谷口仁史の発言 (国民生活・経済及び地方に関する調査会)
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○参考人(谷口仁史君) 貴重な発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。(資料映写)
早速ですが、ポイントをかいつまみ御説明させていただきます。
まず、私どもの課題認識について、二ページから六ページに記載しております。
私どもが危惧しておりますのは、世界で最も深刻なレベルにある子供、若者の孤立、孤独、そして社会的孤立に係る問題であり、昨年もまた過去最多を更新してしまいましたが、小中高の自殺者数に示唆される極めて厳しいこの現実をいかに変えていくかにあります。
その支援実践に当たっては、次のページ、特に相談者が窓口に来ることを待つ従来型の消極的な施設型の支援では命すら守れない危機的な状況にあると認識をしています。
五ページ飛ばしまして、十二ページを御覧ください。
こういった課題認識から、私どもは、必要な支援は当事者の元に届けていくアウトリーチを基軸に、社会的孤立相談に係る相談サービスのワンストップ化を進めています。国、佐賀労働局、佐賀県、佐賀市の御支援、御協力により、子ども・若者育成支援推進法、若者雇用促進法、生活困窮者自立支援法等、各種法制度に基づく総合相談窓口の一元化を図り、十二ページの左下、御覧いただければと思いますが、アウトリーチによる孤独、孤立に係る問題の解消から、右上に向かって、社会参加、自立に至るまで、ワンストップ型の相談サービスの提供が実現をしています。とりわけアウトリーチの相談ニーズ高く、私どもが受託運営をしている窓口のみで年八万七千件超、全国トップクラスの相談実績となっています。
孤立の実態について、十五ページをお開きいただければと思います。
二千四百名を対象とした分析調査を記載しております。右側のデータのまとめを御覧いただくと、孤立の背景には、対人関係の問題、依存行動、精神疾患や発達障害等の困難だけでなく、留意すべきは生育環境の問題であります。六三・七%の当事者が貧困、虐待、DV、ヤングケアラーに係る過度の介護問題等、生育環境の影響を受けているということが明らかとなっています。したがって、本人支援のみの対応の限界が明らかで、御家族にも支援を届ける、そういった発想がなければ解決に至らない、こういった問題が増えているということであります。
また、問題は深刻化だけでなく複合化する傾向にありまして、八四・七%で相談の受付時に既に複数領域での困難を併せ持って抱えている、いわゆる多重困難ケースであったということであります。つまり、課題別の縦割り的な対応をいかに打破していくかという視点が重要になってくるわけでございます。
そこで、別冊で今日お配りをしているこちらの資料を御準備いただければと思います。取扱注意、要返却の資料でございます。
二ページ、お開きください。
御覧いただいているのは実例、全て実際に届いたSOSのメールであります。共通するのは二つあります。一点目は、在学中、学校にいる間に初期の問題が発生をしたということ、そして二点目は、いわゆるカウンセラー等専門家の関与を受けてなお改善できずに孤立化したという事例であります。
いじめの認知件数、不登校児童生徒数も過去最多を更新し続けているという状況にあり、中で、文科省の調べでは、学内外の機関等で相談指導を受けている不登校児童生徒数の割合、令和四年で六二%弱ということであります。要は四割弱には支援が届いていないということであります。
また、御覧のようなメールのように、専門家の関与むなしく、卒業や中退を機に支援が途切れて孤立して極限の状況に追い込まれてしまう、そういった当事者も少なくないわけであります。
次のページ、御覧ください。
お示ししているものも昨年対応した実例であります。親を頼れない若者に対して、反社は福祉の皮をかぶって手ぐすね引いて待っているわけであります。入口はまさに孤独、孤立に対するアプローチで、つながりを感じられるような仲間や仕事の紹介など、経済的な支援や衣食住の提供から始まっていきます。しかしながら、稼げるようになった先にあるのは、投資詐欺や薬物、脅迫、強要、多重債務、果ては搾取され、被害に遭ってもSOSが上げられない、そういった心理状態に追い込まれていくわけであります。闇バイトはまさに氷山の一角であります。
なぜこういった若者が行政の相談窓口とつながれないのか。
次のページ、御覧ください。あくまでも、その一つの一因として象徴する事例を御紹介します。
