林芳正の発言 (総務委員会)
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○林国務大臣 おはようございます。総務大臣を拝命いたしました林芳正でございます。
まず、本年も、令和七年八月の大雨、先般の台風第二十二号及び第二十三号、また、カムチャツカ半島付近を震源とする地震に伴う津波など、大雨や地震等が相次いで発生しています。災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
人口減少や少子高齢化など、我が国が様々な課題に直面している中、私は、国民生活に広く密接な関わりのある幅広い行政分野を所掌する総務大臣として、今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくるとの内閣の基本方針の下、全力で取り組む所存でございます。
以下、当面特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。
まず、活力ある地域社会の実現と健全で持続可能な地方行財政基盤の確立に取り組みます。
地方の大きな伸び代を生かすため、特定の地域に継続的に関わる関係人口を可視化し、地域の担い手確保や活性化につなげるふるさと住民登録制度について、国民の皆様に活用いただけるよう、関係府省庁と連携して制度設計を早急に進めます。
地域の成長につながる施策を、都道府県域を超えた多様な主体の連携により、点から面に展開するため、広域リージョン連携の取組を推進します。
地域おこし協力隊について、隊員数を一万人にすることを目標に、戦略的な情報発信やサポート体制を強化するとともに、地域活性化起業人については、先般構築した地方団体と企業、個人とが相互に交流できるオンラインツールを活用し、マッチング支援を強化します。
地域経済の好循環を進めるため、ローカル一万プロジェクトの支援件数を拡大するとともに、特定地域づくり事業協同組合への支援を推進します。
さらに、地域の暮らしを守るため、地域運営組織への支援や過疎対策を推進します。
こうした取組を推進するとともに、東京一極集中の弊害の是正を進めます。地方税制について、地方分権推進の基盤となる地方税の充実確保とともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向け取り組みます。
物価上昇を上回る賃上げを実現するため、地方団体の発注において適切に価格転嫁が行われるよう、その取組について継続的なフォローアップや支援等を行います。
デジタルの力を最大限に活用し、地方団体や地域社会におけるDXを推進するとともに、それを支える人材の確保、育成に取り組みます。
自治体情報システムの標準準拠システムへの移行に必要な経費について支援し、地方団体における円滑、安全な移行に向けて取り組みます。
マイナンバーカードについては、本年十月末時点で保有枚数が九千九百四十七万枚を超えました。今後も、希望する国民が円滑にカードを取得できる環境の整備を進めます。
自動運転の社会実装に向けた通信環境の確保や、AI等のデジタル技術と通信インフラを活用した地域課題解決のための取組を支援し、地方創生の好事例の創出やその普及促進に取り組みます。
人材不足が深刻化する中、地方の持続可能性を高めていくため、市町村間の広域連携や都道府県による補完、自治体DXなどの取組を進めるとともに、国、都道府県、市町村間の役割の見直しを含めた課題解決への議論を促進します。
地方公務員の人材育成、確保については、優良事例の普及促進及び地方財政措置により、その取組を推進するとともに、会計年度任用職員を含む地方公務員がその力を十分発揮できるよう、環境整備に取り組みます。
令和八年度の地方財政については、人件費の増加や物価高などが見込まれる中で、地方団体が、様々な行政課題に対応しつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、骨太の方針二〇二五を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、経済、物価動向等を適切に反映し、令和七年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保します。
自然災害の激甚化、頻発化に対応するため、地方団体が防災・減災、国土強靱化を一層推進できるよう、緊急防災・減災事業債及び緊急自然災害防止対策事業債の事業期間を延長することとし、詳細の検討を進めます。
また、ガソリン税、軽油引取税の暫定税率については、廃止に伴う地方の安定財源の確保に取り組みます。
行政相談では、国・地方共通相談チャットボットの機能改善による利便性向上や、地方団体等と連携して地域の困り事の解決を図ります。
第二に、信頼できる情報通信環境の整備を進めます。
インターネット上では、例えば災害時や選挙の際に、偽・誤情報や誹謗中傷等の権利侵害情報の流通、拡散が深刻化しています。
本年四月に施行した情報流通プラットフォーム対処法の着実な運用を通じて、事業者による削除対応の迅速化や運用状況の透明化を図ります。
また、関係事業者や関係団体と連携した利用者のリテラシー向上に関する取組や偽・誤情報の対策技術の研究開発などを含めた総合的な対策を進めます。
サイバーセキュリティー対策は重要な課題であり、研究開発や人材育成に加えて、サイバー攻撃などの脅威に対処するため情報分析の強化を図ります。
最新のセキュリティー技術の動向等を踏まえ、地方団体の業務に即した対策を検討し、地方団体のサイバーセキュリティー対策の更なる強化を図ります。
オンラインカジノの問題については、本年九月に施行された改正ギャンブル等依存症対策基本法を踏まえ、関係府省と連携しつつ、オンラインカジノサイトに誘導する情報について、SNS事業者による削除等の適切な対応を促進します。
