浅田均の発言 (本会議)
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○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
私は、会派を代表し、高市総理の所信表明演説に関して総理に質問をいたします。
まず、物価高対策に関して質問します。
物価高対策として給付や減税が参院選前から争点になってきましたが、この間、野党の皆様方の御理解をいただき、ガソリン、軽油の暫定税率の廃止を実現することができました。しかし、現下の物価高による国民生活の負担の重さを鑑みれば、速やかに、できるだけ多くの皆さんの賛同を得て、更に対策を講じるべきと考えます。
我が党が自由民主党との連立合意書で示したいわゆる十二本の矢の中には、給付付き税額控除の制度設計が盛り込まれています。また、現在は多くの会派が給付付き税額控除の有用性を認識しており、実現の可能性はこれまで最も高まっています。一方で、給付付き税額控除は、その目的によって様々な制度設計があり得るため、意見をすり合わせていく必要があるとも認識しております。
ところで、我が国の負担と給付の関係を見ると、特に現役世代の低所得者層の社会保険料負担が重く、物価高でも特に深刻な影響を受けています。そうした人たちこそ、最も支援され救済されるべきだと考えますが、総理の認識を伺います。
給付付き税額控除の仕組みは既に多くの国で導入されていますが、米国の勤労所得控除、EITC、アーンド・インカム・タックス・クレジットが基本になると考えています。現役世代の勤労者のみを対象とする仕組みですが、高齢者や失業者は別途支援を受けています。長年、所得把握が容易にできないことを理由に実現に至っていません。しかし、現役世代の勤労者のみを対象とするならば、年末調整、確定申告時に把握される所得に対して実施できます。所得が低く確定申告をしていない個人事業主は、確定申告をしたら給付を受けられるようにします。仮払いして事後に精算するなら、すぐにでも支給可能です。
総理の御判断で、今すぐにでも実現可能なこの簡易版給付付き税額控除の仕組みを始めるつもりはありませんか。総理のお考えをお聞かせください。
いわゆる年収の壁も給付付き税額控除の導入により大幅に引き上げることができます。年二十万円を基本額として、年収二百万円までは二十万円を全額を給付、二百万円超から給付額を逓減し、三百万円で消失とすれば、例えば年収二百万円の場合は所得税がマイナスになり、給付がなされます。低所得層の社会保険料と消費税負担をかなりカバーできる上、課税最低限は大幅に上がります。課税最低限を引き上げるためにも給付付き税額控除の導入が有効だと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
次に、総理が目指す強い経済について伺います。
十月に公表された国際通貨基金、IMFの最新の推計によると、二〇二六年に我が国の名目GDPはインドに抜かれ、世界第五位に転落する見通しとなりました。一人当たり名目GDPもドルベースで見ると世界第三十八位です。極め付けが実質実効為替レートの低下です。
通貨の総合的な購買力を示す指標とされていますが、二〇二〇年を一〇〇とすると、二〇二五年は七一・四八まで下がっています。一九九九年に一四三・三四という数字がありますから、その半分です。円が安くなったと言われるゆえんです。ここから我が国の持続的な経済成長の道筋をいかに描いていくか、今まさにそのための戦略が求められています。
潜在成長率とは、供給面、つまり生産要素を平均的、持続可能な水準で投入した場合に実現できる実質GDPの成長率のことであり、供給構造とほぼ同義です。この潜在成長率は、この二十年の間、ゼロ%から一%の間で推移しています。この潜在成長率を上げることと、マイナスのGDPギャップ、需要と供給の差、つまり需要が少ないということです、を解消することが、経済が成長するための必要条件です。
ところが、マイナスのGDPギャップは、単なる需要不足というよりも、潜在的な需要構造に供給構造が十分に対応していないがゆえに生じていると思われる側面があります。過労死を生じさせるような働き方は規制が強化されて当然です。しかしながら、現場を見ないで規制を強化し過ぎることで需要と供給のミスマッチが生じることも事実です。