この殺害予告の写真が物語るように、自傷他害のリスクが極めて高い状態で、引きこもり状態に至っていたこの若者、過去を分析したところ、四ページ上段に掲げておりますように、これだけ多くの専門家が関与していたんです。しかしながら、深刻化した背景には、若者本人との関係性が構築をできておらず真のニーズが引き出せていなかったということ、そしてさらに、縦割りでありますので情報共有がうまくいかずに次々と同じような失敗を繰り返し、追い込むような働きかけを行ってしまったことに原因があります。決してこういった事例、珍しくありません。
左下、御覧ください。
アウトリーチの対象者の六三・一%が、我々の窓口にたどり着く前に実は複数の専門家あるいは公的支援の相談窓口の利用経験を有しているということであります。まさにこの事例のように、相談支援に対する不信感、拒否感が極めて高い状態にある若者も六一・四%ございます。虐待件数、過去最多、全国で更新をし続けています。年間二十万件ほどあるわけでありますが、多くの子供、若者の命が、尊厳守られる一方で、最終的に措置に掛かるのは数%であります。虐待を疑われた家庭や支援介入が行われた側の一部の当事者の中では、行政に対する不信感、拒否感が強まって、通告されたという疑心暗鬼から地域でも孤立をしてしまう、こういった実例が多く認められているということに留意する必要があります。
さらに、行政の相談窓口の多くは申請主義であります。利用申込書、個人情報に関する同意書、関係機関との共有に関して許可、こういったものが義務付けられているわけであります。となると、誰にも話したくないようなことをわざわざ申請手続まで行って誰が相談するんだという問題が出てくるわけであります。公的支援窓口の手続負担の重さは、こういった若者たちの支援導入を難しくしているということであります。
次のページ、お開きください。
そもそも論として、孤立する若者は、先ほどの事例にあるように、いじめ被害やパワハラ、虐待やDV等、被害的体験を有するものが少なくありません。人とつながる力、つながりを維持する力を奪われた若者と言っていい状態の当事者の支援のためには、次のページお開きください。図は、孤立した若者の自立支援のプロセスを表現しております。
御覧のような、深刻化、複合化した課題を抱える家庭に対しては、本人だけでなく家族支援、これも同時並行的にアプローチをするという必要がございます。若者支援分野特有の関係性構築の手法、専門性に基づくアウトリーチから、過去の経緯、その時々の状態、環境の状況を理解した伴走者の確保による一貫した本人支援を要するわけでございます。極端な依存は自立を阻む要因にもなるため、小集団、集団活動へと段階的に移行を図る必要がありますし、最初は、価値観のチャンネル合わせと呼んでおりますが、興味、関心や好きなことからスタートするものの、しっかりと社会で活躍できるようになるためには、実用的なプログラムへの組替えを行うなど、学習支援からシームレスに就労支援へ展開する横断的な発想が必要と考えます。
そして、次のページ御覧ください。家族支援の実例です。
このケースの場合、兄弟や家族を含めたトラウマのケアから適応支援、自傷行為、依存症に対する心理教育、精神科へのつなぎ、債務整理、家計改善、就職支援、暴力団からの離脱支援等、加害者側の更生支援に至るまで、本質的な解決のためには包括的な家族支援が必要となることも少なくありません。
言うまでもなく、この支援プロセスというものは多職種連携、多機関連携が不可欠となるため、次のページお開きいただければと思いますが、やはりエビデンス・ベースト・アプローチ、しっかりと根拠を追い求めながら、次のページお開きいただければと思いますが、共通言語となるアセスメント指標の開発などコンセンサスをしっかり取りながら、自立支援の段階を進めていく必要があります。
また、その支援プロセスでは、制度のはざまを埋めるという作業も必要となってきます。足りないものは協働でつくり出す協働型、創造型の取組について、お手数をお掛けしますが、もう一度元の資料にお戻りいただき、元の資料の二十八ページをお開きいただければと思います。
二十八ページに記載しておりますように、県の御理解の下、アウトリーチを基軸としている私どものNPOがハブ機能を果たすことによって、各種法制度に基づく協議会や会議体ごとに開催されていた研修会等の共同開催を行っているところであります。
次のページ、お開きいただければと思います。特徴は、課題を課題のまま放置しないということであります。議論して共有した課題に関しては、私どもが具体策とともに独自に行動宣言を行って実現を図っていきます。
