大門実紀史の発言 (本会議)

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○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 所得税法等改正案に関連して質問します。
 政府、財務省とは、長い間、税制について議論をしてきましたが、税に対する考え方がだんだんゆがんできていると思います。財務省のホームページに税とは何かという解説があり、次のように書かれています、私たちが納めた税金は、年金、医療、福祉、教育など、社会での助け合いのための活動に使われています。そのために必要なたくさんのお金をみんなで出し合って負担するのが税金です、つまり、税金は、みんなで社会を支えるための会費と言えるでしょう。言えないと思います。
 加藤財務大臣にお聞きします。
 そもそも社会保障や教育は助け合い活動ですか。社会保障や教育は、憲法に基づいて国民に保障された権利であり、それを実行するのは政府の責任ではありませんか。
 更に言えば、税金は会費ですか。普通、会費というのはサービスに応じて支払うもので、応益負担が原則です。一方、税金は負担能力に応じて負担する応能負担が原則のはずです。財務省の税に対する考えは、応能負担ではなく、社会保障や公共サービスを受ける者はその受益に応じて税を払うべきという応益負担、受益者負担論に変質してきているのではありませんか。加藤大臣の答弁を求めます。
 また、この間の石破総理の税制に関する答弁も、受益と負担の関係ばかりに言及され、特に応益負担を強調されています。総理も、税は応能負担より応益負担を重視すべきとお考えですか。答弁を求めます。
 近代民主国家における課税の原則は応能負担です。税の応能負担と社会保障給付を通じて所得の再分配を図り、国民の所得格差を是正し、中間層を分厚くすることで、社会の安定と経済の成長を図ろうという考え方が大本にあるからです。
 しかし、八〇年代のイギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権以降、大企業や富裕層、投資家の利益を最大化することを目的とした新自由主義が世界に広がり、各国で所得税の最高税率の引下げや大企業向けの法人税減税が進められました。
 一方、その穴埋めをするために、国民に広く税負担を求める庶民増税が行われました。このとき、国民負担増を正当化するために登場したのが応益負担論でした。税は受益者が負担すべきという理屈が振りまかれたのです。
 歴史的文脈から見れば、応益負担、受益者負担論は国民の負担増を正当化し、所得の再分配をサボタージュするイデオロギーとして出されてきたものではありませんか。総理の認識を伺います。
 このことは私の実感とも一致します。私が最初に国会で税の議論をさせていただいた財務大臣は宮澤喜一さんでした。知性と見識のある方で、「社会正義のために」という当時野党からも賛同された提言において格差是正を説かれ、所得再分配の重要性について新人議員の私が教えていただくことも多々ありました。
 ところが、小泉政権で竹中平蔵氏が経済担当の大臣に起用された辺りからおかしくなりました。何でも自己責任の新自由主義がはびこるようになり、所得の再分配より応益負担、受益者負担論がまかり通るようになったのです。
 しかし、受益者負担ばかり追求していけば、つまるところ、所得の低い人から税を取って所得の低い人に給付することになってしまいます。所得再分配機能の否定です。これでは格差は是正されず、経済も停滞してしまいます。
 石破総理は、予算委員会での私の質問に対し、格差を是正しないと経済も発展しないとお答えになりました。ならば、税の応能負担原則をおろそかにするのではなく、むしろ強化して、税金はもうかっている大企業や富裕層に応分の負担を求めるべきではありませんか。
 総理は、応能負担と応益負担のバランスが大事だとお答えになるかもしれません。あるいは、少子高齢化社会へ向けて世代間の負担の公平を図る必要があるとお答えになるかもしれません。しかし、どんな社会になろうと、税における公平性とは負担能力における公平性のことです。世代間の公平などと言って現役世代と高齢者の分断を図り、社会保障全体を削減しようとしている国は日本だけです。
 税の応益負担に固執していることが格差の是正も妨げています。例えば、課税最低限の問題です。
 課税最低限は、一九九五年以来、三十年間も据え置かれてきました。加藤大臣は、据え置いてきた理由を物価上昇率が低かったからだと説明されました。しかし、そもそも日本の課税最低限は、夫婦子供二人の場合、二百八十五万円で、ドイツの四百八十四万円、アメリカの八百九十二万円などに比べて余りにも低過ぎます。物価云々の前に、なぜ欧米に比べて低過ぎる課税最低限を引き上げようとしてこなかったのか、加藤大臣、お答えください。
 石破総理は、課税最低限について、生計費だけでなく、個人所得税を通じて公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性などを踏まえる必要があると本会議で答弁されました。つまり、公的サービスを受けているのだから、所得の少ない人も含め広く国民が税を負担する必要があるというお考えでしょうか。お答えください。
 課税最低限の議論にこういう応益負担論を持ち込むと、税金はできるだけ広く国民から取ればいいということになり、課税限度額を引き上げる理由はなくなってしまいます。余計な理屈を付けず、欧米各国のように、生計費非課税の原則だけに基づき、課税最低限を大幅に引き上げるべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 受益と負担の公平と言うなら、アベノミクスのおかげで株で大もうけさせてもらった富裕層の受益に対し、もっと負担を求めるべきです。日本より株取引の活発なアメリカでは、高い金融所得には重い税金を掛けています。投資にブレーキを掛けるという総理の御指摘は当たりません。直ちに一億円の壁の是正を決断すべきです。総理の答弁を求めます。
 消費税も元々、大企業・富裕層減税の代替財源として直間比率見直しのために導入されました。社会保障の財源は、逆進性のある消費税ではなく、応能負担の税制改革で賄うべきです。消費税は直ちに五%へ減税するよう求めます。
 給付における受益者負担の最も冷酷な例が、今大問題になっている高額療養費の負担額の引上げです。このことを政府に建議した財政審は、引上げの理由に給付と負担の適正化、受益者負担の適正化を挙げました。しかし、人間の命を見捨てて何の適正化でしょうか。物価高騰で生活が圧迫される中、がん患者の皆さんは、負担の引上げどころか、引下げを求めておられます。患者団体の皆さんを見直しの協議の場に参加していただくとともに、負担上限額の引上げを全面撤回し、むしろ引き下げることを強く求めます。
 この点について総理のお考えを最後にお聞きして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 大門実紀史

speaker_id: 16551

日付: 2025-03-12

院: 参議院

会議名: 本会議