猪瀬直樹の発言 (本会議)

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○猪瀬直樹君 日本維新の会の猪瀬直樹です。
 会派を代表して、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案、いわゆる国民年金法改正案について質問します。
 日本維新の会は、五月二十九日に福岡厚生労働大臣に対し、年金制度改革に対する提言を行いました。本日は、その内容を踏まえ、改正案の問題点について石破総理と福岡厚労大臣にただしていきます。
 政府・与党は、これまで、この年金制度の根本的な課題に向き合うことなく、問題の先送りを繰り返してきました。本改正案の柱の一つである賃金要件と企業規模要件の撤廃による被用者保険の適用拡大も、また中途半端な場当たり的な策と言わざるを得ません。
 我々日本維新の会は、これまで、保険料を払わないのに将来年金を受け取ることができる現行の第三号被保険者の制度は著しく不公平であり、これを廃止し、広く年齢や状況によらず公平な年金制度とすることを主張してきました。
 専業主婦であれば富裕世帯であっても保険料負担を求められず、その分、生活に余裕のない共働き世帯やシングルマザーなどの納付者が負担をしています。さらに、この制度は就業抑制効果を生み、特に女性の労働市場への参加を阻害してきました。これらについて総理の現状認識を伺います。
 この根本的な不平等を放置したままで、この適用範囲を中途半端に拡大すれば、例えば労働時間を制度の適用外となる週十九時間以下に抑えて第三号被保険者にとどまるなどの自衛策が新たな壁となり、結果として短時間労働者の就業促進に逆行する施策になりかねません。それにもかかわらず、なぜこの人手不足が深刻化しているときにあえて短時間労働者への適用拡大を行うのか、福岡厚労大臣にその意図をお尋ねします。
 先日の提言のとおり、日本維新の会は、まず所得の高い世帯の第三号被保険者についてこの制度の適用除外とし、その後、段階的に廃止に向かうことで、全ての年金受給権が保険料の拠出実績に基づく公平な仕組みに一本化すべきと考えますが、この我々の見直し案について総理の見解を求めます。
 年金の支給開始年齢の見直しについても、政府は抜本的な改革から目を背けています。
 日本の基礎年金の所得代替率は先進国の中で最低水準にありますが、諸外国では給付水準を維持する代わりに長寿化に合わせて支給開始年齢を六十代後半から七十代前半に引き上げています。
 老後の安心な暮らしを支える制度の構築を最優先とするなら、給付額を更に減らすことで制度を形だけ持続させるのではなく、長寿化により自然に延びる年金の受給期間を支給開始年齢の引上げによって中立化し、受給額を維持する仕組みを構築することが必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 我が国の年金支給額は先進国の中でも最低水準であり、現行の基礎年金は満額でも給付額が月額七万円弱にとどまります。この金額は十万円から十三万円が目安とされる生活保護の扶助額を大きく下回っており、これはすなわち、基礎年金が老後の最低生活の保障として機能していないということを意味しているわけです。
 総理は、この逆転現象を是としているのか、あるいは解消すべきなのか、そのお考え、どちらでしょうか。
 また、現行の国民年金では、免除者や猶予者を含んだ実質的な納付率は五割を下回っています。特に第一号保険者の未納付問題は深刻でありまして、この問題を放置したままでは制度の持続的な可能性は確保できません。
 そこで、基礎年金に老後の生活を安心して支えることができる十分な給付額を確保した最低保障年金を構築し、保険料による拠出を廃止して税方式に移行する方法や、現行の二階部分を積立方式に移行することを含めた抜本的な制度設計を行うべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 本改正案について、厚生年金の積立金を流用して基礎年金を底上げするという修正案が衆議院を通過しました。これは、被保険者の不公平を拡大させ、国民の制度全体に対する信頼感を更に損ねるおそれがあります。また、基礎年金は国庫が半分を負担する仕組みであるために、厚生年金の積立金を流用すれば、その流用した額に見合う金額の公費が追加で必要となります。
 ところが、この具体的な財源の議論は全く不十分であると言わざるを得ません。これがまた現役世代の負担増となるなら、ただでさえその社会保険料の高さのために血まみれとなり、結婚して子供を産み育てることすら諦めざるを得ない若い世代に更なる負担を強制することとなります。
 総理、この六十五兆円の財源は、いずれまた増税という形で現役世代に負担を強いることになるんでしょうか。明確な答弁をお願いします。
 ドイツでは二〇〇一年にリースター改革と呼ばれる、超党派の合意の下で抜本的な年金改革が行われました。背景となったのは、高齢化の進展による賦課方式の財政的な限界や国民からの年金制度への不信感などなんです。
 また、イギリスでも近年、政局にとらわれない超党派の専門委員会を設けて年金改革の議論を進め、二階建ての公的年金を一階建てに変え、比例報酬分は私的年金を活用するという抜本改革が行われました。
 ドイツもイギリスも、我が国の状況とよく似ていました。しかし、両国は抜本改革を成し遂げたが、日本は相変わらず場当たり的な継ぎはぎに終始しているという大きな違いがあります。本来は、彼らにできて我が国でできないはずはないんです。これは完全に政治の責任であり、政治の怠慢なのではないでしょうか。
 年金制度改革は、他の構造的な問題と比較して、政争の具とはせずに超党派で本質的な議論が行える可能性がある数少ない分野であると考えます。
 我が党が今国会でも重要なテーマとしている医療費の削減やライドシェアの全面的な解禁と比べれば、日本医師会やハイヤー・タクシー連合会など、国の未来など気にせずにただ自分たちの既得権さえ守れればよい圧力団体の影響を受けることなく、議論が可能なんです。また、野党側においても、医療業界やバス、タクシーの労働組合など、既得権を死守したい人たちの声に潰されることなく、抜本的な改革を議論することができるではありませんか。
 各党には、この年金改革を議員活動の重要なテーマとして長年取り組まれてきた方々が何人もおられます。我が党も含め、是非そういう方々の知見を得ながら、この問題を政争の具とはせず、本当にこの国の将来のためだけを思い、真摯な議論を行うことが立法府の責任ではありませんか。
 我が党は、さきの提言で、社会保障国民会議の設置を提案しました。与野党を超えた国会議員とともに民間の専門家等が参加し、遅くとも今年中に改革方針を取りまとめ、次期通常国会で必要な立法措置を講ずべきと考えています。総理にも是非御賛同いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 日本維新の会は、年金制度を抜本改革により持続可能なものとし、あわせて、現役世代の社会保険料負担の軽減を目指すことをお約束して、私からの質問とします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 猪瀬直樹

speaker_id: 12449

日付: 2025-06-04

院: 参議院

会議名: 本会議