奥田知志の発言 (国民生活・経済及び地方に関する調査会)
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○参考人(奥田知志君) しゃべります、済みません。
改めまして、ありがとうございます。NPO法人抱樸の奥田と申します。
今日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。時間がありませんので、早速お話をしたいと思います。
私のNPOは、今から三十七年前に路上で暮らす人たちの生活を支えるという活動から始まりました。しかし、NPOの世界も割と縦割りになっていまして、ホームレス支援とか障害者とかですね、そうじゃなくて、出会った人出会った人で、この人には何が必要か、それだけじゃなくて、この人には誰が必要かという、この二つのポイントで活動をしてまいりました。今、三十七年目になりまして、事業は二十九の事業に及んでいます。
その中で、今日は、単身化の問題と住まいの問題について、限ってやりたいと思います。
それでは、私の資料がこちらの黄色い方ですので、よろしくお願いいたします。
一枚目は、うちの団体のことです。
今年の一月で三十七年目になりました。その下が、私たちの主なるその視座なんですが、人間の生きづらさというのは二つあるというふうに三十年前から捉えてきました。一つは経済的な困窮、これはもう皆さんよく分かるところだと思いますが、もう一つは社会的な孤立だと。昨今になりましてこの孤立や孤独の問題が大きく取り上げられるようになりましたが、三十数年前、路上で、まさにこの二つが重なる中で路上生活というものがあると。前者をハウスに象徴されるハウスレス、家がないことに象徴される経済的な課題、後者を、ホームと呼べる人とのつながりがなくなっている、これをホームレスの問題、ハウスとホームは違うんだと。
路上のときには畳の上で死にたいとおっしゃっていますけれども、自立をしてアパートに入り、大体就労率は五五%ぐらいです、今。必ずしも生活保護に全て行っているわけではありません。就労自立が五割以上ということですね。しかし、畳の上で死にたいとおっしゃった方が次おっしゃるのが、俺の最期は誰がみとってくれるかという、やっぱり人の問題になる。これが、三十数年たちまして、私は路上の風景が日本全体に広がっているというのが印象であります。
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そこで、家がなくなるということは何を意味するかということですが、私は三つの危機だと。
一つは、この寒空の下、外で寝るというのは命に関わる生存的危機です。これは誰しも分かることですね。第二の危機は社会的な危機で、この住所地がなくなるとほぼ全ての社会的な手続ができなくなります。政府がせっかく例えば給付金をそれぞれに給付しても、住所がない人には届かないということになります。就労においても何においても、現住所地というのが全てのベースになる。三つ目が関係の危機です。所在地がはっきりしない人がなかなか信頼関係結べない。どこの馬の骨かというふうに日本ではよく言ってきましたが、まさにそのとおりなんですね。この三つの危機が家がなくなるということの意味するものです。
そこで、その次のページですが、これは平成二十七年に厚労省で行われた調査研究事業です。私も参加しておりました。今後の住まいのサポートに対する課題、ターゲットゾーンはどこかということで、二つだという結論に至りました。
一つは、廉価な、低家賃ですね、安い物件の家が必要だと。もう一つが、この単身化に関わるところですが、施設ほどではない支援や見守りがあるという、このサポートの部分ですね。厚生労働省の様々な制度、施設がありますけれども、その手前のところ、ざくっと言えば、従来家族がカバーしてきたところが抜け落ちる、施設ほどではないが見守りやサポートがあるという、低廉でかつそういう軽い手前のサポートがある、ここが今後課題になるというのが平成二十七年の結論でありました。
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これは神戸大学の平山先生が朝日新聞のインタビューに答えられているところですが、戦後の日本の社会構造のベースは、一つは家族がいること、二つ目は安定した就労ですね、それに裏付けされた家が持てる、持家ですね、ざくっと言えば家族と家があるというこの二つ、この家、持家を持つことができるバックになっているのが安定就労でありました。具体的に言えば、住宅ローンが組めるということですね。
しかし、今、非正規雇用が四割に近づいている中で、この住宅ローンが組めない、持家が持てない、更に拍車を掛けているのが家族がいないという人が増えている。今、男性の三割が生涯未婚です。このまま行くと、やはり、これは経済的な問題も要因しているんですが、結婚しないあるいは結婚できないという状態が続く。これは単なる少子化の問題だけではなくて、現状においては単身化ですね、その先に少子化が来ますが、単身化が既に起こっている。