御覧の研修会においては、次のページ御覧ください、私どもの呼びかけに応じてくれた未来創造基金を始め御覧の団体とともにプロジェクトを立ち上げまして、次のページお開きいただければと思います。佐賀県ならではの制度を生かして、ガバメントクラウドファンディングを活用した基金を創設し、その後、三十二ページから三十七ページに示しておりますが、志で立ち上がろうとしている団体や、ほかのNPOの民間が民間を支援する助成、食料等の物資の提供、企業との連携による入学応援給付金の支給、企業とのマッチング等に取り組んでおります。
三十八ページ、お開きいただければと思います。また、その他団体との連携による社会資源の開発というものにも積極的に取り組んでいます。佐賀県弁護士会有志とは子供シェルターを創設したほか、次のページ、フードバンクさがの設立、運営支援。
次のページ、県の御協力の下、右下に記載しております団体とともに協議会を立ち上げ、共同の保管庫を確保するなど、間接コストの軽減、支援効果の最大化を実現。
次のページ、地域福祉の中核、社会福祉協議会、唐津とは連携協定を結ぶことによって引きこもり支援の強化を図っております。
次のページ、こども宅食応援団との協働による赤ちゃん宅食、特定妊婦からの切れ目のないアウトリーチ型の支援の実践。
次のページ、先月も、親に頼れない若者の就職支援強化のため、御覧の六者協定を締結をし、一時保護から居住支援、就職支援に必要な車やスマホの貸出しに伴う包括的な枠組みを立ち上げたところであります。
このような民間の取組が次々と生まれる背景には、言うまでもなく、民間の志を支え、後押しをしてくださる行政の真摯な姿勢あってこそと考えています。
遡ればというところで、四十五ページお開きいただければと思いますが、平成十八年、佐賀市においては、家庭教師方式のアウトリーチとオンラインの学習支援を組み合わせた全国初の完全不登校対策が事業化をされ、最初は有償ボランティアだったんですが、現在は二十二校へNPOの常勤職員が配置をされる事業に発展を遂げています。
次のページ、お開きいただければと思います。地域若者サポートステーション事業を基盤に、これは高校にも広がりを見せまして、さらに、次のページ、平成二十八年度からは、全公立小中高、県内全ての学校三百校ほどありますが、網羅する全国初の包括的訪問支援事業が開始されたところであります。
次のページ、就労支援に関しても、国、県、私どものNPOの三者協定が締結をされ、ジョブカフェ、ヤングハローワーク、サポステの一体的運営の枠組みが生まれ、ここに着想を得て生まれたのが、五十四ページお開きいただければと思います。全国初の佐賀一括同意方式というものでございます。
利用申込書、個人情報の取扱同意書、各事業ごとに異なる書式で義務化されているわけで、複合的な問題を抱える世帯では二桁の書類に署名、記名しなきゃいけない、こういった事態が発生をしています。その相談者の負担になっているわけでありますので、合理化を図るために厚労省、県、市、関連する全ての部局と協議を行って、一年半掛けて十七事業全てで統一化、一枚の提出で全ての事業の導入段階の手続が終わると、こういった書式も開発をしたところであります。
次、五十五ページ以降に示しておりますが、相談記録システムも同様で、縦割り、個別事業、さらには価格競争入札により開発をされるため、現状では、互換性も安全性も利便性も低い相談記録システムが業者により提供されている、現場に課されているということであります。
そこで、先進医療分野の電子カルテシェアナンバーワンのレスコさんと提携を結び、次のページ、三省二ガイドライン、国の方針に準拠した電子保存三原則を担保したセキュアな電子カルテ、これを基盤として、次のページ、相談者、支援者双方の負担を大幅に減らしつつ、個別最適化された相談サービスの提供ができる統合型の相談記録システムの開発を進めているところであります。
五十九ページ、お開きいただければと思います。
図示しておりますように、冒頭御紹介したアウトリーチを基軸とした統合型支援拠点でのPDCAサイクル回すことによって、御覧のように、義務教育から就労の段階まで切れ目なく伴走できる仕組みが起動しており、協働による県全体の効果として、自殺率の低下、若年無業者の割合の低減に成功したほか、六十一ページお開きいただければと思いますが、三年間で九億五千万を超える税収増に貢献したとの試算も出ているところであります。
こういった支援及び仕組みづくりを踏まえ、大きく四点提言をさせていただきます。
六十七ページをお開きいただければと思います。
大きく四点、各項目六点ほど提言させていただいていますが、一点目、社会問題の解決を射程に入れた体制の抜本強化、特に若者支援についての提言であります。
