斎藤由則の発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○斎藤参考人 初めまして。司法受験生の斎藤由則と申します。
 本日は、法務委員会にお招きしていただき、心より厚くお礼申し上げます。
 私の経験談等で、微力ながら少しでも今後の委員会に役立てればうれしく思っておりますので、最後まで、どうか何とぞよろしくお願い申し上げます。
 私は、暴力団をやめて十八年になります。中学で暴走族に、二十歳で暴力団に加入し、二十八歳で広域暴力団の加入組織団体の本部長に就任はしましたが、恐喝罪で服役し、出所後、組から脱退しました。暴対法の施行により組の運営が悪化する中で、いわゆる半グレを利用した特殊詐欺や海外の組織と連携した薬物売買が横行し、自分のよりどころであった、弱きを助け強きをくじく任侠道が失われたと感じ始めたのもこの頃でした。
 脱退に当たり、小指を落とし、全財産を当時の組織に返納しました。脱退後は、新聞配達員、ラーメン屋の店員等を経て三十四歳で起業し、五十歳となった現在は、コンサルティング業を手がけていながら、司法試験合格を果たすため、現在、勉学中の身であります。
 私は、四十二歳のときに、勉学を学んでいないことに気づき、広島県福山市にあるフジゼミという塾に通い、高卒認定を取得し、その後、大学に入学し、人生はいつからでも学び直しができると体験することができました。
 この年からではありますが司法試験の勉強を始めたきっかけは、反社会的勢力からの離脱者を更生させるための環境を整えたいと考えたためです。
 暴力団は減少傾向で、離脱者も増えていますが、離脱者の再犯率は五割に及びます。離脱後、半グレに流れるケースも多く、半グレは暴力団のような明確な組織を持たず、実態の把握が難しいため、警察の対策も後手に回りがちなのが現状です。
 また、再犯者の七割が無職のデータもあります。私も、出所後は職が決まらず、何十軒も会社を回りました。犯罪歴を伏せると私文書偽造とみなされ得ますが、真実を書かなければ雇ってもらえません。学歴がないため、応募のできる職種も限られます。脱退後五年は暴力団関係者とみなされ、銀行の口座の開設や住居の賃貸の制限があり、一般社会の厳しさから再び反社会勢力に戻った知人も過去にはいました。
 更生を目指す後輩たちの相談に乗り、時には自分の店に雇用したりもしましたが、個人ができることは限られ、無力を痛感する場面も多いのが現状です。
 犯罪社会学を専門とする久留米大学の広末登さんは、暴力団離脱に成功し、その後社会復帰した人の多くは、地域社会による協力が重要な原因だったと述べています。
 離脱者に対する支援、心のケア、教育、就職や生活の支援等や、一般社会の受入れ体制の整備、地域や企業の受入れの進捗や法的、習慣的な制限等の緩和等が前提となりますが、これらを短期間に包括的に行うのは難しいとは思います。とはいえ、反社会的勢力の在り方が変わりつつあるこのタイミングで離脱や更生の意思を持つ人々をサポートする必要も感じており、まず、私の実体験を踏まえた、有効だったと思われる部分から着手できたらと考えています。
 具体的には、離脱者や離脱予備軍に対する二種類の教育支援から始めていきたいと思う所存です。
 一つ目は、中学や高校で身につけるような一般科目です。私自身は、英語、数学、国語等を学んだことで視野が広がり、本当の意味で自分の半生を振り返り、反省することができるようになりました。
 二つ目は、キャリア教育です。一般社会にどんな職業があり、どうすればそれに就けるのかを伝え、自分の適性を理解する手助けをしたく思っております。
 離脱者の就職状況は厳しく、私自身も求職中に大小の差別に直面し、暴力団時代とのギャップから心が折れそうになる瞬間もありました。むしろ、既存の社会に入るよりも自分で起業し、仕事で実績を積んで一般社会に認められる方が近いかもしれないという印象もあり、この辺りを含めて、必要な知識やノウハウを伝えていきたいと考えています。
 離脱経験者や教育の専門家の経験や能力の集中をできるような団体を設立し、一般社会への順応を早められるよう、服役中、出所後の両方で必要な学びを提供しながら、行く行くは法的な相談や離脱者同士の交流や協力もサポートできる体制を整え、刑務所と社会の橋渡しを行えるような存在となることを目標としております。
 その実現に向け、地域におけるコミュニティーのデザインや、NPOの設立、運営、教育の活用を考えて進めていけるように、行政だけでなく、企業や地域住民の理解を得て、様々な人を巻き込み、離脱者を更生させることの重要性を広く社会に広めてまいりたいと思います。
 また、日本の刑事政策の妥当性の検証及び反社会組織の現状調査、分析を行いたいと思っています。反社会的勢力の現状に対する理解を深めつつ、社会安全政策や日本の近現代史、政策立案について学ぶことで、官民両方に求められる政策の方向性を模索し、地域との連携の重要性や必要性を認めてもらうためにも、半グレ問題とそれらを生み出してきた現状の政策の限界を明らかにし、新たなアプローチの必要性を訴えていければと考えております。
 九〇年代以降の警察の圧力の強化は、暴力団の衰退や離脱者の増加をもたらしましたが、半グレ等の新たな問題を生んでしまいました。直接的な政策の限界であり、これ以上続ければ、反社会的勢力はより曖昧化、複雑化し、離脱者の更生も難しくなっていきます。手遅れになる前に、かつて暴力団に身を置いた一人として、自身ができることを確実に実行したいと思い、伝えたく、本日、参考人として出席させていただきました。
 以上です。(拍手)

発言情報

speech_id: 121905206X00520251203_007

発言者: 斎藤由則

speaker_id: 637

日付: 2025-12-03

院: 衆議院

会議名: 法務委員会