次のページを見ていただきますと、これ内閣府のデータですが、一九八〇年、今から四十年前の話ですが、四十年以上前の話ですが、世帯の形は、四二%が夫婦と子供がいる。第二位が三世帯ですね、サザエさんのタイプです。そして、第三位が、〇・何%落ちるだけですが、単身世帯。これが四十年後どうなったかというと、今、第一位、三八%が単身世帯です。約四割が独り暮らし。標準世帯と言われている夫婦と子供は二五%にとどまっている。四世帯に一世帯です。サザエさんはもういません。
二〇〇〇年の基礎構造改革、福祉の基礎構造改革のときに、なぜ基礎構造改革をしなきゃならないかという文書の中には、核家族化が進んだという文言が出てきます。核家族は皆さん御存じのとおり、クレヨンしんちゃんのことです。サザエさんからクレヨンしんちゃんに移ったよ、だから今までの構造じゃ駄目だよ、だから基礎構造改革だと。たった二十五年で実は今単身世帯なんですね、ということになってきている。そうなると、様々な戦後の社会保障体制も含めた社会構造自体が今崩れてきている。
次のページ見ていただきますと、これは総務省が出した、二〇一八年に出した未来予想なんですが、一八年のところが点線です。二〇一八年の時点で単身世帯が三八%に近づくのは、この丸のところですね、三七・九%と書かれているのは実は二〇三〇年と予想していました。しかし、実際には二〇二〇年に単身世帯は三八%になっています。予想をはるかに上回るスピードで単身化が進んでいる。
その次のページは、今後の更なる、去年、社人研が出した新しいデータを付けておきました。
次のページ行きます。高齢世帯が増えていく、その中でも単身世帯が増えていくという国交省の資料が十ページです。
その次の十一ページになりますと、意識の問題ですね。これ、国際比較調査で、日本人は極端に家族に頼りたいという思い、これはいい悪いの問題じゃなくて、事実そうなんですね。しかし、その家族がいないという状態の中で、今後どうなるのかと。
地域共生社会の議論が進んでいます。私は今、地域共生社会在り方検討会のメンバーでもありますが、近所の人に頼るという日本人は一五・八%にとどまっています。地域地域と言うけれども、実際地域に頼むという意識の人はほとんどいないということですね。それで、もう身内にしか相談できない。
次のページに行きますと、大家さん側のこれは資料です。十二ページですね。
大家さん側からすると、実は大家さんは高齢の単身世帯にはアパート等を貸したくないという方が七割を占めています。大家さん側からすると何が必要か、これがあれば貸せるよというのが真ん中のところ、見守りや生活支援。これ、まさに最初の平成二十七年の調査結果とかぶるんですね。大家サイドも、いざ介護保険が使えるようになったら介護保険の人たちと、ケアマネさんと相談ができる、しかしその手前のところが誰もいない、いわゆる身寄りというものがいない、ここがあれば逆に貸せるというデータがこのデータです。
次の中間層の変化は、もう皆さん御存じのとおり、もう今四割に近づいている。すなわち、中間層が崩れて非正規雇用が増えている。住宅ローンが組めない。
次のページは、十四ページでありますが、持家率は年々下がっておりまして、四十代、五十代と持家を持てる人がどんどん少なくなってくる。
この絵が特徴的でありまして、これ、二〇〇〇年の基礎構造改革のときに出しました地域包括ケアシステムの絵です。これは、よく、一番この絵で言いたいのは、植木鉢の中にそれぞれ縦割りだった介護や医療、あるいは福祉が一つの植木鉢に一体的、つまり包括的に咲いているというのが地域包括ケアシステムだったんですね。
しかし、二〇〇〇年のこの地域包括ケアシステムが成立しているこの土台を見ていただきますと、一番下のお皿が家族と個人、個人と家族から始まりまして、植木鉢そのものは持家です、住まいと住まい方。そして、植木鉢の中の土は生活支援、これ、家族が担ってきた日常生活支援ですね。これが整って初めて制度の葉っぱが咲いているわけです。
そうすると、この下が脆弱化すると、どれだけいい制度を国がつくっても、今後、制度につながらない人が増えます。制度がつながらないまま地域で放置されますと、重篤化してから制度につながる。社会コストは必ず上がります。気が付いたときには家の中がごみ屋敷になっていて、ほとんど介護五になっている。家族がいれば介護一、介護二、介護三と上がっていくんですが、一気に介護五、特別養護老人ホームから始まる。
ここのところを長いスパンでいえば、じゃ、結婚できるようにしましょうよ、子供ができるようにしましょうよ、そういう人口対策というのが長いスパンでありますが、目の前の課題からいうと、この家族が担ってきた日常生活のところをどうカバーするかということが実は、これまでは家族でやって、身内でやってと言ってきたところが、今やっぱり社会のカバーする、制度も含めた、制度だけじゃ僕は駄目だと思いますが、民間がここでどれだけできるかというのが勝負になると思いますが、そこのところが課題になる。
