伊東良孝の発言 (本会議)
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○国務大臣(伊東良孝君) 村田享子議員にお答えをいたします。
一点目、協議の形骸化をどのように防ぐかについてお尋ねがありました。
形式的に協議に応じるのみで、実質的な協議を行わず、一方的に価格を決定する行為が行われることも懸念されますが、実質的に協議に応じていないと認められる場合には、改正後の法律に違反することとなります。
協議の形骸化に関する懸念に対しましては、例えば、この法律の運用基準などで、受注者に対し取引の打切りを示唆した上で協議に応じず一方的に価格を決定することや、協議の求めを拒み、無視し、又は繰り返し先延ばしにしたりして、協議に応じずに価格を決定することなど、想定される問題事例を分かりやすく示すことを検討をいたしております。
また、運用基準などの整備に当たりましては、事業者の意見も十分に聞くなど、取引における協議の実態を十分に踏まえて検討していくことといたしております。
二点目につきまして、失注や減注、誤って注文すること、また注文を減らすこと、これらの対策についてお尋ねがありました。
事業者がどの事業者と取引するかについては事業者の判断によるものであり、事業者が別の事業者と取引を行わないこと自体を規制することは、事業者間取引における契約自由の原則の観点から適切ではないと考えております。
今回の改正法案が成立すれば、適切な価格転嫁を我が国の新しい、新たな商習慣としてサプライチェーン全体で定着させていくことにつながると考えており、公正取引委員会において改正後の法律を厳正に執行していくことに加え、担当大臣としても、労務費転嫁指針の周知などの普及啓発活動について、中小企業庁や事業所管省庁と連携して、引き続き取り組んでまいります。
こうした取組により、適切な価格転嫁の必要性を事業者にも広く理解いただけるように努めてまいりたいと考えております。
三点目に、運送委託を追加する理由あるいは効果についてのお尋ねがありました。
発荷主と元請運送事業者との間の取引については、これまで独占禁止法に基づく物流特殊指定により対応してまいりましたが、公正取引委員会による注意喚起の対象となった発荷主は毎年六百名前後で高止まりしており、依然として問題が多く生じている状況にあると考えております。
こうした状況を踏まえ、今回の改正法案では、販売や製造などの対象となる物品の引渡しに関して、発荷主が運送を委託する取引類型を新たに特定運送委託として規定し、この法律の対象取引に追加することといたしております。特定運送委託を追加することにより、独占禁止法に基づく行政処分と比べて簡易迅速な手続により問題行為に対処できるようになる、発荷主に対して発注内容の明示が義務付けられるため、運送事業者が行うべき業務内容が明確になる、国土交通省を始めとした事業所管省庁においても問題行為に対して直接指導ができるようになるといった効果があると考えております。
次に、従業員基準の追加についてのお尋ねがありました。
現行法では、この法律の対象を規定する基準として資本金を採用しておりますが、この基準については、事業規模は大きいが資本金の額が少額であり、この法律の適用を受けないようなケース、また、自ら減資をすることによってこの法律の適用を逃れるようなケース、また、この法律の適用を逃れるために取引の相手方に対して増資を求めるようなケースがあるといった課題が指摘されております。
今回、新たに従業員基準を導入するのは、実質的に事業規模が小さな事業者を保護しつつ、このように規制逃れをしていると考えられるような事例にも対処できるようにするためです。この従業員基準については、事業者に過度な負担が掛からず、従業員の数を容易に把握できるようにする必要があると考えております。
今後、中小企業基本法を始めとした他法令における解釈も参考にしつつ、実際の事業者の声も聞きながら、公正取引委員会において適切な解釈、運用を検討していくこととしております。
五点目につきましては、より踏み込んだ対応の必要性についてのお尋ねがありました。
公正取引委員会では、毎年、発注者、受注者に対する大規模な書面調査を実施し、自ら情報を得ることができるよう、積極的、能動的な情報収集活動を行っています。また、この法律では、受注者が公正取引委員会などに申告したことを理由として発注者が取引の数量を減らしたり取引を停止したりするという報復措置を禁止しています。さらに、改正法案では、新たに指導権限などが付与される事業所管省庁に対して申告したことを理由とする報復措置についても禁止することとしています。
公正取引委員会においては、こうしたものを通じ、ちゅうちょなく情報提供していただける環境を整えるとともに、申告の有無にかかわらず積極的に情報を収集することでこの法律の実効性を確保できるよう、引き続き取り組んでいくこととしております。
六点目に、この法律と独占禁止法の罰則強化についてのお尋ねがありました。
この法律は、取引の公正化と受注者の利益保護を図るため、違反行為に対しては簡易迅速に対処することを主眼としています。このため、買いたたきや減額などの取引の内容に関する禁止行為に対しては、罰則ではなく、被害金額の返還などを勧告し公表するという行政指導で対処する仕組みとなっており、これを維持することが適当であると考えております。
また、独占禁止法の排除措置命令については、命令が確定した後においてこれに従わなかった場合、その者に対し二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処することとされ、法人に対しては三億円以下の罰金に処することとされています。さらに、独占禁止法の課徴金制度については、令和元年の改正により、課徴金の算定期間を延長するなど、違反行為の抑止効果の向上を図っています。
引き続き、改正後のこの法律や独占禁止法の運用状況等を踏まえ、不断の見直しを行ってまいります。
七点目に、グループ会社間での取引についてのお尋ねがありました。
親会社が議決権の過半を所有する子会社と取引する場合など、グループ企業間の取引については、実質的に同一会社内での取引と見られ、通常、市場における競争環境に影響を与えるものでないことから、この法律や独占禁止法上、問題とはなりません。
一方で、この法律や独占禁止法の対象か否かにかかわらず、子会社がその先の受注者との取引において適切な価格転嫁ができるよう、親子会社間も含め価格交渉に取り組むことは極めて重要です。そのため、労務費転嫁指針の周知徹底などの取組を更に強化することを通じて、親子会社間の取引を含む全ての取引において適切な価格転嫁を促す環境の整備を図ってまいります。
八点目に、海外の事業者との取引についてのお尋ねがありました。
海外の事業者との取引につきましては、この法律や独占禁止法が適用できるかについては、その取引が日本市場に与える影響を踏まえて判断されるため、一概には言えませんが、一般論としては、外国法人との取引であっても、日本国内において行われた取引であれば、これらの法律の適用対象となります。
一方で、これらの法律の適用対象とはならない場合であっても価格転嫁に取り組むことは極めて重要であり、労務費転嫁指針など、受注者側への周知啓発することを通じて、その趣旨を生かした適正な価格転嫁が行われるよう、取引環境の整備を図ってまいります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇、拍手〕