森本真治の発言 (本会議)
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○森本真治君 立憲民主・社民・無所属の森本真治です。
会派を代表して、年金制度改正法案について質問いたします。
冒頭、法案に関連し、障害年金の不支給判定の事案についてお尋ねします。
障害年金の支給について、二〇二四年度から日本年金機構の障害年金センターが恣意的な判定を行い始め、不支給決定の割合がそれまでと比べて倍増していると報じられました。その要因として、異動で就任した担当部署幹部の厳しい方針が影響したと関係者が証言しているとされています。
障害年金を必要とする方にとって支給が認定されるかどうかはその生活に直結する重要事項であり、判定が恣意的に行われているのであれば看過できない事態です。
まずは厚労大臣に、担当部署幹部が認定に当たり厳しい方針を指示したことが事実であるのか、また指示が影響していると考えるのか、お伺いします。
既に厚労大臣は調査を指示していると伺っています。問題があったとすれば、なぜ問題が生じるに至ったのか、その理由、経緯も含めて明らかにしていく必要があります。速やかに調査を終えて結果を公表していただきたい。
しかし、その調査は、全数調査ではなくサンプルを抽出しての調査とのことです。抽出調査ではなく、全数調査を行うべきです。委員会での本法案の審議にも関わりますので、速やかな公表を求めます。本件についての見解、全数調査の必要性、そして調査の公表時期の見通しについて厚労大臣の答弁を求めます。
それでは、法案の審議に入ります。
衆議院に提出された政府案は、目玉となる年金底上げ策が抜け落ちており、あんこのないあんパンであると指摘され、立憲民主党は、抜け落ちたあんこである年金底上げ策を入れる修正を提案しました。そして、衆議院において、立憲民主党の提案が受け入れられ、修正が行われた上で、参議院に本法案が送付されました。
後ほど述べるように、本法案については様々な異例の対応があったところです。まずは、衆議院で政府案の修正が行われたことについて、総理の受け止めをお伺いします。
今回の改正は、五年ごとに公的年金制度の財政見通しを確認する財政検証が昨年七月に行われ、その結果をベースとした内容が盛り込まれています。令和六年財政検証では、このまま何もしなければ、二〇五七年度までに基礎年金の給付水準が三割目減りしてしまうという結果が示されました。これに対して、財政検証と併せて行われたオプション試算では、被用者保険の適用拡大やマクロ経済スライドの調整期間の一致などを実施することにより給付水準の目減りを抑えられることが示され、この二つが今回改正の目玉であると報じられていました。
しかし、政府が提出した法案では、被用者保険の適用拡大などが盛り込まれた一方、目玉の一つであるマクロ経済スライドの調整期間の一致は盛り込まれず、その結果、基礎年金の目減り幅は三割から二割五分に抑えられるにとどまる程度でした。
今回の修正は、次の財政検証の結果において、なお基礎年金の目減りが大きい見通しである場合に、政府案に盛り込まれなかったマクロ経済スライドの調整期間の一致、いわゆる年金底上げ策を実施することを明記したものです。今回の修正は、基礎年金の目減りの抑制に大きな効果があると考えておりますが、その効果について政府はどのように認識しているのか、厚労大臣にお伺いします。
政府におかれましても、当初は今回の改正で年金底上げ策の実施を盛り込むことを検討していたようですが、審議会の最終的な取りまとめ文書では、昨年十二月に出された自民党の提言と同じ文言を用いて、年金底上げ策は、今後の経済が好調に推移しない場合に発動され得る備えとして位置付けられるものとされました。
審議会の取りまとめ文書に特定の政党の提言の文言をそのまま盛り込むのはいかがなものかと思いますが、重要なことは、自民党がこの提言を出した時点では、経済状況によるとしながらも、年金底上げ策について必要性を認めていたという事実です。なお、公明党も昨年十二月に出した提言の中で年金底上げ策に取り組むことを明記しています。
それにもかかわらず、審議会取りまとめ後、与党審査が難航して、国会への法案提出期限を過ぎても重要広範議案が提出されないという異常事態となり、期限から二か月遅れで法案が提出されたかと思ったら、今度は年金底上げ策が法案から外されているという状況でした。なぜこのような事態となったのか、その経緯と見解について総理に答弁を求めます。
また、昨年十二月の自民党の提言あるいは政府の当初案で一定の必要性を認めておきながら、今回改正の目玉とも言われていた年金底上げ策について、どのような経緯や理由があって法案から外すに至ったのか、総理から明確で具体的な答弁を求めます。
このように、通常ではあり得ないような経緯があり、本来、政府・与党にもっと厳しい態度で臨むべきであるとの意見もあろうかと思います。しかし、立憲民主党は、当初から、国民生活に直結する年金制度改正法案を政争の具にすべきではないと主張してきました。政府の法案提出が遅れ、会期末まで一か月ほどしか残っていませんでしたが、何としても年金底上げ策を今回の改正に盛り込むべく、立憲民主党は修正案を作成し、与党に提示しました。それに対して、最終的に与党が修正に応じたことは評価したいと思いますし、同時に、政争の具にしないという我々の強い思いがもたらした結果であると考えております。
