飯田哲也の発言 (予算委員会公聴会)
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○公述人(飯田哲也君) 環境エネルギー政策研究所、通称ISEP所長の飯田哲也と申します。
今日は、貴重な機会をいただいて、どうもありがとうございます。
私の方は環境・エネルギーというお題をいただきましたので、もう既に二月十八日にGX二〇四〇ビジョン、あるいはエネルギー基本計画、あるいは温暖化対策計画、いわゆるNDCも閣議決定された後ということですので、そこを振り返ってもある意味仕方がないので、今、世界の中で日本が今置かれている立ち位置を振り返りつつ、本当に今すごい変化が起きているんですが、若干そこから日本が取り残されているんではないかという感じがありますので、それを最終的にこの予算委員会で扱うべき論点に落とし込むという流れでお話をしたいと思います。
目次は書いてあるとおりで、まず世界全体、下、右下に三ページとあるところですが、大げさではなく、文明史的なエネルギー大転換が明らかに始まっています。その主役は、太陽光と蓄電池と電気自動車です。太陽光はこの十年間で十二・五倍、もう世界の電力の、十年前は〇・八%でしたが、去年は八・六%供給しています。蓄電池はもうほぼゼロでしたが、しかも十年前は日本が主役でしたが、今はほとんど中国で、二百四十ギガワットで百倍以上に増えて、ここに書かれているのは、蓄電池は電気自動車を除く定置型の電力用の蓄電池です。今年中に世界中の揚水発電の容量を追い越します。そして、電気自動車は、十年前は新車販売の僅か〇・三%でしたが、去年は二二%、まあ五台から四台に一台はもう電気自動車という時代に今なってきて、それがまだまだ増えていったと。
四ページ目ですが、太陽光と風力、風力の下には洋上風力、内数で入っていますが、そして原子力が参考までに。原子力はほぼ横ばいですが、風力がまず立ち上がった後、太陽光は天井を突き抜けるスピードで増えています。去年は何と六百ギガワット、いわゆる六億キロワットですね、増えていますが。
五ページ目を見ていただきますと、なぜこれが起きたかというと、もう太陽光と、風力も十年で七割コストが下がって十年前の三割のコスト、そして太陽光は十分の一のコスト、蓄電池も十年で十分の一というペースでコストが下がっていると。これは、普及するおかげでコストが下がり、コストが下がるので普及するというポジティブフィードバックですね。
その右の図、突き抜けているところですが、日本も参加をしているIEA、国際エネルギー機関が予測をしている毎年の例えば太陽光の設置量というのはほぼ横ばいなんですが、現実は天井を突き抜けるスピードでどんどん増えていっています。これは、従来のエネルギーモデルというのは経済モデルなので、テクノロジーディスラプション、破壊的技術変化というんですが、による予測というのはできないんですね、経済モデルでは。それでこういうことが起きています。
そして、六ページ目ですが、おととし、産油国のUAE・ドバイで気候サミット、COP28がありました。そのときに、二〇三〇年までですね、もう今年からするとあと五年しかないんですが、二〇三〇年までに世界の再エネの設備容量を三倍にしましょうということで、これは議長国提案で日本も賛同しています。
既に二〇二三年で世界の電力の三割が再エネになっているんですが、その設備を三倍にたった五年でしましょうというのが世界のコンセンサスです。日本も賛同しているんですが、その増える分の八割は太陽光、二割が風力です。いかに太陽光がこの十年間で全く役割が変わったかということが分かります。
七ページ目ですが、その先頭に立つのがデンマークと南オーストラリアです。今一番増える中心は太陽光と風力で、これはよくおてんとう任せ、風任せと言うんですが、この出力が変動します。これをよく知らない人か、あえて意図的に悪い人は不安定というふうに言うんですけれども、これは不安定ではないんですね。不安定ではなくて、自然変動というふうに言います。英語ではVRE、バリアブル・リニューアブル・エレクトリシティーというふうに言います。それをいかに、いわゆるおてんとう任せ、風任せの電力を系統の中に主役にしていくのかの世界の競争が始まっているわけですね。そのトップに立つのがデンマークと南オーストラリアです。
次の八ページ目ですが、去年、オーストラリアへと招かれて視察に行ったんですが、そのトップに立つ南オーストラリアですが、これ、日本も水素とかで非常に積極的な協力をしています。従来は、ウランであるとか鉄鉱石、石炭というのがオーストラリアの一番メインの取引でしたが、この南オーストラリアがあっという間に再エネ、まず、石炭が二〇一六年か、で廃止をしまして、天然ガスもあと二年先には再エネ一〇〇%になるということで、しかもこれは、二〇一七年十二月に世界で初めてできた大型系統蓄電池の先進国、これテスラのイーロン・マスクが六十三日で造ったというやつで、ここから世界の系統蓄電池のブームが始まりました。
