金子道仁の発言 (本会議)
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○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。
会派を代表し、ただいま議題となっております令和七年度予算三案について、賛成の立場から討論を行います。
昨年十月の衆議院議員選挙の結果、衆議院は与党過半数割れとなり、三十年ぶりの少数与党の政権運営が始まって五か月が経過しました。与党のみでは予算案も法律案も成立できないという特殊な状況下で、我が党を含めた野党は、それぞれに掲げた政策実現のために与党・政府との間で協議を行い、互いに切磋琢磨してまいりました。
我が党も、結党以来の中心政策である教育無償化と現役世代の負担軽減を図るための社会保障改革の分野において改革実現に向けた真摯な協議を重ね、その結果として、与党との間で合意に至りました。今回の合意に関する所要の修正が予算案に加えられたことを理由として、令和七年度予算案に賛成の意を表明しました。
今回の合意に際して石破総理は、与野党の建設的な協議と合意は我が国の国会の在り方としても非常に意義深いと述べられました。今後も様々な枠組みで与野党協議が展開されると予想されますが、与野党を交えた政策決定プロセスに際しては、より透明性を向上して広く国民に周知を図り、できるだけ多くの会派の参画を得て広いコンセンサスを図る、充実した国会審議に引き継がれる形で進められていくことを希望いたします。
また、我が国の特殊な政治状況は、国際社会からも関心を持って見られています。今年二月に出されたIMFの対日四条協議の声明には、少数与党下での政治要求を踏まえると赤字が更に拡大するリスクがあるが、財政余地が依然限られているためこれは避けるべきであり、予算における他分野の歳出削減で相殺されなければならないとの言及がありました。国際社会の信頼を保ち続けるために、財政健全化の姿勢を堅持し、与野党共に責任ある政策提言を行い、現役世代の負担をこれ以上増やすことなく、また次世代に負担を先送りすることなく、行財政改革により必要な財源を捻出すべきことであることを繰り返し申し述べます。
合意分野の一つである教育無償化について、来年度予算に高校の授業料無償化のための費用が盛り込まれました。ただし、無償化はあくまで手段であり、ゴールではありません。生徒一人一人が自分の人生を考え、学びを選択し、問いを持ちつつ決めていく力を育てること、そして、全国どこに住む高校生でも質の高い教育を受けられる社会をつくることが真の目的です。
今回の合意文書では明確でなかった論点については、予算委員会等で様々な議論が行われました。我が党は、就学支援金の生徒本人への支給を徹底することで、支給対象を明確にしつつ、生徒が自ら責任を持って学びを選択、構築できる環境をつくるとともに、便乗値上げを防ぐ方策を提言しています。また、過疎地域でも多様で質の高い教育機会を確保するため、公立、私立を合わせた学校配置計画の策定、通信教育や遠隔授業を用いた連携推進、学校、課程、学科の垣根を越えた単位互換の推進を訴えました。これらの政策を総合して、全国どこに住む高校生でも多様で質の高い教育を受けられる環境づくりに努力してまいります。
もう一つの分野である社会保障、社会保険料を下げる改革については、年間四十七兆円に達し、毎年一兆円規模で増え続けている国民医療費により現役世代に課せられる社会保険料の負担が限界に達していることを深く憂慮し、現役世代の手取りを増やすと同時に医療制度の持続可能性を確保するため、国民医療費の総額を年間で四兆円削減することを目標に、令和七年末までの予算編成過程で論点の十分な検討を行い、早期に実現可能なものについては令和八年度から実行に移すことに合意しました。予算委員会等の場では、OTC類似薬の保険給付の在り方、高額療養費制度の外来特例の見直しなど、改革の具体策についても議論し、改革の実効性を示しました。これからも改革の具体策を政府・与党に提案し、実効ある社会保険料を下げる改革を実現してまいります。
高額療養費の制度の見直しの凍結についても一言申し上げます。
保険、健康保険の本来の意義とは、予測困難な健康上の問題を前にした国民が高額な医療費で治療を諦めることのないようにすることであり、高額療養費制度は、まさに保険、健康保険制度の中核です。政府が高額療養費制度の負担上限額引上げを見送る方針を固めることは当然の判断であると考えます。
