塩村あやかの発言 (本会議)

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○塩村あやか君 立憲民主・社民・無所属の塩村あやかです。
 会派を代表して、所信表明演説に対する質疑を行います。
 まず、総理大臣の御就任を心よりお祝い申し上げます。憲政史上初の女性総理の誕生に、多くの若者や女性たちがこの先の変化に期待を寄せているはずです。
 総理の所信表明演説では、外国人政策における厳格な姿勢や憲法改正への強い意欲など、報道のとおり、タカ派と評される政治姿勢が示されました。私とはスタンスが異なります。しかし、同じ女性だからこそ共有できる感覚があると信じています。
 総理は、自身のホームページのコラムで、不妊の女性にも温かい社会であってほしい、不妊に悩む方や子を持たない人を傷つけるような社会の空気をつくってはならないと述べられています。これは私自身も大切にしてきた思いであり、政治的立場を超えて共感ができるものです。だからこそ、これまで置き去りにされてきた女性政策を共に進めていきたいと考えています。
 女性やマイノリティーであることが理由でキャリアアップが制限されるガラスの天井を総理は破ったと評されています。所信表明演説では伺えなかった、そのことへの率直な受け止めを総理にお伺いいたします。
 日本のジェンダーギャップ指数は百四十八か国中百十八位、先進国の中でも最下層にあります。政治分野は前年よりも後退して百二十五位。この状況をどう受け止め、また、憲政史上初の女性総理として、総理の在任中にジェンダーギャップ指数をどこまで改善できるのか、女性たちは注目をしています。数値目標と期限、その挑戦への具体策を総理にお伺いいたします。
 組閣の段階で高市内閣は女性大臣が六人と報道され、期待が高まりましたが、二人にとどまりました。歴代最多は、小泉、安倍、岸田各内閣の五人です。初の女性総理の内閣でなぜ二人にとどまったのか、総理にお伺いをいたします。
 仕事と家庭の両立、いわゆるワーク・ライフ・バランスについてお伺いいたします。
 女性が安心をして働き続けられる環境づくりは、少子化対策にも、そして経済成長にも欠かせません。総理御自身も働く女性としてキャリアを築いてこられました。その経験を踏まえ、働く女性が家庭や介護と両立しながらキャリアを継続できる社会の実現に向け、どのような取組が必要と考えているのか、総理にお伺いをいたします。
 両立を支える新しい仕組みとして、近年、多くの職場で注目されているのが同僚手当です。三井住友海上などが導入し、育児や介護で職場を離れた社員の業務を担った同僚に手当やボーナスを支給する制度です。支える人が正当に評価されることで、休む人も気兼ねなく働き続けられる、そんなお互いさまの職場づくりとして現役世代を中心に広がりを見せています。
 現在、政府は育児中等業務代替支援として中小企業に補助を行っていますが、執行率は僅か〇・六%にとどまっています。この仕組みを広げるため、加算や引上げの検討、そして大企業への補助対象拡大を行う考えがあるか、総理、お答えください。
 総理は、厚生労働大臣に対して、労働時間の上限規制の緩和の検討を行うよう指示されました。確かに、一部の産業では繁忙期や突発的対応に一定の柔軟性が必要だという意見があることは承知はしています。しかし、労働基準法に基づく残業時間の上限は、命を守るための規制です。
 全国過労死を考える家族の会の遺族の皆さんは、もう二度と同じ悲しみを繰り返さないでほしい、命より優先される仕事はないと訴えています。この切実な声をどのように受け止めているのか、総理にお伺いいたします。
 そして、報道によれば、経団連は当初、働きたい改革として規制緩和を前面に掲げていましたが、強い批判を受け、撤回いたしました。総理も厚労大臣への指示を撤回されるのか、お伺いをいたします。
 次に、具体的な女性政策についてお伺いをいたします。
