本会議

2025-06-04 参議院 全50発言

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会議録情報#0
令和七年六月四日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二十五号
  令和七年六月四日
   午前十時開議
 第一 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 公益通報者保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第五 貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律案(衆議院提出)
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○本日の会議に付した案件
 一、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
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関口昌一#1
○議長(関口昌一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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関口昌一#2
○議長(関口昌一君) 御異議ないと認めます。福岡資麿厚生労働大臣。
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#3
○国務大臣(福岡資麿君) ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、健康寿命が延伸し、単身世帯や共働き世帯が増加するとともに、高齢者や女性の就業の更なる進展や持続的な賃上げの継続が見込まれます。こうした社会経済の変化を踏まえ、年金制度において、ライフスタイル等の多様化を反映し、働き方に中立的な制度を構築するとともに、高齢者の生活の基盤の強化のための所得保障及び再分配機能の強化を行うため、この法律案を提出しました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、被用者保険の適用範囲を拡大するため、短時間労働者を適用すべき事業所の企業規模要件を段階的に引き下げ、撤廃するとともに、賃金要件についても、最低賃金の動向を見ながら撤廃します。また、既存の事業所に配慮しつつ、常時従業員を五人以上使用する個人事業所に係る非適用業種を解消します。
 第二に、在職老齢年金制度について、支給停止が開始される賃金と老齢厚生年金の合計額の基準を六十二万円に引き上げ、支給停止とならない範囲を拡大します。
 第三に、子のない二十代から五十代までの者に係る遺族厚生年金制度について、受給要件等の男女差を解消し、併せて、所得等に応じた給付の継続等の配慮措置を設けます。
 第四に、厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、七十五万円に段階的に引き上げます。
 第五に、個人型確定拠出年金の加入可能年齢を七十歳未満に引き上げます。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和八年四月一日としています。
 政府としては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院において、次の二つの事項を主な内容とする修正が行われたところであります。
 第一に、政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、次期財政検証において基礎年金と厚生年金の調整期間の見通しに著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配機能の低下により基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金又は厚生年金の受給権者の将来における基礎年金の給付水準の向上を図るため、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとすること。この場合において、給付と負担の均衡がとれた持続可能な公的年金制度の確立について検討を行うものとすること。
 第二に、当該法制上の措置を講ずる場合において、基礎年金の額及び厚生年金の額の合計額が、当該措置を講じなかった場合に支給されることとなる基礎年金の額及び厚生年金の額の合計額を下回るときは、その影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。拍手
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関口昌一#4
○議長(関口昌一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。石田昌宏君。
   〔石田昌宏君登壇、拍手〕
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石田昌宏#5
○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏です。
 会派を代表して、国民年金法等の改正案について質問いたします。
 高齢者は六十五歳からと言われていますが、日本では法律上の明確な定義はありません。一般に六十五歳以上を高齢者と呼ぶのは、一九五〇年代に国連が六十五歳以上の割合が七%を超える社会を高齢化社会とするという基準を設けたことに由来します。ちなみに、この頃の日本人の男女合わせた平均寿命は六十四歳でした。その後、平均寿命は大きく伸びましたが、この六十五歳という基準は変わっていません。
 法律では、六十五歳という年齢は年金の支給開始年齢や介護保険の給付の年齢で使われていますが、これは開始の年齢であり、高齢者を示すものではありません。
 人は年を重ねるほど体力や気力、社会生活、所得など、一人一人の違いは広がっていきます。社会保障政策を議論するに当たり、高齢者とはそもそも誰なのか、改めて考え直すべきだと思います。
 さて、年金は、経験を重ねた人々の生活を支えるために最も長期的に安定が求められる社会保障制度です。そのために、その議論も長期的な変化を見据えたものであるべきで、日本人の大幅な長寿化や人口の減少を正確に反映しなければなりません。
 昭和三十六年に我が国が国民皆年金を実現してから、来年は六十五年になります。この間の寿命と人口の変化がどれくらいの年金制度に反映されてきたのか、福岡厚生大臣にまず確認したいと思います。
 この上で、今回の年金制度の見直しについて質問いたします。
 急速に進行する少子高齢化を見据えて、財源の範囲内で給付費を賄うことができるよう、年金額の価値を自動調整する仕組みであるマクロ経済スライドは二〇〇四年改正により導入されています。そして、今後、デフレ経済が続いた過去三十年と同じような経済状況が続くとすると、スライドの調整が終了するのは、厚生年金の報酬比例部分は二〇二六年度である一方、基礎年金では二〇五七年になることで、基礎年金の所得代替率は現在よりも三割程度低下します。いわゆる年金の一階部分に当たる基礎年金の所得代替率の低下は、年金受給者全体に影響を与えます。
 そこで、衆議院での修正により、二〇二九年の財政検証で経済成長等の想定を見極めた上で、基礎年金の給付水準が大きく下がることがないよう、厚生年金と基礎年金のスライドの調整を同時に終了させ、基礎年金の底上げを図ることができるプログラム規定が盛り込まれました。さらに、スライドの同時終了で一時的に基礎年金と厚生年金を合計した支給額が本来のそれよりも下がる受給者には、その緩和のための措置を講ずることも規定されました。
 とはいえ、まずは基礎年金の給付水準が大きく下がることがないよう、約三十年続いたデフレ経済から完全に脱却し、賃上げを起点とした成長型経済を実現させることこそが石破内閣の最重要課題であると考えますが、その決意を総理にお伺いします。
 その上で、衆議院での修正により、経済が好調に推移しなかった場合の措置が発動されたとしても、一時的に支給額が本来よりも下がる受給者にはその緩和のための措置が加えられたことで、全体として、就職氷河期世代を始めとする将来世代にも足下の受給世代にも配慮し、年金水準の確保を図る内容となったとされていますが、石破総理の受け止めをお聞かせいただきたいと思います。
 今回の改正案では、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、厚生年金保険等、標準報酬月額の上限の段階的な引上げなども盛り込まれています。
 いずれも、社会経済の変化、働き方やライフスタイル、家族構成等の多様化などを踏まえた年金制度の機能強化や高齢期における生活の安定のために必要な政策だと考えますが、国民の皆様には年金制度は難解と思われており、制度への信頼も高まりません。
 そこで、総理に、政府全体で、あらゆる世代に対して年金制度の丁寧かつ分かりやすい説明をもっともっと講じ、制度に対する国民の理解を深めていただきたい。このことについてお考えをお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#6
○内閣総理大臣(石破茂君) 石田昌宏議員の御質問にお答えをいたします。
 成長型経済についてのお尋ねをいただきました。
 過去三十年間、低物価、低賃金、低成長というデフレの悪循環にありましたが、ようやく、六百兆円超の名目GDP、三十三年ぶりの高い水準の賃上げなど、明るい兆しが現れております。
 石田議員御指摘のとおり、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、引き続き、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へと移行することで、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図り、成長型経済の実現に取り組んでまいります。
 衆議院における修正についてのお尋ねをいただきました。
 衆議院で盛り込まれました三党の修正案には、仮に経済が好調に推移しない場合には基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講ずるものとするとともに、その場合の影響を緩和するために必要な措置を講ずることも含まれております。
 こうした修正案を含む現在の年金改革法案は、現在の受給者にも配慮しつつ、氷河期世代等以降の将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保を可能にする内容になっているものと、このように考えております。
