小泉悠の発言 (外交・安全保障に関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(小泉悠君) ありがとうございます。小泉でございます。よろしくお願いいたします。
私の資料は、このパワポの二枚ずつ印刷したやつです。
私は、多分今日はロシア側の視点からというところを期待されているのかなとも思ったんですが、スライドを作っているうちにだんだん軍事屋、安保屋としての側面の方が強く出てきてしまって、何かそういう観点からお話を申し上げたいなと思っています。
まず、軍事面から、この戦争、もう丸三年やっている戦争なわけですけれども、私から見たこの戦争は、やはりまず巨大戦争であるということです。
私、どちらかというと広瀬先生の学生ぐらいの世代に恐らく当たるんですけど、私が修士課程で安全保障論とか勉強したときというのは、こういう戦争というのは蓋然性は極めて低いんだと言われていたわけですね。それよりも、テロであり、気候変動であり、パンデミックであり、食料安全保障であり、又は不拡散でありと、そういうことを考えるのが現実的な安全保障研究であるという空気が四半世紀前は非常に強くあったわけです。ところが、それから四半世紀たって蓋開けてみると、今ロシアとウクライナがやっているこの三年間の戦争というのは極めて古典的な国家間戦争です。
幾つか数字はここに挙げていますけど、やっぱり何となく私が学生のときに聞いていたのと話が違うという感じがするわけですね。特に、年間今一千万発ロシア軍が大砲を撃つわけです。陸自の備蓄弾薬が恐らく二十五万発前後ではないかと言われていますから、ロシア軍のペースで撃っていくと、陸自の弾薬庫は一週間強で空になるわけですね。でも、そのペースでロシア軍三年間撃ち続けているんですよ。ということは、ロシア軍が持っているその備蓄のすさまじさであるとか、それから戦車ですね、年間千五百両強、ロシア軍は戦車を喪失しています。陸自の機甲科が毎年五個ずつなくなっていくというペースですね。
でも、なくならないというのは何なのかというと、ロシアのその軍需産業の生産能力の大きさもあるんですけど、めくっていただくとこういう写真が出てまいりますが、これロシアの戦車保管基地の模様です。日本の自衛隊は装備が古くなりますと基本的に用途廃止してスクラップにしちゃうわけですが、ロシア人は捨てないんですね。こういうふうにシベリアとか極東の基地に戦車を取っておいて、これはその中でも比較的状態がいいものです。この戦車の間にパイプが通っていますけど、ここに不活性ガスを流していて、これを戦車の車内に流し込むことで中の機器が劣化しないようにしているんですね。それを一年に一回ぐらい訓練のときに動かしてみせると。大体そのときの軍管区の司令官とかその地域の知事とかが来て、あっ、ちゃんと動いたね、良かったねという訓練をするんですね。
その次めくってもらいますと、まさにその基地がこの何年間か、この三年間の戦争、これですね、衛星画像が写っているやつですね、この何年間かの戦争で、この基地から実際にこの装備品が取り出されて戦場に送り込まれているということを衛星画像で示しています。
この上の方にあるのは、ブリヤート共和国、モンゴルの上のところですね、にあるロシア軍最大の戦車保管基地のそのほんのごく一部を写したものですけど、ほとんど予備の戦車がもうなくなっちゃっているということが見て取れようかと思います。これは、一番即応状態が高い、状態がいいやつだからですね、すぐにどんどん出して使われてしまって、もうこれは戦争の最初の年のうちにほとんどなくなっちゃいました。
一方、下の方の衛星画像はもうちょっと雑な感じに置いてありますけど、恐らくこれはもっとずっと状態が悪い、野ざらしの予備戦車です。でも、これもやはりどんどん取り出されていることが分かりますよね。数も減っていますし、わだちがいっぱい付いていて、実際トラクターで引っ張っていっているんだろうということが分かります。これはもう、私もこういうところを実際に見たことあるんですけど、本当にもうさびさびになっちゃってひどい状態なので、これはもう工場に持っていって全部ばらして、オーバーホールして、ニコイチとかサンコイチしなければ使えないはずです。