右下のグラフを見ていただくと、再来年で再エネ一〇〇%、つまり太陽光と風力だけで一〇〇%になるんですが、その先もどんどん増やしていくんです。それは何にするかというと、水素にして、グリーン水素にして日本に輸出をするというような形ですごい積極的にやられています。
九ページ目ですが、もう世界的には、例えば中国、よく経産省さんの資料では、日本はそうはいっても頑張ったので、中国、アメリカに次いで累積では三番目なんだと。そこに去年の暮れまでのデータを乗っけると、実は日本は去年インドに抜かれました。恐らく今年か、遅くとも来年中にはドイツに抜かれます。というのは、ドイツは毎年千五百万キロワットの太陽光が、去年も増えて今後も増えていくんですが、日本は五百から三百ということで若干日本はかなりペースが落ちていっていると、この右下の図を見ていただくと分かりますが。
目標値も、実は中国は二〇三〇年の目標値を去年ほぼ到達をしました。もちろん更に増やしていくんですが、アメリカはちょっとこれからトランプ政権でどうなるか分かりませんが、基本的に市場原理で増えているので、恐らくトランプ政権になっても余り変わらないだろうと。ドイツは順調に、原発を止めたおととし、二〇二三年の春に再エネ四二%でしたが、去年は六二%。二〇三〇年、八〇%がドイツの目標ですが、恐らくこれは前倒しで達成できるんじゃないかと。日本は目標値がいかにも小さいと、しかも市場が縮小しつつあるということで、先進国の大国の中では若干厳しい位置にあると。
なぜそんなことになっているのかというと、若干深い話になると、やはり一つは政策設計。これは国会レベルの法律とは違って、もうちょっと細かい制度設計の失敗です。それは何かというと、固定価格買取り制度で福島原発事故後にできた法案で増えたのが最大の原因なんですが、その制度設計の中に、世界で今百か国導入した固定価格買取り制度の中で日本は最後に導入しました。最後に導入したんですが、その日本が唯一やってしまった失敗が、認定で経産大臣の判こをもらった瞬間の価格をそのまま維持できるという形です。その結果として、例えば二〇一二年度、三月三十一日までに認定をもらった四十円は、今、今日でもまだ四十円で生きています。例えば、長崎県の宇久島の島の大半を潰してしまう、今建設中ですけれども、これはもう日本最大の四百二十メガワットという超巨大な太陽光ですけど、四十円なんですよ、今年できるのに。
という形で、この右上の図を見ていただくと、四十円が生き残り、三十六円が生き残り、二〇一二年、三十二円が生き残っているので、賦課金が非常に高いとよく消費者のクレームがありますが、その三分の二が実はこの最初の三年間の認定の太陽光なんですね。それは、もうちょっと適切なタイミングの価格を当てるようにすれば、多分この負担は半分ぐらいになったんじゃないかというふうに思われます。
経産省さんはそれを後で何とか、まず、その結果として何が起きたかというと、権利が売買できるものですから、かなり太陽光バブルと地上げラッシュが続き、そして系統連系が電力会社に殺到したので電力会社は、九電ショックと言われるんですが、九電さんが、あっ、待ったという形で受付を止めて、その結果として出力抑制とか、とにかく再エネの系統連系はブレーキが掛かってしまったと。
そして、国民の余分な負担はやっぱり最初の価格が固定したということに起因するところがかなりの要因があり、そして今、これを何とかしようということで経産省頑張って、競争入札だとかフィードインプレミアムと頑張っておられるんですが、この古い未稼働の案件を止めるということで、若干行き過ぎた過剰規制が行われているんじゃないかと。
例えば、太陽光の飛び地規制というのがあって、これは多分皆さん御存じないと思うんですが、太陽光を一か所認定取っているところで飛ばしているところでというのがあって、確かに悪質のはあるんですが、悪質じゃないものまで全部潰してしまおうというような過剰規制。
それから、去年の四月に始まった住民説明会。住民説明会は本当必要なんですけれども、実は本当の正味の住民説明会ではなくて、説明資料のてにをはを全部バッテンを付ける形で全部落として、この一年間にまだ一件もクリアされているものがないという、運用が非常にちょっと違った方向に行っているんじゃないかというふうに思います。
十一ページ目に行くと、それから出力抑制ですね。これ、九州電力から二〇一八年に始まったんですが、せっかくの太陽光発電を止めてしまうと。