 年金制度に関する周知についてのお尋ねをいただいております。
 年金制度は、長生きや障害、死別といった予測が難しいリスクに対して社会全体で備える仕組みであり、こうしたことを国民の皆様に丁寧に説明をし、納得感を持っていただくことが重要であります。
 これまでも、視覚的に分かりやすい資料やSNSを活用した動画配信、将来受給可能な年金額を簡便に試算できる公的年金シミュレーターなど、多様な広報を実施してまいりました。
 今後とも、制度への信頼感を高めていくために、石田議員の御指摘も踏まえながら、分かりやすく丁寧な広報により一層努めてまいりたいと存じます。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#7
○国務大臣(福岡資麿君) 石田昌宏議員の御質問にお答えいたします。
 寿命や人口の変化の年金制度への反映についてお尋ねがありました。
 我が国の公的年金制度は、これまで、寿命の延びや人口の変化を始めとする社会経済状況に合わせ、五年に一度の財政再計算を踏まえ、保険料や厚生年金の支給開始年齢の段階的な引上げなど、順次、給付と負担のバランスの見直しに取り組んでまいりました。
 さらに、平成十六年の年金制度改正では、将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、保険料の上限を固定した上で、その収入の範囲内で給付を行うマクロ経済スライドの導入により、将来にわたって持続可能な制度とし、現在に至っております。拍手
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関口昌一#8
○議長(関口昌一君) 森本真治君。
   〔森本真治君登壇、拍手〕
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森本真治#9
○森本真治君 立憲民主・社民・無所属の森本真治です。
 会派を代表して、年金制度改正法案について質問いたします。
 冒頭、法案に関連し、障害年金の不支給判定の事案についてお尋ねします。
 障害年金の支給について、二〇二四年度から日本年金機構の障害年金センターが恣意的な判定を行い始め、不支給決定の割合がそれまでと比べて倍増していると報じられました。その要因として、異動で就任した担当部署幹部の厳しい方針が影響したと関係者が証言しているとされています。
 障害年金を必要とする方にとって支給が認定されるかどうかはその生活に直結する重要事項であり、判定が恣意的に行われているのであれば看過できない事態です。
 まずは厚労大臣に、担当部署幹部が認定に当たり厳しい方針を指示したことが事実であるのか、また指示が影響していると考えるのか、お伺いします。
 既に厚労大臣は調査を指示していると伺っています。問題があったとすれば、なぜ問題が生じるに至ったのか、その理由、経緯も含めて明らかにしていく必要があります。速やかに調査を終えて結果を公表していただきたい。
 しかし、その調査は、全数調査ではなくサンプルを抽出しての調査とのことです。抽出調査ではなく、全数調査を行うべきです。委員会での本法案の審議にも関わりますので、速やかな公表を求めます。本件についての見解、全数調査の必要性、そして調査の公表時期の見通しについて厚労大臣の答弁を求めます。
 それでは、法案の審議に入ります。
 衆議院に提出された政府案は、目玉となる年金底上げ策が抜け落ちており、あんこのないあんパンであると指摘され、立憲民主党は、抜け落ちたあんこである年金底上げ策を入れる修正を提案しました。そして、衆議院において、立憲民主党の提案が受け入れられ、修正が行われた上で、参議院に本法案が送付されました。
 後ほど述べるように、本法案については様々な異例の対応があったところです。まずは、衆議院で政府案の修正が行われたことについて、総理の受け止めをお伺いします。
 今回の改正は、五年ごとに公的年金制度の財政見通しを確認する財政検証が昨年七月に行われ、その結果をベースとした内容が盛り込まれています。令和六年財政検証では、このまま何もしなければ、二〇五七年度までに基礎年金の給付水準が三割目減りしてしまうという結果が示されました。これに対して、財政検証と併せて行われたオプション試算では、被用者保険の適用拡大やマクロ経済スライドの調整期間の一致などを実施することにより給付水準の目減りを抑えられることが示され、この二つが今回改正の目玉であると報じられていました。
 しかし、政府が提出した法案では、被用者保険の適用拡大などが盛り込まれた一方、目玉の一つであるマクロ経済スライドの調整期間の一致は盛り込まれず、その結果、基礎年金の目減り幅は三割から二割五分に抑えられるにとどまる程度でした。
 今回の修正は、次の財政検証の結果において、なお基礎年金の目減りが大きい見通しである場合に、政府案に盛り込まれなかったマクロ経済スライドの調整期間の一致、いわゆる年金底上げ策を実施することを明記したものです。今回の修正は、基礎年金の目減りの抑制に大きな効果があると考えておりますが、その効果について政府はどのように認識しているのか、厚労大臣にお伺いします。
 政府におかれましても、当初は今回の改正で年金底上げ策の実施を盛り込むことを検討していたようですが、審議会の最終的な取りまとめ文書では、昨年十二月に出された自民党の提言と同じ文言を用いて、年金底上げ策は、今後の経済が好調に推移しない場合に発動され得る備えとして位置付けられるものとされました。
 審議会の取りまとめ文書に特定の政党の提言の文言をそのまま盛り込むのはいかがなものかと思いますが、重要なことは、自民党がこの提言を出した時点では、経済状況によるとしながらも、年金底上げ策について必要性を認めていたという事実です。なお、公明党も昨年十二月に出した提言の中で年金底上げ策に取り組むことを明記しています。
 それにもかかわらず、審議会取りまとめ後、与党審査が難航して、国会への法案提出期限を過ぎても重要広範議案が提出されないという異常事態となり、期限から二か月遅れで法案が提出されたかと思ったら、今度は年金底上げ策が法案から外されているという状況でした。なぜこのような事態となったのか、その経緯と見解について総理に答弁を求めます。
 また、昨年十二月の自民党の提言あるいは政府の当初案で一定の必要性を認めておきながら、今回改正の目玉とも言われていた年金底上げ策について、どのような経緯や理由があって法案から外すに至ったのか、総理から明確で具体的な答弁を求めます。
 このように、通常ではあり得ないような経緯があり、本来、政府・与党にもっと厳しい態度で臨むべきであるとの意見もあろうかと思います。しかし、立憲民主党は、当初から、国民生活に直結する年金制度改正法案を政争の具にすべきではないと主張してきました。政府の法案提出が遅れ、会期末まで一か月ほどしか残っていませんでしたが、何としても年金底上げ策を今回の改正に盛り込むべく、立憲民主党は修正案を作成し、与党に提示しました。それに対して、最終的に与党が修正に応じたことは評価したいと思いますし、同時に、政争の具にしないという我々の強い思いがもたらした結果であると考えております。
 このような思いの詰まった今回の修正の中身は、多くの方々の年金を底上げしようとするものです。しかしながら、残念ながらそのことが国民の皆さんにうまく伝わっておらず、一部の報道やSNSなどによって、あるいは制度の複雑さなどによって、十分に御理解いただけていないとも認識しています。年金制度を正しく理解してもらうための周知広報は一義的には政府の責任ですが、我々国会議員も多くの方々に理解してもらうために尽力すべきであると考えております。
 例えば、年金底上げ策は厚生年金の積立金を国民年金に流用するものだとの声もあります。年金底上げ策は、厚生年金の積立金を厚生年金の方にも国民年金だけの方にも給付される基礎年金の給付に活用するものですが、実は現行制度でも厚生年金の積立金から基礎年金への活用は行われております。
 さらに、今後百年間で見ると、基礎年金の受給者の九割以上は厚生年金の方や今後の適用拡大で厚生年金に加入する見込みの方であり、自営業の方や無職の方といった国民年金だけの方は一割以下となる見込みです。
 このように、活用される積立金のほとんどは厚生年金の方に使われることになるので、年金底上げ策は厚生年金の積立金の流用には当たらないということを国民の皆さんに理解していただくことが重要です。
 当初、年金底上げ策を検討していた政府の立場からも、厚生年金の積立金の流用には当たらないのだということ、またその理由を明確に説明していただきたいと思いますが、総理の答弁を求めます。
 また、年金底上げ策で恩恵を受けるのは就職氷河期世代だけで、それ以外の世代にはマイナスになるのではないかという心配をされる方もいらっしゃるようです。しかし、実際に試算してみると、年金底上げ策によって、就職氷河期世代やそれより若い世代の方々に加え、六十代の方々も含めた幅広い世代において年金受給額が増えるとの結果が出ています。
 年金底上げ策を実施することによって、どのような世代の人たちの年金受給額が増加するのか、厚労大臣にお伺いします。
 年金底上げ策を実施すると、新たに国庫負担が増えてしまうとの指摘もあります。しかし、厚生労働省の試算によると、二〇二四年度の基礎年金給付に係る国庫負担は十三・五兆円、そして二〇五二年度の国庫負担は十三・四兆円、二〇二四年度とほぼ同額です。つまり、本当は、国庫負担が増えるのではなく、年金底上げ策により、現状の国庫負担水準を維持して給付水準を確保するということです。
 報道では、年金底上げ策により二兆円もの国庫負担が追加で生じるという論調で報じられてきましたが、丁寧に説明すればそうではないことが分かるはずです。国民の皆さんに正しく理解してもらうため、政府にはこの国庫負担について正確に説明してもらわなければなりません。
 年金底上げ策を実施した場合の二〇五二年度の基礎年金給付に係る国庫負担の見込額は、二〇二四年度の国庫負担額と同程度であり、追加の負担が生じることはないと認識しますが、厚労大臣の答弁を求めます。
 しかし、年金底上げ策により一部の方々について年金受給額が下がってしまうのも事実です。これに対しては、衆議院での修正によって、年金額が下がる影響を緩和するために必要な措置を講ずることが明記されています。実際に年金底上げ策の実施を確定させるのは五年後の次期改正とのタイミングとなりますが、年金底上げ策実施の際には、そうした緩和措置についても併せて実施することになります。
 政府においては、修正で盛り込まれた規定に基づき、年金底上げ策を実施する場合の緩和措置の内容について誠実に議論し、十分な措置を確実に実施していただきたいと思いますが、総理からの答弁を求めます。