仕事があっても規制のゆえに受注できない小規模土木、建築業者、平日が雨だったので土日の晴れ間に仕事をしようとしても元請が禁じるので働くに働けない町の塗装業者、このような需要と供給のミスマッチを解消することが潜在成長力を高めることになると考えますが、土木、建築、塗装、運送等の現場の声に総理はどのようにお答えになりますか。
さきの所信表明演説の中で高市総理は、大胆な危機管理投資による力強い経済成長を掲げ、AIや半導体などの戦略分野における官民一体での積極投資や人材育成、研究開発支援を進めることなどを通じて、日本の供給構造を強化していくことを述べられました。その方向性自体は我が党としても賛同するところですが、その手法に着目すると、危機管理投資の多くが公共投資や補助金支援といった、これまでの定番とも言えるような財政出動が政策の中心に据えられているように見受けられます。
潜在成長率を高めるためには、一時的な需要喚起策では不十分であり、イノベーション促進や企業の競争を活性化させるための規制改革といった供給能力を高めるための取組が必要不可欠です。我が党が考える成長戦略の肝は、日本経済のこれまでの失われた三十年の構造を抜本的に転換し、日本経済を牽引する企業の稼ぐ力、粗利を底上げできるような供給構造の再設計です。構造を変化させずに古い構造を強化するのが最悪です。
高付加価値の物やサービスの創出を担う人材の育成やイノベーションを生み出すための人材基盤の強化も極めて重要な課題です。総理は演説の中で、イノベーションを興すことのできる人材の重要性に言及され、公教育の強化や大学改革などの科学技術、人材育成に資する戦略的支援に意欲を示されました。我が党もその考えに強く賛同するところですが、これまで多くの政権は同様の認識を示しながらも、実際には制度の部分的な拡充にとどまり、真の改革には至っていないのが現状です。
総理、成長戦略の観点から、日本のイノベーションを支える教育政策を推進することが重要と考えますが、御見解をお聞かせください。
十月十三日、大阪・関西万博は、百八十四日間にわたる会期を終え、多くの人々に惜しまれながらも無事に閉幕しました。会期中の来場者数は二千五百万人を超え、連日SNS上では各国パビリオンが話題となるなど、未来社会の姿や革新的なテクノロジーが広く人々の関心を集め、より身近なものとして感じられる機会となりました。
高市総理が所信表明演説で述べられたとおり、強い経済の基盤となるのは優れた科学技術力にあります。今回の万博で得られた技術的、社会的なレガシー、遺産を今後の科学技術政策やイノベーションの促進にどのように生かされますか。総理の考えをお示しください。
かつてのアベノミクスでは、デフレからの脱却を目指して、大胆な金融緩和と機動的な財政出動、民間活力を引き出す成長戦略のいわゆる三本の矢によって成長と分配の好循環を目指しました。しかしながら、その中核であった構造改革や規制改革では目に見える形での進展は見られず、生産性向上や所得拡大への広がりが限定的だったことは否めません。
長らく我が国の成長を阻み、経済の活力を失わせてきた最大の要因は、イノベーションに熱心でなかった既得権です。既得権は様々な方面に深く根を張っています。既得権という堅牢な壁を打ち破り、成長産業の拡大を推し進めていくためには規制改革が必要不可欠です。
我が党はかねてより、ライドシェアの全面解禁や労働移動の円滑化といった規制改革の必要性を主張してきましたが、いまだに政府の改革は遅々として進んでいないのが実情です。
総理は、日本経済の力強い成長の実現を目指して新たに日本成長戦略会議を立ち上げると述べられました。規制改革においても現状の規制改革推進会議の実効性を高めるために、例えば、かつての土光臨調のような強力な権限を持った第三次臨時行政調査会を設置するといった改革を実行するお考えはないでしょうか。
次に、財政政策について伺います。
総理は所信表明の中で、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を下げていくことで財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保すると述べられました。私は、この発言こそが総理所信のエッセンスであり、全てのセンターピンに当たると考えております。しかし同時に、極めて実現のハードルが高いことも承知しております。
そこで、質問です。
