伊東良孝の発言 (本会議)
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○国務大臣(伊東良孝君) 松沢成文議員にお答えいたします。
まず、不祥事の原因及び今回の改正案の目的、また立法事実についてお尋ねがありました。
一般論として、企業の不祥事は、企業ガバナンスの欠如や、あるいは経営環境等、様々な要因によって起こると考えております。
今回の改正案の目的と立法事実に関してですが、近年の事業者の不祥事等から、公益通報に適切に対応するための事業者の体制整備の不徹底や、あるいは実効性の課題が認められます。また、国際的に公益通報者の保護の強化が進んでおります。
今回の法改正は、こうした国内外の動向を立法事実として、公益通報に適切に対応するための事業者の体制整備を徹底し、公益通報者の保護を強化することを目的としております。
次に、配置転換や退職勧奨を刑事罰の対象としなかった理由や、法定指針の改正内容についてお尋ねがありました。
刑事罰につきましては、一般論として、犯罪の構成要件は明確で、また対象となる行為は罰則に値するものでなければなりません。御指摘の配置転換や退職勧奨については、不利益であることが客観的に明確ではないため、罰則の対象とすることは困難と考えております。
また、解雇、懲戒以外の不利益取扱いにつきましても、公益通報を理由とするものは現行法でも禁止をされております。禁止される不利益な取扱いに含まれ得る措置の例を内閣府告示である指針に明示することを検討しているところであります。明示する具体的な例につきましては、制度の実効性確保の観点から適切に検討してまいります。
次に、立証責任の転換につきまして、立証の具体的運用に関するガイドラインの策定についてのお尋ねがありました。
民事訴訟において、事業者がどのような主張、立証をすれば公益通報を理由とするものではないと認められるのかについては、個々の事案の事実関係や当事者双方の主張内容によって異なるものと考えます。このため、ガイドラインといった一律の形式によって立証の具体的運用を定めることは困難であると考えます。
次に、今回の改正で追加される保護される通報者がフリーランスのみであり、同僚や家族等が含まれていない理由についてお尋ねがありました。
今回の法改正では、働き方の多様化や、多くが労働者に準ずる弱い立場にあることを踏まえ、フリーランスを保護の対象といたしております。公益通報者の同僚や家族等を保護対象とすることについては、これらの者に対する不利益な取扱いの実態が現状明らかではないことから、その状況を注視してまいります。
次に、通報者探索への罰則を規定しない理由及び虚偽通報への対策についてお尋ねがありました。
今回の法改正では、公益通報者を特定し、解雇又は懲戒を行った法人及び個人は罰則の対象となり得ますが、そのような措置には至らない通報者探索自体に罰則を置くかどうかは立法事実に即して判断されるべきと考えられます。今回の改正法や刑法により罰則の対象とならないような探索行為自体が深刻な問題となった立法事実の蓄積は十分になく、また正当な調査を阻害する要因になり得るなどの懸念もある中で刑事罰の規定を置くことは適当ではないと、このように考えております。
また、虚偽だと知って行う通報など、いわゆる濫用的通報については、まずは事例を幅広く集め、実態を調査する必要があると考えております。その結果を踏まえ、公益通報者保護制度の健全な運営を確保する観点から、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、通報妨害の禁止違反とならない正当な理由についてお尋ねがありました。
公益通報を妨げる行為は原則許容されるものではなく、正当な理由は例外的かつ限定的な場合にとどめるべきと考えます。その上で、例えば、労働者に対し、事業者の不正行為について、特段の根拠なく報道機関や取引先などに通報しないよう文書又は口頭で求めることは正当な理由に該当し得ると考えております。
次に、従業者指定義務を課す事業者規模を三百人超とした理由及び三百人以下の中小企業への対応策についてお尋ねがありました。
従事者指定義務は令和二年の法改正で規定されたものであり、中小企業基本法の中小企業者の定義を参考に、常時使用する労働者数が三百人超であることを基準として事業者に義務を課しています。まず、義務対象事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性向上を図ることが重要と考えております。
常時使用する労働者数が三百人以下の努力義務対象の事業者などに対しましては、消費者庁ではこれまで内部通報制度の重要性や導入方法について周知を行ってまいりました。法改正後も引き続き制度の普及と浸透に努めてまいります。
次に、対象法律の規定方法についてお尋ねがありました。
公益通報者保護法は、公益通報者の保護により、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる事業者の法令の規定の遵守を図ることを法の目的としております。
このような法目的の下、ネガティブリスト方式を採用した場合、通報者にとって通報が保護対象に含まれるのかが不明確となります。このため、現時点において、そのような方式の採用は困難と考えております。
次に、公益通報を促進する経済的インセンティブとして、付加金制度及び報奨金制度の導入についてお尋ねがありました。
公益通報を理由とする解雇等について、裁判所が付加金の支払も命じることができる付加金制度を新たに導入することは、他の法律との関係も含めて慎重に検討する必要があると考えております。
報奨金制度については、一部の国では、行政機関に対して通報した個人に対して一定の報酬を支払う制度が存在すると承知をしております。これについては、財源の確保の問題ほか、事業者内部の不正を通報した労働者に報奨金を支払うことに国民の理解が得られるか等、課題があるものと考えております。
以上でございます。(拍手)
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