 総理、以下、指摘をする課題は、全て女性の命と健康に直結をする切実なものです。出産や育児、病気との闘い、これらは政治特有のボトルネックによって、男性ばかりの国会の中で後回しにされて、改善されないまま放置されてきました。しかし、女性初の総理の一言があれば、一気に前に進み始めます。
 まず、女性の健康総合センターについてお伺いをいたします。
 総理の所信表明演説で掲げられた攻めの予防医療、そして性差に応じた医療や支援の充実を加速するという方針は、同じ女性として大変心強く受け止めました。女性特有の疾患やライフステージごとの課題に正面から取り組むという姿勢を示されたことは、長年置き去りにされてきたテーマに光を当てた画期的な一歩です。
 その上でお伺いをいたします。所信で述べられた女性の生涯にわたる健康の課題に取り組んできたとは、具体的にどのような分野、取組を指しておられるのか、今後の政策展開と併せて、総理、説明をお願いいたします。
 一方で、女性の健康課題は、生理の健康、不妊治療、妊娠・出産期の母体ケア、更年期障害など、ライフステージごとに異なります。こうした多様な課題を踏まえ、昨年設立された女性の健康総合センターを司令塔として、どの課題を優先し、どのように全国に広げていくのか、具体的な方針を総理にお伺いいたします。
 そして、医療制度の遅れについてお尋ねをいたします。
 妊娠中の強い吐き気、つわりに使われる薬のオンダンセトロン等は、海外では妊娠悪阻、つまり、つわりに対して公的保険で広くカバーされていますが、日本ではいまだ適用外で、妊婦さんが自費負担を強いられています。また、乳がんについても、治療薬のおよそ四分の一が未導入のまま、深刻なドラッグロスが続いています。
 総理の掲げる攻めの予防医療等にはこうした是正も含まれているのか、総理、お答えください。
 私たち立憲民主党は、様々な痛みを取り除く女性政策を掲げています。例えば、その一つが無痛分娩です。出産に伴う大きな不安の一つが産みの痛みです。無痛分娩はその痛みや不安を和らげる手段ですが、日本は先進国の中で大きく遅れています。無痛分娩率九割のフィンランドでは、女性議員が国会で声を上げ、僅か数年で調査予算が付き、普及が進みました。一九七七年、実に四十八年も前のことです。日本ではいまだに女性の声が十分に届かず、ほかの先進国より大きく立ち遅れて一割台となっています。このままでいいのでしょうか。初の女性総理である高市総理にこそ、この分野を大きく前に進めていただきたいと考えています。
 二つ目は、乳がん検診です。検査が痛いから行かないという声は根強く、日本の検診率は四七%にとどまる一方、欧米では七〇%から八〇%に達しています。日本女性は乳腺が高濃度、いわゆるデンスブレストが多く、圧迫による痛みが強いだけではなく、マンモグラフィーでは初期病変が見えにくいといった課題もあります。MRIを活用した日本発祥のドゥイブス検査法は、痛みも被曝もなく、服を着たまま検診ができ、妊娠中や豊胸手術の後でも受診が可能で、初期病変の発見にも有効とされており、自治体では補助やふるさと納税の返礼品として人気を集めています。欧米ではMRI検査が高リスク群に標準的に導入されているにもかかわらず、日本ではいまだ補完的な扱いにとどまっています。
 男性中心の国会では、長い間、女性の痛みが置き去りにされてきました。無痛分娩の推進や痛みの少ない乳がん検診の普及は、いずれも女性たちの切実な声に応える取組です。こうした課題について、数値目標や実施時期を設定し、早期の実現に向けてどのように進めていくのか、総理に答弁を求めます。
 日本の治安と国際的信用に関わる重大問題についてお伺いをいたします。
 歌舞伎町などでは外国人観光客による買春、買春とは男性が女性を買う、買う側の行為のことですが、その買春が横行し、海外メディアからは、日本は新しいセックスツーリズム国と報じられてしまっています。この実態はSNSでも拡散されており、日本は女性の尊厳を守らない国というイメージが国際的に広がりつつあります。これは問題ではないでしょうか。総理のお考えを伺います。