そこで、今、抱樸では町づくりに入りました。ホームレスの社会復帰とか言いますけれども、私は復帰したい社会かということをずっと問うてきましたので、もう一度、社会や町からつくり変えようということで、皆さん、北九州といえば何を思い浮かべられるかは知りませんけれども、特定危険指定暴力団、工藤会というのがいまして、この工藤会の本部事務所の跡地を抱樸の方で引き受けまして、買い受けまして、ここに町づくりの拠点をつくるということをやっています。
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希望のまちの幾つかテーマがあるんですが、そのうちの一つが家族機能の社会化です。私たちは、家族を機能で捉えました。例えば、親だったらお弁当を作りなさい、作れない親は駄目親だというふうに、ネグレクトだとやってきた。これではしかし出口が見えない。逆に、お弁当を作るという機能を果たした人はなんちゃって家族だという、機能から家族を位置付けようと。
一番単純なのは、この後出てきますお葬式です。お葬式も家族しかしない。しかし、家族だからお葬式しろと言っても、それをもうできる人がいなくなったんで大家さんの拒否感につながった。ここのところを、地域でお葬式を出せる仕組みをつくれば大家の拒否はなくなりました。そこで、私たちは互助会というのをつくりまして、月五百円、非常に低廉なんですが、最後、お葬式までやるという。
二十一ページを御覧ください。たまたま私が牧師だということもありまして、出会いからみとりまでで、お葬式まで地域でやるようになりました。赤の他人が葬儀を出す。
その次のページ、二十二ページを御覧ください。これ、葬儀の後の骨上げの白黒写真ですが、一見すると家族写真に見えると思いますが、実はこれ全員赤の他人です。
こういう仕組みを地域共生社会とか包括的支援体制整備という中で本気でつくっていかないと、どうしても制度は対象者を限定する、期間を限定する、サービスを限定する、これが制度という意味です。しかし、私が見てきた世界はこれでは収まらないところにあるわけです。
ですから、その家族の機能って何かというと、気付くということとつなぐということが最大の機能でした。波平さんが御飯食べた直後に飯まだかと言い出すと、サザエさんはフネさん呼んで、あしたケアマネ呼ぼうという話になるわけですね。日常生活を共にしているから気付けるわけです。しかし、家族は専門家ではありませんから、専門家につなぐということが最大の家族の役割だったんですね。気付きとつなぎということをテーマに、もう一度地域共生社会の議論、あるいはそういうものがつくれるために国は何をサポートすべきなのか、この辺りを是非議論していただきたい。この希望のまちの完成のパーツ、予定パーツはこんな感じですね。
最後に、抱樸の実践といたしまして、家族機能付きの住宅というものを今から十年ぐらい前に始めました。これが一つモデルになりまして、昨年、私、今、住生活基本計画の見直しの審議会のメンバーでもあるんですが、社会資本整備審議会ですね、の部会ですが、昨年、先生方に御苦労いただきまして、住宅セーフティーネット法の改正が五月通りました。今年の十月、居住サポート住宅という、まさに気付きとつなぎをカバーする新たな仕組みがスタートしようとしています。
しかし、それの、少しちょっと傲慢な言い方になりますが、一つのモデルになったのがこの抱樸でやっています支援付きの住宅という、サブリースモデルというものでした。最後にそれを少し紹介して終わりたいと思います。
次のページ見ていただきますと、比較的立派な十二階建てのビルなんですが、ここをマスターリース、サブリースで借り上げました。民間の支援付きだけではやっぱりカバーし切れない部分がありますので、ビルの中には障害グループホームであるとか日常生活支援住居施設であるとか、制度の部分もひっくるめて、ごちゃ混ぜの住宅を造りました。特に制度に乗らない人たちを支援付き住宅ということでカバーする。
二十七ページ見ていただきますと、様々な方々が、十代から特定妊婦さんから、もう様々な人が入って利用されております。
二十八ページ見ていただきますと、マスターリース、サブリースの構造は非常に単純です。大体三万から三万五千円の物件。しかし、御存じのとおり、全国で今八百万戸以上空き家があります。地方都市である北九州市も全国政令市で、空き家率はワーストツーです。それで、八〇年代、九〇年代の結構こういう集合住宅が余っている状態なんですね。それを一気に借り上げまして、マスターリースしまして、三万から三万五千円の物件を二万円、まあ六掛けで借りまして、生活保護の住宅扶助基準、これを最低ラインだと決めまして、二万九千円でお貸しする。この九千円の差額のところはうちのサポートのスタッフ費用に充てるということにしました。これで大体五十五室やりますと七百万以上の収入になりまして、恥ずかしながら、NPOだったら二人スタッフが置けるという状態になります。五十五対二というのは決して薄くないですね。いろんな制度を見ても大体二十対一ぐらいの配置というのはあり得る配置なんですね。