財政の持続可能性の条件として考えられるのが、政府債務残高の対GDP比率を発散させない、大きくしないということです。政府債務残高の対GDP比率が発散しないかどうか考える際、財政赤字の大きさよりもプライマリーバランスの大きさが問題になります。プライマリーバランスが黒字であれば、利払い費以外の支出は税収等でカバーできているので、財政赤字は利払い費の範囲内ということになります。このプライマリーバランスの黒字化という表現は、骨太方針二〇二五でも掲げられていますが、総理の所信にはありません。これはなぜでしょうか。お答えください。
また、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくとのことですが、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えても、利子率が高くなれば政府債務残高の対GDP比は下がらない可能性があります。マーケットから信認を得られず、責任ある積極財政とは言えなくなります。この点をどのようにお考えか、併せてお答えください。
財政に関する今までの論争では、無責任な積極財政と緊縮財政の二項対立に陥りがちであったと考えています。これらの議論では、政府の規模に過度に着目し、民間経済は二の次とされてきました。その観点から、責任ある積極財政の本丸は大きな民間経済を実現することであると考えますが、総理はどうお考えですか。
責任ある積極財政とばらまきは全く別物であり、その観点から、EBPM、証拠に基づく政策立案を推進する政府効率化局を設置すること、租税特別措置・補助金見直し担当の大臣を設置することを我々は前向きに捉えています。しかし、この制度を効果的に租特や補助金の削減につなげることができるかどうかは、これらの制度の運用方法に懸かっております。
過去には事業仕分によって同様に大規模な支出削減を目指したものの、目標を達成することができなかった事実があります。この点に関して、事業仕分のどこに問題があり、それを踏まえて政府効率化局ではどのような方法で歳出改革を進めていきたいか、総理のお考えを伺います。
租税特別措置について、我が党は結党以来、適用実態が不透明である点や、効果検証が困難であり、EBPMから程遠いことを指摘続けてきました。総理は、租税特別措置の在り方について、EBPMの観点からどのように考えますか。
現在の租税特別措置の在り方は、国民への情報公開が不十分であるばかりか、効果検証も十分になされておらず、経済成長のための政策として不適当と考えざるを得ません。過去の租特の在り方は抜本的に見直し、各租特について政策効果をきちんと検証することと、その政策効果に従って廃止することを必ず行うと明言していただけますか。総理の決意を伺います。
もし過度に公的投資へ依存すれば、国債発行の増加により金利を押し上げ、民間投資をクラウディングアウト、締め出すことで経済の非効率性をもたらし、成長率を押し下げる逆の効果を生み出すシナリオすら想定されます。そうであればこそ、国からの投資に依存しない方法による民間経済の強化、特に供給力の強化は責任ある積極財政の大前提ではありませんか。
社会保障政策について伺います。
我が党は、社会保険料を下げる改革を最重要政策として掲げています。この改革の趣旨は、現役世代の社会保険料負担を軽減するとともに、膨張する医療費を抑制し、制度の持続可能性を保つことで、少子高齢化社会においても誰もが安心して質の高い医療を受けられるようにすることにあります。
国民医療費は二〇二四年度において年間四十八兆円に上りますが、これは二〇二五年における国家予算百十五兆円の約四割に相当し、さらに毎年一兆円規模で増加傾向にあります。とりわけ問題なのは、現役世代が働きながら支払う社会保険料で高齢者を支える後期高齢者医療制度の仕組みです。この制度により、現役世代は一人当たり約十四万円もの支援を行っており、世代間でいびつな構造となっています。こうした負担増は、現役世代の将来不安となり、若者の結婚や子育てへの希望を奪い、消費や投資の意欲をそぐことで、少子化の加速と経済の停滞を深刻化させる要因となっています。
社会保障制度を持続可能なものとするために、抜本的な構造改革によって医療費の膨張傾向を断ち切る必要があると我が党は強い危機意識を持っています。我が国の内政における一番の課題は、この社会保障の問題をこれ以上先送りすることは許されません。高市政権において社会保障制度改革をどのように位置付けているのか、明確にお答えください。
さきの参議院選挙が行われてから三か月の月日がたちました。総理は所信表明演説において、現役世代の保険料負担を抑えるため、当面の対応が急がれるテーマについては早急に議論を進めると述べられました。それなら、早急に骨太の方針に記した改革項目の着実な実行と、積み残した論点や乗り越えるべき課題について真正面から向き合うことを改めてこの場で明言していただけませんか。