まず、いわゆるヨーロッパなんかと違うのは、原子力よりも太陽光、風力の方が先に入るべきだと。これはイデオロギーでも何でもなく、経済学ですね。燃料を一円も使わないので、原価費用というんですが、それを入れるのがまず経済的に一番安い。
それからもう一つは、環境的に再エネは放射能も出さないし、核のごみも出さない、CO2も出さない。
もう一つは、エネルギーが純国産なので、その間、原子力を抑制すればウラン節約できる、化石燃料止めれば燃料も節約できるので、エネルギーセキュリティー的にもその方がいいという極めて合理的な判断で、EUダイレクティブ、欧州の再エネの指令では再エネを最初に入れなさいということがルールで決まっています。
ですから、あの原子力大国のフランスでも、原子力よりも再エネ優先して、原子力を逆に凸凹して減らしています。今年の二月も、洋上風力がめちゃめちゃ発電したので、原子力四ギガ、四百万キロワットぐらい、があっと絞ったりとかしているのが実態なんですね。それは経済合理的な振る舞いですが、日本はそこが違うと。しかも、化石燃料が先に止まるんですけれども、化石燃料は五割は動かしてもいいよというような形になっていたり、もろもろこの出力抑制の問題がありますと。
ちょっと時間がないので飛ばします。
あとは十二ページ目ですが、日本は確かに狭い国ではあるんですが、これから住宅建築物とそれから農地、そしてデッドスペースというか、今、垂直型のフェンス型のソーラーとか、あとペロブスカイトとかで壁に付けれる太陽光とかですね、実は土地の面積で測れない形で設置できるポテンシャルも膨大にあるんですね。それをやっぱりとことん追求すべきではないかというのが十二ページ目の趣旨です。
それで、十三ページ目、この前のエネルギー基本計画も、再エネはやっぱり実は統合コストといういわゆる系統全体に統合するコストを入れると実は高いんだよという話があったんですが、例えば先ほどのオーストラリアとかでは、その統合コストを入れてもやっぱり太陽光、風力は安いと。経産省、エネ基で引用されたのも立派な研究なんですが、実はいろんな研究があって、それを一つの研究だけ取って高いというのは非常にミスリーディングだったんではないかというところがあります。
そして、十四ページ目は慣性力と。これも多分皆さん聞かれたことないと思うんですが、この慣性力によって再エネというのは五〇%超えちゃいけないんだというのが日本では言われているんですが、そのまさにオーストラリアは二〇二二年からいわゆるAIとテクノロジー、デジタルでこの慣性力をつくった最初の国なんですね。そして、これで再エネ一〇〇%を自由自在にやっていると。
それで、十五ページ目、AIデータセンターが、今もう実際に需要は増えると思います、私も。ただ、それは数%から多くて一〇%とかだと思いますが、問題は、それが原子力を進めるためのエクスキューズに使われているということが最大の問題で、原子力は、私は元々原子力やっていたんですが、原子力は高いし、遅いし、いつできるか分からないと。ということで、実は再エネ、太陽光はすぐできますので、太陽光と蓄電池というのが最も最大のソリューションだと。
十七ページ目と十八ページ目ですが、もうあと時間がないので、GX、十六ページの図を見ていただくと、GXと、GXはこれ官邸中心で、それからエネルギー基本計画は経産省主導で、地球温暖化対策、NDCは最終的には閣議決定なんですが、問題は、このGXが今後、カーボンプライシングとか全部GXで行われるんですけれども、これは賦課金方式なんですね。賦課金方式というのは、国会全く一切関係しないんです。しかも、金額が非常に大きいと。これは昔からよく本予算は、本予算を指して母屋、母屋でおかゆをすすって、特別会計、離れですき焼きと。
実は、このGXで賦課金方式のカーボンプライシングというのは軽井沢か箱根の別荘でフルコース食べているような状況になるんじゃないかと。やっぱりここに民主的な国会の統制を利かせる必要があるんじゃないかと。これは憲法に遡っても必要なことで、この憲法というか、国会の統制、民主的統制を逸脱している状況というのはやっぱり是非審議していただいた方がいいかなと思います。
もう時間がないので、十八ページ目以降は、電力市場もそうです、様々なスキャンダルがありますので、これは今の法人的な分割ではなくて、純粋に完全に所有権分離をしてフェアな電力市場をつくらないと、日本のこれから電力化は本当に必須なんですね、再エネ化というのはイコール電力化なので、電気自動車も含めて。そうすると、電力市場をいかにフェアにしていくかということが非常に重要かなと思います。
あとはもう時間がないので飛ばします。飛ばしますというか、もう省略して、後でもし質疑応答で答えるところがあれば答えたいと思います。
どうもありがとうございました。