 以上、衆議院での修正で盛り込まれた年金底上げ策について述べてきましたが、そもそも年金の給付水準は社会経済状況によって変動するものです。したがって、将来の年金財政の見通しを示す財政検証では、出生率、賃金上昇率などの将来推計を行って年金給付水準を計算していますが、その前提となる数値が楽観的過ぎるのではないかということも指摘されております。
 例えば、合計特殊出生率について、令和六年財政検証では将来的に一・三六となる前提ですが、二〇二三年の実績は過去最低の一・二〇であり、二〇二四年については、民間のシンクタンクの試算では更に下回る一・一五となる見込みとされています。
 また、実質賃金上昇率については、令和六年財政検証、〇・五%となる前提ですが、賃上げ傾向にあると言われている近年でさえ、物価高の影響もあり、三年連続マイナスが続いている状況です。前提となる社会経済状況データの推計と実績の乖離について、厚生労働大臣の見解を伺います。
 年金制度については、今回は改正に至らず、引き続き検討が求められる大きな課題も残されています。例えば、法案に検討規定が置かれているように、事業所への被用者保険の適用拡大の進め方、現在六十歳までとなっている基礎年金の拠出期間を延長することの是非、あるいは第三号被保険者の在り方の問題など、いずれも重要な課題であります。
 このような課題を含め、年金制度は不断の改革が必要です。五年後の改正が近づいてから検討を始めるのではなく、速やかに与野党を超えた議論をスタートすべきです。超党派の協議体の設置を提案したいと思います。年金制度の残された課題に対しての今後の取組方針と超党派での協議体の設置について、総理の答弁を求めます。
 年金制度について国民の信頼が揺らいでいるのではないか、私自身も認識しています。今回の改正は改革の一里塚。立憲民主党は、公的年金制度が国民生活を守るための制度であり続けるためにあらゆる努力を惜しまないことをお誓いを申し上げまして、私の質疑を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#10
○内閣総理大臣(石破茂君) 森本真治議員の御質問にお答えいたします。
 衆議院における修正についてのお尋ねです。
 衆議院で盛り込まれました三党の修正案には、仮に経済が好調に推移しない場合には、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講ずるものとするとともに、その場合の影響を緩和するために必要な措置を講ずることも含まれております。
 こうした修正案を含む現在の年金改正法案は、現在の受給者にも配慮しつつ、氷河期世代等以降の将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保を可能とする内容になっているものと考えております。
 法案の提出や年金底上げ策をめぐる議論の経緯についてであります。
 基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置につきましては、全国民共通の基礎年金について、将来にわたって一定の給付水準を確保する重要性がある一方で、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらいことなどから国民の御理解が得られるのかという、賛成、慎重、両方の御意見があり、社会保障の専門家の間でも意見が分かれておったところでございます。
 年金は国民の生活と密接に関わりますことから、自由民主党では十五回にわたる議論を行うなど、丁寧に議論を進めてきたところでございます。
 このほか、今回の法案の前提として行われた財政検証の結果、年金財政は前回改正時より好転が見込まれる状況にございました。この措置は、今後も経済が好調であれば発動の必要性がないものであるとともに、次の財政検証の結果により、適正に検討し必要な対応を講ずることとなる、必要な対応を講ずることなどから、早期終了措置について、政府提出法案には規定しないこととしたものでございます。
 基礎年金の底上げ措置に関する流用との指摘についてのお尋ねです。
 厚生年金の保険料には基礎年金分も含まれており、従来から、厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例部分だけではなく、基礎年金の給付にも充てられております。
 その上で、御指摘の措置は、現行でも行っている厚生年金の積立金の基礎年金への活用を更に行うことで、基礎年金の給付水準を上げることを目的としており、厚生年金の積立金の流用に当たるものとは考えておりません。
 なお、御党も含みます三党合意によって盛り込まれたこの措置につきましては、令和六年財政検証における実質ゼロ成長を見込んだケースでは、厚生年金の積立金と追加的な国庫負担を活用して仮にこれを実施した場合、最終的には九九・九%を超えるほぼ全ての厚生年金受給者の方の給付水準が上昇すると見込まれておるところでございます。
 年金底上げ策を実施した場合の影響緩和策についてのお尋ねです。
 衆議院で盛り込まれました三党の修正案には、仮に経済が好調に推移しない場合には、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講ずるものとするとともに、その場合の影響を緩和するために必要な措置を講ずることも含まれております。
 このため、今後の社会経済情勢を見極めつつ、仮に基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の措置を講ずる場合には、御指摘の影響緩和に必要な措置について、国会での御指摘等も踏まえて議論を行ってまいります。
 年金制度を議論する超党派の協議体の設置についてのお尋ねです。
 今回の法案により、年金制度をめぐる課題について一定の見直しが進むことになりますが、法案の検討規定にも盛り込んだ基礎年金の拠出期間延長や第三号被保険者制度の在り方につきましては、引き続き議論が必要であると考えております。
 年金制度は、国民全体に関わる大きな仕組みであり、国会におきましても各党から様々な御意見を頂戴いたしております。協議の在り方については、国会において適切に御議論いただくのがよいと考えておりますが、与野党において広範な合意を形成すべく真摯に協議を行うことは重要であると、このように考えておるところでございます。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#11
○国務大臣(福岡資麿君) 森本真治議員の御質問にお答えします。
 障害年金の認定に係る日本年金機構の幹部の指示についてお尋ねがありました。
 障害年金については、一連の報道も踏まえ、令和六年度における認定状況の実態把握のための調査を行うよう指示をしたところであり、特定の職員が審査を厳しくすべきといった指示等を行ったか否かも含めまして、この調査の中で確認を行ってまいります。
 障害年金の不支給事案に対する見解等についてお尋ねがありました。
 障害年金に関する一連の報道については、年金行政への信頼に関わる問題であり、しっかり対応していく必要があると十分認識をしております。
 実態把握につきましては、個別の事例について適正に審査が行われているかどうかを速やかに確認することが重要であることから、抽出による調査を行っているところです。また、調査の結果については、六月中旬を目途に公表できるよう現在作業を進めており、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいります。
 衆議院における修正についてお尋ねがありました。
 衆議院で盛り込まれた三党提出の修正案は、今後の社会経済情勢を見極めた上で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させるものであり、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保を可能とするものと承知しております。
 仮に基礎年金の底上げが行われた場合に年金受給額が増加する世代についてお尋ねがありました。
 衆議院で盛り込まれた三党提出の修正案は、仮に経済が好調に推移しない場合には、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講ずるものとしております。
 その上で、令和六年財政検証における実質ゼロ成長を見込んだケースでは、仮に厚生年金の積立金と追加的な国庫負担を活用してこの措置を実施した場合、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の上昇が見込まれますが、相対的に若い世代の方ほどその恩恵は大きくなると見込まれています。
 基礎年金の底上げ策が行われた場合の国庫負担への影響についてお尋ねがありました。
 高齢化が進む中で、仮に基礎年金の給付調整を早期に終了させる措置を発動した場合、経済規模に占める基礎年金給付が増加し、これに伴い国庫負担の対GDP比も現在より上昇することが見込まれます。
 また、現在の基礎年金水準は、マクロ経済スライドを導入した際に想定したよりも高い給付水準となっていることも踏まえると、経済情勢の変化の中で制度を安定的に運用するためには、制度改正による追加的な国庫負担に対応した安定財源の確保が必要になるものと考えています。
 財政検証の前提についてお尋ねがありました。
 財政検証の前提となるデータについては、これまでの実績を踏まえつつ、専門家による検討を経た上で設定しており、適切なものと考えています。
 その上で、実績と前提の乖離については、出生率や賃金上昇率などのように実績が前提を下回る要素がある一方で、外国人の入国超過数や年金積立金の運用利回りのように実績が前提を上回る要素もあり、引き続き実績を注視し、五年ごとの財政検証において適切な前提を立てることが重要であると考えております。拍手
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関口昌一#12
○議長(関口昌一君) 塩田博昭君。
   〔塩田博昭君登壇、拍手〕
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塩田博昭#13
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭です。
 ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、公明党を代表して質問いたします。
 衆議院での審議に加え、自民、公明、立民による修正合意を経て、年金制度への国民の注目度はこれまでになく高まっております。これまでも、五年に一度行われる公的年金の財政検証を踏まえ、年金制度の改正が行われてまいりましたが、直近の財政検証では、今後、経済が好調に推移しない場合、現行制度のままでは将来三割ほど基礎年金の給付水準が低下する見込みであることが示され、この対応策が喫緊の課題となっております。
 そこで、本法案に盛り込まれた基礎年金の給付水準の低下に対する防止策の具体的な内容と効果について、福岡厚生労働大臣に伺います。
