武藤容治の発言 (本会議)

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○国務大臣(武藤容治君) 岩渕友議員の御質問にお答えさせていただきます。
 米国の関税措置による取引先へのしわ寄せへの対策についてお尋ねがありました。
 関税措置が発動される中でも取引適正化の取組に影響を与えないことが重要であります。
 そのため、先月、私自身が自動車業界各社のトップと面会をし、関税措置の影響が中堅・中小メーカーに及ばぬよう、適正取引の確保を直接要請したところです。各社からは、サプライチェーン全体での適正な価格転嫁を通じ、成長、雇用、分配に積極的に取り組む旨の発言がありました。
 さらに、各社はこれまで、深い取引階層のサプライヤーも対象のセミナーを全国各地で開催をし、積極的に価格転嫁を呼びかけているものと承知をしており、今後も継続するよう要請しております。
 加えて、短期の支援策として、特別相談窓口の設置、また資金繰りや資金調達への支援、中堅・中小企業の事業強化のための支援を行っています。
 こうした取組を着実に実施することで、国内産業や雇用を守るために必要な支援に万全を期してまいりたいと思います。
 続いて、米国による関税措置についてお尋ねがありました。
 米国による関税措置については、先般行われました日米協議の場において、赤澤大臣から米国側に対し、米国の関税措置は極めて遺憾であると述べつつ、一連の関税措置の見直しを強く申し入れたと承知をしています。その上で、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な議論を行い、前進することができたと承知をしています。
 今回の協議結果も踏まえつつ、引き続き、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。
 価格転嫁が進まない理由と本法案の実効性についてお尋ねをいただきました。
 価格転嫁率は昨年九月時点で、若干ながら上昇するも四九・七%であり、いまだ道半ばです。この理由としては、例えば、価格転嫁を申し出れば取引の減少、失注に至る、あるいは、賃上げ分の原資は合理化努力で賄うべきなどの認識が根強く残り、交渉や転嫁を申し出にくい実態も一因と考えられます。さらには、三十年間続いたデフレ経済下で染み付いた、より安く調達すべきとの商慣習が根底にあると考えています。
 価格転嫁がどこまで進むかは事業者同士の交渉で決められるものですが、下請法の厳正な執行や価格交渉サポート等により、コスト上昇分も踏まえた適切な価格交渉を促進し、価格転嫁を後押ししてまいります。
 次に、下請事業者の立場の弱さや価格協議の効果についてお尋ねいただきました。
 一般論として、受注者が中小・小規模事業者である場合には、発注者よりも規模が小さく、立場も弱くなる場合もあると認識をしております。実際に、議員御指摘のように、協議を申し出ることができない等の声も把握しております。
 そこで、改正法案では、受注者からの交渉を後押しすべく、協議や説明に応じない一方的な価格決定の禁止を盛り込みました。さらに、全国四十七のよろず支援拠点に価格転嫁に関する相談窓口を設置し、その活用を促すなど、協議しやすい環境を整備します。
 中小企業庁の調査によれば、価格交渉できている業種ほど価格転嫁率が高い傾向があり、価格協議の促進は価格据置きの抑制にも一定の効果があると考えられます。
 続いて、下請代金検査官の増員についてお尋ねいただきました。
 経済産業省では、全国で百八名の下請代金検査官の定員に加え、三百三十名へ増員した下請Gメンが得た情報の活用も含め、下請法執行に適切な体制を確保してまいりました。
 まずは、現在の下請代金検査官による法執行の実効性を最大限に高めることが重要であり、公正取引委員会と連携をし、人材交流による検査ノウハウの普及や定期的な連絡協議により、効果的な執行体制の整備、改善を進めております。
 加えて、本法案に盛り込まれました各事業所管大臣との間の情報連携の規定も活用し、各省の情報を下請法の執行にも活用するなど、下請法の執行強化を図ってまいります。
 続いて、下請法の規制の強化についてお尋ねがありました。
 罰則導入を含めた下請法の制度の在り方は、公正取引委員会からお答えをするため、私からの答弁は差し控えますが、下請法の執行においては、行政指導により簡易迅速に被害回復や取引方針の改善を図っております。
 経済産業省としては、下請法の厳正な執行に加え、年二回の価格交渉促進月間の実施、価格交渉、転嫁の状況の社名公表などの取組も含め、幅広い対策により取引適正化を促進してまいります。
 続いて、下請振興法に基づく下請事業計画の支援の実効性についてお尋ねがありました。
 下請振興法の制定以降、十二の振興事業計画を承認し、金融支援等を実施してきました。認定を受けた発注者や受注者は関連設備の相互利用などを通じて生産性の向上が認められるなど、一定の効果があったと認識しているところです。
 一方で、現状ではサプライチェーンの深い層まで価格転嫁が浸透し切れていない状況であります。その点を踏まえ、今般の改正では、複数の取引段階にある事業者が共同で効率化や投資等を行う事業者に対して承認、支援できる旨を盛り込んでおります。
 下請振興法の改正を踏まえて、振興基準にも直接の取引先の更に先の事業者との連携の重要性を盛り込み、振興事業計画のメリットと併せて経済界へ周知することで、計画の活用を促し、振興法の実効性を高めてまいります。
 続いて、官公需の価格転嫁についてお尋ねがありました。
 政府としては、国や地方公共団体が工事や役務を調達する際にとるべき措置として、官公需法に基づく基本方針を取りまとめ、閣議決定しております。今年度の基本方針には、価格交渉を促進すべく、協議の申出があった際には誠実に応じなければならない、少なくとも年に一回以上の協議を行うよう努めるなどを盛り込み、先月二十二日に閣議決定した上で国や地方公共団体へ周知したところであります。
 今後は、この基本方針が適切に実行されるよう、総務省を始め各省とも連携し、説明会の開催や実施状況の調査等を行い、実効性を確保してまいります。
 下請法対象外の事業者による買いたたきについてお尋ねをいただきました。
 下請法上の資金、失礼しました、資本金基準や改正法の従業員基準に該当しない取引であっても、資本金や従業員数に差がある場合は下請振興法が適用される可能性があります。望ましい取引方針を示した振興基準の活用を受注者に促す等により、下請法対象外の取引についても適正化に努めます。
 また、自己の取引上の地位が相手方に優越することを利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となり得ると承知をしております。
 さらに、年二回の価格交渉促進月間に基づく発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表や業界全体での取引適正化の推進等により、下請法対象外の取引も含め、サプライチェーン全体での価格転嫁を進めてまいります。
 最後になりますが、中小企業の賃上げに向けた直接支援や消費税減税についてお尋ねをいただきました。
 中小企業・小規模事業者の持続的かつ構造的な賃上げに向けては生産性の向上を伴うことが重要であり、必要であり、直接支援がその点に効果を発揮する施策かどうか慎重に見極める必要があると考えます。
 経済産業省としては、中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を向上させ、賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチであるという考えの下、本改正法案の厳正な執行を始めとする取引適正化や生産性向上の支援といった施策に取り組んでまいります。
 また、消費税については、政府として、その引下げを図ることは適当ではないと考えているところです。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 武藤容治

speaker_id: 5964

日付: 2025-05-09

院: 参議院

会議名: 本会議