伊東良孝の発言 (本会議)
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○国務大臣(伊東良孝君) 大椿ゆうこ議員にお答えいたします。
まず、公益通報者保護制度検討会、この委員についてのお尋ねがありました。
この検討会では、制度をめぐる近年の国内外の動向を踏まえ、法学的見地や実務の観点から制度の実効性向上に向けた課題と対応を検討するため、学界、労働団体、消費者団体、経済界といった各界の代表者や有識者を委員としました。
検討に当たっては、通報を理由とする不利益な取扱いが争点となった近年の裁判例を参照したほか、通報者を支援している日弁連の消費者問題対策委員会の委員からも意見を聴取しており、事業者内部や行政機関、報道機関等の外部に通報した労働者の状況を十分に踏まえた議論が行われたと考えております。
次に、兵庫県の事案を踏まえ、二号及び三号通報を行った労働者の保護の可否や、通報者探索の違法、制度の実効性についてお尋ねがありました。
兵庫県知事の個別の通報への対応等については、公益通報者保護法では、個別の通報への対応に関する事実関係の認定は裁判所においてされることとされており、消費者庁が事実関係を認定する立場にないことから、コメントすることは差し控えさせていただきます。
その上で、一般論としては、二号通報又は三号通報を行った公益通報者も、保護要件を満たせば解雇等の不利益な取扱いから保護されます。また、事業者がとるべき措置の内容を定めた法定指針では公益通報者を保護する体制の整備を求めていますが、ここで言う公益通報者には二号通報又は三号通報をした者も含まれます。また、法定指針が定める公益通報者を保護する体制の整備には、通報者の探索を防ぐための措置が含まれています。今回の法改正により、公益通報を理由として解雇又は懲戒した事業者に対する刑事罰を導入し、正当な理由なく公益通報者を探索する行為を禁止する規定等を設けることとしています。
これらの措置により、制度の実効性が向上し、事業者の自浄機能発揮につながると考えております。
次に、公益通報者保護法第二十条の削除についてお尋ねがありました。
国や地方公共団体の行政機関といった、自ら法令遵守を図り、義務を履行することが期待される事業者の体制整備については、その責任は常に国民や住民に対して直接負っていることを踏まえ、公益通報者保護法第二十条において消費者庁の行政措置は適用しないこととされています。こうした点を踏まえて、本改正では第二十条は維持することとしています。
一方で、消費者庁では、地方公共団体向けの通報対応に関するガイドラインの策定や行政機関に対する実態調査の実施等を通じて、地方公共団体の体制の整備を促してきたところです。
消費者庁では、引き続き、このような取組を適切に実施してまいります。
次に、対象法律の指定の在り方についてお尋ねがありました。
公益通報者保護法は、食品偽装やリコール隠しなど、国民生活の安全、安心を損なう企業不祥事を端緒として制定されました。このため、消費者保護という観点に重点を置き、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護を直接の目的とする法律を対象法律としております。
消費者庁としては、法が制定された経緯を踏まえた上で、まずは現在の法目的の範囲内で見られる制度の課題に対処することで制度の充実強化を図ることが重要と考えており、対象法律に公文書管理法等の国家の機能に関する法律を追加することは困難と考えております。
次に、保護される通報者の範囲の拡大についてお尋ねがありました。
公益通報者保護法は、事業者に対して弱い立場にある個人を公益通報者として、公益通報を理由とする不利益な取扱いから保護する法律です。今回の法改正では、働き方の多様化を踏まえ、事業者と業務委託関係にあるフリーランスを保護の対象として追加しております。取引先事業者は、個人でないため、保護の対象としておりません。また、ボランティア、インターン等を保護対象とすることについては、これらの者に対する不利益な取扱いの実態が現状明らかではないことから、その状況を注視してまいります。
次に、従事者指定義務以外の体制整備義務違反を罰則の対象とすることについてお尋ねがありました。
従事者指定義務以外の体制整備義務については、内閣府告示である法定指針において、公益通報者に対する是正措置等の通知や内部規程の策定など、様々な措置を求めているところです。これらの措置について、消費者庁の命令権や命令違反時の刑事罰の対象とすることは、他の法令との並びを勘案しても、企業活動に対する公権力の過剰な介入となるおそれがあり、困難と考えております。
次に、常時使用する労働者数三百人以下の事業者による体制整備を義務化することについてお尋ねがありました。
消費者庁の実態調査の結果、常時使用する労働者の数が三百人超の義務対象の事業者であっても、体制整備の不徹底と実効性の課題が明らかとなりました。
こうした中、まずは義務対象の事業者において、体制整備の徹底と実効性の向上を図ることが重要であると考えます。常時使用する労働者数が三百人以下の努力義務の対象事業者には、内部通報制度の重要性や必要性について一層の周知啓発を行うとともに、これらの事業者の実情を踏まえ、導入を支援してまいりたいと考えております。
次に、刑事罰や立証責任の転換の対象についてお尋ねがありました。
労働基準法等は労働についての最低基準を規定し、御指摘のとおり、これらの義務の違反は直罰で担保されています。違反行為の重大性と監督機関に対する申告という限定的な場面であることを踏まえ、不利益な取扱いの範囲を限定せずに罰則を規定しているものと考えています。
他方、公益通報者保護法では、様々な通報先があり、対象法律も約五百本あり、間接罰の対象となる違反行為も含むなど通報対象事実の範囲も広くなっております。
こうした中、本法律において不利益な取扱いの範囲を限定せずに罰則を規定した場合には、萎縮効果が極めて大きく、人事の停滞等のおそれがあると考えております。また、他の労働法制やその実務との平仄を踏まえると、解雇、懲戒以外の不利益な取扱いについて、公益通報を理由とすることの立証責任を事業者に転換することは適当ではないと考えております。
次に、市民団体による企業の監視活動や労働組合の活動などの役割について見解のお尋ねがありました。
公益通報には、事業者内部に対する一号通報のほか、行政機関に対する二号通報、報道機関等に対する三号通報があります。
御指摘の労働組合や市民団体は三号通報先に該当する場合があります。公益通報者保護制度が実効的に機能するためには、事業者や行政機関のみならず、三号通報先の対象となり得る者が制度の意義を十分に理解し、公益通報に適切に対応することが重要と考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