 この基礎年金の給付水準への対応策として、マクロ経済スライドによる給付調整の早期終了、いわゆる基礎年金の底上げ措置に関して、時間を掛けて議論されてきました。様々な事情により現役期に被用者保険に加入できず、非正規雇用で長い期間を過ごされた就職氷河期世代や若い世代の年金の給付水準を確保する上で、この措置を実行する必要性は高いと政府は説明をしてきました。この点、公明党が昨年、福岡厚労大臣に申し入れた次期年金制度改正に向けた提言の中でも、基礎年金の底上げ措置を実施する必要性を指摘したところであります。
 衆議院での修正で検討規定は盛り込まれましたが、本法案では基礎年金の底上げ措置そのものの導入は見送られました。ただ、附則において次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで厚生年金の給付調整を続けると規定されており、この措置の趣旨は、基礎年金の底上げ措置の導入の是非を次期年金制度改正時に判断するためと理解いたしました。政府は、基礎年金の底上げ措置を将来的に実施する必要についてどうお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。
 次に、被用者保険の適用拡大について質問します。
 家族構成やライフスタイルが多様化する中で、労働者の働き方にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できる環境を整えるためにも被用者保険の更なる適用拡大が求められます。
 しかし、本法案による被用者保険の適用拡大に伴い、労使双方にとって新たな保険料負担が生じます。特に、今回新たに適用される事業主は従業員数五十人以下の中小規模の事業主であり、追加での保険料負担は事業の運営を左右しかねません。
 そこで、公明党は十分な施行期間の確保やキャリアアップ助成金の拡充などを求めてまいりましたが、これらの小規模事業主への配慮措置の具体的な内容と意義について、福岡厚労大臣に伺います。
 一連の適用拡大により、多くの方が新たに被用者保険への加入が可能となります。しかし、週の所定労働時間が二十時間未満の方や従業員数が五人未満の事業所で働かれている方への被用者保険の適用は今回の改正では行われません。今後も被用者の働き方に応じたふさわしい保障を実現するためにも被用者保険の適用拡大を進めるべきだと考えますが、今後の総理の意気込みを伺います。
 最後に、今回の年金改正法案の中で、遺族厚生年金の見直しについて伺います。
 最近の報道等で、今もらっている年金額が大幅にカットされるというものや、子育て中や働くのが難しい人の遺族年金が五年で打切りになるなどの指摘が見られ、遺族年金が大幅にカットされると不安に思っている人からの声も届いています。
 遺族年金の見直し対象や配慮が必要な人への給付継続など、具体的な見直しの内容についてきちんと説明していただきたい。総理に答弁を求めます。
 将来にわたり持続可能で安心できる公的年金制度の確立を求めて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#14
○内閣総理大臣(石破茂君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。
 将来的な基礎年金の底上げ措置の必要性についてのお尋ねです。
 基礎年金の給付水準を確保することは重要な課題であると認識をしております。他方で、その水準は経済状況によって変わり得るものでもあることから、政府として、まずは賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指し、年金の給付水準が将来も維持できるように努めてまいります。
 その上で、衆議院で盛り込まれました三党の修正案は、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保の方向性をより明確にするものと考えております。政府といたしましては、国会での御議論を踏まえ、今後の社会経済情勢の変化を見極めた上で、修正案に規定された法制上の措置等について具体的な内容を検討し、必要な措置を講じてまいります。
 被用者保険の適用拡大についてのお尋ねです。
 今回の法案では、五十人以下の企業に対しましても十年掛けて被用者保険の適用を進めることとしておりますが、週二十時間未満の労働時間の方に適用することや、従業員五人未満の個人事業所に適用することにつきましては、対象企業への影響が大きいことなどから、今回の法案には含めていないところでございます。
 被用者保険の適用拡大は、より手厚い年金を受けられるようにするとの観点から、これまでも累次にわたって進めてきたところであります。今後の在り方につきましては、まずは今回の改正を着実に施行しながら、本法案の検討規定も踏まえ、他制度の在り方などにも留意をして、議論を深めてまいります。
 遺族厚生年金の見直しについてでございます。
 今回の遺族厚生年金の見直しは、女性の就業率の上昇等を踏まえ、制度の男女差を解消する観点から、有期給付となる女性の年齢を拡大しつつ、男女共に受給しやすくする改正を行うものでありますが、施行時点で既に遺族厚生年金を受給しておられる方や六十歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方、子供が十八歳になる年の年度末までにある方、二〇二八年度に四十歳以上となる女性の方は見直しの対象外であり、現行と給付内容が変わることはございません。
 また、新たに五年間の有期給付となる方につきましては、給付額を約一・三倍に引き上げるとともに、御党からの御提案も踏まえ、障害年金を受けられる方や収入が十分でない方は有期給付終了後も継続して遺族厚生年金を受給できる仕組みとしております。こうした点につきまして、今後ともより丁寧な説明に努めてまいることといたしております。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#15
○国務大臣(福岡資麿君) 塩田博昭議員の御質問にお答えします。
 基礎年金の給付水準の低下に対する防止策と効果についてお尋ねがありました。
 衆議院で盛り込まれた三党提出の修正案は、今後の社会経済情勢を見極めた上で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させるものであり、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保の方向性をより明確にするものと承知しています。
 その上で、令和六年財政検証における実質ゼロ成長を見込んだケースで、仮に厚生年金の積立金と追加的な国庫負担を活用してこの措置を実施した場合、相対的に若い世代ほどその恩恵は大きくなると見込まれています。
 被用者保険の適用拡大に伴う小規模事業主への配慮についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、これまで以上に小規模の企業で働く方に被用者保険の適用を広げることから、最大十年を掛けて段階的に施行するなど十分な準備期間を設けることとしました。
 加えて、労働者一人当たり最大七十五万円の支援の新設を予定しているキャリアアップ助成金を含め、経営や事務に関する事業者支援も用意することで、被用者保険の適用の円滑な実施につなげてまいります。拍手
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関口昌一#16
○議長(関口昌一君) 猪瀬直樹君。
   〔猪瀬直樹君登壇、拍手〕
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猪瀬直樹#17
○猪瀬直樹君 日本維新の会の猪瀬直樹です。
 会派を代表して、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案、いわゆる国民年金法改正案について質問します。
 日本維新の会は、五月二十九日に福岡厚生労働大臣に対し、年金制度改革に対する提言を行いました。本日は、その内容を踏まえ、改正案の問題点について石破総理と福岡厚労大臣にただしていきます。
 政府・与党は、これまで、この年金制度の根本的な課題に向き合うことなく、問題の先送りを繰り返してきました。本改正案の柱の一つである賃金要件と企業規模要件の撤廃による被用者保険の適用拡大も、また中途半端な場当たり的な策と言わざるを得ません。
 我々日本維新の会は、これまで、保険料を払わないのに将来年金を受け取ることができる現行の第三号被保険者の制度は著しく不公平であり、これを廃止し、広く年齢や状況によらず公平な年金制度とすることを主張してきました。
 専業主婦であれば富裕世帯であっても保険料負担を求められず、その分、生活に余裕のない共働き世帯やシングルマザーなどの納付者が負担をしています。さらに、この制度は就業抑制効果を生み、特に女性の労働市場への参加を阻害してきました。これらについて総理の現状認識を伺います。
 この根本的な不平等を放置したままで、この適用範囲を中途半端に拡大すれば、例えば労働時間を制度の適用外となる週十九時間以下に抑えて第三号被保険者にとどまるなどの自衛策が新たな壁となり、結果として短時間労働者の就業促進に逆行する施策になりかねません。それにもかかわらず、なぜこの人手不足が深刻化しているときにあえて短時間労働者への適用拡大を行うのか、福岡厚労大臣にその意図をお尋ねします。
 先日の提言のとおり、日本維新の会は、まず所得の高い世帯の第三号被保険者についてこの制度の適用除外とし、その後、段階的に廃止に向かうことで、全ての年金受給権が保険料の拠出実績に基づく公平な仕組みに一本化すべきと考えますが、この我々の見直し案について総理の見解を求めます。
 年金の支給開始年齢の見直しについても、政府は抜本的な改革から目を背けています。
 日本の基礎年金の所得代替率は先進国の中で最低水準にありますが、諸外国では給付水準を維持する代わりに長寿化に合わせて支給開始年齢を六十代後半から七十代前半に引き上げています。
 老後の安心な暮らしを支える制度の構築を最優先とするなら、給付額を更に減らすことで制度を形だけ持続させるのではなく、長寿化により自然に延びる年金の受給期間を支給開始年齢の引上げによって中立化し、受給額を維持する仕組みを構築することが必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 我が国の年金支給額は先進国の中でも最低水準であり、現行の基礎年金は満額でも給付額が月額七万円弱にとどまります。この金額は十万円から十三万円が目安とされる生活保護の扶助額を大きく下回っており、これはすなわち、基礎年金が老後の最低生活の保障として機能していないということを意味しているわけです。
 総理は、この逆転現象を是としているのか、あるいは解消すべきなのか、そのお考え、どちらでしょうか。
