嘉田由紀子の発言 (本会議)
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○嘉田由紀子君 始めさせていただきます。
日本維新の会、嘉田由紀子です。
会派を代表しまして、令和六年度決算について、高市総理大臣、関係大臣に質問いたします。
維新の会は、徹底的な改革を志向し、未来世代への政治的責任を重視する政党です。その方針に従い、マクロレベルの歳出改革から伺います。
自民党と維新の会の連立合意書には、政府効率化局(仮称)を設置とあります。十一月二十五日には、片山さつき財務大臣が租税特別措置・補助金見直し担当室の設置を公表し、無駄削減の覚悟を示されました。
政府効率化で最も基本的な方針は、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングという科学的根拠に基づき、先手を打って能動的に行動するプロアクティブな方針が重要と判断します。高市総理大臣、いかがでしょうか。
我が国の財政上の最大問題は国債残高の累積でしょう。国及び地方の長期債務残高は現在千三百三十兆円で、対GDP比はG7諸国では最悪です。財務省の報告でも、財政危機時や自然災害時の財政上の余地が狭められ、国債や通貨の国際的信認低下などのリスクが増大と指摘されています。国債残高の累積リスクに対して、高市総理はどう対応なさいますか。
総理の所信表明では、成長戦略の肝として危機管理投資を挙げています。これまで災害対策に力を入れてきた私自身も、この点については大いに賛同いたします。
令和六年度決算の公共事業関係費歳出は八兆円を超えていますが、これを支えるのが六十年償還の建設国債です。千三百三十兆円のうち三百三兆円が建設国債です。災害多発、人口減少、インフラ老朽化という三重苦を抱える今の日本だからこそ、公共事業の予算配分にはEBPMに基づくプロアクティブな歳出チェックの全体方針が重要だと思います。片山財務大臣にお伺いいたします。
公共事業には、費用便益効果をあらかじめ計算し、それが一・〇以上ないと事業に取りかからないという方針を国が出しています。高市総理、国政の最高責任者として、費用便益効果分析の重要性、いかに考えられますか。
具体的な事例で恐縮ですが、熊本県の球磨川上流部に五十九年前に計画された川辺川ダムは、全体の費用便益効果が〇・四でもゴーサインが今出されようとしています。しかも、その計算式では、はるか八十キロも下流の八代市の水害被害低減効果が過去の水害実態以上に過大に評価されていて、実態に即して検討すると、〇・四よりはるか下がるおそれさえあります。
片山財務大臣として、費用便益効果が〇・四でもある事業を継続するという方針を国民、納税者にどのように説明なさいますか。
ダムにより命を救う価値はもちろん重要です。ダム建設の可否を判断するに当たり、最も重視するべきは、球磨川周辺におけるお住まいの方々の民意であり、地元の声を丁寧に聞くべきことは言うまでもありません。
私が地元住民の皆さんと一緒に、二〇二〇年七月豪雨での球磨川周辺の溺死者五十人を、何が生死を分けたのか、お一人お一人訪問し、社会学的調査を行いました。その結果、最上流部の川辺川ダムによって球磨川本流の水位低下効果が現れる前の時間に、五十人ほぼ全員が森林破壊や支流河川の氾濫で亡くなったと推定されることが判明しました。つまり、命を救う効果もほとんどないと判断されるのが川辺川ダムです。その上、尺アユ、大きなアユ、尺アユで有名な球磨川の生態系破壊も懸念されます。
片山財務大臣、公共事業の費用便益効果を計算する上で、環境破壊などマイナスの影響を計算し、コストとして上乗せする方針、取り入れていただけないでしょうか。
ダムだけに頼らない流域治水の方針を国も掲げた今、高度経済成長期に計画された時代遅れのダム建設の見直しが今こそ必要です。川辺川ダムだけでなく、愛知県の設楽ダム、愛媛県の山鳥坂ダム、長崎県の石木ダム等があります。石木ダムは、河川行政の専門家から、造ったら治水上かえって危険という意見も出されています。その上、石木ダムは、十三世帯五十人の住居や農地の行政代執行が今目前に迫っている前例のないダムです。
片山大臣は、租税特別措置・補助金見直し担当室の検討プロセスとして、租税特別措置・補助金見直しについて国民の声を広く聞く方針を十一月二十五日に表明なさいました。巨大公共事業の有効性と投資効果をめぐっても、国民の声を広く聞いていただけませんでしょうか。
日本の財政赤字の構造的要因の一つは、少子高齢化を背景とする社会保障関係費の増大です。令和五年度の社会保障関係費は約三十六兆円で、歳出額の約三割を占めています。一方で、決算では三兆円近くの不用額があり、予算が有効に使われているのか、疑問が残ります。
自民党と維新の連立合意を踏まえ、社会保障制度改革の協議体や人口戦略本部が発足しましたが、ここでも、EBPMの観点から骨太の方針を見ていただきたいです。
実は、先進国の中で日本が少子化対策に出遅れてしまった要因の一つに女性の社会進出の遅れがあります。九〇年代以降、先進国では女性の有業率と出生率が正の相関があると社会学的エビデンスがあります。一般には逆に考えられていました。その心は、仕事も子育てもと両立を願う女性が増えたからです。
高市総理、このエビデンスをどう判断なさいますか。子育てしやすい日本を実現するためにも、総理としての方針、実効性の担保方法も含めて具体的にお示しくださいますか。
男女共稼ぎ、共育てを少子化対策の目標として滋賀県知事時代に挑戦した結果、人口当たり出生率は全国二位まで回復いたしました。その経験の中で気付いたことは、父親の子育て参画を目指す価値観が重要だということです。
人は労働だけで生きるにありません。家族、そして生活者として、社会参画のために、育児・介護休業法を育児・介護参画法、休業を参画と名称を変えられないでしょうか。制度は既に整っています。変えるべきは社会的価値観です。高市総理、上野賢一郎厚労大臣、難しい問題かもしれませんが、前向きに御検討いただけるでしょうか。
男女共稼ぎ、共育てを実現する社会にとって重要な家族基盤充実の一つに、離婚後共同親権の民法改正があります。来年四月に施行される予定ですが、親子交流や養育費の実効性を担保するため、離婚前後家庭支援事業の補助事業がありますが、全ての自治体で活用されているわけではない状況です。親の離婚に直面しても、子供の精神的、経済的、社会的安定を実現するため、原則共同親権と共同養育計画作成の義務化が必須です。
平口洋法務大臣、子供の最善の利益のために、原則共同親権の実現を将来の方向として御検討いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
最後に、今、日本の科学技術投資は国際的にも大変出遅れています。今年のノーベル賞受賞者、坂口志文さんと北川進さんの業績は、一九八〇年代の余裕ある研究時間と研究費の成果とも言われております。私も同じ時代、同じ大学キャンパスで自由度の高い研究環境を実感しました。
日本として最大の未来投資である科学技術への投資、特に基盤的経費である国立大学法人運営費交付金と科研費の増大について、最後に高市総理に伺います。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