吉田忠智の発言 (憲法審査会)
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○吉田忠智君 立憲民主・社民・無所属の吉田忠智です。
会派を代表して、憲法に対する考え方を申し上げます。
今年は戦後八十年ですが、かつての全体主義と軍国主義がもたらした世界史にも例のない甚大な戦争の惨禍の反省に基づき制定され、今日までの我が国の発展の礎となった日本国憲法の真価をしっかりと正当に評価しなければならないと考えます。
日本国憲法は、世界唯一の平和主義を掲げ、世界屈指の人権法典にして優れた民主制度を定めたものであり、私ども会派は、この日本国憲法を守り生かしていくための議論、すなわち良識の府にふさわしい法の支配と立憲主義、そして憲法の基本原理に基づく憲法論議をこの審査会で求めてまいります。
さて、本日は、今後の本審査会において議論すべき三つの事項について指摘したいと思います。
一つは、参議院の緊急集会に関する議論です。
参院憲法審では、二〇二三年常会で緊急集会の制度、二四年常会で災害時等の緊急集会の運用について大変充実した議論を行ってきました。今後は、緊急集会のあるべき機能強化などに関する論点を更に議論し、具体的な制度改正に結び付ける必要があります。特に、本年の常会で自民党の中西筆頭幹事が指摘されたように、参議院の都道府県選挙区の合区が緊急集会の制度趣旨に合致するものか検討が必要と考えます。
この点、昨年六月の選挙制度専門委員会の報告書において、二院制における参議院の機能、役割として、災害対応について緊急集会の機能の充実強化が明記され、その答申を受けた参議院改革協議会報告が本年六月にまとめられております。
今後は、改革協議会と本審査会との連携が極めて重要であり、まずはこの間の経緯等を聴取し、憲法問題を担当する憲法審査会の責任を果たしていく必要があると考えます。
なお、緊急集会をめぐっては、任期延長改憲の根拠として、総選挙の実施が可能な平時の制度であり、開催期限は七十日限定であり、二院制の例外制度としてその権能は大きく制約されるといった主張が衆議院憲法審で任期延長改憲を主張する方々によってなされてきました。
ところが、参院憲法審では、自民、公明、そして御勇退された大塚耕平先生などが会派代表意見において、衆議院の任期延長改憲を主張する方々とは異なる緊急集会に関する正しい見解を述べられてきました。
昨年八月の自民党の党見解のワーキンググループ報告には、そうした良識の府の見解、見識が具体的に示され、かつ、本年の常会でも、佐藤筆頭幹事を先頭に、任期延長改憲を主張する方々の見解にくみしない緊急集会の正しい主張がなされたことに敬意を表する次第です。特に、佐藤筆頭幹事の質問による川崎参院法制局長の答弁によって、予算や条約などの衆議院の優越事項も緊急集会の議案となることが明確に確認されたことは非常に重要です。
こうした参院憲法審の論戦にもかかわらず、衆議院憲法審では、さきの常会の会期末に、緊急集会の誤った見解に基づく任期延長改憲の骨子案の議論が行われたことは誠に遺憾です。ただ、その中で、七十日間は緊急集会の活動期間を厳格に限定するものではないという見解が初めて示されています。この点、任期延長改憲の選挙困難事態の定義には、七十日間限定説に基づく七十日を超えてという長期性の要件があり、この改憲骨子案の見解は任期延長改憲の論拠の、根拠の、根幹の崩壊を意味するものと考えます。
さきの自民、維新の連立合意には、任期延長の改憲条文の来年の常会提出等が記されています。緊急集会をめぐる見解が衆参で深刻に分裂し、任期延長改憲を主張する方々の見解の正当性そのものが崩壊する中で、衆院での改憲条文の提出など断じて許されません。ましてや、そのための衆参憲法審査会での条文起草委員会の設置など断じて許されようがないことを明確に指摘いたします。
次に、国会法百二条六が定める憲法審査会の法的な任務である憲法違反問題などの調査審議の実行も極めて重要であります。
さきに、高市総理による存立危機事態条項の台湾海峡有事での適用答弁が日中の国際問題に至っていますが、そもそも安倍政権の集団的自衛権行使は、昭和四十七年政府見解の外国の武力攻撃という文言の曲解等によってなされた憲法違反であることが、二〇一五年の安保国会では、濱田邦夫元最高裁判事や宮崎礼壹元内閣法制局長官らによって陳述されています。
また、それがゆえに、武力行使の新三要件が歯止めのない無限定なものであることも国会質疑で論証されていますが、日本による米国のための集団的自衛権行使を法的に免責した日米安保条約三条など、日米同盟との関係も含め、国家による戦争行為の発動である存立危機事態条項の憲法問題について本審査会で冷静にしっかりと調査審議を行う必要があります。
なお、我が会派は、自民、維新の連立合意にある、あらゆる武力行使を可能にしてしまう憲法九条そのものの改憲には明確に反対をいたします。
あわせて、多くの高裁で違憲判決が出ている同性婚禁止あるいは選択的夫婦別姓、さらには臨時国会の召集義務違反など、国民の人権や民主主義の在り方に直結する重要な憲法問題もしっかりと審議する必要があります。
さらには、国民投票法について、附則四条が求めているテレビやネットのCM規制、ネット上のフェイク情報の対処などについて引き続き議論を深めていく必要があります。特にインターネットについては、いわゆるフィルターバブルシステムや再生回数稼ぎのビジネスモデルなど、ネット社会の民主主義の在り方という根本的な視座に立った検証が必要と考えます。
以上、良識の府にふさわしい、立憲主義に基づく憲法論議を求めて、私の意見といたします。