だから、それができるだけの能力がロシアの軍需産業にはあるんですよね。日本でいうと、恐らく戦車のオーバーホールができる工場というのは相模原と、あと千歳にある戦車のメンテセンターだと思うんですが、ロシアの場合、国営の戦車修理工場が工廠として八か所あります。プラス、ニジニタギルとオムスクにそれぞれ民間企業の大戦車工場が二つあります。
こういうロシアの巨大な軍需産業というのは、でかいだけで全然もうからないということで、冷戦後は大変ばかにされていたわけですね。ストックホルム国際平和研究所が作る軍需産業ランキングとかで見ても、ロシアの軍需産業というのは、規模は大きい、売上高も結構大きい、輸出しているので、でもこれ利益率が著しく低いわけです。それはもうやたらでかくて非効率だからなんですよね。だから、ビジネスとしては完全に失敗であると言われてきたわけですが、これだけの巨大戦争になってみると、その非効率性というのは有事における兵器の生産能力であったり修理能力であったりするわけです。
これにウクライナ側も何だかんだ三年間付き合えているというのは、NATOの支援があるというのはもちろんあるんですけど、ウクライナ自身が旧ソ連第二位の軍事大国であるということはやはり忘れてはいけないと思います。ウクライナの人たちと話をしてみると、西側の支援も大変有り難いんだけど、やっぱり我々自身のポテンシャルというものは結構でかいんだということを非常に強調するんですよね。だから、もちろん文句なく軍事大国であるロシア対旧ソ連の中では地域的軍事大国であるウクライナが、その持てるポテンシャルをほぼ全力で生かして三年間休まず殴り続けているという、こういう戦争がとうとう復活してきてしまったというところを我々は見ているんだと思います。
もう一つは、やはり、ここに書いていますけど、核兵器の役割というのを、余りいいことではないと思うんですが、核兵器の役割というものを、何というんですかね、再確認させちゃった戦争なんだろうと思うんですよね。
去年の広島原爆忌に、湯崎知事が安定・不安定パラドックスの話をされて、つまり、この安定・不安定パラドックスというものがあるがゆえに、結局核兵器は戦争を防げないではないかと、だから核抑止という考え方は破綻しているでしょうというふうに指摘をされたわけです。確かにその考え方は一理あって、核兵器は大国から小国への侵略を抑止しないんです。むしろ誘発してしまう可能性があるということが、六〇年代からスナイダーなんかは指摘してきたわけですね。ただ、恐らく大国はそのことは余り気にしていなくて、小国への侵略は誘発するかもしれないけど、大国間戦争は確かに防いでいるでしょうという理屈で、多分核抑止に依存し続けているわけです。
ロシアは、この冷戦後三十年間、特に二〇〇〇年代後半以降なんですが、核戦略議論において強調してきたのが、この安定・不安定パラドックスを人為的に利用するんだということですね。戦略核戦力をしっかり持っていることによって、ロシアが少々暴れたところでアメリカが介入してこられるわけがないと。だから、そのことによって旧ソ連圏内で起こる紛争にロシアは介入していくことができるというふうに、この安定・不安定パラドックスを逆手に取るような考え方というのをしてきたわけです。
であるからこそ、今回の戦争でもバイデン政権は、ロシアは本当にやるんじゃないかと、アメリカをおじけ付かせるためのデモンストレーション核使用、又はウクライナに停戦を強要するためのデモンストレーション核使用やるんじゃないかということをかなり心配してきたわけですよね。だから、アメリカの軍事援助にも相当いろんな制限掛かってしまっていたと。
やはり、この戦争で改めて、核は恐ろしいからなくさなきゃいけないって我々日本人は思うんですけど、多分ロシアの中ではそういうふうに認識されていないと。やはり核というのは有効だというふうに思われていると思いますし、ちょっと今日は余り時間がないんですけれども、今ロシアの、何ていうんですかね、国内でちょっとヒステリー的な核議論が起こっていて、西側をおびえさせるために抑止では不十分なんだと、威嚇のための核使用というのがなければいけないんだみたいな、非常に嫌な議論が盛り上がってしまっているわけです。