これが、下のところ、国土交通省の好事例で載ったのが次のページでありまして、これが一つのモデルになったということです。
三十ページ見ていただきますと、これを是非私は国のレベルで民賃を使っていく、民間賃貸住宅を使っていく、サブリースにしていくというのも非常に大きな可能性が含まれておりますが、今後は公営住宅です。
公営住宅は、今、全体の一五%が空き家、これは政策空き家も含めて一五%が空き家になっています。この部分が地方都市においては結構もう手が付けられない状態になってきている。公営住宅の目的外使用の省令をもう少し緩和していただく。できれば、ここはちょっと遠慮して二万円から四万円でマスターリースや、ごめんなさい、貸すと書いていますけど、元々のマスターリースを無償で提供したらどうかと私は思うんです。
無料で提供する意味は何かというと、支援付きは我々の仕組みで何とかなりましたけれども、低廉ということが難しいんですね。これ、民賃を使うと、低廉というところが非常に大きなハードルになります。公営住宅だったら、もう三十年、四十年使ったものを無償で提供し、そこを、公営住宅の良さは日本で唯一収入によって家賃が変わるという応能主義なんですね。ですから、この収入によって家賃が変わるという良さを残すためには、マスターリースをほぼ無償に近い形でNPOなり居住支援法人に貸す。
もう一つのポイントは、コミュニティーミックスです。従来の公営住宅に使われてきた目的、低所得者であるとか住宅確保要配慮者であるとか。例えば、マスターリースをする物件の五〇%が目的に合っていたら、残り五〇%は、地域づくりとか、ある程度家賃が高い人も入れる、あるいは商業等でも使えるという、そのぐらいの緩和が必要なんではないか。
三十一ページは、そのようなことをずっと申し上げてきたところでできたのがこの居住サポート住宅ということで、この絵の特徴は、こちら側が厚生労働省の制度です、こちら側が今回できるところです。これはまさに手前、制度の手前にある家族機能です。一日一回の安否確認、月に一回以上の訪問の見守り、何かあったときに福祉につなぐというつなぎ、この三つの、安否確認、見守り、つなぎというこの三つが居住サポート住宅の援助の中身になります。
しかし、最後のページです、求められる三援助はまさに的を得た家族機能そのものでありまして、ここを誰がするのかという、これ、厚労省の制度はここまで手が出ていないんですね、随分手前ですから。ここを誰がするのかというところが問題になる。
今回、枠組みはできたんですが、例えばサポートの費用を誰が出すんですか。当然サポートを受けている本人でしょうと言いたいところですが、じゃ、困窮世帯の方々で、ICTの利用料も含めて月三千円、五千円になってきたときにどうなるのか。私は、国の制度としてはやはり普遍的でなきゃならない、アフォーダビリティーの議論はきっちりと踏まえた上でやらなければならないと思っています。
ICTの利用に関しては、単に孤独死防止だけではなくて、これは大家目線ですよね。今うちで実証実験やっています。東京の企業さんと実証実験やっているのは、電気、水道、ガス、一分値で取りましてAIで分析してもらって、AIが支援員に対してアドバイスができるという仕組みを今つくろうとしています。今後、そういうデータが蓄積すると、認知症初期状態では電気の波形がこうなるとか、例えば夜寝れていない人はこういうふうになっていくとか。夜寝れないというのは実はアルコール依存症の初期症状でもあります、あるいはうつ等にもなってくる。だから、こういうことが、サポートする人の目線からもICTの利用を国が率先して開発をお手伝いするというのは大事。
三点目としては、居住支援法人、このサポートをする居住支援法人を是非国としてもう一段階育てていただきたい。私は全国居住支援法人協議会の代表でもありまして、村木厚子さんとかと一緒にやっておりますが、居住支援法人を、こういうビジネス、ソーシャルビジネスができる認定型の居住支援法人等を育成すべきだ。
もう一つ最後に、貧困ビジネスです。
このサポート住宅自体の収益構造が脆弱であるというのはどう見ても明らかなんですね。そうすると、必要以上の外付けのサービスを付けてくる人がいると思います、医療であるとか介護であるとか。特に、医療に関しては天井がありませんから、もうやりたい放題になってしまう。この辺りの規制とかチェックをどうしていくのかというのも大きな課題です。
済みません、私からは以上です。ありがとうございました。