すべきは率直に批判し、対等、平等な主権国家同士の信頼関係を構築することにありました。
ところが、現実にはどうだったか。パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させる、パリ協定やWHO、人権理事会から離脱する、トランプ大統領の一連の動きは、国際社会が積み重ねてきた協調と共存のための秩序を踏みにじる暴挙と言うほかありません。
総理は、首脳会談でこうしたトランプ氏の動きを一つでも批判しましたか。ひたすらトランプ氏におもねり、称賛の言葉を並べるばかりだったのではありませんか。
共同声明は、力による現状変更の試みへの反対を確認しています。トランプ氏は、イスラエル・ネタニヤフ首相との首脳会談で、米国がガザを長期的に所有する、ガザの住民を全て外部に移住させると述べました。まさに力による現状変更の試みではありませんか。
恒久的な停戦をどう実現するか、危機的な人道状況をどう改善し、破壊されたガザの復興をどう進めるか、緊急の支援策が求められる中、トランプ氏が不動産開発のように掲げた構想は余りに浅はかです。
総理は、トランプ氏の構想が国連憲章と国際法、二国家解決という国際社会の合意に反する暴論であるとの認識をお持ちですか。
トランプ氏は、ネタニヤフ首相らに逮捕状を発行したICC、国際刑事裁判所の職員への制裁を可能とする大統領令に署名しました。ICCの赤根智子所長は声明で、裁判所の独立性と公平性を損ない、罪のない犠牲者から正義と希望を奪うことを求めるものだ、断固拒否すると厳しく批判しています。
フランスやドイツ、イギリスなど七十九の国と地域による共同声明は、国際的な法の支配を脅かすものだと非難しています。日本がこの共同声明に加わらなかったのはなぜですか。日本は、ICC規程の起草時より、法の支配の徹底のため一貫して支持してきたのではなかったですか。明確にお答えください。
昨年、大気中の二酸化炭素濃度が二〇一〇年の観測開始以降最も高く、上昇率も過去最大だったといいます。環境省は、大規模な森林火災や化石燃料の使用など、人間の活動による排出量の増加が理由と考えられるとしています。気候危機対策は、文字どおり待ったなしです。
総理は訪米前、米国のパリ協定からの離脱について、引き続き米国の適切な関与を求めていかなければならないと述べました。トランプ氏にパリ協定離脱を改めるよう求めましたか。地球温暖化はでっち上げだ、掘って掘って掘りまくれなどと言い、化石燃料の増産を促すトランプ氏を何ら批判しなかったのではありませんか。
総理が米国の貿易赤字の穴埋めのためにLNGを新たに購入すると約束したことは、気候危機打開に背を向けるトランプ氏に擦り寄り、その姿勢を助長するものです。人類が直面する危機を前に、世界の流れへの逆行ではありませんか。
トランプ氏は、WHOからの離脱表明の直後、拠出金が減額されるなら検討し直すと言い、移民や麻薬の流入を理由にメキシコやカナダへの追加関税を求めたかと思えば、国境警備の強化を合意し、発動を延期しました。米国第一の姿勢を恫喝的に示し、取引といって譲歩を迫るやり方が、国際社会との矛盾を深め、米国の同盟国との間でもあつれきを生んでいることを総理はどう認識していますか。
こうした下で、日米同盟を更なる高みに引き上げるなどと言い、日米同盟絶対の姿勢を続けていてよいのかが厳しく問われます。
米国は、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎したといいます。安保三文書に基づく五年で四十三兆円のその先も、大軍拡を続けるつもりですか。
米国はNATO加盟国にGDP比五%の軍事費を要求し、日本に対しても三%以上を求める声が報じられています。物価高騰が国民生活に困難を強いる中、物価上昇率をはるかに上回る軍事予算の拡大が既に暮らしの予算を圧迫しています。やめるべきです。
共同声明は、南西諸島における二国間のプレゼンスの向上を強調しました。政府は来年度、外国領土を直接攻撃できる長射程ミサイルをいよいよ現実に配備するといいます。どこに配備するのですか。沖縄を始め南西諸島で、ミサイル配備に当たり事前に住民に説明する予定はありますか。
政府は昨年、沖縄県うるま市で陸上自衛隊の訓練場を新設する計画を、地元の強い反対を受け断念しました。日米間でどれだけ軍事力の強化を約束しても、住民の声を無視して押し進めることは許されません。真っ先に標的となりかねないミサイル基地や弾薬庫を有無を言わさず増やし続けるなど言語道断です。東アジアの軍事的緊張を高め、平和を脅かす大軍拡はやめるべきです。答弁を求めます。
共同声明が、沖縄辺野古新基地建設の着実な実施が極めて重要などとしたことは看過できません。衆議院で我が党の赤嶺政賢議員が指摘したように、来年度末の時点で埋立ては二割に満たないにもかかわらず、予算は八割を使ってしまう計算です。見積りを超過することは明らかです。政治的にも技術的にも財政的にも破綻した辺野古新基地建設は中止すべきです。答弁を求めます。
共同声明に、沖縄で相次ぐ米兵による性暴力事件に言及がないのはなぜですか。約一年で少なくとも五件もの米兵の性犯罪事件が発覚しました。玉城デニー知事は、米軍が実施している再発防止策の実効性に強い疑念を持たざるを得ないと述べています。日本政府は、綱紀粛正を求めると米側の主張をただ繰り返すのではなく、実効ある対策とその検証を求めるべきではありませんか。
共同声明は、米軍基地周辺で広がるPFAS汚染の問題にも触れていません。沖縄県の専門家会議は四日、米軍が新たに導入した泡消火剤にしか含まれない成分が基地周辺の地下水から検出されたことなどから、基地が汚染源だと結論付けました。ところが、政府は、米軍との因果関係は不明と逃げ回っています。先日、政府に対策を要請した市民団体、宜野湾ちゅら水会は、現状を人権侵害だと批判しています。基地への立入りを含め、日米両政府が責任を持って調査し、直ちに対策を求めるべきではありませんか。
米兵による犯罪や基地由来の環境破壊、米軍機による事故などの際、必ず立ちはだかるのが日米地位協定の壁です。総理の持論はその改定だと聞きます。トランプ氏に抜本的な改定を求めなかったのですか。お答えください。
総理は首脳会談で、対米投資を一兆ドル、約百五十兆円に引き上げると表明しました。トランプ氏が日本に求める貿易赤字解消に協力して巨額の対米投資をあおるのではなく、物価高騰に苦しむ国民生活を支えるために、国内での設備投資や大幅賃上げを実現する実効的な政策こそ今政治に求められているのではありませんか。
トランプ流の横暴勝手をただそうともせず、国民そっちのけで日米一体の軍事体制強化に邁進する。総理はかつて著書で日本はまだ真の独立国とは言えないと記しましたが、まるで忘れてしまったかのようです。到底委ねることはできません。日米同盟絶対のゆがみを正す本物の改革こそ必要であることを強調し、質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