 現在、日本には買春を罰する規定がなく、外国人男性にとっては安心して買春ができると、できる国と認識される一方で、性を売らざるを得ない女性だけが検挙されるというゆがんだ構造があります。女性と日本の尊厳を守るためにも、国際基準に沿った規制導入を急ぐべきではないでしょうか。総理、お答えください。
 更に深刻なのは、買春資金が匿名・流動型グループ、いわゆるトクリュウを通じて国際犯罪組織に流れている懸念です。日本が女性の人権侵害に加え、犯罪資金の拠点とみなされれば、国際的信用を損ないます。こうした事態を防ぐため、政府として規制、取締りの強化や、この度新設された日本版FBIの位置付け、機能強化を含め、日本の国際的信用を守るためにどのような対策を講じていくのか、総理にお伺いをいたします。
 ところで、皆さん、日本の未来を担う若者を応援することは、政治の最も大切な役割の一つではないでしょうか。そこで、奨学金返済の負担軽減策についてお伺いをいたします。
 令和七年度のデータでは、奨学金の返済を行っている人は約四百九十七万人に上っています。四百九十七万人です。平均の借入総額はおよそ三百三十万円、返済期間の平均は約十五年。奨学金の返済は、社会に出てまだ収入が低い時期、そして結婚や子育てなど家庭を築く時期に重くのしかかっています。教育を受けたことが、むしろ人生の選択を狭める要因となってしまっているのです。少子化が進み、物価高の今、若い世代の手取りを少しでも増やすために返済額を所得税の控除対象とすることは、合理的かつ効果的な負担軽減策ではないでしょうか。
 しかし、財務省はこれまで、奨学金を借りていない人との公平性が確保できないとか税制上の収入減という財源面の課題があるとして、税控除の導入に慎重な姿勢を取ってきました。私自身もかつて奨学金の返済に苦しんだ経験があり、この政府答弁には強い疑問を抱いています。
 若い世代の未来を支えるため、奨学金返済の税控除を導入すべきです。総理大臣の決意に懸かっています。総理大臣、お答えください。
 次に、高齢お一人様問題についてお伺いをいたします。
 我が国では六十五歳以上の独り暮らしが急増しており、二〇四〇年には一千四十一万人に達すると推計されています。六十五歳以上の世帯では、単身世帯が全体の半数を超えるというような状況になっています。こうした中で、最期を誰が見守るのか、死後の手続を誰が担うのかという安心の担保が避けられない社会課題になっています。
 都市部では孤独死が数日間発見されない事例も増え、警察庁のまとめでは、高齢者の自宅での孤独死が年間で数万人規模に上ると報告されています。こうした不安を背景に、生前の遺言や財産管理などに関わる民間業者、いわゆるみとり業者が登場しています。しかし、所管省庁は不明確で、強いて言えば経産省とされていますが、人の最期を経済政策の文脈で扱うのは不適切ではないでしょうか。実際に、高額な費用を請求したり、認知症高齢者に遺産を遺贈させるといった詐欺まがいの深刻なトラブルが多発をしています。
 今後、更に単身高齢者は増加していきます。みとり業者の所管省庁を明確にするのかを含め、高齢お一人様問題に対する高市政権の方針を総理にお伺いいたします。
 次に、SNSへの誹謗中傷と選挙についてお伺いをいたします。
 今やSNSは、選挙で有権者の判断を左右するほどの影響力を持つ存在です。ところが、近年、根拠のない中傷やゆがまれた情報が拡散し、選挙結果を揺るがす事態が相次いでいます。宮城県知事選挙では、候補者の政策をゆがめた虚偽情報が選挙戦で広まり、政策論争がかき消されました。兵庫県知事選挙では、SNS上の誹謗中傷が深刻化し、県議が辞職に追い込まれた末に命を絶つという痛ましい事態にも至っています。民主主義を守る選挙が、政治家までもが加担をして、人の命を奪う場に変質してしまっているのです。
 宮城、兵庫を含む最近の事態をどのように受け止めておられるのか、総理にお伺いをいたします。
 民主主義を守るための選挙が誹謗中傷やデマによって壊されれば、その結果はもはや正当性を持ち得ません。事実に基づかぬ選挙は、民主主義の基盤そのものを揺るがすことになります。専門家からも、選挙期間中に限ってでもSNSでの虚偽情報や中傷に一定の規制を設ける必要があると警鐘が鳴らされています。選挙運動に関する各党協議会でも議論が続いていますが、どのような方針で対策を進めるのか、総理にお伺いをいたします。
