永井幸子の発言 (厚生労働委員会)
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○永井参考人 おはようございます。連合の永井と申します。
本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。
政府提出の医療法等改正法案に関する連合の考え方につきまして、大きく三点申し述べます。
資料を配付しておりますので、適宜御覧いただければと思います。
一点目は、新たな地域医療構想の策定、推進についてです。
法案では、入院医療だけを対象にしてきた地域医療構想を見直し、外来や在宅医療、介護との連携を含めた将来ビジョンとして位置づけることが考えられています。また、地域の必要量に沿った病床数になるよう、都道府県知事の権限を一定程度強化することも盛り込まれています。
そして、人材を始めとする限りある医療資源を最適化、効率化しつつ、治す医療を担う医療機関と、高齢者の救急搬送など、治し支える医療を担う医療機関との役割分担をより明確化していくこと、これまでの回復期機能に高齢の急性期患者へ医療を提供する機能を追加し、新たに包括期機能として位置づけることも想定されています。
連合は、地域医療構想の実現に向けた取組によって、各地域で将来の医療ニーズに沿った機能分化と連携が進み、医療資源が適正に配分され、良質で切れ目のない効率的な医療提供体制が構築されることをかねてより求めてきました。切れ目のない医療、介護が受けられるよう、機能分化と連携強化が実効性あるものになるよう徹底していくことが必要と考えます。
これまでは、公立・公的医療機関に偏った改革が論じられたりするなど、進捗は道半ばと言えるのではないでしょうか。今回の改正法案によって、都道府県知事の権限行使も念頭に、公立か、公的か、民間医療機関かを問わず、あらゆる設置主体の医療機関が新たな地域医療構想の実現に向けて協力し合い、合意形成が図られることを期待いたします。
二点目は、医師の偏在対策の実施についてです。
医療現場では、かねてより医師や看護師、薬剤師などの人材不足が問題となってきました。高齢化に伴う医療ニーズの増加と生産年齢人口の減少が同時進行しますので、必要となる医療人材の確保はその困難さを増していきます。加えて、医療人材の高齢化も進んでいる中、急ぎの対策が求められます。
全国の医師数は緩やかに増加しているようですが、人口千人当たりの臨床医師数は諸外国に比べて少なく、何より、地域偏在、診療科偏在、そして診療所に偏り、病院では不足している現状が見られます。
今回の法案には、外来医師過多区域において無床診療所を新規開業しようとする場合に、夜間、休日の初期救急や、在宅医療を提供すること、医師不足地域で土日の代替医師として従事することなどについて、都道府県知事が要請や勧告できるようにすることなど、規制強化策が盛り込まれています。
連合といたしましては、これらの規制強化によって地域偏在が是正されていくことを期待しておりますが、同時に、地域間、診療科間の偏在の是正に向けて更なる規制的手法を検討する必要があると考えます。
また、法案には問題があると考えます。
都道府県知事が重点的に医師を確保すべき区域を定め、当該地域へ派遣される医師あるいは従事する医師への手当に財政支援を行う事業の創設が盛り込まれております。問題はその財源確保策です。法案では、その財源を保険者からの新たな拠出により確保するとされています。
医師不足の地域で優先的、重点的に医師確保対策を推進できるようにすること自体は理解いたしますが、保険者からの拠出で財源を確保することは、保険給付とは関係性が乏しいものへ拠出することになり、問題と考えます。公的医療保険において、保険料は保険給付に用いられるべきと考えます。
地域医療の確保に向けて公費で診療報酬を補完してきた歴史的積み重ねがある中で、保険者に拠出を求めることは疑問です。また、これまでも、公費による地域医療介護総合確保基金を通じて、産科への分娩手当や、小児救急医療支援として職員の給与への補助が行われてきています。こうしたことを踏まえて、連合としては、医師手当事業の費用が保険者からの拠出とされていることを修正し、公費で財源を確保すべきと考えます。
三点目は、医療DXの推進について二点申し述べます。
一つは、電子カルテ情報共有サービスについてです。
これを構築し、普及していくことは必要なことだと考えております。その際、コストを誰が負担するのかということが論点となりますが、審議会段階では、サービスの普及や立ち上げに関する費用は国が負担し、保険者にはサービスが制度として一定程度確立した後に負担をお願いするというような説明が事務局よりあったと承知しております。
したがいまして、運用コストはいずれ保険者や被保険者が負担することを想定されているのかもしれませんが、そうであれば、電子カルテ情報共有サービスの構築、普及が、保険者や被保険者そして患者にとってどのような効果やメリットがあるのか、それを明確にしていただく必要があると思います。そして、十分に普及したのかどうか、効果の状況はどうなのかといったことを見極めてから、運用コストの負担について議論するという検討プロセスで行っていただきたいと考えております。
二つ目は、社会保険診療報酬支払基金についてです。
法案には、支払基金が医療DXに係るシステム開発と運用の主体となることが盛り込まれていますが、これまで支払基金が担ってきた被用者保険の審査支払いという重要な機能を引き続き適切に果たせるようにすることが不可欠です。
支払基金では、既に人員削減が行われてきた中で、限られた人員で医療DXの業務も担うことになることが予想されます。審査支払いの現場が過重な負担とならないよう、適切な人員配置が確保されなければならないと考えます。
そして、今後の抜本改組に対応していく現場が混乱することのないよう、支払基金の中で労使を始め密なコミュニケーションが可能となるよう、政府としても前広に情報提供をしていくことが必要と考えます。
以上が法案に対する連合の考え方でございますが、最後に、医療現場の処遇改善についても申し述べたく存じます。
医療や介護の提供を担う人材の処遇改善策は、私たち国民が将来にわたって安心して暮らし働くことができるようにするために、また、高齢者人口の増加に対応する機能強化を図るために、欠かすことのできない施策だと考えます。
提供体制の持続可能性が人材確保の面で揺らいでいる今、更なる処遇改善を継続的かつ集中的に行う必要があります。しかし、二〇二四年の賃金引上げ状況を調べた厚生労働省の二〇二四年賃金引上げ等の実態に関する調査によりますと、医療、福祉分野における二〇二四年の賃金改定率は二・五%であり、同じ調査結果にある全産業平均の賃金改定率が四・一%であることに比べ、小さい伸びにとどまっています。
政府には、国民の命と暮らしを守る仕事に見合う賃金水準となるよう、更なる引上げが可能な施策の早急な実施を要望いたします。
以上です。ありがとうございました。(拍手)