 また、現行の国民年金では、免除者や猶予者を含んだ実質的な納付率は五割を下回っています。特に第一号保険者の未納付問題は深刻でありまして、この問題を放置したままでは制度の持続的な可能性は確保できません。
 そこで、基礎年金に老後の生活を安心して支えることができる十分な給付額を確保した最低保障年金を構築し、保険料による拠出を廃止して税方式に移行する方法や、現行の二階部分を積立方式に移行することを含めた抜本的な制度設計を行うべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 本改正案について、厚生年金の積立金を流用して基礎年金を底上げするという修正案が衆議院を通過しました。これは、被保険者の不公平を拡大させ、国民の制度全体に対する信頼感を更に損ねるおそれがあります。また、基礎年金は国庫が半分を負担する仕組みであるために、厚生年金の積立金を流用すれば、その流用した額に見合う金額の公費が追加で必要となります。
 ところが、この具体的な財源の議論は全く不十分であると言わざるを得ません。これがまた現役世代の負担増となるなら、ただでさえその社会保険料の高さのために血まみれとなり、結婚して子供を産み育てることすら諦めざるを得ない若い世代に更なる負担を強制することとなります。
 総理、この六十五兆円の財源は、いずれまた増税という形で現役世代に負担を強いることになるんでしょうか。明確な答弁をお願いします。
 ドイツでは二〇〇一年にリースター改革と呼ばれる、超党派の合意の下で抜本的な年金改革が行われました。背景となったのは、高齢化の進展による賦課方式の財政的な限界や国民からの年金制度への不信感などなんです。
 また、イギリスでも近年、政局にとらわれない超党派の専門委員会を設けて年金改革の議論を進め、二階建ての公的年金を一階建てに変え、比例報酬分は私的年金を活用するという抜本改革が行われました。
 ドイツもイギリスも、我が国の状況とよく似ていました。しかし、両国は抜本改革を成し遂げたが、日本は相変わらず場当たり的な継ぎはぎに終始しているという大きな違いがあります。本来は、彼らにできて我が国でできないはずはないんです。これは完全に政治の責任であり、政治の怠慢なのではないでしょうか。
 年金制度改革は、他の構造的な問題と比較して、政争の具とはせずに超党派で本質的な議論が行える可能性がある数少ない分野であると考えます。
 我が党が今国会でも重要なテーマとしている医療費の削減やライドシェアの全面的な解禁と比べれば、日本医師会やハイヤー・タクシー連合会など、国の未来など気にせずにただ自分たちの既得権さえ守れればよい圧力団体の影響を受けることなく、議論が可能なんです。また、野党側においても、医療業界やバス、タクシーの労働組合など、既得権を死守したい人たちの声に潰されることなく、抜本的な改革を議論することができるではありませんか。
 各党には、この年金改革を議員活動の重要なテーマとして長年取り組まれてきた方々が何人もおられます。我が党も含め、是非そういう方々の知見を得ながら、この問題を政争の具とはせず、本当にこの国の将来のためだけを思い、真摯な議論を行うことが立法府の責任ではありませんか。
 我が党は、さきの提言で、社会保障国民会議の設置を提案しました。与野党を超えた国会議員とともに民間の専門家等が参加し、遅くとも今年中に改革方針を取りまとめ、次期通常国会で必要な立法措置を講ずべきと考えています。総理にも是非御賛同いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 日本維新の会は、年金制度を抜本改革により持続可能なものとし、あわせて、現役世代の社会保険料負担の軽減を目指すことをお約束して、私からの質問とします。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#18
○内閣総理大臣(石破茂君) 猪瀬直樹議員の御質問にお答えをいたします。
 第三号被保険者制度の現状認識についてであります。
 第三号被保険者制度は、昭和六十年の改正で創設され、女性の年金権を確立したものですが、ライフスタイルが多様化する中において、第三号被保険者自身が保険料を負担していないことから、年金制度内において不公平感を生んでいるとの指摘や、いわゆる年収の壁として意識され就業調整が行われているとの指摘があるものと承知をいたしております。
 一方で、第三号被保険者の中には、いわゆる専業主婦の方のみならず、病気や育児、介護などの理由で働けない方など、様々な属性の方々がおられることに留意する必要があるものと考えております。
 第三号被保険者の見直しについてでございますが、この制度につきましては、いわゆる専業主婦の方のみならず、病気や育児、介護などの理由で働けない方など、様々な属性の方が混在する中で、今般の年金制度改正では、将来的な見直しの方向性について意見がまとまらなかったところでございます。
 政府といたしましては、引き続き、被用者保険の適用拡大を進めることで第三号被保険者の対象者を縮小していくことを基本とした上で、今後、議員御指摘のような被保険者世帯の所得に関する情報も含め、第三号被保険者の実態も精緻に分析をしながら、制度に関する様々な論点や国会での御指摘も踏まえ、議論を進めてまいります。
 年金の支給開始年齢の引上げについてであります。
 年金の支給開始年齢につきましては、過去の改正で定年年齢の引上げと併せ、六十五歳に引き上げる見直しを行い、これを段階的に進めてまいりました。その後、平成十六年の年金制度改正により、保険料の上限を固定しつつ、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入をいたしました結果、六十五歳の支給開始年齢を維持した場合であっても年金財政の長期的なバランスが取れる仕組みとなっており、今回の年金制度改正では年金の支給開始年齢の引上げを行うべきという議論にはなっていなかったと、このように承知をしておりますが、その上で、長寿化に応じた支給開始年齢の引上げという御提案につきましては、現在の仕組みでも六十歳から七十五歳の間で受給を開始する時期を自由に選べる仕組みとなっておりますことや、健康状態等も含め、高齢期の状況には個人差があることなども念頭に置き検討を進める必要がある課題であると、このように考えておるところでございます。
 基礎年金と生活保護の関係でございます。
 生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方を対象に、全額公費で最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットであります。一方、老齢基礎年金は、現役世代に構築した生活基盤や貯蓄等と合わせて老後に一定水準の生活を可能にすると、このような考え方で設計がなされております。このように、基礎年金と生活保護はそれぞれの役割や仕組みが異なっており、給付水準の単純な比較は適切ではないと考えております。
 政府といたしましては、年金の給付水準が将来も維持できるよう、まずは賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指すとともに、今回の法案により、現在及び将来の給付水準の向上に努めつつ、低所得の年金受給者に対する年金生活者支援給付金の支給なども併せて行い、高齢期の所得保障に取り組んでまいります。
 年金制度の抜本的な改革についてであります。
 公的年金制度は、国民生活に広範な影響を及ぼすものでありますとともに、現役から高齢期にまたがる長期保険として機能し、既に受給されておられる方や制度を前提に生活設計をされておられる方も多くいらっしゃることを考えれば、改革には十分な準備と配慮が必要であります。
 御指摘の抜本的な改革案につきましては、税方式に移行して最低保障年金を構築することは、多額の税財源が必要になる問題、これまで保険料を払ってきた方と払ってこなかった方との公平性の問題、積立方式への移行には全世代が自身の積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うこととなる二重の負担の問題など、各種の論点があります中で、果たしてこれが実行可能か、どのようにそれを行うのかという論点も踏まえまして議論をしていく必要があると考えております。
 基礎年金の底上げ措置に係る国庫負担の財源についてのお尋ねです。
 年金の給付水準が将来も維持できますよう、政府といたしましては、まずは賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指してまいりますが、その上で、昨年公表した財政検証では、実質ゼロ成長を見込んだケースにおいて、仮に基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了を行った場合、追加的な国庫負担は二〇三〇年代後半から徐々に発生する見込みとなっております。
 今後の経済状況により、追加的な国庫負担が必要となるか否かや、その時期、規模は変化するものであることから、現時点で財源の具体的内容について予断を持って申し上げることはできませんが、衆議院で盛り込まれた附則におきまして、基礎年金の給付水準の目減りを防ぐ措置を講ずる場合には、給付と負担の均衡が取れた持続可能な公的年金制度の確立について検討を行うこととされており、この規定に基づき、次期財政検証後の判断に向けて、制度を支える財源の在り方についても適切に検討いたしてまいります。
 年金制度を始めとする社会保障制度の議論の在り方についてでございます。
 年金制度の議論も含めた社会保障全体の議論につきましては、全世代型社会保障構築会議において、引き続き給付と負担のバランスを確保しつつ、若年期から高齢期まで全ての世代で安心できる全世代型社会保障制度の構築に取り組んでまいります。
 また、年金制度につきましては、国民全体に関わる大きな仕組みであり、国会でも各党から様々な御意見をいただいております。協議の在り方につきましては、国会において適切に御議論いただくのがふさわしいと思っておりますが、党派を超えて建設的な御議論を行っていただくことは重要であると考えております。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#19
○国務大臣(福岡資麿君) 猪瀬直樹議員の御質問にお答えします。
 被用者保険の適用拡大についてお尋ねがありました。
 今回の法案における賃金要件の撤廃により、社会保険料の負担を懸念して年収を意識する必要や、賃上げに伴い就業調整を行う必要もなくなり、労働者が希望に応じて働きやすくなるものと考えております。
 加えて、事業主にとっても、厳しい人手不足の状況の中で、労働者への年金給付等が手厚くなることで人材確保や定着につながるといったメリットがあるというふうに考えております。拍手
    ─────────────
