田村まみの発言 (本会議)
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○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
ただいま議題となりました法律案に対し、会派を代表して質問いたします。
今回の年金制度改正の議論では、厚生年金の積立てを活用した基礎年金の底上げ、マクロ経済スライドの調整期間の一致による基礎年金の底上げ措置に注目が集まっていますが、働き方に中立な年金制度の構築に向けた様々な施策や重要な論点が置き去りにされたのが政府の提出法案です。国民民主党は衆議院で修正案を提出しました。
将来の年金受給世代の給付水準を確保するには、あらゆる側面から見直しの議論を行う必要があるため、与野党を超えた検討、協議の場が必要です。総理、今後の年金制度を始めとする社会保障制度の議論の在り方をどのようにお考えでしょうか。
基礎年金の底上げ措置、マクロ経済スライド調整終了の実施時期について伺います。
昨年行われました財政検証では、経済が順調に推移しない限り、基礎年金の給付水準が三割減少するという結果が出ています。就職氷河期世代を始め、適用拡大を十年後に先送りすることで、厚生年金に比べ基礎年金の割合が高く給付される人たちほど大きな影響を受けます。
政府も、マクロ経済スライドの調整について、次の財政検証で見直すと修正協議前から繰り返し衆議院で答弁していますが、現在の基礎年金受給額では満額でも六万九千三百八円、生活保護受給者の過半数が六十五歳以上の高齢者となっていることを問題とは捉えていないのでしょうか。
経済動向を見て検討するなどと悠長に構えているのではなく、将来どころか現在の受給水準の課題を直視しているのであれば、今回の改正でマクロ経済スライドの調整をもっと早期に終了の決断をすべきと考えますが、総理の見解を求めます。
次に、今回の政府提出法案で唯一の年金給付の底上げ措置であると言っても過言ではない短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について伺います。
適用拡大の企業規模要件は、二〇一二年改正から二〇二四年にかけて、順次企業規模要件が引き下げられてまいりました。今回の改正では、現行の従業員五十人超の要件を段階的に撤廃することとしておりますが、完全撤廃は二〇三五年十月、今から十年後の施行となっています。
ここから十年後、就職氷河期世代の私は五十九歳。適用拡大を始めて二十三年もの期間を掛けてしまう決断をすることは、総理、一体誰のためなのでしょうか。就職氷河期世代よりも後の世代のための改革ですか。事業主負担を心配する事業者のためですか。十年の経過で事業者は負担の工面が可能となる、そんな見通しが総理にはあるのでしょうか。お答えください。
二〇二四年に従業員五十一人以上の企業に対して適用拡大が図られた際には、労働者への説明も準備もしていない事業者が散見され、その声に押されるように、慌てて厚労省は年収の壁・支援強化パッケージを用意しました。
施行まで四年の準備期間があっても結局直前の対応となったのですから、長過ぎる準備期間よりも、実施のための支援を充実し、早急に適用することの方が有用ではないでしょうか。年金制度改正のベースとなる財政検証が少なくとも五年ごとに行われることを踏まえれば、企業規模要件の完全撤廃は五年後に完了とすべきと提案します。総理の決断を求めます。
昨年六月、女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム中間取りまとめでは、女性が出産後にパートタイムとして復職した際に、年収の壁を超えて働く場合、扶養対象となる第三号被保険者の範囲で働く場合と比べて、生涯可処分所得が一千二百万円から二千二百万円に増加するとの試算が政府から示されております。企業規模要件の完全撤廃が十年後まで先送りされることによって、このような働く女性の老後資産形成を妨げ、特に高齢期に単身の場合、生活に大きく影響してくることが考えられます。
こうした具体的な数字、影響を踏まえた上で、適用拡大の対象に女性が多いことも鑑み、早期に企業規模要件の撤廃を完了する必要性について総理の見解を伺います。
また、被用者保険の適用拡大については、厚生年金だけではなく、健康保険財政にも大きく影響を及ぼすものですが、健康保険を取り扱う社会保障審議会医療保険部会と年金部会との連携は限定的でした。
厚生労働大臣、本来は、両部会が密に連携をして議論すべきだったのではないでしょうか。
次に、今回の適用拡大では、企業規模要件の撤廃や百六万円の壁と言われる賃金要件の撤廃が盛り込まれていますが、週の所定労働時間二十時間以上という労働時間要件は手付かずのままです。総理、百六万円の壁、月八・八万の要件がなくなれば就労調整がなくなると本気で考えているのですか。
雇用保険においては、現在、週二十時間以上となっている労働時間要件を、令和十年十月から週十時間以上に変更することが既に決まっています。社会保険においても雇用保険の要件と合わせて週十時間以上とすることは、これまで複雑で難解な労働者を取り巻く制度を分かりやすくする観点からも望ましいです。年金部会の議事録では、週十時間以上とすべきという意見が多数派で、慎重意見はごく少数でした。労働時間要件を週十時間以上とすることは、政府の掲げる勤労者皆保険の実現にも沿うものであり、働き方に中立な制度の構築に資するものと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、厚生年金の標準報酬月額の上限引上げについて伺います。
厚生年金の保険料額は、毎月の給与等に応じた基準額である標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されます。その上限となる標準報酬月額は六十五万円とされているため、給与等がそれ以上になっても厚生年金の保険料額は変わりませんでした。一方、同じ被用者保険である健康保険の上限の標準報酬月額は百三十九万円。区分は、厚生年金の三十二等級に加え、下に三等級、上に十五等級を加えた五十等級の区分とされています。
今回の改正では、厚生年金の標準報酬月額を三年かけて三段階、七十五万円まで上限を引き上げ、負担能力に応じた負担を求めることとしています。現場では、せっかく賃金が上がってもまた手取りが減るや、所得再配分を効かせるならば、もはや社会保障ではなく税ではないか等、疑問の声が上がっています。
総理、今後は年金についてもこれまで以上に所得再配分機能を効かせていくというお考えなのでしょうか。
今回の標準報酬月額の上限を引き上げる改正では、全被保険者の平均標準報酬月額を基準とする現行のルールから、上限等級の被保険者数の全体に占める割合を基準とすることが盛り込まれています。これは、上限を引き上げやすくして現役世代の負担増だけを議論していると受け止められても仕方がありません。公的年金控除額等の見直しも同時に検討するべきです。
そもそも厚生年金の標準報酬月額の上限については、上限を高くし過ぎることで将来の給付額の差が大きくならないようにする観点で設定されたものです。
厚生年金の標準報酬月額の上限設定の趣旨を明確にした上で、新たにルールにおいても拙速な上限引上げが行われることがあってはならないと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
また、今回の改正で適用拡大に関する月額八万八千円の賃金要件の撤廃が行われることも踏まえ、収入の少ない方でも厚生年金に入りやすくするという観点からも、少なくとも、厚生年金の標準月額の下限の下に健康保険と同様の三等級を加えて、下限の標準報酬月額を五万八千円とするべきです。労働時間要件の引下げと併せて前向きに検討いただけないでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
このほかにも、年金掛金納付期間の四十五年間への延長、保険料の遡及納付、また三号被保険者の在り方、また財政検証の在り方など論点が多く残っている中、将来にわたる年金制度の改正を、重要広範にもかかわらず、二十日にも満たない日程で拙速に行ってしまうことへの疑問を呈しまして、私の質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