こども家庭庁の創設に伴い拡充が実現している十代の子供に比べ、二十代以降の若者支援、特に困難を抱える若者、孤独・孤立対策という観点から更に踏み込んだ対応が必要と考えています。どんな境遇の子供も見捨てない、誰一人取り残さない覚悟に基づいた施策展開が今こそ必要と考えています。
地域若者サポートステーション事業、生活困窮者自立支援事業の拡充、現在努力義務となっていますが、予算措置がない子ども・若者育成支援推進法に係る取組、これへの国への補助も一つの選択肢と考えています。
また、予算措置の限界もあろうかと思います。ならば、①に示すように、医療、介護、障害分野の施策と連動を含め、制度をまたいで統合的に運用することによってスケールメリットを生む、こういった取組も一つの方向性と思います。また、④、就職の際の費用の支給であるとか、身元保証人の代行など、親を頼れない若者への対策、重要であります。
六十九ページ、お開きいただければと思います。
大きく二点目、現場の支援員の待遇改善及び確保、育成に関する提言をまとめています。
虐待案件、支援員が受ける場合は、もう脅迫、強要、ストーカー行為を覚悟しなければなりません。時には、家族の職場へも嫌がらせや誹謗中傷の電話を繰り返す、そういった当事者もおりますし、SNSで誹謗中傷してくる、攻撃を受ける場合だってあります。しかしながら、その現場を支えている最前線の職員は、会計年度任用職員や嘱託、非正規等の場合も少なくありません。委託として実施されている国の事業に関しても、一部は価格競争入札が導入されており、最前線で必死で若者を守ってくれている相談員の人件費を削り合うという事態が起こっています。一体その先にあるのはどういった現実なのか、セーフティーネットに穴が空いてしまうと考えています。
三点目、七十一ページ御覧ください。
先ほど申し上げた相談記録システムのDX、これは欠くことはできないと思いますし、それを行った上での事業評価の見直しに関する提言まとめております。
例えば、一人の新規相談者の記録を作るのに十五分から二十分掛かります。三機関の相談機関を利用する相談者に対しては、現状では三機関同じ作業を繰り返さなきゃいけないということになっています。もし仮に互換性のあるシステムを使えば、当然のことながら事務作業が一つの自治体で三分の一になるわけであります。もちろん、そう単純な話ではございませんが、雇用政策研究会の推計では、二〇四〇年、医療福祉分野の就業者数は一千七十万人程度、一旦互換性のあるシステムを開発してしまえば、全国で数十万規模の支援員の確保ができるほどの無駄な作業時間削ることができるインパクトは大きいと考えます。
④に記載するように、事業評価の仕組みを変える必要があります。相談者の数に対して人員、予算共に現在は適切な規模ではないと思いますが、その委託事業においてKPIで就職率を課せば、クリームスキミングを助長することになります。就職できやすい人に支援が集中して、真に支援が必要な今日御紹介したような事例、ここには、当事者には支援が届かないという事態が発生をしてしまうわけであります。根本的に見直す必要があるんではないかと思います。
次、七十三ページお開きください。
最後、四点目、アクセシビリティーの向上は急務の課題と考えています。詐欺や闇バイトにからめ捕られる前に、生きるか死ぬかの選択を迫られる前に頼ってもらえる、利用してもらえる、そういった公的支援の窓口運営が必要であります。
②、困ったときには駆け付ける、精神医療分野との協働により、二十四時間三百六十五日体制でアウトリーチが実施できる体制を地域で整える、まずは命を守る。
③、しっかりと受け止めるだけでなく、問題解決を図る。緊急一時支援、保護を行うだけでなく、連続的に伴走型の支援が展開できるよう、生活困窮者自立支援事業との連動をさせた上で運用するということが重要かと思います。
④、若者支援においては、専門職ではなく、価値観のギャップが生じにくく、求心力を持った若者世代やピアスタッフ等、地域人材の活用も有効であります。
⑤、事例で御紹介したように、個人情報の取扱いに過敏になっている若者も少なくありません。孤立させないためにも、匿名での相談の受付可能にする必要がありますし、地域若者サポートステーション事業の就職決定証明書、こういった、ほかのハローワーク等では求められないような、そういった証拠書類の提出等、若者が合理性を感じない、そういった手続負担、これは一切廃止をして負担を軽減する必要があるかと思います。
時間が来ておりますので、詳細はお手元の資料に代えさせていただきたいと思いますが、まずは、若者がつながりを意識できる、社会から大切にされている、そういった実感を得られるような相談支援体制の整備、窓口の運営、これはもう急務の課題というふうに思っております。
以上であります。ありがとうございました。