松沢成文の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。
私は、会派を代表して、公益通報者保護法の一部を改正する法律案について、伊東良孝担当大臣に質問をいたします。
公益通報制度の充実を図るには、勇気を奮って組織の不正に声を上げた人をしっかりと守る仕組みがなければ機能しません。そのために、二〇〇四年に公益通報者保護法が制定され、そして二〇二〇年に改正されました。しかしながら、法の施行、改正後も、公益通報制度が機能しない、あるいは公益通報者が守られない事実が相次いで明らかになり、実効性が保たれていないのが実情です。最近でも、ビッグモーター事件、兵庫県事案、フジテレビの問題など、法律に実効性があれば防ぐことができたであろう不祥事が続発しています。
そこで、大臣に伺います。
こうした不祥事が後を絶たない原因はどこにあるのか。日本独特の企業文化や組織風土がある、あるいは法令の不備が大きいとの識者の指摘がありますが、見解を伺います。あわせて、今回の改正案の目的と立法事実について御説明ください。
それでは、法案の内容について順次質問いたします。
まず、公益通報を理由とする不利益取扱いについてです。
法案では解雇及び懲戒については無効とされ、刑事罰の対象になりますが、配置転換や退職勧奨などは対象外となっています。裁判実務で最も多いのは配置転換であり、配置転換による不利益な扱いが横行し、従業員や公務員を苦しめているのが現状です。
解雇や懲戒には刑事罰が適用され、配置転換や退職勧奨には刑事罰がないことになると、配置転換や退職勧奨による報復がますます増えてしまうのではないでしょうか。これらも刑事罰の対象にしなければ実効性に問題が生じるのではないでしょうか。なぜこのような対応になったのか、大臣の見解を求めます。
また、何が不利益取扱いに該当するかについては法定指針に盛り込むことが求められますが、配置転換や退職勧奨、嫌がらせ、ハラスメントなどが含まれるのか、その方針を伺います。
関連して、これまで通報と不利益取扱いとの因果関係を通報者が証明する必要がありましたが、改正案では、通報後一年以内の解雇、懲戒について民事訴訟上の立証責任を事業者に転換したことは、通報者の負担軽減となり、大きな前進です。しかし一方で、事業者にとっては人事裁量の制限や訴訟リスクにつながる懸念もあります。したがって、立証の具体的運用に関しても明確なガイドラインが必要だと考えますが、大臣の見解を伺います。
次に、通報者保護の範囲についてです。
本改正案では、保護される通報者の範囲にフリーランスの方々が追加されました。しかし、EUの公益通報者保護指令では、求職者やボランティアも公益通報者に含めていますし、家族や同僚などの通報者の周囲の方々にも保護措置が適用されます。また、国連人権委員会のビジネスと人権作業部会の訪日調査報告書では、自営業者、労働者の家族、弁護士等にも適用すべきとしております。
このように、国際的には保護する通報者の範囲が極めて広く認定されていますが、なぜ今回の改正でフリーランスだけにとどまったのか、大臣の見解を伺います。
次に、公益通報を阻害する要因について伺います。
まず、通報者の探索の禁止についてです。本改正案では、事業者が正当な理由なく公益通報者を特定する行為を禁止していますが、罰則の対象にはなっていません。通報者の探索による不利益取扱いは、通報者が最も恐れる報復です。罰則という抑止がなければ通報者の安全は保障されません。ここで言う正当な理由とは何なのか、なぜ通報者探索に罰則を規定しないのか、大臣の見解を求めます。
しかし一方で、過度に保護することが、自己の利益を図る目的で悪意を持って誰かをおとしめようと虚偽報告が発生する可能性も否定できません。EUの公益通報者保護指令では、通報者が故意に虚偽の報告を行った場合の罰則規定もあります。この虚偽報告に対してはどのような対策を取るのか、併せて伺います。
続いて、通報妨害の禁止について伺います。
本改正案では、事業者が労働者に対して、正当な理由なく公益通報しないなどの合意を求めたりすることが禁止されます。公益通報を妨げる行為を禁止し、この規定に違反してなされた合意等の法律行為を無効とすることになっています。この公益通報の妨害とならない場合の正当な理由とは、大臣、どのような場合を想定しているのか、具体的に説明してください。
次に、事業者に関する対策について伺います。
本改正案では、従事者指定義務に違反する事業者に対して、現行法の指導、助言、勧告を行う権限に加えて、勧告に従わない場合の命令権の新設、さらには命令違反、報告義務違反、虚偽報告、検査拒否に刑事罰を科すとされています。これだけ罰則を強化すれば一定の効果はあると思われますが、対象となる事業者の規模が問題です。
公益通報対応業務の従事者指定義務が掛かるのは、常用雇用者が三百人超の事業者です。そのような事業者は全事業者の約〇・五%にすぎず、そこで働く常用雇用者数は全雇用者の約四八%でしかありません。EUの公益通報者保護指令では、従業員五十人以上の事業者に内部通報窓口の設置義務が掛かっています。少なくとも百人以上とすべきです。
このままでは、公益通報者保護が多くの中小企業で対応できず、体制整備が極めて貧弱とならざるを得ません。従事者指定義務を課す事業者規模を三百人超とした理由は何か、そして三百人以下の中小企業への対応策をどのように考えているのか、大臣の見解を伺います。
次に、通報対象事実の範囲拡大について伺います。
現行法では、通報対象事実は、特定の法律に基づき最終的に刑事罰又は過料により実効性が担保されている行為に限定されており、その対象法律は法の別表及び政令で列挙されるポジティブリスト方式で運用されています。しかし、これにより、公益性の高い通報であっても、リストにない法律違反は保護の対象になりません。例えば、政治資金規正法や租税回避に関する法律違反など、重大な社会的関心を集める違反行為であっても、現行法では通報対象にならないことがあります。
この欠点を補うためには、ネガティブリスト方式、すなわち原則全ての法令違反を通報対象とし、例外的に除外されるもののみをリスト化する方式へ転換すべきです。これにより、より広範囲な違法行為が是正される可能性が高まります。なぜ本改正案でそうしなかったのか、大臣の見解を求めます。
最後に、大臣に提言します。
公益通報を促進するために、経済的インセンティブとして付加金制度や報奨金制度を導入すべきです。
付加金制度は、公益通報を理由とする解雇、降格、減給などがなされ、それが無効となった結果、未払金が生じた場合に未払金に加えて付加金の支払も命じることができるとする制度です。
そして、報奨金制度です。アメリカでは、公益通報の結果、事業者に罰金や制裁金など支払が命じられて国庫に入った場合、その一定割合を公益通報者に報奨金という形で分配しています。また、韓国では、国に歳入があったかどうかにかかわらず、公益通報者に一定の報奨金を支払っています。
いずれの制度にせよ、この要件設定や規模によっては、公益通報することについての強い経済的インセンティブとなり、公益通報を大きく促進する可能性があります。
今後、日本でもこの公益通報者への付加金制度や報奨金制度を導入し、公益通報の促進を図るべきと考えますが、大臣の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣伊東良孝君登壇、拍手〕