本制度は、負担上限額の引上げの前に多くのやるべき改革があります。軽微な症状は自分で治す、薬剤師の役割を見直し強化する、処方箋なしで薬局で買える医薬品は保険を使わずに買っていただく、ジェネリック医薬品を選択してもらうなど、少しの不便を全世代の国民で分かち合っていただくとともに、医療提供者側にも、DXを通じた効率化や過剰な医療については是正を求めるような改革を提言してまいります。
予算の内容については、全てにおいて賛成ということではありません。高額療養費制度については予算の修正がなされたことは多としますが、地方創生交付金の執行状況、そして何より不十分な行財政改革については我が党は反対の立場であり、今後もその姿勢を示してまいります。
強く危惧することは、財政規模がコロナ前に戻っていないことです。
コロナ禍を越え、財政の平時への回帰が訴えられる中、令和六年度の予算の歳出規模は当初予算比で前年度から僅か一・八兆円程度、一・六%の減額にとどまり、令和七年度政府予算では前年度から三兆円、約二・六%の増額となっています。税収等が増加傾向にある今こそ、財政バッファーを再構築し、相次ぐ自然災害等の緊急的支出にも対応できる財政的余地を確保することが重要であると考えます。
そのためにも、政府に対しては、総理がよくおっしゃるように、検討で終わらせないために、例えばこども未来戦略で示された社会保障の歳出改革による公費削減など、既に策定済みの改革工程の徹底した実行と精緻な検証を強く求めていきます。
また、行政事業レビューの活用による歳出削減目標額の明示、休眠基金の解消と基金の原則十年解散ルールの設定、赤字が拡大する官民ファンドの整理、廃止と類似ファンドの整理統合、特別会計の見直しなど、政府全体で徹底した行財政改革を行うことを約束した三党合意の実現を目指して、政府・与党に行財政改革の提言を行い、その果実を得る努力を行います。
企業・団体献金を受け取らず、しがらみなく意見、提言できる日本維新の会だからこそできる様々な改革提案を批判を恐れずに行ってまいります。
政治と金の問題を端緒とした政治資金規正法の改正と企業・団体献金の廃止についても一言申し上げます。
参議院での予算審議途中に発覚した石破総理による商品券配付問題は、予算審議に水を差し、政策議論を妨げるゆゆしき事態でした。衆議院で政治資金規正法改正の議論をしている中で、歴代総理による慣習とも推察させる行為が露見したことは、政治と金の問題の根の深さを国民に印象付け、更なる政治不信、国会議員全体への不信を招いています。だからこそ、我々国会議員は、今こそ自ら襟を正し、自ら厳しく律する姿勢を示すため、考え得る最も厳しい条件で企業・団体献金を廃止し、国民の信頼回復を図るべきだと考えます。
当初申し合わせた本日までの合意形成は難しい状況ですが、国民の皆様に評価していただけるような、そして金の掛からない政治の実現の第一歩となるような企業・団体献金禁止法案の成立に向け、丁寧かつ早急な合意形成を強く求めます。
最後に、私は予算委員会で、我が国の平和教育の中心は何かと総理に質問いたしました。戦争資料館ではなく広島平和記念資料館という名前に衝撃を受けたパレスチナの青年の話から、私は、平和教育の中心は赦し、憎しみの連鎖を断ち切ることであると発言しました。総理はこれに対し、自分だけが正しいという自己義認の危険性を指摘され、平和教育の中心は寛容であると述べられました。
昨年、被団協がノーベル平和賞を受賞し、我が国の平和教育が脚光を集めている中、平和教育の中核である赦し、寛容という価値観が我が国の内外にしっかり発信されることを期待します。教育無償化という手段を通して全国どこでも多様で質の高い教育機会が確保されること、そして、平和教育やインクルーシブ教育等を通して他者への寛容と赦しの価値観が子供たちに浸透していくことは、国内の社会基盤を強化し、同時に積極的平和外交につながると確信します。
我々は、教育無償化の先にある理想の教育像を各会派と真摯に議論し、次の世代に希望を与える教育機会を提供する、国家百年の計である教育の転機に臨む国会の重い責務をしっかり果たしていく決意を最後に申し述べ、討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)