今停戦の議論が始まっていますが、恐らく今このトランプとプーチンが話し合おうとしている停戦というのは、とてもウクライナがのめない停戦である可能性が高いと思うんですね。停戦というよりも、ウクライナの降伏を米ロで無理やり一緒に押し付けちゃおうというような議論に見えるわけです。これも実際ウクライナ側からはそういう意見が出てくるわけですね。そうすると、どこかでロシアが停戦をネゴシエートするのではなくて強要するという考えになる可能性はあって、そのための停戦強要核使用というのはこの交渉が始まったフェーズだからこそ余計また心配しなければいけなくなっている部分があると思います。大気圏内でどかんとやるかどうかというのは私はいまだに極めて難しいと思っていますが、核実験再開はあるかもしれないですね。
ロシアは、一九九〇年の十月だか十一月だかを最後に、三十五年間核実験をやっておりません。カザフスタンの核実験場ももう外国になっちゃったんで閉じていますけど、北極海のノバヤゼムリア島の核実験場はいまだに維持しています。国防省第十二総局の管轄下で核施設として稼働し続けています。去年の夏頃に幾つかの核実験用コードでちょっと怪しい動きがあったので、もしかすると核実験再開かもということを何人かの専門家たちは身構えたんですね。今もう冬で海が凍っちゃっていて資材搬入ができないので、しばらくやらないと思いますけど、この春以降とかに、ウクライナがあくまでもこの米ロの停戦に抵抗するんであると、何らかの脅しの目的の核実験みたいなことはあるかもしれないと思っています。
あとは、もうちょっと今々のお話を申し上げたいんですが、こちらの現在の戦況に関する見方というところを御覧いただきますと、この戦況等につきましては日々メディアで報じられているとおりでございます。この一年間、一年強ですね、ロシアが戦場においては優勢を握り続けてきたと言っていいと思います。ウクライナ軍が反転攻勢に失敗して、代わりにロシアが攻勢に出ていると。ほぼあらゆる戦場においてロシアが勝っています。今年に入ってからだけでも幾つか都市や村落がロシア軍に陥落されていますし、今現在もまだロシア軍は前進を続けています。
ウクライナとしては、特に政権側は、もう一回予備戦力をつくって、それで反転攻勢をもう一回やりたいという意図が恐らくあったと思うんですけど、今年の頭になってからついに予備旅団の編成を諦めて、前線の一番苦しい部隊に新兵を回すという方針に転換しています。だから、これは、もう少なくともしばらくの間は反転攻勢はできない、今ある戦線を支えることに全力を尽くすという方針になったと見ていいと思うんですね。
ただ、この戦場の中における勝利をロシア軍は戦争そのものの勝利に結び付けられていないというのが私の考えです。これは、日中戦争のときの日本軍、ベトナム戦争のときのアメリカ軍、アフガニスタン戦争のときのソ連軍、みんなそうなんですよね。正規軍の方が強いに決まっているので必ず勝つんですけど、戦争そのものに勝てないと。ロシア軍とウクライナ軍の戦いは、これは正規軍同士の戦闘なんですが、ロシア軍が勝っているんだけど、それによってロシアの戦争目的をウクライナにのませるということがこれまでできていなかったわけですね。
ロシアの戦争目的って何なのかと。いろんな見方があるんですけど、私に言わせれば割とそこははっきりしていて、開戦初日からプーチンはほぼ変わらず、ここに書いてある非ナチス化、非軍事化、中立化という、この三点セットは繰り返し言い続けているんですよ。このほかにいろんなことを言う場合もあるんですけど、軸としてはこの三点。
非ナチス化というのは、ウクライナって別にナチスの国じゃないので、ナチスじゃない国に非ナチス化しろというのはちょっと禅問答めいているんですけど、二〇一四年のマイダン革命をロシアはアメリカに支援されたナチスによるクーデターというふうに位置付け続けてきたわけですね、過去十一年間。だから、非ナチス化というのは、そのマイダン革命以前に戻せと、大統領は親ロ派のヤヌコビッチで、憲法にはNATO加盟とは書いていなくて、世論調査を取ったら国民の半数以上がNATO加盟に反対と言っていたあの頃のウクライナに戻せという話だと思うんですね。