 次に、子供たちのSNSの利用についてお伺いをいたします。
 世界では、オーストラリアが十六歳未満の利用を禁止する法律を可決、フランスでは十五歳未満に親の同意を義務付ける制度が既に施行され、規制の動きが世界的に広まりつつあります。こうした海外の動きに対する受け止めを含め、我が国として子供たちをオンラインの有害情報や依存からどのように守っていくのか、総理にお伺いをいたします。
 総理は所信表明演説の中で、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を未来に確かな形で咲かせると述べられました。国連改革についてお伺いをいたします。
 国連は創設八十周年を迎えます。戦後、日本は、国連加盟国最多となる十二回、非常任理事国として国際社会の信任を受け、短い間隔で選出され続けてきました。これは、平和国家として歩んできた日本への期待のあかしです。しかし今、その流れは途絶えようとしています。日本は、次の非常任理事国入りを目指すのは二〇三二年、その次は二〇四三年と発表しました。それまでの間、国連安全保障理事会に直接関与することができなくなり、日本外交の存在感の低下、国益そのものに影響しかねません。
 一方で、権威主義的な大国は、グローバルサウスを取り込み、影響力を広げています。これに対抗できるのは、戦後八十年、平和外交を貫いてきた日本です。平和外交を貫き、世界から揺るぎない信頼を得てきた日本です。この信頼は未来世代に引き継ぐべき外交資産であり、決して絶やしてはいけないと考えます。
 日本は、現在もドイツ、インド、ブラジルとともにG4の一員として常任理事国入りを目指していますが、同時に、常任、非常任の双方を拡大する包括的改革を支持しています。あわせて、拒否権の制限を含む改革案も議論がされています。膠着が続いて二十年近く大きな進展が見られない中で、日本がどのように存在感を発揮し、安保理改革を具体的に動かしていくのかが問われています。
 国連改革の実現が総理の掲げる世界の真ん中で咲き誇る日本外交に含まれるのか、含まれるのであれば、当面はG4との常任理事国入りを主軸とするのか、それとも包括改革案へ軸足を移すのか、従来政権からのスピード感や優先順位の違いも併せて、高市新政権の方針を総理にお伺いをいたします。
 防災庁創設についてお伺いをいたします。
 総理は所信表明演説の中で、令和の国土強靱化対策を進め、国民の命と暮らしを守る決意を示されました。地震や台風など自然災害が相次ぐ日本において、防災・減災は国の基盤そのものです。
 台風二十二号、二十三号の連続襲来では、八丈島で断水や土砂崩れの危険が続き、漁業や観光業が大きな打撃を受けました。私の知人も住まいを失い、やむなく島を離れる決断をいたしました。こうした課題は、八丈島に限らず、島嶼地域や中山間地など全国各地で繰り返されています。
 激甚災害の指定には時間が掛かり、その可否が決まるまで生活や事業の見通しが立たないという現実もあります。防災庁の創設は、こうした構造的課題を見直す機会です。防災庁を設置することにより、これらの課題を含め、何がどう変わるのか、総理にお伺いをいたします。
 最後に。女性の痛みをなくし、努力が正当に報われる社会を実現できるか、それこそが初の女性総理としての真価を問う試金石です。
 今を生きる女性たちの未来を変えるのは、総理の決断と行動です。女性が生きやすい社会の実現に向け、どのような信念で臨まれるのか。その覚悟を総理にお伺いして、質問を締めくくります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121915254X00420251106_015

発言者: 塩村あやか

speaker_id: 30295

日付: 2025-11-06

院: 参議院

会議名: 本会議