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関口昌一#20
○議長(関口昌一君) 田村まみ君。
   〔田村まみ君登壇、拍手〕
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田村まみ#21
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
 ただいま議題となりました法律案に対し、会派を代表して質問いたします。
 今回の年金制度改正の議論では、厚生年金の積立てを活用した基礎年金の底上げ、マクロ経済スライドの調整期間の一致による基礎年金の底上げ措置に注目が集まっていますが、働き方に中立な年金制度の構築に向けた様々な施策や重要な論点が置き去りにされたのが政府の提出法案です。国民民主党は衆議院で修正案を提出しました。
 将来の年金受給世代の給付水準を確保するには、あらゆる側面から見直しの議論を行う必要があるため、与野党を超えた検討、協議の場が必要です。総理、今後の年金制度を始めとする社会保障制度の議論の在り方をどのようにお考えでしょうか。
 基礎年金の底上げ措置、マクロ経済スライド調整終了の実施時期について伺います。
 昨年行われました財政検証では、経済が順調に推移しない限り、基礎年金の給付水準が三割減少するという結果が出ています。就職氷河期世代を始め、適用拡大を十年後に先送りすることで、厚生年金に比べ基礎年金の割合が高く給付される人たちほど大きな影響を受けます。
 政府も、マクロ経済スライドの調整について、次の財政検証で見直すと修正協議前から繰り返し衆議院で答弁していますが、現在の基礎年金受給額では満額でも六万九千三百八円、生活保護受給者の過半数が六十五歳以上の高齢者となっていることを問題とは捉えていないのでしょうか。
 経済動向を見て検討するなどと悠長に構えているのではなく、将来どころか現在の受給水準の課題を直視しているのであれば、今回の改正でマクロ経済スライドの調整をもっと早期に終了の決断をすべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、今回の政府提出法案で唯一の年金給付の底上げ措置であると言っても過言ではない短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について伺います。
 適用拡大の企業規模要件は、二〇一二年改正から二〇二四年にかけて、順次企業規模要件が引き下げられてまいりました。今回の改正では、現行の従業員五十人超の要件を段階的に撤廃することとしておりますが、完全撤廃は二〇三五年十月、今から十年後の施行となっています。
 ここから十年後、就職氷河期世代の私は五十九歳。適用拡大を始めて二十三年もの期間を掛けてしまう決断をすることは、総理、一体誰のためなのでしょうか。就職氷河期世代よりも後の世代のための改革ですか。事業主負担を心配する事業者のためですか。十年の経過で事業者は負担の工面が可能となる、そんな見通しが総理にはあるのでしょうか。お答えください。
 二〇二四年に従業員五十一人以上の企業に対して適用拡大が図られた際には、労働者への説明も準備もしていない事業者が散見され、その声に押されるように、慌てて厚労省は年収の壁・支援強化パッケージを用意しました。
 施行まで四年の準備期間があっても結局直前の対応となったのですから、長過ぎる準備期間よりも、実施のための支援を充実し、早急に適用することの方が有用ではないでしょうか。年金制度改正のベースとなる財政検証が少なくとも五年ごとに行われることを踏まえれば、企業規模要件の完全撤廃は五年後に完了とすべきと提案します。総理の決断を求めます。
 昨年六月、女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム中間取りまとめでは、女性が出産後にパートタイムとして復職した際に、年収の壁を超えて働く場合、扶養対象となる第三号被保険者の範囲で働く場合と比べて、生涯可処分所得が一千二百万円から二千二百万円に増加するとの試算が政府から示されております。企業規模要件の完全撤廃が十年後まで先送りされることによって、このような働く女性の老後資産形成を妨げ、特に高齢期に単身の場合、生活に大きく影響してくることが考えられます。
 こうした具体的な数字、影響を踏まえた上で、適用拡大の対象に女性が多いことも鑑み、早期に企業規模要件の撤廃を完了する必要性について総理の見解を伺います。
 また、被用者保険の適用拡大については、厚生年金だけではなく、健康保険財政にも大きく影響を及ぼすものですが、健康保険を取り扱う社会保障審議会医療保険部会と年金部会との連携は限定的でした。
 厚生労働大臣、本来は、両部会が密に連携をして議論すべきだったのではないでしょうか。
 次に、今回の適用拡大では、企業規模要件の撤廃や百六万円の壁と言われる賃金要件の撤廃が盛り込まれていますが、週の所定労働時間二十時間以上という労働時間要件は手付かずのままです。総理、百六万円の壁、月八・八万の要件がなくなれば就労調整がなくなると本気で考えているのですか。
 雇用保険においては、現在、週二十時間以上となっている労働時間要件を、令和十年十月から週十時間以上に変更することが既に決まっています。社会保険においても雇用保険の要件と合わせて週十時間以上とすることは、これまで複雑で難解な労働者を取り巻く制度を分かりやすくする観点からも望ましいです。年金部会の議事録では、週十時間以上とすべきという意見が多数派で、慎重意見はごく少数でした。労働時間要件を週十時間以上とすることは、政府の掲げる勤労者皆保険の実現にも沿うものであり、働き方に中立な制度の構築に資するものと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、厚生年金の標準報酬月額の上限引上げについて伺います。
 厚生年金の保険料額は、毎月の給与等に応じた基準額である標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されます。その上限となる標準報酬月額は六十五万円とされているため、給与等がそれ以上になっても厚生年金の保険料額は変わりませんでした。一方、同じ被用者保険である健康保険の上限の標準報酬月額は百三十九万円。区分は、厚生年金の三十二等級に加え、下に三等級、上に十五等級を加えた五十等級の区分とされています。
 今回の改正では、厚生年金の標準報酬月額を三年かけて三段階、七十五万円まで上限を引き上げ、負担能力に応じた負担を求めることとしています。現場では、せっかく賃金が上がってもまた手取りが減るや、所得再配分を効かせるならば、もはや社会保障ではなく税ではないか等、疑問の声が上がっています。
 総理、今後は年金についてもこれまで以上に所得再配分機能を効かせていくというお考えなのでしょうか。
 今回の標準報酬月額の上限を引き上げる改正では、全被保険者の平均標準報酬月額を基準とする現行のルールから、上限等級の被保険者数の全体に占める割合を基準とすることが盛り込まれています。これは、上限を引き上げやすくして現役世代の負担増だけを議論していると受け止められても仕方がありません。公的年金控除額等の見直しも同時に検討するべきです。
 そもそも厚生年金の標準報酬月額の上限については、上限を高くし過ぎることで将来の給付額の差が大きくならないようにする観点で設定されたものです。
 厚生年金の標準報酬月額の上限設定の趣旨を明確にした上で、新たにルールにおいても拙速な上限引上げが行われることがあってはならないと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 また、今回の改正で適用拡大に関する月額八万八千円の賃金要件の撤廃が行われることも踏まえ、収入の少ない方でも厚生年金に入りやすくするという観点からも、少なくとも、厚生年金の標準月額の下限の下に健康保険と同様の三等級を加えて、下限の標準報酬月額を五万八千円とするべきです。労働時間要件の引下げと併せて前向きに検討いただけないでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
 このほかにも、年金掛金納付期間の四十五年間への延長、保険料の遡及納付、また三号被保険者の在り方、また財政検証の在り方など論点が多く残っている中、将来にわたる年金制度の改正を、重要広範にもかかわらず、二十日にも満たない日程で拙速に行ってしまうことへの疑問を呈しまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#22
○内閣総理大臣(石破茂君) 田村まみ議員の御質問にお答えします。
 年金を始めとする社会保障制度の議論の在り方についてでありますが、年金制度の議論も含めた社会保障全体の議論につきましては、全世代型社会保障構築会議において、引き続き給付と負担のバランスを確保しつつ、若年期から高齢期まで全ての世代で安心できる全世代型社会保障制度の構築に取り組んでまいります。
 年金制度につきましては、国民全体に関わる大きな仕組みであり、国会でも各党から様々な御意見を頂戴しております。協議の在り方については国会において適切に御議論いただくのがよろしいと考えておりますが、党派を超えて建設的な議論を行っていただくことは重要であると考えております。
 マクロ経済スライドの早期終了であります。
 基礎年金は、老後生活の全てを賄うものではなく、現役時代に構築した生活基盤や貯蓄等と合わせて老後を過ごすという考え方で設計されており、所得や年金額が低い高齢者につきましては、年金生活者支援給付金のほか、社会保障制度全体により対応しております。
 年金の給付水準及びマクロ経済スライドの調整期間は、今後の経済状況によって変わり得るものです。このため、政府といたしましては、まずは賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指し、年金の給付水準が将来も維持できるように努めてまいります。
 この上で、衆議院で盛り込まれました三党の修正案では、仮に経済が好調に推移しない場合には基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講ずることとされており、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保の方向性をより明確にするものと考えております。
 適用拡大の企業規模要件の見直しについてであります。
 被用者保険の適用拡大は、より手厚い年金を受けられるようにするという大きな意義を有するものですが、対象企業には新たに社会保険料を御負担いただくことになることから、これまでも準備期間を十分に確保した上で、段階的に拡大を進めてきたところであります。その際には、人材確保に積極的な企業が前倒しで適用を進められる任意適用の仕組みも活用を促してきております。