ヤヌコビッチとかその他親ロ派の政治家たちの多くは失脚するか国外逃亡しているので、今更彼らを大統領の座に返り咲かせるというのは無理だと思いますけれども、でも、やっぱりロシアとアメリカは、大統領選実施という形で、少なくとも今のゼレンシキーは降ろせという話をしているわけですね。ゼレンシキー降ろしだけだったら別に私はウクライナ耐えると思いますけど、そこでロシアが選挙介入して親ロ派候補を立てるとかという話になると、これは相当内政が混乱するだろうと。
あとは、もう非軍事化に関しては、もう二二年の当初のイスタンブールでの和平交渉から変わらず要求し続けています。最初はプーチンはある程度の非軍事化と言っていたんですね。それに基づいてイスタンブール交渉前にロシアが突き付けてきた文書を見ると、二十万人以上いたウクライナ軍を五万人まで削減せよというのが当時の要求でした。なおかつ、五万人中将校を一千五百人までにせよというふうに当時は要求しています。だから、五万人の軍事組織を千五百人の将校で回すのもそもそも厳しいですし、もっと言うと、これは何かあってもそれ以上兵力を増やせないわけですね、指揮官の上限が千五百人しかいないと。なので、当時のウクライナ側は、いや、我々はイスラエルやスイスのような動員予備力が大変大きな軍隊を持つんだというふうに反発していましたけれども、多分、ロシアの目的は、軍事的に無力な状態にウクライナを追い込むということだと思います。
さらに、昨年六月十四日にプーチンが外務省で行った演説では、この非軍事化条項からある程度のが取れました。だから、完全な非軍事化を求めるというふうに言っているように見えちゃうわけですね。
あとは、中立化。これはNATO非加盟以外の要素も含むと思います。これも、イスタンブール交渉前にロシアが出した要求文書の中では、この中立化条項というのは第一条に入っているんですけど、この中立化条項で言っているのは、NATO非加盟だけではなくて、ロシアに対するあらゆる国際訴訟を取り下げよ、それからその全部の制裁を解除せよということが入っています。だから、ロシアに逆らわない国であるということ全体を中立化と言っていると思います。
なので、これまでは、戦場で幾ら勝っても、さすがにウクライナにこんな条件をのますことができなかったという意味で、やっぱり戦術的優勢を戦略的優勢に結び付けられていなかっただろうと思うんですね。ただ、トランプ政権ができて、まだちょっと判断は尚早かもしれませんが、やはりロシアの要求を相当程度のむことで戦争を終わらせるという方針であるように見えるんですね、トランプ政権は。そうしてみると、これはウクライナ側から見てみると、停戦というよりも降伏を強要されているというふうに恐らく見えるのでしょうし、ロシアから見ると、これは極めて好都合なアメリカが現れたというふうに見えているんじゃないかと思います。
最後、日本についての含意ということで、幾つかちゃちゃっとお話を申し上げたいと思いますけれども、まず、純粋に軍事的な側面からいうと、やっぱり、今我々が見ているのは二十一世紀型の一個の戦争の形なんですよね。これが全ての解であるとは思いませんけれども、今現実に我々が見ているウクライナでの戦争の在り方というのをちゃんと取り入れて、我々の安全保障政策をアップデートしていかないと、結局抑止の信憑性が保たれないだろうというのが私の大きな懸念点です。
恐らく、日本が最初に直面するのは海空正面なので、陸の戦争であるウクライナ戦争とは直接結び付きはしないはずです。でも、じゃ、例えば、仮に今の陸上自衛隊ってあのドローンがあふれているウクライナの戦場で戦えるんだろうかと考えてみると、失礼ながら難しいんじゃないかと思うんですよね。朝鮮人民軍もできなかったわけですよ。朝鮮人民軍は最初の二週間で三分の一が死傷したわけですね。ただ、ウクライナ軍の評価だと、彼らは適応は早かったとは言っています。だから、北朝鮮はこのウクライナの戦場で貴重な戦訓積んじゃったんですよね。我々としてもやっぱり、こういう現代型の戦争の現実を、そういう戦争をしたくはないんだけれども、本当になったらどうなるんだということはまず真摯に学ばなきゃいけないだろうと。
もう一個は、結局、ロシアの核の力が最後までやはり西側がウクライナを支え切ることを妨げてきて、今まさにアメリカの政権交代によって米ロが一緒になってウクライナに降伏を強要しているというふうに若干オーバーに言えば見えるんですよね。つまり、安定・不安定のパラドックスというのが極めて悪い形で働いている。まあ元々安定・不安定パラドックスはいいものじゃないんですけど。
