山花郁夫の発言 (憲法審査会)
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○山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。
言うまでもなく、憲法改正のためには衆参両院での三分の二以上の賛成が必要です。近年、与党だけで三分の二を占めるということがありましたけれども、戦後八十年の歴史を見ると、これは歴史的に極めて希有な事態と言えます。一般的には、野党第一党が賛成していなければ、両院での三分の二の合意形成は難しいと言えます。法律と違って、憲法というのは、どんな考え方の内閣であったとしても、どの政党が政権を担ってもそのルールの下で政治を行うという、いわば与野党に共通するルールだけに、三分の二要件というのは、与野党一致で共通認識が形成されることが求められているものと言えます。
国民投票法を制定するに際しては、このような事情を意識しながら立案したものでした。すなわち、将来的に憲法の改正が発議されることがあるとすれば、与党、野党の垣根なく共通認識を形成して成案を作成していくというプロセスが重要になることから、その手続法である憲法改正国民投票法も同様に、与野党で真摯な議論を行って共通認識を形成し、成案を得ていこうという努力がなされました。衆議院憲法調査特別委員会において、最終的には不本意な形での採決となりましたが、ぎりぎりまでその努力がなされたもので、船田会長代理はその当事者でもあらせられます。
国民投票法成立当時から、国民投票の賛否の勧誘に関わるCM規制について議論がありました。私たちは、民放連が制定当時と異なる答弁を後にしたことから、問題意識を持っているところです。
制定から時がたちまして、テレビ、ラジオはオールドメディアと呼ばれるようになり、テレビ、ラジオよりもSNSの方が社会的影響力は大きくなっており、偽・誤情報対策については当審査会でも議論をしてまいりました。さらに、諸外国において、選挙の際の外国からの干渉などの問題も、当審査会でも先日、衆議院の海外調査において報告を受けたところです。
広報協議会については幹事懇談会で議論が進んでいますが、国民投票法については、その他にも議論すべき論点があると考えています。この点については、前回改正時に附則四条に盛り込まれているテーマもあります。附則四条には、法律の施行後三年を目途に、検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることとなっているところ、既に三年以上経過しており、立憲民主党としては、今後の審査会でも附則に規定されたことについて重点的に議論がなされるべきと考えます。
前回の改正時には、私と当時の新藤筆頭との間で相当な時間をかけて折衝を行いました。当時も、公選法並びの改正という比較的技術的な内容の改正が提案されていました。CM規制等の問題も同じ国民投票法の改正案であることから、採決を行うのであれば、立憲民主党の問題意識を盛り込めるものは改正法に編入してほしいという当方の立場との乖離を埋めることに相当なエネルギーを費やしたことが思い出されます。
最終的には、附則に落とし込むことにより、双方の合意を形成することができました。対立した形での採決とならなかったことについては、当時の新藤筆頭幹事にも敬意を表したいと思います。ただ、その後に、附則で規定した事項についての議論が加速化することがなかったというのは残念に思います。
国民投票法は手続について定めるものですが、どの党の案がベースになったものだという色がついてしまうと、改憲派に有利なルールだとか護憲派に有利なルールだというレッテルが貼られてしまって、手続の正当性に疑義が生じるおそれがあります。その意味で、私たちも立憲民主党としての法案の形で党内的には整理しているところでありますけれども、これを対案的に提出しようということではなくて、論点について考え方を提起しつつ、各党各会派に御理解をいただいてコンセンサスをつくっていきたいと考えております。将来的に多くの与野党のコンセンサスが形成されて憲法改正が発議されたという事態を想定し、国民投票で過半数を得ることを視野に入れると、どの党の案がベースになったという色がつかないことが大事だと思います。
かつて、当時の中山太郎憲法調査会長とルクセンブルクに国民投票の視察に行ったことがあります。EU憲法批准の可否に関する国民投票でした。議会では圧倒的な多数が賛同していたにもかかわらず、国民投票の結果は僅差なものでした。政党色であるとか内閣に対する審判のような色がつくと思わぬ結果となるということをフランスで中山先生と、飛行機の中継地ですけれども、語り合ったことが思い出されます。
このような事例を教訓として、国民投票での過半数を視野に入れると、発議される憲法改正案は、どこの党の主張であったということが希釈されていることが必要で、起草委員会というアイデアはこのような文脈で語られてきたはずです。現状ではそのようなアイデアになじむ状態ではないというだけではなくて、憲法改正の我が党案のようなものを主張されている党があるとすれば、これまでの憲法調査会以来の知見を踏まえたものとは言えず、国民投票での過半数獲得の阻害要因となるということは指摘しておきたいと思います。
なお、議員任期延長に関連して、総選挙を全面的に停止しなければならないという立法事実を確認できない旨再三申し上げてまいりました。
少し角度を変えて説明したいと思います。
公立中学校で、男子生徒の髪型は丸刈りでなければならないという校則があったとします。法の下の平等という観点からすると、この校則を違憲無効なものであるとして、男子学生の髪型についての規制をなくすというのが適切な是正措置と考えられます。これに対して、女子学生の髪型も丸刈りでなければならないという校則を新たに作成して男子学生、女子学生の不平等を解消するという方策を取るべきでないことは言うまでもありません。
そこで、大災害の場合です。東日本大震災のようなケースでも、八割強の地域は選挙の執行が可能でした。一割強の地域の執行が困難であることを理由として衆議院選挙を全面的に不能だと論じることは、比率において上回る地域の選挙権行使の機会を停止することにより平等を確保しようとするもので、女子学生を丸刈りにするのと同じように、投票の権利を侵害、制限する方向で平等を実現する方策と言えます。繰延べ投票の方法を活用することが適切な解決方法だということを改めて申し上げて、発言といたします。