十月二十日に署名した自民党との連立政権合意書では、実現すべき十二項目の政策を列記しています。そのうち、我が党の政策の一丁目一番地として幾たびも強調してきたのは社会保障改革です。骨太の方針二〇二五において、持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現すると明確に記載がされました。この実現に向けては、日本医師会を始めとした各種団体などの抵抗が予想されます。
総理、抵抗勢力におもねることなく、この骨太の方針に明記された社会保障改革を確実に実行することを改めてこの場でお約束いただけませんか。
また、その中で一番目に挙げられているOTC類似薬の保険適用見直しについて、セルフメディケーションを推進することで、薬剤費のみならず、これに伴う医療費全体の削減を実現するという政府の立場を明確にしていただきたい。併せて総理の決意のほどを伺います。
国民の医療費負担を下げるため、医療機関も輸出企業と同様、消費税の還付対象としてはどうですか。現在は診療報酬を上げることで補填されていますが、その必要がなくなり、診療報酬を減額させることができます。総理の見解をお聞かせください。
次に、AI、人工知能について質問します。
総理が多角的な観点から総合支援を講ずる対象とされた分野の筆頭がAI、人工知能でした。文字や音声等の入力があれば、それに対して自動的に問題を解決するように見える機械学習とディープラーニング、深層学習がAIに実装され始めた二〇一三年に、オックスフォード大学のカール・フレイ教授とマイケル・オズボーン教授が「雇用の未来」という報告書を発表し、世界に衝撃を与えました。世界的に有名になったのは、アメリカで行われている全労働の四七%が自動化できるだろうと書かれていたからです。
今年八月にリリースされたチャットGPT5辺りから、生成AIは異次元の進化を遂げたという印象です。総理は、AIは労働を補完するものとして活用するつもりなのか、あるいは労働に置き換わるものとして活用を進めるおつもりなのか、お答えください。
AIは、ハルシネーションと言われる虚偽情報の作成さえ克服されればインターネットに匹敵する技術革新と言われており、AIの開発や利活用が我が国の競争力に直結する可能性が高い。社会にプラスの変革をもたらす一方で、倫理やプライバシー権、誤情報などリスクも指摘されており、対応策が求められています。
例えば、アメリカのCOMPASというシステムは、再犯リスクを評価するために利用されてきた統計アルゴリズム支援ツールですが、特定の人種に対し不公平な予測を下すことが大きな問題となりました。この問題は、長年にわたる人種格差が反映されたデータがAIアルゴリズムの学習に用いられていることが原因だと考えられたからです。
また、アマゾン社ではAIを用いた優秀な技術者の採用を進めていましたが、技術職の多数が男性であることからシステムが男性を採用することが望ましいと判断し、履歴書に女性に関する単語があるだけで採用されなくなるなど、女性差別に発展する事態となりました。この問題により、アマゾン社はAIによる採用を打ち切ったと報道されています。
総理は、政府と民間のAI活用に何らかの指針やルールが必要だとお考えですか。必要なら、指針やルールはどのような原則に基づきますか。
次に、ロボットの更なる社会実装についてお伺いします。
総理にも是非、ネットでアメリカのボストン・ダイナミクス社の二足歩行ロボット、アトラスや四足歩行ロボット、スポットを御覧いただきたいと思います。アトラスはバク宙、バク転するロボットとして話題になりました。スポットは約八百万円で市販されており、既に建設現場等で活躍しております。生成AIと同様に、恐るべき進化だと思います。
生成AI搭載のロボットは様々な領域で利活用が期待できると考えられますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
結びに、国内外に多くの課題が山積する中、一つでも多くの政策を実現し、課題を解決するため、我が党は自民党との連立政権樹立という大変重い決断を下しました。これから、高市政権の良きパートナーとして、国政を前進させていくために他党の皆様方とも真摯な議論を重ねていくことをお約束し、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