 今回の法案では、今まで以上に小規模な企業や個人事業者を対象といたしますため、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえた配慮として、施行までに最長十年の準備期間を設け、段階的に実施することといたしております。
 この上で、キャリアアップ助成金を始めとする経営や事務に関する事業者支援に加え、中小企業の生産性や稼ぐ力を強化していくことで、本改正案の着実な実施につなげてまいります。
 女性の老後の資産形成と企業規模要件の早期の撤廃の必要性についてのお尋ねです。
 御指摘の試算は、出産後、パートタイムとして年収百万円で再就職するケースと、いわゆる年収の壁を超えて年収百五十万、二百万で再就職するケースでの生涯可処分所得を一定の仮定の下で試算しているものと、このように承知をいたしております。
 これは、年収の壁を意識せず働くことで、生涯を通じて、給与所得と年金所得を合わせた可処分所得の増加につながることを示しているものであり、いわゆる百六万円の壁と呼ばれる賃金要件の撤廃など、被用者保険の適用拡大を通じて、御本人の希望に応じた働き方の実現を図ることが重要であるということは認識を共有いたすところでございます。
 他方で、企業規模要件の見直しにつきましては、今まで以上に小規模の企業や個人事業所を対象といたしますことから、企業経営に与える影響なども踏まえ、施行までに最長十年の準備期間を設けることとしております。先ほど申し述べたとおりでございます。
 ただし、人材確保に積極的な企業が任意で前倒しで適用を進めることは可能であり、この任意適用の仕組みの活用も含め、被用者保険が適用される方を増やしてまいります。
 短時間労働者の被用者保険の適用に係る賃金要件と労働時間要件についてでございます。
 今回の法案により賃金要件が撤廃されることにより、社会保険料の負担を懸念して年収を意識する必要や賃上げに伴い就業調整を行う必要もなくなり、働き方に中立的な制度に近づくものと考えております。
 被用者保険に加入した場合には、年金、医療の給付が充実する、このようなメリットがありますほか、今回の法案には、適用拡大に当たって、本人の保険料負担を軽減する措置を盛り込んでおり、こうした点の周知広報にも積極的に取り組んでまいります。
 労働時間要件の週二十時間未満への引下げにつきましては、対象企業への影響が大きいことなどから、今回の法案には含めていないところでございます。今後の在り方につきましては、まずは今回の改正を着実に施行しながら、本法案の検討規定も踏まえ、他制度の在り方などにも留意をして議論を深めてまいります。
 標準報酬月額上限の見直しと年金の所得再分配機能についてでございます。
 今回の標準報酬月額の上限の見直しは、収入に応じた御負担をお願いしつつ、本人の将来の給付増にもつなげるものでございます。収入に応じた負担とすることで世代内の公平性が高まりますほか、年金額の低い方も含む厚生年金全体の給付水準の向上につながるため、所得再分配機能が高まることとなります。
 公的年金制度は、全国民に共通の基礎年金により、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障することで所得再分配機能を有しております。この機能の在り方につきましては、今後の議論によるところでありますが、所得再分配機能を将来にわたって適切に維持することは極めて重要であり、今後とも適時適切に議論し、必要な見直しを行います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#23
○国務大臣(福岡資麿君) 田村まみ議員の御質問にお答えいたします。
 被用者保険の適用拡大に関する年金部会と医療保険部会の連携についてお尋ねがありました。
 被用者保険の適用拡大に関しては、従来から年金と医療保険の双方の観点から検討を進めており、今回の改正でも、両制度の関連分野の有識者等から構成される懇談会を開催したほか、それぞれの部会において双方の議論の状況を報告するなど、適切に連携しています。
 今後とも、被用者保険の適用拡大の検討を進めていくに当たっては、年金と医療保険双方の観点を踏まえて、丁寧に議論してまいります。
 標準報酬月額の上限の引上げの趣旨や内容についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、厚生年金における標準報酬月額について、既に上限に該当し、実際の収入と比べて少ない負担や給付となっている方が多い状況を踏まえ、より収入に応じた給付と負担とする等の観点から、上限引上げルールの見直しを行っています。
 その上で、標準報酬月額の上限については、国会での審議も踏まえつつ、新たなルールにおいても被保険者の収入分布なども踏まえ、適切に検討してまいります。
 厚生年金の標準報酬月額の下限の引下げについてお尋ねがありました。
 厚生年金の標準報酬月額の下限は、短時間労働者への被用者保険の適用に係る月額賃金八万八千円に合わせて設定しているものですが、これは、国民年金第一号被保険者の負担や給付水準とのバランスを図る観点から設定しているものです。
 今回、この賃金要件は、最低賃金の動向を踏まえ撤廃するものですが、仮に労働時間要件の引下げと併せて標準報酬月額を引き下げた場合には、国民年金第一号被保険者より低い負担でより手厚い給付を受けられるといった課題があり、慎重な検討が必要と考えます。拍手
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関口昌一#24
○議長(関口昌一君) 倉林明子君。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕
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倉林明子#25
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について質問をいたします。
 異常な物価高騰が国民生活を直撃し、とりわけ年金で暮らす人たちの暮らしを追い詰めています。年金額は目減りし続け、節約では追い付かず、食費、光熱費、医療費、被服費など、健康、命に関わるところまで削らざるを得ないという悲鳴が上がっています。
 この間、介護保険料、国保料は値上がりを続け、高齢者の実質的な可処分所得は更に減少しています。障害基礎年金と少ない工賃で暮らす障害者からは、食料品など今まで買えていたものが買えなくなった、グループホームの費用が払えないなど、深刻な声が寄せられています。総理はどう認識されているでしょうか。
 総理は、誰も取り残さない社会の実現、全ての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する人財尊重社会を築いていくと決意を述べられています。
 総理、全ての人の中に、高齢者や障害のある人など、年金で生計を立てる人たちは入っていますか。誰も取り残さないというのであれば、そのための具体的手だてが必要です。苦境に立つ人たちに、今すぐ物価高を超える年金額の引上げを実行すべきではないでしょうか。
 国民年金法第四条には、国民の生活水準に著しい変動が生じた場合、速やかに改定の措置が講ぜられなければならないと規定しております。四十年ぶりの異常な物価高は著しい変動にほかなりません。物価を上回る年金額の再改定を速やかに行うべきです。総理の答弁を求めます。
 法案は衆議院で修正されたものの、年金額の底上げ措置は二九年の財政検証を踏まえて判断すると先送りされています。年金生活者の苦境の元凶となっているマクロ経済スライドは、早期終了の措置を講じたとしても今後十年以上継続し、年金水準の引下げは続くことになります。年金削減の影響は、基礎年金のみ、低年金の方ほど大きくなることは明らかです。
 我が党は、衆議院でマクロ経済スライドを速やかに停止する修正案を提出しました。長引く物価高の中で年金生活者の暮らしを守るとともに、現役世代の大幅減額を避けるために、今こそマクロ経済スライドを直ちに停止すべきではありませんか。
 現在二百九十兆円、給付の五年分もため込んでいる巨額の年金積立金を年金の引上げに今こそ活用すること、現在年収一千万円で頭打ちとなる厚生年金保険料の上限を医療保険並みに年収二千万円まで引き上げること、現役労働者の賃上げ、短時間労働者の更なる適用拡大を進め、保険料収入と加入者を増やす、こうすれば年金の引上げは可能だと考えますが、いかがですか。
 以上、総理の答弁を求めます。
 とりわけ女性の低年金は深刻です。十万円以下が八三%、五万円以下が二三%も占めています。厚労省公表の相対的貧困率は二〇一二年をピークに低下していますが、唯一例外が高齢女性です。貧困率は上昇を続け、高齢男性との差は拡大し、単身高齢女性の貧困率は四四%に上っています。十代から働き続けたが、介護保険料など引かれ、年金五万円は家賃に消えてしまうという女性、夫と死別し年金が激減し生活が行き詰まる、こうした女性の声です。
 子育て、介護、家族ケアを担い、女性差別が公然と行われる職場で、社会で生きてきた多くの女性たちが、公的年金だけでは暮らせず、貧困に陥っています。
 女性の低年金の原因は、男女の雇用・賃金差別、非正規の拡大、無償のケア労働に依存した社会保障、第三号被保険者制度による被用者保険未加入への誘導など、政治が招いた結果です。総理にその認識はありますか。
 高齢女性だけの問題ではありません。現役世代の未婚女性の貧困率が上がっています。就職氷河期世代を含め、現在と将来の低年金・無年金者をなくすために、最低保障年金制度をつくることが必要ではありませんか。お答えください。
 低年金、低所得で暮らす人には社会保障制度全体で必要な支援をしていくとの答弁が繰り返されています。言われるまでもなく、年金だけでは暮らせず、生活保護を利用する高齢者は増加し、生活保護利用者の五割を超えました。
 しかし、最後のとりでである生活保護の実態はどうか。洋服も靴も知人のお下がり、冬でも暖房は付けず、友人との交流も、葬儀にも出られない、食事は一日一食、風呂は週に一回しか入らない、毎日お金のことばかり考えている、生かさず殺さず、それが生きている限り続く。これが、いのちのとりで生活保護裁判の原告の言葉です。これが生存権を保障するにふさわしい支援と言えるでしょうか。
 二〇一三年から三年間、自公政権が強行した生活保護費削減を緊急に復元し、物価高に見合った水準に引き上げるべきです。総理の答弁を求めます。
 法案は、百六万の壁の解消等被用者保険の適用拡大を行いますが、同時に必要なのは中小企業への直接支援です。今、社保倒産に追い込まれる企業が急増し、中小企業の社会保険料を含む税金滞納倒産が過去最多を記録しています。法案による事業所への支援は三年間の時限措置であり、極めて限定的です。
 総理、最低賃金の引上げが求められる中、中小企業の社会保険料の事業者負担の軽減に本格的に踏み出すべきではありませんか。
 以下、厚労大臣に質問します。