一層複雑化、巧妙化する詐欺等への電気通信サービスの不適正利用を防止するため、フィッシングメール対策の強化を含め、様々な対策を講じます。
国民の知る権利を満たすなどの社会的役割が期待される放送を持続可能とする観点から、放送の将来像と制度の在り方について更なる検討を進めます。
第三に、防災・減災、国土強靱化の推進による安全、安心な暮らしの実現に取り組みます。
災害が激甚化、頻発化する中、消防の果たす役割はますます増大しています。
消防防災力の充実強化を図るため、本年の林野火災でも活躍した緊急消防援助隊や常備消防の体制強化、消防団を中核とした地域防災力の向上や、DX、新技術の研究開発の推進に全力を挙げます。
林野火災については、新たに林野火災注意報及び林野火災警報を創設し、普及啓発を図るなど、今後に備えます。
本年十月一日から全国一斉に開始された、マイナンバーカードを活用した救急業務の円滑化のためのいわゆるマイナ救急については、その認知度向上に努め、地方団体と連携して積極的に展開をします。
また、Jアラートの的確な運用や周知促進、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練などにより、国民保護体制の整備に万全を期します。
災害時にも情報を確実に届けられる環境を整備するため、携帯電話基地局やケーブルテレビ網などの通信・放送インフラの強靱化を進めます。
また、被災地における通信確保や被災状況の把握について、官民で対応する体制を計画的に整備します。
災害情報を共有するLアラートについて、国が運用主体となることを見据え、信頼性、安定性、継続性等の強化に向けたシステム整備等に取り組みます。
東日本大震災や令和六年能登半島地震など、大規模災害からの復旧復興に向け、被災団体の求めに応じ、地方団体間の職員派遣に取り組みます。
今後の災害についても、被災団体の人的ニーズをよくお伺いしながら、必要な支援を行います。
また、被災地の復旧復興に向け、被災団体の財政運営に支障が生じないよう、地方財政措置を講じ、適切に対応します。
さらに、特別行政相談では、大規模災害発生時に、生活支援情報を迅速に提供するなど、被災地に寄り添った活動を展開します。
第四に、国際競争力の強化、経済安全保障の確保を進めます。
本年五月に策定したDX・イノベーション加速化プラン二〇三〇に基づき、AI社会を支える新たなデジタルインフラの技術開発、整備、積極的な海外展開を進めます。
具体的には、産学官の結節点である国立研究開発法人情報通信研究機構と連携し、次世代情報通信基盤の中核となるオール光ネットワーク、宇宙や量子分野等の研究開発、国際標準化や、早期の社会実装、海外展開を推進します。
そのためにも、我が国から幹部職員を輩出している万国郵便連合、国際電気通信連合、アジア・太平洋電気通信共同体等の国際機関と緊密に連携します。
通信インフラと電力インフラが高度に連携する、いわゆるワット・ビット連携によるデータセンターの地方分散を進めるとともに、海底ケーブル、5G、光ファイバー等のAI社会を支えるデジタルインフラの整備や防御などを進めます。
また、日本全土をカバーし、非常時にも利用可能な低軌道衛星通信について、その自律性確保に向けたインフラ整備を推進します。
経済安全保障上重要な5Gや海底ケーブル等のデジタルインフラについて、国際連携の下、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構による持続的、安定的なリスクマネー供給等を通じて海外展開を進めます。
AIについては、我が国が国際的なルール作りを主導する広島AIプロセスに関し、報告枠組みの運用が開始されました。
これを踏まえて、賛同国の拡大や規範に則した企業等による取組の推進を図ります。
あわせて、AIの開発、提供、利用に関する指針であるAI事業者ガイドラインについて、広く普及啓発を行います。
さらに、国内事業者等による信頼できるAI開発力の強化を支援するため、情報通信研究機構の保有するAI学習用の良質な日本語データの整備、拡充、国内の事業者等への提供や、評価基盤に関する研究開発等を強力に推進します。
我が国の放送コンテンツについて、海外展開の拡大を図るために制作支援、人材育成や海外配信を実施するとともに、適正な対価還元に向けた取引の適正化を促進するなど、制作、流通環境の整備を強力に推進します。
第五に、国の土台となる社会基盤の確保を進めます。
郵政事業については、ユニバーサルサービスを確保するとともに、地域の重要な生活インフラとしての郵便局の役割を拡大し、地方を守り、持続可能な地域づくりを推進します。
今般、日本郵便において、法律上必要な点呼業務の不備が発覚しました。総務省としては、郵便サービスの確実な提供等の確保と、こうした事案の再発防止に向け、監督責任をしっかりと果たします。
選挙については、今後とも、主権者教育の推進や投票環境の整備に努めます。
また、政策評価、行政運営改善調査、行政相談の各機能を連携させ、各府省の政策立案やその改善の取組を後押しします。
さらに、公務の担い手不足や複雑高度化する行政課題に対応するため、行政手続法等について、AI利活用の進展等に対応しつつ円滑かつ適正な運用の在り方について検討を深めるとともに、各府省の地方機関や独立行政法人等へのDXの支援を通じて、行政運営の改善を進めます。
公的統計につきましては、基本計画に基づき、総合的な品質向上、時代の変化等に対応した有用な統計の整備、人材育成、デジタル化推進など、改革を進めます。
本年の国勢調査について、地方団体などの関係の皆様の御協力に感謝申し上げるとともに、引き続き、御協力を得て、各種政策の基盤となる毎月の経常調査などを確実に実施をします。
以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。
政務、事務方が一丸となって全力で取り組んでまいります。
委員長を始め理事、委員各位の御指導と御協力をお願い申し上げます。