このような思いの詰まった今回の修正の中身は、多くの方々の年金を底上げしようとするものです。しかしながら、残念ながらそのことが国民の皆さんにうまく伝わっておらず、一部の報道やSNSなどによって、あるいは制度の複雑さなどによって、十分に御理解いただけていないとも認識しています。年金制度を正しく理解してもらうための周知広報は一義的には政府の責任ですが、我々国会議員も多くの方々に理解してもらうために尽力すべきであると考えております。
例えば、年金底上げ策は厚生年金の積立金を国民年金に流用するものだとの声もあります。年金底上げ策は、厚生年金の積立金を厚生年金の方にも国民年金だけの方にも給付される基礎年金の給付に活用するものですが、実は現行制度でも厚生年金の積立金から基礎年金への活用は行われております。
さらに、今後百年間で見ると、基礎年金の受給者の九割以上は厚生年金の方や今後の適用拡大で厚生年金に加入する見込みの方であり、自営業の方や無職の方といった国民年金だけの方は一割以下となる見込みです。
このように、活用される積立金のほとんどは厚生年金の方に使われることになるので、年金底上げ策は厚生年金の積立金の流用には当たらないということを国民の皆さんに理解していただくことが重要です。
当初、年金底上げ策を検討していた政府の立場からも、厚生年金の積立金の流用には当たらないのだということ、またその理由を明確に説明していただきたいと思いますが、総理の答弁を求めます。
また、年金底上げ策で恩恵を受けるのは就職氷河期世代だけで、それ以外の世代にはマイナスになるのではないかという心配をされる方もいらっしゃるようです。しかし、実際に試算してみると、年金底上げ策によって、就職氷河期世代やそれより若い世代の方々に加え、六十代の方々も含めた幅広い世代において年金受給額が増えるとの結果が出ています。
年金底上げ策を実施することによって、どのような世代の人たちの年金受給額が増加するのか、厚労大臣にお伺いします。
年金底上げ策を実施すると、新たに国庫負担が増えてしまうとの指摘もあります。しかし、厚生労働省の試算によると、二〇二四年度の基礎年金給付に係る国庫負担は十三・五兆円、そして二〇五二年度の国庫負担は十三・四兆円、二〇二四年度とほぼ同額です。つまり、本当は、国庫負担が増えるのではなく、年金底上げ策により、現状の国庫負担水準を維持して給付水準を確保するということです。
報道では、年金底上げ策により二兆円もの国庫負担が追加で生じるという論調で報じられてきましたが、丁寧に説明すればそうではないことが分かるはずです。国民の皆さんに正しく理解してもらうため、政府にはこの国庫負担について正確に説明してもらわなければなりません。
年金底上げ策を実施した場合の二〇五二年度の基礎年金給付に係る国庫負担の見込額は、二〇二四年度の国庫負担額と同程度であり、追加の負担が生じることはないと認識しますが、厚労大臣の答弁を求めます。
しかし、年金底上げ策により一部の方々について年金受給額が下がってしまうのも事実です。これに対しては、衆議院での修正によって、年金額が下がる影響を緩和するために必要な措置を講ずることが明記されています。実際に年金底上げ策の実施を確定させるのは五年後の次期改正とのタイミングとなりますが、年金底上げ策実施の際には、そうした緩和措置についても併せて実施することになります。
政府においては、修正で盛り込まれた規定に基づき、年金底上げ策を実施する場合の緩和措置の内容について誠実に議論し、十分な措置を確実に実施していただきたいと思いますが、総理からの答弁を求めます。
以上、衆議院での修正で盛り込まれた年金底上げ策について述べてきましたが、そもそも年金の給付水準は社会経済状況によって変動するものです。したがって、将来の年金財政の見通しを示す財政検証では、出生率、賃金上昇率などの将来推計を行って年金給付水準を計算していますが、その前提となる数値が楽観的過ぎるのではないかということも指摘されております。
例えば、合計特殊出生率について、令和六年財政検証では将来的に一・三六となる前提ですが、二〇二三年の実績は過去最低の一・二〇であり、二〇二四年については、民間のシンクタンクの試算では更に下回る一・一五となる見込みとされています。
また、実質賃金上昇率については、令和六年財政検証、〇・五%となる前提ですが、賃上げ傾向にあると言われている近年でさえ、物価高の影響もあり、三年連続マイナスが続いている状況です。前提となる社会経済状況データの推計と実績の乖離について、厚生労働大臣の見解を伺います。
年金制度については、今回は改正に至らず、引き続き検討が求められる大きな課題も残されています。例えば、法案に検討規定が置かれているように、事業所への被用者保険の適用拡大の進め方、現在六十歳までとなっている基礎年金の拠出期間を延長することの是非、あるいは第三号被保険者の在り方の問題など、いずれも重要な課題であります。
このような課題を含め、年金制度は不断の改革が必要です。五年後の改正が近づいてから検討を始めるのではなく、速やかに与野党を超えた議論をスタートすべきです。超党派の協議体の設置を提案したいと思います。年金制度の残された課題に対しての今後の取組方針と超党派での協議体の設置について、総理の答弁を求めます。
年金制度について国民の信頼が揺らいでいるのではないか、私自身も認識しています。今回の改正は改革の一里塚。立憲民主党は、公的年金制度が国民生活を守るための制度であり続けるためにあらゆる努力を惜しまないことをお誓いを申し上げまして、私の質疑を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