 年金事務所による強権的徴収、差押えが横行しています。本来使えるはずの猶予措置も無視して一括納入を迫る、納付協議中に差し押さえるなどの事態がいまだに続いています。社会保険料の取立てにより中小企業を破綻させるなど、あってはなりません。猶予措置を徹底し、厳正な実行を求めます。いかがですか。
 障害年金について、今回も見直しが先送りされ、当事者、関係者からは政府の無策に批判の声が上がっています。障害年金には早急に見直すべき多くの課題があります。
 障害年金の不支給が昨年倍増したと報道されました。恣意的判断で本来受給できる人が排除されたとすれば、重大です。徹底した調査、公表とともに、必要な再判定が実施されるべきです。答弁を求めます。
 障害年金は、障害を持つ人が生きていく上で基盤となる基本的権利であるにもかかわらず、年金を受給できている人は少数です。無年金者が大量に放置されている現状をどう認識されているでしょうか。
 必要な人が年金を受給できない要因は、現状と乖離した認定基準にあります。医学モデルの認定基準が、必要な障害者への支給を制限、排除しています。社会モデル、人権モデルへの転換が必要です。答弁を求めます。
 障害者権利条約の総括所見では、市民の平均所得に比べ、障害年金が著しく低額であると懸念が示されました。障害基礎年金の額は四十年間据え置かれたままです。社会的に自立した生活ができるよう、大幅に引き上げるべきではありませんか。
 大量の無年金、低年金の障害者をつくり出している状況をこれ以上放置することは許されません。制度上、運用上の喫緊の課題を解決し、制度を抜本的に見直すため、当事者、専門家の参加する集中した議論を今すぐ開始すべきではありませんか。
 物価高に負けない年金の引上げは待ったなしです。十年以上年金を引き下げるなど、到底容認できるものではありません。直ちに底上げ、引上げを重ねて強く求めて、質問といたします。拍手
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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石破茂#26
○内閣総理大臣(石破茂君) 倉林明子議員の御質問にお答えいたします。
 物価高騰と年金額の改定についてでございます。
 御指摘の国民年金法の規定は、現行の年金額の改定ルールでは対応できないような国民の生活その他の諸事情の著しい変動が生じた場合に年金額を改定する旨を定めたものですが、既に物価等の変動に応じて年金額を改定する現行の仕組みに基づいて近年も年金額を改定してきており、御指摘のような改定を行う状況にはないと考えております。
 その上で、所得や年金額の低い高齢者の方々には、年金生活者支援給付金制度を設けており、こうした施策等により、高齢者の方々の暮らしが安定するよう、引き続き支援をいたしてまいります。
 マクロ経済スライドの停止と年金水準の引上げについてでございます。
 公的年金制度では、マクロ経済スライドの仕組みにより、現役世代の負担が過重なものとならないよう保険料の上限を固定し、積立金も計画的に活用しつつ、その範囲内で給付を行うことで将来世代の給付水準を確保いたしております。将来世代の年金の給付水準を確保するために、今後とも必要な措置と考えております。
 その上で、年金の給付水準は今後の経済状況によって変わり得るものであり、政府として、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を目指しつつ、被用者保険の適用拡大など、今回の法案に盛り込んだ事項を着実に実行すること等を通じて、年金給付水準の確保に努めてまいります。
 女性の低年金の原因と最低保障年金制度の創設についてのお尋ねです。
 公的年金制度におきましては、基本的に制度上の給付の男女差はなく、年金額は現役時代の収入に基づく保険料の納付実績に応じて決まるものでございます。
 政府といたしましては、男女雇用機会均等法の遵守徹底や男女間賃金格差の是正を図るほか、希望をされる方の正社員への転換支援などに取り組んできており、今回の法案でも、より手厚い年金が受けられますよう、被用者保険の適用拡大に取り組むことといたしております。
 いわゆる最低保障年金の創設につきましては、多額の税財源が必要となること、これまで保険料を払ってこられた方々と払ってこられなかった方々との間の公平性をどのように確保するのかといった難しい課題があり、低所得の年金受給者に対する年金生活者支援給付金の支給などを通じて、高齢期の所得保障に取り組んでまいります。
 第三号被保険者制度につきましては、今回の附則の検討規定に基づき、その実態も精緻に分析しながら、在り方の議論を進めてまいります。
 生活保護費の水準についてでございます。
 二〇一三年から三年間掛けて実施した生活保護費の改定につきましては、訴訟が提起されており、判決が確定していないなどの事情から、対応についてお答えは差し控えさせていただきますが、生活保護基準につきましては、最低限度の生活を保障するため、一般国民生活における消費水準との比較において設定するという考え方の下、一般低所得世帯の消費動向や社会経済情勢等を総合的に勘案して改定を行っておるものでございます。
 中小企業の社会保険料についてでございます。
 中小企業に対して社会保険料の事業主負担を軽減すべしとの御提案につきましては、社会保険料が医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であることなどから、慎重な検討が必要であると考えております。
 また、中小企業に対しましては、非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主に対するキャリアアップ助成金などによる支援など、政策目的に応じて助成金による支援を行っております。
 政府といたしましては、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を目指し、中小企業や、失礼、中小企業に利益を上げていただくための適切な価格転嫁や生産性向上を支援しながら、社会保険につきましては、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す改革を着実に進めてまいります。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。拍手
   〔国務大臣福岡資麿君登壇、拍手〕
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福岡資麿#27
○国務大臣(福岡資麿君) 倉林明子議員の御質問にお答えします。
 社会保険料の徴収についてお尋ねがありました。
 社会保険料の納付が困難な事業所については、日本年金機構に対し、事業所の経営状況や将来の見通しなどを丁寧に伺いながら猶予や分割納付の相談等に応じることや、納付計画どおりに納付がされない場合であっても、直ちに猶予を取り消し、財産を差し押さえるのではなく、やむを得ない理由があると認められる場合には猶予を取り消さないことができることなどの対応を求めています。
 年金事務所において、関係法令等に基づき、事業所の状況に応じた対応が行われるよう、引き続き日本年金機構に対して指導してまいります。
 障害年金の報道についてお尋ねがありました。
 御指摘の報道については、年金行政への信頼に関わる問題であり、しっかり対応していく必要があることを十分認識しております。
 このため、令和六年度における障害年金の認定状況について、その実態把握のための調査をすることとしており、この中で個別の事例について適正に審査されているか等を速やかに確認することとしています。調査の結果については、六月中旬を目途に公表すべく作業を進めており、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいります。
 障害年金の無年金者についてお尋ねがありました。
 障害年金を給付されるべき方に必要な給付が行われることは重要であると考えております。
 障害年金の審査に当たっては、障害認定基準やガイドラインに基づき、診断書等を基に、障害の状況や日常生活への影響等について、障害認定医の意見も踏まえ個別に判断を行っているところです。また、今回の法案においても、障害年金について直近一年間に未納期間がない場合には受給要件を満たすこととする特例を延長することとしており、生活困窮者自立支援制度などと併せ、社会保障全体での総合的な対応に引き続き取り組んでまいります。
 障害年金の認定基準についてお尋ねがありました。
 障害年金については、個人の心身の機能障害に着目する医学モデルか、社会における障壁に着目する社会モデルや人権モデルかという二者択一ではなく、主治医の診断書に加えて、本人や家族が記載する書類により、機能障害のみならず、日常生活の状況等について詳細を把握した上で障害等級の認定を行っています。具体的な障害認定基準については、今後も様々な御意見を伺いながら、不断の見直しを行ってまいります。
 障害年金の引上げについてお尋ねがありました。
 障害年金の給付水準は、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が現役期に障害状態となって早期に到来することに対応するものとして、老齢年金と同水準であることを基本としつつ、障害等級一級の方はその一・二五倍と配慮するなど、適切なものであると考えております。
 その上で、障害をお持ちの方に対しましては、社会保障制度全体で総合的に支援していく観点から、障害年金生活者支援給付金の支給など支援措置を実施しており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 障害年金制度の会議体の設置についてお尋ねがありました。
 社会保障審議会年金部会では障害年金に関する広範な事項について議論しましたが、いずれの事項も、障害年金の目的や認定基準の在り方、他の障害者施策との関係整理などについて更なる議論が必要とされたところです。このため、まずはどのような論点について議論を深めるべきかを整理した上で、その結果も踏まえ、どのような場で議論するかも含め検討したいと考えております。拍手
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関口昌一#28
○議長(関口昌一君) これにて質疑は終了いたしました。
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関口昌一#29
○議長(関口昌一君) 日程第一 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長塩田博昭君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔塩田博昭君登壇、拍手〕
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