鈴木馨祐の発言 (本会議)
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○国務大臣(鈴木馨祐君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。
まず、電磁的記録提供命令によって取得した電磁的記録の取扱いや同命令の対象についてお尋ねがありました。
捜査機関においては、一般に、個人情報を含め捜査の過程で取得した情報について、刑事訴訟法、刑事確定訴訟記録法といった法令等の規定や趣旨に従い適正に取り扱っているものと承知をしております。そして、記録の保管については、刑事確定訴訟記録法等においてその期間が定められており、それを経過したものは廃棄することとされていることから、取得された情報が捜査機関の元に蓄積され続けることとはならないと承知をしております。
また、電磁的記録提供命令がどのような電磁的記録を対象として用いられるかは、個別具体的な事案によるため一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げれば、同命令においては、捜査に必要な電磁的記録を保管し又は利用する権限を有する者であって、我が国に所在するものに対し、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載、記録した電磁的記録に限ってその提供を命ずることができることとなっております。
次に、憲法第三十五条の趣旨及び電磁的記録提供命令の令状における対象の特定についてお尋ねがありました。
憲法第三十五条第一項は、何人も、その書類及び所持品について押収を受けることのない権利は、押収する物を明示する令状がなければ侵されない旨規定をしておりまして、包括的な押収を禁止をしております。これを受けまして、本法律案による改正後の刑事訴訟法におきましては、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状に、提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記載、記録することとしており、裁判官は、個別の事案ごとに被疑事件等との関連性が認められる範囲で提供させるべき電磁的記録をできる限り特定して令状に記載、記録することとなります。
その上で、このようにして裁判官が発した令状により提供された電磁的記録の中に結果として被疑事件等の立証に直接的には用いられないものがあったとしても、そのことによって電磁的記録提供命令が直ちに違法、不当の評価を受けるものではないと考えております。
次に、電磁的記録提供命令の令状と令状主義等との関係についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げましたとおり、裁判官は、電磁的記録提供命令の令状において、個別の事案ごとに被疑事件等との関連性が認められる範囲で提供させるべき電磁的記録をできる限り特定して記載、記録することとなります。したがいまして、電磁的記録提供命令の令状が御指摘の憲法の原則や令状主義を形骸化するようなことにはならないと考えております。
次に、電磁的記録提供命令の対象者についてお尋ねがありました。
電磁的記録提供命令がどのような者に対して用いられるかは、個別具体的な事案によるため一概にお答えすることは困難であります。その上で、あくまで一般論として申し上げれば、御指摘のような事業者が、捜査に必要な電磁的記録を保管する者又はそれを利用する権限を有する者に当たる場合には電磁的記録提供命令の対象となり得ると考えられますが、実際に捜査機関が電磁的記録提供命令をするためには、裁判官が発する、提供させるべき電磁的記録や提供させるべき者を特定して記載、記録した令状が必要であります。
次に、電磁的記録提供命令の立法事実等についてお尋ねがありました。
現行法の下で刑事手続に必要な電磁的記録を強制的に取得する場合には、処分者が被処分者の下に赴いて記録媒体を差し押さえる必要があるため、処分者側、被処分者側の双方に相応の負担が生じております。また、実務においては、電磁的記録がクラウドサーバーに保存されている場合など、記録媒体の差押えが困難な場合もあり得ます。
そこで、本法律案においては、有体物である記録媒体の差押えを介在させず、被処分者に対し電磁的記録の提供を命じ、罰則をもってその履行を確保する電磁的記録提供命令を設けることとしております。その上で、例えば、捜査に必要な電磁的記録がクラウドサーバーに保存されているなど記録媒体の差押えが困難であって、かつ当該電磁的記録を保管する者等が任意での提出を拒んでいるような場合には、現行の強制処分では対処が困難であり、電磁的記録提供命令の活用が想定されるものと考えております。
次に、電磁的記録提供命令により提供させた電磁的記録の内容を確認するための措置についてお尋ねがありました。
本法律案による改正後の刑事訴訟法第百十一条第三項の電磁的記録の内容を確認するための措置をとることその他必要な処分とは、電磁的記録提供命令により提供させた電磁的記録について、検証や保管の必要性の有無を判断するための処分をいい、例えば、電磁的記録提供命令により提供させた電磁的記録にパスワードが付されている場合において、これを可読化することもこれに当たり得ると考えております。
次に、電磁的記録提供命令によるGPS履歴の取得についてのお尋ねがありました。
捜査機関が電磁的記録提供命令により提供を命ずることができる電磁的記録は、既に存在している電磁的記録であって、裁判官が被疑事件等との、失礼しました、被疑事実等との関連性を認めて令状に記載、記録したものに限定をされます。
その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のGPS履歴に関する電磁的記録についても、それが既に存在しているものであって、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載、記録したものである場合には、その限度で電磁的記録提供命令の対象となり得ると考えております。
次に、捜査機関が電磁的記録提供命令により取得した電磁的記録の利用についてお尋ねがありました。
捜査機関においては、一般に捜査の過程で取得した証拠について、刑事訴訟法、刑事確定訴訟記録法といった法令等の規定や趣旨に従い適正に取扱いをしているものと承知をしております。
本法律案が改正法として成立をした場合には、電磁的記録提供命令によって取得した電磁的記録についても同様に取扱いをされるものと考えておりまして、捜査機関においては、引き続き、証拠の適正な利用等に努めていくものと承知をしているところであります。
次に、自白偏重、そして人質司法の改革についてのお尋ねがありました。
一般論として申し上げれば、検察当局においては、自白のみに頼ることなく、それ以外の証拠の収集にも万全を期することはもとより、自白の信用性も慎重かつ十分に吟味をし、これらの証拠に基づいて事実の存否を的確に判断した上で、適切な事件の処理に努めているものと承知をしております。
また、被疑者、被告人の身柄拘束については、法律上厳格な要件及び手続が定められております上、一般論として、不必要な身柄拘束がなされないよう、適切に運用されているものと承知をしております。したがいまして、人質司法との御指摘は当たらないものと認識をしております。
次に、取調べの録音、録画や弁護人の立会い、全面的な証拠開示及びいわゆるオンライン接見についてのお尋ねがありました。
現行の録音、録画制度を超える取調べに関する規制については、取調べの適正確保の観点のほか、捜査の機能に与える影響等も考慮しつつ、慎重かつ丁寧に検討すべき問題であると考えております。
次に、検察官保管証拠のいわゆる事前全面開示については、法制審議会において議論がなされたものの、争点及び証拠の整理が十分になされなくなるといった問題点が指摘をされ、法整備がなされなかったものと承知をしております。したがいまして、慎重な検討を要するものと考えております。
また、オンライン接見につきましては、例えば弁護人の端末を用いて行う場合、弁護人以外の者による弁護人への成り済ましや、接見が認められていない第三者の同席等の防止が困難であると指摘をされておりまして、オンライン接見一般を被疑者等の権利として位置付けることは相当でないと考えております。
最後に、再審制度の改正についてお尋ねがありました。
再審制度に関しましては、先般、御指摘の点を含む再審手続に関する規律の在り方について法制審議会に諮問をしたところであります。
そのため、まずは法制審議会の議論を見守りたいと考えておりますが、国民の皆様方の関心も高いことなどから、法務省といたしましても、十分な調査審議が行われ、できる限り早期に答申をいただけるよう尽力をしてまいります。(拍手)
〔国務大臣村上誠一郎君登壇、拍手〕