じゃ、今我々の安全保障にこれを当てはめた場合どうかというと、やはり中国の核戦力が非常に速いペースで増えているということが私は気になります。アメリカの国防総省の議会向け報告は、二年連続で中国の核弾頭が百発ずつ増えているという見方を示していますよね。これは、どうもやはり中国が高速増殖炉の運転に成功しているらしいということを裏付けるものでもあると思います。今、オペレーショナルなやつが六百発だと言っているわけですね。このままでいくと、二〇三〇年までに千発に達するだろうと。つまり、現状の米ロの戦略核戦力の三分の二ぐらいまでは中国は達すると。このペースが落ちないのであれば、二〇三〇年代半ばには、二大核超大国米ロ、三位中国だったのが、米中ロが対等の核超大国になるという未来がそろそろ見えてくるわけですよね。
そのときに、やはり台湾有事なんかに際して中国が、このロシアがやったように安定・不安定パラドックスの人為的な利用というのを図る可能性はあるんじゃないかと私はやはり思います。じゃ、この安定・不安定パラドックスを引き起こさないためには、やはり米中間、米ロ間、中ロ間のその戦略的な核抑止はああいった軍事超大国がやるとして、この域内における侵略の阻止、あるいはその侵略の策源をたたける能力ぐらいは日本が持っておく、あるいは周りの国々で協力して持っておくということをやらないと、やっぱりこれ抑止の信憑性に著しい疑問を投げかけるんじゃないかというふうに思っています。
済みません、そろそろ時間ですね。
最後に、じゃロシアについて、最後のページで申し上げたいんですけど、こういう状況でロシアとどう向き合うかって本当に難しいと思うんですよ。私もロシア住んでいましたし、友人もいっぱいいますし、何なら奥さんもロシア人なので、ロシアを憎みたくはないし、無駄にロシアと争ってもしようがないとも当然思うわけですね。
ただ、じゃ、ここで、まあまあ安いガスも買えるんだし、北方領土問題もあるんだしということでロシアに甘く出るということが、私はやはり長期的に日本の国益になるとは到底思えません。それは、この前のページでも書いていますけど、結局、日本がこの弱肉強食みたいな世界で生きていける軍事大国になれる見込みというのは余り高くないと思うんですね。なおかつ、余り望ましいとも私は思っていませんし、しかも、それは究極的には日本核武装を意味したりもするわけで、なおさら日本人としては余り賛成したくないんですよ。
だから、何とかこの国際秩序を維持しなければいけないというのが日本の安全保障にとっては重要であるとするならば、やはりここでその秩序を今全力でぶち壊しにかかっているロシア側に対して甘い顔はすべきではない。少なくとも今この戦争の落とし前が付くまではロシアに対する制裁解除すべきではないと思いますし、あとは、これ、アメリカの中でもケロッグ特使なんかは中ロ分断を図るんだということを言っていますけど、中ロ分断が生半可なことでできないということは我が国の安倍政権の対ロ外交が証明していると思うんですね。安倍さんがいろんなことに果敢にチャレンジされた結果の一つのその負の知見として、これはきちんと生かさなければいけないと思うんですよ。
済みません、もうやめますけど、この下に写っている衛星画像二枚、これ、ロシアのチュコトカというカムチャツカよりもっと上のところの北極圏の飛行場なんですけど、ここに去年の夏に中国の飛行機が入っていたということを我々が見付けた衛星画像です。最初、輸送機かなと思ったんですけど、よくよく見ると後ろの方にちょろっと空中給油ポットが付いているので、これ空中給油機なんですよね。恐らく、この写真が撮られたのと同じ日に中ロの爆撃機が北極圏で合同パトロールをしているんですが、そのサポートのために入ってきた給油機なんだろうと思います。
だから、もう中ロの軍事的接近ってここまで来ていて、これを生半可なことで引っぺがそうとしても、恐らくそれは逆に足下見られるだけなんですよね。それよりは、やはり軍事的現実として注視するという方が、私のような安全保障屋からすると現実的な対ロ・アプローチになるだろうというふうに思います。
済みません、若干時間を過ぎました。以上にします。